バナーを作成する際、クライアントからこんな要望をもらったことはありませんか?
「オシャレな感じがいいな」
「なんかスカスカしてるから余白を埋めたい」など
こういった要望に対して自分なりに解釈してデザインしても、いつまでもイメージがすり合わず修正が重なってしまった……という事態になりかねません。
今回は、そんな「抽象的な要望」を具体的にするコミュニケーションの秘訣と、5つの事例をご紹介します。
目次
作成前に漠然としたイメージを明確にする
指示がきてすぐに作成にとりかかってませんか?まずはクライアントから来た指示の中で、曖昧な表現をできる限り明確にして、イメージの擦り合わせをすることからはじめましょう。
例えば「インパクトある感じで」「オシャレで今っぽい感じ」「なんか目を引くような感じ」などは要注意です。自分が思い描いているイメージと、クライアントが思い描いているイメージが違う可能性があります。
イメージの擦り合わせとしては以下のようなことができます。
- 自分が想像したイメージに近いバナーを探して画像を共有する
- 使用する素材を事前に確認しておく
- 遷移先のLPにトンマナをあわせるか確認
- クリエイティブのレギュレーションはないか聞く
クライアントが思い描いているイメージをできる限り引き出しましょう。そうすることで修正を未然に防ぐことができます。
不安な時は作成途中にも確認してもらう
それでも最終的に出来上がったものを見て「なんか違う」と意見をもらうことがあるかもしれません。
そんな事態を防ぐために、途中経過を共有してお互いにイメージのズレが生じていないか確認しましょう。
一度見てもらうことで先方のイメージもより明確になり、何かズレが発生していた場合に、ダメージが少ない時点で軌道修正ができます。
それでも抽象的な要望をもらった時の対処法と修正例
事前にイメージのすり合わせをしたり途中経過を共有しても、完成したデザインに対して具体的ではない要望をもらうことがあります。「どこをどのように直してほしい」と言語化するのは、クライアントがデザインのフィードバックに慣れている人でなければきっと難しいはずです。
そこで、抽象的な要望をもらった時にデザイナーができる対処法と修正例を5つご紹介します。
①ちょっと思ってたのと違う
まずどの部分がイメージと違うのか確認します。全体の雰囲気、フォント、色使い、素材の系統などなど。漠然とした違和感の正体の原因が何なのかを明確にしていくイメージです。
それでも見比べてみないと分からないという場合はパターンをいくつか提出することも手段の1つです。今回はクライアントとデザイナーで色味のイメージが違っていたという場合を想定して修正しました。
色を変えるだけでぱっと見の印象が異なります。Beforeは落ち着いた高級感のある印象で、Afterは柔らかくオーガニックな印象に変わりました。「素材やフォントなどは作成前の準備はしっかりしたのに」という場合でも、何か1つの要素によって「思ってたのと違う」というバナーに繋がることがあります。
配色についてより知識を深めたいと思った方はこちらのブログが参考になります。
②もっと読みやすくしてほしい
「入れたい内容が多くてなんだかごちゃごちゃ。情報はこれ以上削れないからどうしたらいいのか……」そんなふうに頭を悩ませることが私もよくあります。そんな時は文字の強弱を変えることを試します。
どの情報を1番見てもらいたいのか、もう一度考えてみましょう。
情報の優先度を再考し、文字の強弱を変えています。今回の場合「新規入会キャンペーン」と「0円」という部分を目立たせるようにしています。Beforeもしっかり読めば伝わる内容ですが、より視覚的に重要な部分が認識できるようにしました。
内容がそもそも多いので、文章的に削っても問題はないものは削除して文字量を減らしています。もちろんテキストの依頼がもともとあった場合は、削除して問題ないかクライアントに確認しましょう。
情報量が多いときは削っても問題ないものはないか、言い換えて短く簡潔にできないか見直してみることをおすすめします。
文字の強調についてはこちらのブログが参考になります。
③分かりやすくして
サービスや商品の説明をするときに、テキストだけでは情報をしっかり伝えられないこともあります。分かりにくい複雑な情報を説明するときは図にして説明してあげることがユーザーにとって良い広告体験となります。
1秒で理解できるか?ということを意識して修正しました。Beforeも3つのプランが枠で囲まれており、分からないこともありませんが、より分かりやすくするため、色分けやイラストを追加しました。
テキストだけでは不十分だった部分を図にすることで、文章を読まずともビジュアルで情報を伝えることができました。ぱっと見で分かりやすく、興味を引く内容にすることで、ユーザーの商材への理解度も確実に上がり、コンバージョンに繋がりやすくなります。
図解についてもっと学びたい方はこちらのブログがおすすめです。
④なんだかぱっとしない
具体的にどこを直せばいいかわからない時は、思い切ったデザインの変更をしてみるのも手かもしれません。様々なパターンを見比べてみて、初めてクライアントがどんなデザインを求めていたのか分かることもあります。今回は情報の「強弱」を変化させました。
Beforeも悪くはありませんが、キレイにまとまりすぎてインパクトに欠ける印象がありました。「貯まる」という情報に思い切った強弱をつけることでパッと目を引くようなバナーになりました。目立たせたい部分に黄色を使用することでデザイン全体が締まった印象になりました。
デザインで何かがしっくりこないと悩んだときは「デザインの基本原則」の「近接」「整列」「反復」「強弱」を見直してみると何か見えてくるものがあるかもしれません。
「デザインの基本原則」についておさらいをしたい方はこちらが参考になります。
⑤なんかスカスカしてる
デザイナーとして意味のある余白を作ったつもりでも、見る人によってはただスカスカしてて物足りない印象のバナーになってしまっているのかもしれません。
余白があった部分に背景を入れて、物足りない印象にならないよう調整しました。
「余白部分にロゴやテキストなど追加の情報を入れる」という手段もありますが、バナー広告で情報を増やす場合、注意が必要です。情報が増えることでごちゃついた印象になったり、メインコピーのインパクトが薄れてしまう可能性もあります。オンライン広告をスルーするかどうかは1秒以内に判断されると言われているため、「余白がもったいないから別の情報で埋める」という解決手段は本当に適切なのか、慎重に検討した方が良いでしょう。
クライアントのイメージをどこまで引き出せるかがポイント
クライアントの頭の中には、言語化は出来ないけど思い描いているイメージがきっとあると思います。そのため私たちデザイナーがヒアリングをしたり、「こういうイメージであっていますか?」と積極的に提案をすることが大切です。
最初のうちは難しいかもしれませんが、丁寧にすり合わせをすることは修正を減らすだけでなく、信頼関係を深めることにも繋がります。まずは不明点を質問するところからはじめていきましょう。