リスティング広告といえば検索広告と思う方も多いと思いますが、ディスプレイ広告もリスティング広告の重要な手法のひとつです。
ディスプレイ広告は、クリエイティブやターゲティング方法が多種多様で、どこから手をつけたら良いのかわからないという方も少なくないでしょう。
私もディスプレイ広告を知ったばかりのときにはこんな疑問を持ちました。
- 検索広告との違いは?
- どんなときにディスプレイ広告を使えばいいの?
- 人によって出てくる広告が変わるのはなぜ?
今回は、ディスプレイ広告をこれから学ぶ人のために、検索広告との違いやディスプレイ広告の基礎をわかりやすく解説します。
ディスプレイ広告とは?
ディスプレイ広告とは、たとえばWebサイトの上部や文章の間、アプリなどに表示されるコンテンツ向けの広告手法です。ニュースやブログ、SNSなど普段目にしているメディアにもさまざまな広告が掲載されていますよね。
ディスプレイ広告と検索広告の違い
ディスプレイ広告の特徴をつかむために、まずは検索広告との違いを一緒に見ていきましょう。
1.広告の掲載場所が違う
ディスプレイ広告と検索広告とでは、広告の掲載場所が異なります。
ディスプレイ広告は、ブログなどのWeb上のページや動画、アプリなど、さまざまな場所に表示されます。一方で、検索広告はおもにGoogle検索やYahoo!検索の結果という決まった場所に表示されます。そのため、ユーザーが広告を目にするタイミングが異なります。
2.アプローチできるユーザー層が違う
目にする場所が異なるディスプレイ広告と検索広告とでは、アプローチできるユーザー層が異なります。
アプローチできるユーザーは、以下のように分類できます。
ユーザーが検索エンジンで検索をしたときに広告が表示される検索広告は、目的やニーズが明確な「顕在層」へのアプローチに向いています。キーワードによっては商品について調べ始めたような「準顕在層」へのアプローチもできます。それに対し、ディスプレイ広告は、目的やニーズがはっきりしていない「潜在層」から「顕在層」まで幅広くアプローチが可能です。
検索広告では広げづらい潜在層へのアプローチを得意とするのがディスプレイ広告の大きな特徴です。
3.広告に利用できる素材が違う
ディスプレイ広告と検索広告とでは、広告に利用できる素材の種類が異なります。
検索広告はテキストのみですが、ディスプレイ広告は画像や動画などの素材も広告に使うことができます。ディスプレイ広告というといわゆるバナーが思い浮かぶかもしれませんが、近年では、画像や動画、テキストといった素材(アセット)を設定すると、広告配信時にデバイスや広告スペースの大きさに合わせてサイズやレイアウトが自動で調整されるレスポンシブ広告も主力となってきています。
参考:Google レスポンシブ ディスプレイ広告(RDA)とは?仕組みや特徴と活用するための3つのポイント
検索広告との比較を通じて、ディスプレイ広告の使い方のイメージが少しついてきたのではないでしょうか。
次に、ディスプレイ広告の運用をはじめる前に知っておきたい基礎知識をご紹介します。
ディスプレイ広告の基礎知識
広告運用で成果を出すには、どんな仕組みでどこに表示されるかなどのプロダクト理解が必要不可欠です。プロダクト理解の基本となる、ディスプレイ広告の種類やターゲティングの種類、広告の見え方を解説します。
1.ディスプレイ広告の種類
ディスプレイ広告は、Google ディスプレイ ネットワーク(以下、GDN)とYahoo!広告のディスプレイ広告(以下、YDA)の2つが運用型広告では代表的です。各々束ねているメディアが違うため、広告掲載先が異なります。
GDNは、YouTubeやGmailのようなGoogleが提供するサービスのほか、食べログやlivedoor、ブログサイトなどの提携サービスに広告が配信されます。
YDAは、クックパッドやNAVERなどの提携サイトのほか、Yahoo!ニュースやYahoo!知恵袋などYahoo!JAPANが提供するサービスに広告が配信されます。
どこでだれに広告を見てもらいたいかを考えるためにも、各ネットワークの代表的な掲載先は知っておきたいですね。
2.ターゲティングの種類
ユーザーの情報や配信先の情報を切り口に、配信対象となる配信先を絞り込むことを「ターゲティング」といいます。ディスプレイ広告運用の成功の鍵はターゲティングといっても過言ではないほど重要な機能ですが、とにかく種類も多く、運用型広告の初心者は覚えるのも理解するのも一苦労だと思います。新しい機能も次々に追加されるため、ターゲティング方法を片っ端から丸暗記するのもあまりおすすめできません。そこで、まずは押さえておきたい全体像を理解できるように解説していきます。
まず、ターゲティングは次の2種類に大別されます。
ユーザー | ユーザーの年齢や性別・興味や関心・行動履歴などのユーザー情報にもとづくターゲティング |
---|---|
配信面 | 広告枠のあるWebサイトのURLやキーワード、トピックを指定して行うターゲティング |
次から、どんなターゲティングがあるのかをご紹介します。
ユーザー
現在GDN・YDAで利用できるターゲティングメニューは以下の通りです。メニューごとにそれぞれ違ったセグメントで配信するユーザーを絞り込むことができます。
ターゲット区分 | ターゲット種別 | GDN | YDA | 備考 |
---|---|---|---|---|
ユーザーの属性 | 地域 | ◯ | ◯ | |
デバイス | ◯ | ◯ | GDNはテレビ画面も選択可 | |
年齢 | ◯ | ◯ | ||
性別 | ◯ | ◯ | ||
個人年収 | -- | ◯ | ||
世帯年収 | ◯ | ◯ | ||
世帯資産 | -- | ◯ | ||
子供の有無 | ◯ | ◯ | ||
配偶者の有無 | ◯ | ◯ | ||
教育(学歴など) | ◯ | ◯ | ||
住宅所有状況 | ◯ | ◯ | ||
職業 | -- | ◯ | ||
ユーザーの興味や関心、習慣 | アフィニティカテゴリ | ◯ | ◯ | 用意されたカテゴリから選択 |
カスタムアフィニティカテゴリ | ◯ | -- | URLやキーワードによる自由記述 | |
ユーザーが積極的に調べている情報や立てている計画 | 購入意向の強いオーディエンス | ◯ | ◯ | 用意されたカテゴリから選択 |
ライフイベント | ◯ | ◯ | ||
カスタムインテントオーディエンス | ◯ | -- | URLやキーワードによる自由記述 | |
ライフイベント | ◯ | ◯ | 転職、結婚、引越しなどから選択 | |
サーチターゲティング | -- | ◯ | Yahoo!検索で過去に検索したキーワード | |
ユーザーが広告主のビジネスを利用した方法 | ウェブサイトを訪れたユーザー | ◯ | ◯ | |
類似ユーザー | ◯ | ◯ | ||
カスタマーマッチ | ◯ | -- | 顧客のメールアドレスなど |
配信面
配信面を絞り込むターゲティングメニューは以下の通りです。
ターゲティング内容 | GDN | YDA | 備考 |
---|---|---|---|
広告配信先のサイトやコンテンツの内容 | コンテンツ キーワード | -- | キーワードによるターゲティング |
トピックターゲット | サイトカテゴリー | 用意されたカテゴリから選択 | |
広告配信先のサイトURL | プレースメント | プレイスメント | サイト、広告枠を指定 |
メニューによっては膨大な選択肢が用意されているものもあるので、本記事では設定方法は割愛します。媒体のヘルプページから選択できる項目を確認したり、参照できるアカウントがある場合は実際にメニューの設定画面を見てみるとよりイメージが湧くのでおすすめです。
ディスプレイ広告の成功ポイント
ここまででディスプレイ広告の基本的な仕組みが理解できましたね。
最後に、仕組みを押さえた上でディスプレイ広告を効果的に活用するためのポイントを3つに絞ってお伝えします。
ユーザーがつい立ち止まるクリエイティブを
ディスプレイ広告は、能動的に調べている瞬間に表示させる検索広告と違ってまずユーザーに振り向いてもらう必要があります。会話に例えるならば、友人が仕事の相談をしている最中に話を遮って「そう言えば〇〇って調理器知ってる?すごくいいんだよ!」と言うのと同じくらい、ユーザーにとっては唐突なわけです。
相手は本来仕事の悩みを聞いてほしいのですから、相当魅力的な内容でないと家電の話なんて聞きたくないですよね。
ディスプレイ広告も、サイトのコンテンツを読んでいるユーザーに「おっ、気になる」と寄り道してもらえるよう、ひと目で商品の魅力や買うことのメリットがわかるような広告を考えましょう。
「セール開催中!」といった限定オファーや、ユーザーの課題と結び付けて商品の強みをアピールする、動画であれば最初の3秒にこれらのメッセージを伝えきるなどはわかりやすい例です。
ターゲティングとクリエイティブを揃えよう
クリエイティブの良し悪しは誰が見るかによって異なり、一様ではありません。サイトに来たことのあるユーザー向けのリマーケティングで成果の良かったクリエイティブを、新規顧客向けのターゲティングで配信したらさっぱりダメだった、ということはよくあります。
広告を見るときユーザーはどんなコンテンツを見ているのか?
ニュースサイトであれば、情報収集モードになっているユーザーに合わせて、欲しい情報があると分かるようなタイトルのほうが反応も期待できます。たとえば「手数料○%のディスプレイ広告」よりは「ディスプレイ広告で成果がでない○つの理由とは?」のほうが、続きを読みたくなるのではないでしょうか?
広告を見るユーザーはどんなことに興味がありそうか?
たとえば調理器具を販売する場合、料理好きなユーザーには「1台3役でいろんな調理ができる」点が訴求ポイントになりえます。一方で「油がしっかり落ちる」点であれば、体重が気になっているユーザーや健康に気を使うユーザーがターゲットとなりますよね。
ランディングページをユーザーのニーズに合わせよう
広告クリエイティブももちろん重要ですが、広告をクリックした後のランディングページがズレていてはどうしようもありません。ユーザーをサイト内のどのページに誘導するかによってどのくらいコンバージョンにつながるかは大きく変わります。
たとえば、既存顧客に商品の追加購入を促したいのであれば新着商品一覧のページを見せる、広告のターゲティングから興味のありそうな商品カテゴリが明確であればそのカテゴリページに飛ばすなど、広告配信の目的やユーザーの状況に沿うようにランディングページを設定しましょう。
まとめ
ディスプレイ広告は、検索広告と比べると、クリエイティブやターゲティングの種類も多く、最初は覚えることがたくさんあります。そのため、どこからはじめたら良いのか迷ってしまう広告運用者も少なくないでしょう。
しかし、ターゲティングは「ユーザー」と「配信面」に分類して覚えるなど、全体像を理解することで、1つ1つ用語を丸暗記するよりも理解しやすくなったのではないでしょうか。また、広告の掲載先を知ることで、だれにどのタイミングでどんな訴求をするのか、イメージもつきやすくなったと思います。
まずは、ディスプレイ広告の仕組みやできることなどの基本を学ぶことからはじめて徐々に、顧客の傾向や商品特性から適切なターゲティングや広告フォーマットを見極められる広告運用者になっていきたいですね。