縦型動画広告のクリエイティブ、入稿規定を守ってるのに意図せず見切れてしまうのはなぜ?

縦型動画広告のクリエイティブ、入稿規定を守ってるのに意図せず見切れてしまうのはなぜ?

SNSの普及に伴い、スマートフォンでの視聴を前提としたいわゆる「縦型」の動画クリエイティブは定番の広告フォーマットの一つになりつつあります。

そんな中、いざ意気揚々と縦型動画クリエイティブを納品し、配信開始してみると「スマホで見たときに両端が見切れている!」と困ったことはありませんか?

各媒体の入稿規定を守り作ったはずのクリエイティブが、実際に配信してみると意図通りの見え方になっていないという悲劇は避けたいものですが、実は縦型動画クリエイティブの両端が見切れてしまうのはある意味仕方のないことなんです…。

この記事では、なぜ見切れが発生してしまうのか、また、その対策について解説します。


Meta広告のリール面やYouTubeのShorts面などに入稿した縦型フォーマットのクリエイティブ、横が見切れてしまった!

Meta広告のリール面や、TikTok広告の縦型動画YouTube Shorts面などに縦長画面フルサイズの表示をしたいときは、「9:16」のアスペクト比のクリエイティブを入稿しますよね。

iPhone13でTikTokを見た時のイメージ

ところが、媒体仕様に沿って「9:16」のクリエイティブを入稿したはずなのに、実機で配信されたものを見てみると横が見切れてしまっていることがあります。

クリエイティブを作った時点ではきちんと画像内に文字を収めているのに……実際に配信されたものを見ると、横が見切れてしまっています。

この事象は広告として入稿・配信したものだけでなく、オーガニックのコンテンツでも同様の事象が見受けられます。

文字が切れてしまって読みづらくなったり、視聴者に見せたい要素が映らないと、伝えたいことが適切に伝えられなくなってしまうので避けたいですよね。せっかくのコピーや映像が見切れていると、クライアントからのクレームにも繋がりかねません。

では、いったいなぜこのような事象が起こってしまうのでしょうか?

縦型動画クリエイティブの両端が見切れてしまう理由

「9:16」で作成・入稿した縦型動画の両端が見切れてしまうのは、実はiPhone(iOS)に「縦型動画はデバイスのアスペクト比に合わせてズーム&トリミングして表示する」という仕様があるためなのです。

iPhoneは、以下のように「9:16」よりはやや細長いアスペクト比の画面が多くなっています。

機種名横:縦
iPhone13~169:19.5
iPhone13~16 Pro9:19.5
iPhone13~16 Pro Max9:19.5
iPhone13~16 Plus9:19.5
iPhone13 mini9:19.5
iPhone SE(第3世代)9:16

Metaのリール面、TikTok、YouTubeのShort面はそれぞれ画面の下部に表示されるメニューバーがありますが、そのメニューバー部分を除いても動画を表示できる画面のアスペクト比は9:16よりもやや縦長になっています。

この時画面の高さに対して表示する動画の足りない部分を、全体を拡大することで全画面に表示しようと働くのがiOSの仕様というわけです。

拡大を防ぐ方法はありません。デザイン時にご注意を

意図通りの表示ができないこのiPhoneの仕様ですが、残念ながら見切れないように設定することは広告配信側・閲覧側(iPhone側)どちらも不可能となっています。そのため、クリエイティブを制作する時点で見切れることを考慮して映像や文字を配置することが対策となります。

もし端の方に本来見せたいものがあった場合は、見切れて見えなくなってしまってはもったいないですね。

映像は主体となるものを極力中心に寄せ、左右に余白を持って映しましょう。また、テキストも改行を用いるなどして、両端ぎりぎりまで文字が来ないように配置するとよいでしょう。

ただし、気を使うあまり商品が十分に見せられなければ意味がありません。場合によっては、画像内の商品をより縦長でも魅力的に見えるように配置するなども検討できそうですね。

クリエイティブの制作時に意識したい「セーフゾーン」

縦型動画の見切れ問題だけでなく、クリエイティブ全般に言えることですが、広告配信先ごとの「セーフゾーン」も意識して制作するとよいでしょう。

画像引用元:ストーリーズ広告とリール動画の広告のテキストオーバーレイとセーフゾーンについて | Metaビジネスヘルプセンター 

セーフゾーンとは、ユーザーの画面上でアカウントのアイコンやいいねボタン等で隠れることのない、確実に表示される範囲のことです。

各媒体の縦型動画面のセーフゾーンについては、次の記事にまとめていますので、合わせて参考にしてください。

ユーザーからの見え方を知って情報を正確に伝えよう

日本のスマートフォンユーザーのうち、iOS(iPhone)を利用している人はAndroidに比べ2倍を超えるとも言われ、見切れが起こってしまうのは無視できることではありません。

動画制作時に注意するのはもちろんですが、配信前に一度実際の端末で表示してみたり、配信後も意図しない見え方になっていないか確認することは、ユーザーに正確な情報を伝え快適に視聴してもらうためにも重要です。

実は筆者がこの現象に気づいたのは、たまたまプライベートで縦型動画を投稿したことがきっかけでした。媒体社が発信している公式の情報やガイドラインだけでなく、日常の中でも自分で実際に触ってみることで、より深くプラットフォームの特徴や視聴端末の性質など捉えることができると思いますので、広告運用者にとって管理画面の外側に目を向けてみるのも大切なことですね。

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