
2019年9月20日より、Google広告のスマート自動入札においてオフラインの成果である来店コンバージョンをスマート自動入札の最適化の対象とすることが可能となりました。今回の対象は、検索キャンペーン及びショッピングキャンペーンです。
ECサイトなどオンラインで商品を見たユーザーがその場では買わず、実店舗に来店して購入するなど、オンラインの広告がオフラインでの成果に繋がることも少なくありません。しかしながらこれまでスマート自動入札はオンラインのコンバージョンのみを最適化の対象としていました。
今回のアップデートでオフラインの行動である「来店」をスマート自動入札の対象に含めることにより、オンラインの購入とオフラインの行動を統合して広告の成果を自動最適化することが可能になりました。
参照:Add store visits to Smart Bidding to drive better omnichannel results - Google 広告 ヘルプ
目次
アカウント単位での設定とキャンペーン単位での設定が可能
来店コンバージョンを自動入札のコンバージョンに含める設定は、アカウント単位とキャンペーン単位の2通りで可能です。デフォルトの設定はアカウント単位となっています。設定方法はそれぞれ次のとおりです。
アカウント単位の場合
まず、管理画面の右上「ツールと設定」より、「測定」欄にある「コンバージョン」を選択します。
次に「コンバージョンアクション」タブより、「実店舗への来店」がソースのコンバージョンアクションを選択し、編集します。
最後に「コンバージョン列に含める」のドロップダウンを開き、チェックボックスにチェックをいれます。
キャンペーン単位の場合
まず、キャンペーンの「設定」より、「その他の設定」を選択します。
次に、「コンバージョン」のドロップダウンをクリックします。
最後に「このキャンペーンのコンバージョンアクションを選択する」にチェックを入れ、「コンバージョンアクションを選択」をクリックして、最適化の対象としたいコンバージョンをすべて選択します。
すべてのキャンペーンで来店コンバージョンが重要なのであればアカウント単位で、来店促進など特定のキャンペーンで計測したい場合はキャンペーン単位でと用途にあわせて使い分けるのがおすすめです。
来店コンバージョンによるスマート自動入札の注意点
来店コンバージョンを、オンラインのコンバージョンとあわせて最適化対象とする場合には次のような注意点があります。
同じコンバージョン1件として扱われる
目標コンバージョン単価やコンバージョン数の最大化といったコンバージョン数を最適化の対象とした自動入札では、来店コンバージョンやその他のコンバージョンも「コンバージョン1件」として等しく評価される点にご注意ください。
たとえば、来店ユーザーの購入率や購買単価が高かったり、オンラインのコンバージョンよりも重視したい場合があります。もしくは逆にオンラインのコンバージョンほどには重視したくない場合もありますよね。
そのような場合は、コンバージョン値を設定してコンバージョンごとに重み付けをするのが有効です。そのうえで、目標広告費用対効果や広告費用対効果の最大化といった、コンバージョン値に基づく自動入札を使用する方法があります。
コンバージョン計測期間は7日間を推奨
スマート自動入札を導入する場合では、来店コンバージョンのコンバージョン計測期間を7日間に設定することが推奨されています。
なぜなら、コンバージョンをデフォルトの30日間に設定していると、たとえばコンビニのように日常的に訪れる店舗では特にユーザーが来店したきっかけが広告以外にも該当する確率が高まり、広告による効果がどうかがわかりづらくなります。多くのユーザーは1週間ごとに同じような行動パターンをなぞるため、コンバージョン計測期間を7日間に設定することで、機械学習が広告のパフォーマンスを迅速に評価でき、ユーザーの行動の変化にすばやく対応できるようまずは7日間をコンバージョン計測期間とするのがよさそうです。
なお、このような理由により、コンバージョン計測期間を7日間よりも短くすることも推奨されていません。7日よりも短くしてしまうと、ユーザーの曜日ごとの購買行動の違い、特に平日と休日の購買行動の違いが分かりづらく思うように機械学習を働かせられなくなる可能性もあります。
一方で、自動車のディーラーなど検討期間が長い、度々店舗に足を運ぶような場合には、30日間のコンバージョン計測期間のままにすることを推奨しています。
同じ「来店」といっても、商材やサービスにより来店頻度や目的はさまざまですので、ユーザーがどのようにオフラインで行動をしているかを確認するのが大切ですね。
オンラインとオフラインを統合して成果の最適化が可能に
Eコマースの市場が伸びていると言っても、依然として購買のほとんどはオフラインで発生しています。例えば2019年5月に経済産業省が発表したデータでは、消費者向け物販系分野のEC化率は6.22%に留まっています。
参考:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました (METI/経済産業省)
来店コンバージョンをはじめとしたオフラインの行動を広告運用の最適化の仕組みに組み込んでいけるようになり、オフラインとオンラインを横断した成果を目的とした広告の活用は増えていくことでしょう。
現在、来店コンバージョンを利用できる広告主は限られていますが、私たち広告運用者にとっては、オフラインを含めてクライアントの売上増に貢献できる、楽しい時代が迫ってきているとも言えます。今後の動向に注視していきたいですね。