チャットボットは今後のゲームチェンジャーになり得るか?

チャットボットは今後のゲームチェンジャーになり得るか?

接客、リードナーチャリング、アップセルやクロスセル、カート放棄の防止、あるいはランディングページや入力フォームそのもののデザイン領域まで、チャットボットをはじめ対話型AIの活用に目を向けるブランドが増えています。

多くの企業がチャットボットに興味を示している背景にはどのようなものがあるのか、そしてチャットボットのポテンシャルや課題はどこにあるかについて考察を交えつつ、探っていきましょう。



オンライントラフィックの増加による追い風

チャットボットの話題が増えているのは偶然なわけではありません。新型コロナウイルスのパンデミックが世界中の人間の消費行動に大きな、そして当分のあいだ継続すると思われる変化をもたらしました。オフラインからオンラインへの移行が顕著になったことで、多くのウェブサイトのトラフィックが増加し、サイト運営側は24時間365日、すべての問い合わせに迅速かつスムーズに対応することが課題となりました。この状況は、様々な業界においてチャットボットのような自動会話型ソリューションの出番を後押ししたと考えられます。

参考:COVID-19 Has Given Rise to Mass Chatbot Adoption in the Retail Space

チャットボットは成長市場

もちろん、チャットボットは以前から存在していました。突き詰めると、コロナ禍によるユーザー行動の変化が起きたと同時に、メッセンジャーアプリの世界的な普及、AI分野の発展などの要因が相乗的に作用して、市場が著しく成長してきたということでしょう。

引用元:Chatbot Market Size, Share & Growth Report, 2021-2028

応用範囲も非常に広いのですが、特にEコマース分野でのチャットボットの可能性はかなり大きいと推測されます。2024年については、米国の市場調査会社Insider Intelligenceが、Eコマースにおいてチャットボットを介して生み出される売上が、世界で1420億ドル(約18兆円)に増加すると予測しています。2019年時点では売上が28億ドル(約3,500億円)でした。

参考: Chatbot market in 2022: Stats, trends, and companies in the growing AI chatbot industry

ポストCookie時代の救世主?

チャットボットへの関心が高まっているもう一つの理由は、サードパーティCookieが終焉を迎えようとしていることでしょう。

このような状況から、マーケティング面ではファーストパーティデータ(企業が自らで顧客や訪問者から受け取るデータ)の戦略的重要性がより一層高まり、競合他社よりも(潜在)顧客のことをよく知っている企業が強い優位性を持つことになります。

チャットボットは、様々な関連データを収集することができるため、これを実現する決定的な機会を提供することができます。個人情報から興味・関心、ユーザーが持つであろう疑問・質問を経て、注文履歴まで、チャットボットとの対話を通じて様々な情報が蓄積され、ユーザーをより深く理解するために大きく役立ちます

また、LINEやFacebook Messengerなどのメッセンジャーアプリとチャットボットによって、従来のリターゲティングに近いアプローチも可能で、サードパーティCookieを使用しなくても、購買意欲の高いユーザーにリーチできる可能性が大きいと考えられます。

参考:リターゲティング広告の代替に?Cookie規制で注目のLINE×チャットボット広告! – Penglue(ペングル)

ユーザー体験の改善は依然として大きな課題

理論上、近い将来に待ち受けているマーケティングやWeb接客の問題をチャットボットがキレイに解決できそうですが、チャットボットは決して完璧なものではないことは言うまでもありません。ここ数年で、大きな飛躍を遂げたこの技術ですが、ユーザー側からは、まだまだチャットボットに対して賛否両論なスタンスが見て取れます。

引用元:Top AI chatbots for business in 2022: Benefits and platform integrations

カナダの通信会社Mitelが実施した調査では、合計39%の回答者(チャットボットの方が速いから:24%、対応係の人間と話すのが苦手だから:15%)がチャットボットに対してポジティブな感情を抱いていると回答しましたが、半数弱の回答者はチャットボットとのやり取りが好きではないと回答しています。

その裏にある理由はきっと複雑ですが、回答から推測するとおそらく、ユーザーにとって役に立つ答えを提示しない単純すぎる問答パターン、あるいはAIが「人間のように振る舞う」ものの、そこにどことなく違和感が残り、いわゆる「不気味の谷」現象が起きている問題の可能性が高いかもしれません。

いずれにせよ、技術の進歩とユーザーエクスペリエンス改善への投資の両方が、徐々にチャットボットがユーザーにとってより受け入れやすくなることに繋がると思われます。

参考:Conversational UX: The missing piece in your chatbot strategy | TechCrunch

またはそれ以前に、AIがいつ人間の担当者にバトンタッチすればいいかの線引きを見直すだけでも大きく反応が変わるでしょう。

これからも多くの可能性を秘めた技術

当然、チャットボットはいくら便利であっても、その発揮できる効果は最終的に導入方法と導入場所に依存するものであることは言わざるを得ません。明確な行動喚起のあるランディングページでのチャットボットは、誤解を招かないまでも冗長かもしれませんが、より複雑なデザインのページや訪問者数がブランドを様々なやり取りが可能なサイトには、非常に大きな利益をもたらすポテンシャルがあります。

また、どのような業界であっても、チャットボットおよび対話型のテクノロジーは、今後数年のうちに、Webサイト上のさまざまな処理をさらに補完するようになったり、一部は完全に置き換えたりすることはほぼ間違いないでしょう。

今後期待できるAIや音声認識・音声制御の分野での技術的な飛躍も、チャットボットのさらなる普及を牽引する力になりそうです。2021年に米Walmart社が、テキストと音声をベースにした対話型AIを開発するスタートアップ、Botmockを買収したことは、この方向への明確な一歩を示す例として捉えられます。

参考:Walmartが「音声ショッピング」拡大に向け、ノーコードのBotmockを買収へ | BRIDGE(ブリッジ)テクノロジー&スタートアップ情報

とにかく、チャットボット周辺のテーマは相変わらず注目すべきだと言えます。

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Jan Hugendick

Jan Hugendick

ドイツの出版社でマーケティングやSEOに携わることをきっかけにリスティング広告に興味を持ち、 ドイツの某メディア大企業直属のWeb広告代理店に転職。そこで5年間、多国・多業界 のアカウントを担当することを経て、2016年にアナグラムに参画。広告運用の他、ブログ執筆と編集を行っています。

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