Safariの「Intelligent Tracking Prevention」機能に対して、Googleアドワーズがコンバージョントラッキング機能の仕組みを変更

2017年9月よりAppleのWebブラウザ「Safari」の次期バージョンで導入される「Intelligent Tracking Prevention(以下ITP)」機能に対応するため、Google アドワーズはコンバージョントラッキングの仕組みを変更しました。

参照:ウェブサイト コンバージョンをトラッキングする仕組み – AdWords ヘルプ


Safariの「ITP」機能とは

ITP機能が有効になっているSafariでサイトを訪れたユーザーのCookie(クッキー)は、リターゲティング広告など、外部サイトでの行動追跡を目的とする場合は24時間しか利用できなくなります。具体的には、サイト間でユーザーの行動を追跡できると判断されるサードパーティーCookieについては、24時間でCookieの情報が参照できなくなる仕組みです。

ただし、ログイン目的で利用する場合は、30日間Cookieが保持されるため、ユーザーの利便性は落とさず、プライバシーは保護することが期待されています。

※ITPの詳細はこちら
参考:Intelligent Tracking Prevention | WebKit

「ITP」によるGoogleアドワーズのコンバージョントラッキング機能への影響

ITP機能が有効になっているSafariでは、自社サイトの訪問ユーザーの外部サイトでの行動を24時間後は追跡できなくなります。そのため、これまでのGoogleアドワーズのコンバージョントラッキング機能では、広告をクリックし自社サイトを訪れたユーザーが24時間以内にコンバージョンを達成しないと、仕組み上は24時間経過後の広告効果を測定できません。

Googleアドワーズのコンバージョントラッキングの仕組みの変更点

今回のGoogleアドワーズのコンバージョントラッキングの仕組みの変更は、ITPによって懸念されるコンバージョントラッキングへの影響を最小限に抑えるためのものです。変更点は大きく分けて3つあります。

1. GoogleアナリティクスのCookieでアドワーズの広告クリック情報を保存し、コンバージョントラッキングでその情報を利用することが可能に

まず1つ目の変更点として、Google アドワーズの広告クリックの情報をウェブサイトへ設置してあるGoogleアナリティクスのCookieへ保存することで、ITP機能が有効になっているSafariでも広告クリックの情報を失わず、コンバージョン計測を行えるようになりました。

この変更点を利用して、コンバージョントラッキングをするためには以下2点の設定が必要です。

  • Googleアナリティクスのプロパティを、計測対象のGoogle アドワーズアカウントにリンクする
  • 自動タグ設定を有効にする

※自動タグの詳細はこちら
参考:自動タグ設定について – AdWords ヘルプ

自動タグ設定が既に有効で、アドワーズアカウントとGoogleアナリティクスのアカウントをリンクしている場合は、アドワーズの広告クリック情報はGoogleアナリティクスのCookieへ自動的に保存されています。

もし、GoogleアナリティクスのCookieへGoogleアドワーズの広告クリック情報を保存したくない場合は、オプトアウトの設定が必要となります。オプトアウトの設定方法についてはこちらをご覧ください。

参考:Google アナリティクスで AdWords コンバージョン トラッキングをサポートする – アナリティクス ヘルプ「オプトアウトの手順」を参照

この変更点を利用すれば、自社サイトを訪問したユーザーのコンバージョントラッキングに対してITP機能が有効になっているSafariでも計測が可能となり、コンバージョントラッキングのデータを利用する「目標コンバージョン単価」等の自動入札機能の精度も保つことが期待できます。

2. 「モデル化されたコンバージョン」の登場

2つ目の変更点として、統計データを使用して算出される、測定できなかったコンバージョンの推定値が「モデル化されたコンバージョン」という名称でコンバージョン列に含まれることになりました。

モデル化されたコンバージョンは、広告クリックからウェブサイトでコンバージョンを達成するユーザー数を現在及び過去のデータから推定し算出されます。モデル化されたコンバージョンの登場で、ITP機能の影響で計測できなくなるコンバージョンを、推定ではありますがレポーティングすることができます。

ただし、モデル化されたコンバージョンは、Google検索広告とショッピング広告の同一デバイスによるクリックスルーコンバージョンのみ含まれます。ディスプレイ広告やビュースルーコンバージョン、デバイスを跨いだクロスデバイスコンバージョンは含まれませんので注意が必要です。

参考:ウェブサイト コンバージョンをトラッキングする仕組み – AdWords ヘルプ

3. Googleのサービスやドメインを最近利用したユーザーのコンバージョン測定は継続

ITP機能が有効になっているSafariでは、ユーザーの行動追跡を目的とする場合、サードパーティー製のCookieは24時間で参照できなくなります。そのため、対応策としてGoogleのサービスやドメインを継続的に利用しているユーザーに対しては、最後の広告クリックから24時間経過以降でも、達成したコンバージョンは計測できるように変更するとしています。これによってもコンバージョンを計測できないケースは減少する見込みです。

参考:Google responds to Apple’s Intelligent Tracking Prevention with AdWords tracking update

変更を踏まえて、広告運用者は今後なにをすべきか

自動入札の動きに注意する

ITP機能の導入でSafari経由のコンバージョンが計測されなくなると、自動入札が広告配信を過剰に抑制したり、上手く働かなくなったりする可能性が考えられます。Safari経由のコンバージョンは”なくなる”のではなく、“計測できなくなる”だけなので、配信が抑制されるほど機会損失が大きくなってしまうかもしれません。モデル化されたコンバージョンを参考にしたり、配信量の減少に合わせたりして、自動入札の目標値を調整することが望ましいです。

GoogleアナリティクスとGoogle アドワーズのリンク

モデル化されたコンバージョンやGoogleのサービスやドメインを最近利用したユーザーのコンバージョントラッキングは応急処置となりますが、やはりアドワーズとGoogleアナリティクスのアカウントをリンクさせることが今後は必要不可欠になってくるでしょう。

これまでも、Google アドワーズアカウントとGoogleアナリティクスのアカウントをリンクさせることは、滞在時間別でリマーケティングリストを作成できたり、広告管理画面上で新規セッションの割合を測定できたりと、恩恵は多々ありました。今回のコンバージョントラッキング機能の仕組み変更をきっかけとして、アドワーズとGoogleアナリティクスのアカウントをリンクさせることを検討してみても良いのではないでしょうか。

参考:広告運用者のためのGoogle アナリティクス活用:Google アドワーズと連携すると使える3つの便利機能

まとめ

本記事では次期バージョンのSafariで導入されるITP機能に対応するGoogle アドワーズのコンバージョントラッキング機能の仕組み変更について紹介しましたが、ITP機能の影響は何もGoogle アドワーズだけには限りません。Yahoo!プロモーション広告をはじめとする多くの運用型広告プラットフォームも、コンバージョン計測用Cookieがサードパーティとしてみなされるため、今回のITPによる影響は受けることになります。

広告主や広告運用者からすると、広告の効果測定が正確にできないことは望ましくはありませんが、今回のようなメディアとプラットフォームの改善を経て、ユーザーのプライバシー保護と広告の効果測定が上手く共存できる仕組みが出来上がっていけば良いですね。