Web広告に携わる人だけでなく、インターネットに少しでも詳しければ一度はCookie(クッキー)という言葉を耳にしたことがあると思います。
しかし、その意味をなんとなく理解して使っている…ということも少なくないのではないでしょうか。
この記事ではCookieについて、そもそも何なのか?ということからしくみ・広告への使われ方までわかりやすく解説していきます。
Cookieとは?
たとえばこんな経験はありませんか?会員登録済みのECサイトで、しばらくアクセスしていなかったのにもかかわらず、再訪問したときにログイン状態が維持されており、スムーズに購入まで行えた…。
実はこれを可能にしているものがCookieです。
Cookieとは、Webブラウザに備わっている機能で、一時的に保存していると便利な情報を持っておく仕組みです。
「一時的に保存していると便利な情報」というのはたとえば、上述のログイン情報や、動画や音声の一時停止したタイミング、また不動産等のサイトでお気に入りした物件などです。
これは、Webサイト(サーバーまたはJavaScript)がログイン情報やページの閲覧履歴などを、ユーザーのブラウザにCookieという形で保存しておくことで、再度訪問したときにWebサイトがそのCookieを読み出すことで実現しています。
また、Cookieにはそれぞれ有効期限が設定されており、有効期限を超えたCookieは削除されます。
Cookieのしくみ
Cookieのしくみについてお話しする前にWebサイトとWebブラウザの関係について解説していきます。
WebブラウザはWebサイトにアクセスするとき、Webサイトを管理しているサーバーに表示する内容のファイル(HTMLファイル)の表示をリクエストし、サーバーは、それをブラウザに渡します。そのHTMLファイルをブラウザが読み取って私たちがWebページを見ることができるようになっています。
サーバーがブラウザにHTMLファイルを渡す際に、同時にデータを渡すことがあります。このデータがCookieです。
Cookieはコンピュータのブラウザ内にローカルで保存され、次回同じサイトを訪問した時にそのCookieをブラウザがWebサイトに送信する仕組みになっています。
それをWebサイトが読み取ることで、2度目以降の訪問時に前回の操作の続きから行うことができるようになります。
広告への使われ方
CookieはWeb広告での文脈でも良く聞きますよね。では実際にWeb広告にどのように扱われているのでしょうか?
リマーケティング広告
たとえばGoogle 広告の場合、特定のサイトにアクセスした際にGoogle 広告のCookieデータが付与されます。
そちらを持った状態でGoogle 広告の枠があるページにアクセスした際、Cookieデータが読み込まれ、リマーケティング広告が表示されます。
興味関心・インタレストカテゴリ等
Google 広告の興味関心やYDAのインタレストカテゴリといった、ユーザーの好みに関するターゲティングにもCookieが使われています。
たとえば、バスケットボールのニュースを多く見ている人に対してバスケットボールシューズの広告を出す、といった場合を考えます。
この場合広告媒体のタグを設置しているスポーツニュースのサイトの、バスケットボールのニュースのページにユーザーがアクセスした際、広告媒体のタグが媒体のCookieをブラウザに対して付与し、「このCookieを持つブラウザはバスケットボールのニュースを見た」というデータが広告媒体のサーバーに送られます。
そのCookieを広告枠を持っている別のサイトが読みとることで、広告サーバーが「バスケットボールニュースを見たユーザーならばバスケットボールに興味があるユーザーである」と判断し、広告が表示させるしくみとなっております。
ファーストパーティCookieとサードパーティCookie
Cookieには2種類あります。ファーストパーティCookieとサードパーティCookieです。
その違いは、Cookieの発行元による違いです。
ファーストパーティCookie | サードパーティCookie | |
---|---|---|
特徴 | 閲覧しているサイトが発行している | 閲覧しているサイト以外が発行している |
サイトを横断しての使用 | 不可 | 可 |
ファーストパーティCookieとは、閲覧しているサイトのドメインが発行しているCookieです。たとえば、ECサイトでカートに入っている商品を記憶するために発行しているものがファーストパーティCookieにあたります。
ファーストパーティCookieはドメインをまたいだ使用はできません。
※ドメインがサブドメインの場合(例:aaa.anagrams.jpとbbb.anagrams.jp)は、ファーストパーティCookieでもサブドメインの間のみドメイン間をまたいだ使用ができます。
これに対してサードパーティCookieは、閲覧しているサイト以外が発行しているCookieです。広告媒体が発行するCookieはこちらに分類されます。ドメインに依存しないため、サイトを横断してCookieを付与できます。そのため、複数のサイトを横断して閲覧を追跡できます。
広告のCookieは、基本的にサードパーティCookieが利用されています。このため前述したリマーケティング広告等に利用できます。
ただし例外として、Google アナリティクスのCookieやYahoo!のサイトジェネラルタグで発行されるCookieはファーストパーティCookieとして扱われます。これはこれらのCookieのオーナーが媒体側ではなく、そのタグを実装しているWebサイトであり、さらにCookieデータが媒体側のサーバーには送られていないという仕様によるものです。
このため広告に扱われているCookieでも、ファーストパーティCookieのものや、GoogleやYahoo!のアカウントのアクティビティと紐付いて配信を行う場合もあり、全てがサードパーティCookieを利用しているわけではありません。
Appleが開発しているWebブラウザ、Safariでは個人情報保護の観点からすでにこのサードパーティCookieの利用が制限されていたり(※1)、Google Chromeでも2022年までにサードパーティCookieの利用が制限されると発表があります(※2)。
※1 Full Third-Party Cookie Blocking and More | WebKit
※2 Chromium Blog: Building a more private web: A path towards making third party cookies obsolete
最後に
近年ではCookieの利用がプライバシーと紐付けて言及される機会も増えています。
一連の流れを正しく理解するためにもCookieについてきちんと理解して、普段の業務・Web広告の配信に活かしていきたいですね。