アナグラムが考える、広告運用者が使わないほうがよい7つの言葉

アナグラムが考える、広告運用者が使わないほうがよい7つの言葉

「刈り取る」という言葉を聞いたことがある、もしくは普段から使っていませんか?マーケティング業界ではよく使われてきた言葉です。しかし、この「刈り取る」という言葉、サービスを使うユーザーのことをまるでモノであるかのように聞こえてしまいませんか?

誰かが傷ついてしまうかもしれない言葉だったり、自分が使われていい気分のしない言葉を使うのは避けるに越したことはありません。今回はそんな「できるだけ使わないほうがよい言葉」についてお話していきたいと思います。

※この記事では、広告を出稿されるあなたを「広告主」、広告配信の対象となる方を「ユーザー」と表記しています。



広告主に対する言葉

Photo by Headway on Unsplash

広告主と広告代理店のように、一方では予算や費用が、他方では売上や利益と言った具合に同じものでも立場が変われば呼び方も変わります。自分本意な言葉遣いは、ときに相手にとって不快感を感じさせるものになっているかもしれません。

予算消化

広告代理店は広告主から預かった投資用の予算、求められている広告のパフォーマンス以上の成果をお返しするビジネスです。

予算は広告主の大切な資本であり、適切に運用するのは大前提です。予算を使うことを「予算消化」と呼ぶケースは、広告代理店に限らずですが残念ながらよくあります。いただいている広告費はPL(損益計算書)上で費用ではありますが、獲得したい成果への「投資」です。信頼して預けていただいた予算は「消化」といって使い切ってしまうのを目的とするべきではありませんよね。

コスト

広告の費用を指す「コスト」という言葉。一見、誤りではないように思います。たしかに英語でもCostですので、もちろん間違いではありません。

ですが、日本語におけるコストは、「コスト削減」「コストカット」などどちらかと言えばマイナスのイメージはないでしょうか。繰り返しになりますが、いただいた予算は費用ではなく将来への投資です。削減されるべき余計なものではありません。

「予算消化」と同じように予算を無駄に使っているような印象を与えないためにも「広告費」と呼ぶのが妥当ではないでしょうか。

ユーザーに対する言葉

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よく、広告の管理画面の向こう側には、広告する商品を使うユーザーがいるといいますが、誰に対して広告を出しているかが意識できているかは、広告運用者の言葉に如実に表れます。

刈り取る

冒頭でも述べた「刈り取る」という言葉は、「刈り取り型広告」「リターゲティングで刈り取る」などのように使われるのをよく聞くのではないでしょうか?

一般的には稲や草などに対して使われたり、悪いものを取り除く意味合いで使われる言葉です。広告が配信されるユーザー側の視点としても、誰も刈り取られたいなどとは思っているわけはなく、決して好ましいことばではないでしょう。

また、似たような言葉で「吸い上げる」があります。個人情報やお金に対して使われる言葉ですが、こちらもユーザーから一方的に搾取するといったニュアンスが強いので利用は控えるのがよさそうですよね。

囲い込む

「囲い込む」は広告主のサービス利用者が、他のサービスなどに流出しないようユーザーを取り込み、確保する意味合いで使われることが多い表現です。ユーザーの選択肢をなくし、無理やり使わせるといった印象はないでしょうか。

そもそも、自社のサービスを使うことを強制するような囲い込み自体は、多くの場合ネガティブなケースも少なくありません。ユーザーに広告主のサービスを選択してもらえる努力や工夫がまず前提に立つべきだと考えています。

消費者

サービスを利用してくださる方を「消費者」と呼ぶときがあります。市場における登場人物を説明するための分類であるため、決して間違えているわけではありませんが、消費という言葉は何かを”使ってなくすもの”という意味合いがあります。

少なくとも、広告主の立場からは、提供するサービスや商品から何かを”得て”いただくのが目的ではないでしょうか。いまサービスを利用してただいているユーザーや将来のお客様を消費者と読んでしまうのは寂しいことのように思いませんか?

広告運用者自身に対する言葉

Photo by Marc-Olivier Jodoin on Unsplash

広告運用者は、「運用」というもともとの言葉の使われ方ゆえ、無条件で低く見られてしまうということがまだあるのが現実です。

参考:【対談】岡田吉弘さんに聞く:広告運用の未来に不安を覚えるみなさんに伝えたいこと | Unyoo.jp

一方で広告運用者みずからが、自身の仕事を低く見積もっているような言葉を使ってしまっているケースもよくあります。

作業

「作業」は上記で紹介した言葉とは趣向が違い、自身の仕事の尊厳を守るためにある言葉です。代理店はあくまで広告主のパートナーであり、一緒にビジネスを拡大させていくための仲間です。あくまで関係は対等であるべきだと私達は考えます。ですので、自身の仕事を「作業」と呼ぶことは避けましょう。

過剰な敬語・あいまいな表現

「キーワードを追加させて頂く」など過剰な敬語、「やってみないとわかりません。」というあいまいな表現。広告主と代理店など受発注の間柄ではとくによく聞かれます。一見すると広告主に対する言葉のように思えますが、「作業」と同様、自分の仕事を低く見積もっているためや、自信のなさや思考不足によって出てくる、自分自身に対する言葉です。

人と人のコミュニケーションとして、最低限のマナーはあってしかるべきですが、過剰にへり下ったり、相手を異様に持ち上げたり。あいまいな表現で主体性を持つことを避けたりすることは、パートナーとしては相応しくないのではないでしょうか。

言葉は思考を表し、行動や習慣になる

最後に、私の気に入っている言葉をご紹介します。

「思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。」(※)

言葉は表面的なものではなく話す人の思考を表すものです。言葉はいつか行動となり習慣となるため、ちょっとやそっとじゃ変えることはできなくなってしまいます。

ここに挙げた言葉だけでなく、普段使っている言葉が誰かを傷つけてしまわないか、ぜひ今一度、一緒に考えてみましょう!。

※日本ではマザー・テレサの言葉だとされていますが確かな出典がなく、誰の言葉かには諸説ありますが、ステキな思考の持ち主によるものだということには疑いの余地はないと思います。

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