スポンサープロダクト広告が第三者ドメインにも対応|このステップがAmazonにとって何を意味するのか?

スポンサープロダクト広告が第三者ドメインにも対応|このステップがAmazonにとって何を意味するのか?

先日、特に海外のWebマーケティング界を騒がせているニュースのひとつが、Amazonが今後、特定のサードパーティのドメインやアプリにスポンサープロダクト広告を掲載できるようになる、と発表したことでしょう。

このニュースから何が期待できるのか、また、AmazonのWeb広告ビジネスやユーザーにとってどのような意味を持つのか、詳しく見ていきましょう。

スポンサープロダクト広告がサードパーティのサイトにも?

今年8月17日、Amazonはプレスリリースで、将来的にセルフサービス型広告商品の「スポンサープロダクト広告」をAmazonのプロパティだけでなく、厳選した一定のサードパーティのサイトやアプリにも掲載できるようになると発表しました。

参考:Pinterest, BuzzFeed, and more apps and websites will start to show Amazon Sponsored Product ads, making it easier to discover and buy relevant products

広告掲載の対象となっている中には、BuzzFeed、Mashable、そして今年4月に初のサードパーティ広告パートナー・ネットワークとしてAmazonと提携したことで話題となったピンタレストなど、有名な大手企業も複数含まれています。

参考:Pinterest announces partnership with Amazon to bring third-party ad demand to the platform

今後Amazonのスポンサープロダクト広告を掲載できるドメインにピンタレストも入っているのは、上記の戦略的提携の一環として解釈できるのではないでしょうか。

また、プレスリリースによると今のところ小規模なローンチという位置づけがになっているようですが、広告在庫がより多くのサードパーティのアプリやドメインに拡大される可能性は比較的高いと考えられます。

広告掲載や条件について知っていること

実際に掲載される広告については、現時点では詳細があまり発表されていないのですが、プレスリリースでまず明らかになったのは、サードパーティのプロパティへの掲載は自動的に行われるようで、個別のオプトインや申請は特に必要ないようだ、ということです。

原則として、商品に在庫が残っていればサードパーティードメインへの広告配信の対象にできるようで、広告自体も、配送オプションから価格表示やレビューなどの情報から、Amazonの商品詳細ページに直接リンクしていることまでAmazon内のものと非常によく似ている仕様です。

逆に、サードパーティーの広告プレイスメントからオプトアウトできる選択肢があるかどうか、あるいは展開後に別途の配信先レポートや入札設定が合わせて用意される予定なのかなどについてまだ明言されていませんが、こちらの機能が登場する可能性は決して低くないと思われます。 

ターゲティングに関しては、ページのコンテンツからユーザーが特定の商品に興味があると推測された場合、スポンサープロダクト広告が自動的に表示される仕組みになるようです。

画像引用元:Amazon Sponsored Product ads will now appear on Pinterest, Buzzfeed, and more

一見、コンテクスチュアル・ターゲティングが主軸になるように思われますが、

ピンタレストのCSOであるマーシャ・ウェルシュ氏は運用型広告の情報サイトSearch Engine Landに対し、ピンタレストではアプリ内の検索キーワードに連動して広告が掲載されることを述べており、検索シグナルもまた他のサードパーティドメインへの広告配信の重要なトリガーになり得ることを示唆しています。

スポンサープロダクトの高い普及率による高いインパクトか

厳密に言えば、Amazonのセルフサービスソリューションであるスポンサード広告全般をみてみると、自社のプロパティの外に広告表示する発想はまったく新しいものではありません。日本ではまだロールアウトしていませんが、例えば、スポンサーディスプレイ広告は、すでに様々な国でAmazon以外の一定のプレースメントへの配信が可能になっています。

ただ、今回はスポンサープロダクト広告が対象ということで、さらなる影響力は期待できそうです。

画像引用元:Amazon adds off-site placements to Sponsored Products ads - Insider Intelligence Trends, Forecasts & Statistics

市場分析サービスのJungle Scout社が今年行った調査によると、Amazonのセルフサービス広告商品を利用する広告主が使用する予算のうち、スポンサープロダクト広告のシェアは若干低下しているものの、依然として約80%を占めていることが分かります。

将来的に、このうち一定の割合がサードパーティプレイスメントに広がる可能性があると想像すれば、スポンサープロダクト広告=「コンバージョンに近い、ボトムファネルのユーザー向けのプロダクト」という「当たり前」を覆すことさえあると考えられます。

スポンサーディスプレイ広告と比べて普及率が高いスポンサープロダクト広告が対象だからこそ、かなりのインパクトが期待できそうですね。

ある意味Amazon DSPの廉価版か

これまで、Amazon広告でアッパーファネルのユーザーにアプローチしたい場合は、Amazon DSPを利用するしかありませんでした。確かに可能性の多い媒体ではあるものの、その分導入には比較的コストがかかるため、通常は大口の顧客限定の選択肢であることを言わざるを得ません。

一方、Amazon広告で最も広く利用されているセルフサービスソリューションであるスポンサープロダクト広告までがサードパーティの在庫へ拡張することは、いわばAmazonがあらゆる規模の広告主にとってより安価なクリック単価モデルを通じて、ミッド~アッパーファネルマーケティングを「民主化」するための第一歩といしても読み取れます。

そして、もしユーザーの反応が良ければ、将来的にグーグルやメタなどの他のチャネルからミッドファネルやアッパーファネルのキャンペーンの広告予算がAmazonに割り当てられることを意味するかもしれなません。そうなれば、2023年第2四半期の広告収入がすでに大幅増を記録しているAmazonにとって、さらなる追い風を意味するのではないでしょうか。

参考:Amazon's ad services revenue rises 22%, bringing in more than $10 billion in Q2

オンサイト掲載よりROASが低下すると予想

画像引用元:Amazon Advertising Revenue 2023 Report - Jungle Scout

前述のJungle Scout社の2023年の調査で、広告主にとってAmazon広告の人気がますます増しているにもかかわらず、例えばスポンサープロダクト広告のROASが前年比で14%低下していることは見過ごせません。(おそらくプラットフォーム上のオークション圧力が高まったことにより、クリック単価が高騰していることも一因でしょう。)

しかも、広告掲載が今後サードパーティにまで拡大された場合、従来のオンサイトでの配信とは対照的に、コンバージョンファネルの上位に位置する配信が増えてコンバージョン率の低下する可能性も高まります。これにより、スポンサープロダクトのROASは今後さらに低下すると予測されます。

そのため広告主は、スポンサープロダクト広告でサードパーティ在庫へ初めて広告を展開する際に、上記の傾向を念頭に置く必要があります。オンサイトとオフサイトの配信において、どの製品がどのプラットフォームでより効果的かをテストしつつ、キャンペーンの目的やターゲティング方法をうまく使い分けることを意識するといいでしょう。

unBoxedカンファレンスの発表に期待

Amazonがサードパーティのアプリやウェブサイトにもスポンサープロダクト広告を掲載を広げる発表はまだ新しく未知数もおおいため、広告主やユーザー、見込み顧客がどのように反応するかは、今後数週間から数ヶ月で明らかになるでしょう。

また、そもそもどの市場で利用可能になるかに関して具体的に発表されていないことにも注意が必要です。推測ではありますが、対象のサードパーティードメインに「Hearst Newspapers」という米国の数の多い新聞社が含まれることを見る限り、まずは米国市場を中心とした展開になるでしょう。そして試験的なフェーズのあとに、徐々に他の市場でも利用できるようになる可能性が高そうです。

さらに詳細に関しては、おそらく10月に開催される予定のAmazon 広告の年次カンファレンス「unBoxed」で明らかにされると思われます。

※昨年のunBoxedについてはこちら

 潜在顧客の「アドレサビリティ」を高めることは、Amazon DSPのようなプロダクトに関して、昨年のカンファレンスですでに中心的なトピックでしたが、この概念が今回セルフサービスソリューションにも導入されようとしている、という文脈はとにかく興味深いですね。

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