クライアントや社内の決裁者へ向けた提案など、プレゼンが苦手という方も多いのではないでしょうか?何を隠そう、私は人前で話すのが苦手でプレゼンは得意ではありません。
この記事ではいわゆる資料の作り方や話し方などテクニック的なことはお伝えしません。いきなりプレゼンが上達することはなく、場数を踏むことが重要なのは何をするにも大切だからです。
しかしながら、苦手なりに取り組む場合でも「これを知ったら少し気が楽になった」「以前ほど苦手意識を感じなくなった」ということがいくつかあります。
今回は、あらかじめ知っておくことでなんとなく持っている苦手意識が少しは和らぐであろう心構えをお伝えできればと思います。
1. プレゼンは事前準備が9割
プレゼンが苦手な人の多くは、人前で話すことに苦手意識を持っているのではないでしょうか。しかし、たいていの場合、突然プレゼンを求められることはありません。事前準備の時間はしっかりと確保できるはずです。
巧みな話し方ができれば理想的ですが、伝えたい内容を明確にしておけば、多少の話し方の拙さは問題になりません。
当日の不安を払拭するためには、「ロープレ(ロールプレイング)」がおすすめです。同僚や上司を相手に予行演習を行い、フィードバックをもらいましょう。時間配分や質疑応答の練習にもなります。
ロープレの様子を録音・録画し、客観的に自分の話し方をチェックするのも効果的です。話すスピードや間の取り方など、改善点が見つかるはずです。
ただし、自分の欠点ばかりに目を向けると、かえって緊張してしまうことも。理想のプレゼンター像を思い描き、「どうしたらそれに近づけるか」とポジティブに考えることが大切です。
2. 聞き手は、聞きたいことしか聞かない
プレゼンで陥りがちな落とし穴は、自分の伝えたいことばかりを一方的に話してしまうことです。聞き手は、自分が知りたいことしか耳に入ってきません。
もし聞き手の反応が今ひとつだったら、「相手の聞きたいこと」を話せていない可能性があります。
聞き手が知りたがっている情報を事前に把握し、それに沿ってプレゼンを組み立てましょう。例えば、具体的な事例に興味がある人には、そこに時間を割くことが効果的です。予算が懸念材料なら、いくつかの価格帯でシミュレーションを用意するなどの対策が考えられます。
聞き手のニーズが不明確な場合は、「特に懸念していることや、重点的に知りたい情報はありますか?」と直接尋ねてみるのがよいでしょう。
3. 関係者と共に提案を練り上げる
プレゼンの準備は、一人で進めるものではありません。関係者を巻き込み、一緒に議論を重ねることが重要なのです。
まずはヒアリングを行い、相手の立場や要望、必要な情報を確認しましょう。広告運用代行の提案などでは、聞き漏らしや認識のズレを防ぐために、ヒアリング内容をまとめた「与件メモ」を作成し、関係者と共有するしています。与件メモについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。
時間が経つと、知らないうちに独りよがりな提案内容になっていたり、与件とずれていたりは意外と起こりやすいミスではないでしょうか?
与件メモのほかに、プレゼン本番の前に、提案の方向性を関係者とすり合わせる機会を設けるのも有効です。資料がある程度まとまった段階で、「こういう流れで提案予定ですが、懸念点や補足すべき情報はありますか?」と相談してみましょう。
相手も自分たちの問題を解決するために、少しでもいい提案を受けたいと考えていることがほとんどですので、快く応じていただけることがほとんどです。
一発で完璧な提案をするのは至難の業です。関係者と一緒に提案を磨き上げていく過程が、成功へと導いてくれるはずです。
4. プレゼンの場はひとりで作り上げるものではない
質疑応答で、予想外の質問を受けて立ち往生した経験、ありませんか?私はあります。
質疑応答で頼りなげな姿を見せてしまうと、「この人に任せて大丈夫なのか?」と不安を与えてしまいますよね。
事前に予想される質問をリストアップし、想定問答集を作っておきましょう。社内の関係者に協力してもらい、さまざまな角度から質問してもらうのがおすすめです。回答は資料に盛り込むか、メモを用意しておくとよいでしょう。また、デザインやデータ分析など専門性の高い分野については、詳しいメンバーに同席してもらうと心強いです。その場で疑問に答えてもらえるので、説得力が増します。
加えて、一方的に話して終わりではありません。当然、プレゼンを聴く側も参加者です。少々上級者向けですが、あえてもっと知りたくなるポイントを作っておいて、質問してもらうことも。
プレゼンターを任されたとはいえ、プレゼンの場はひとりで作り上げるものではないことは知っておくとよいでしょう。
5. 緊張と上手く付き合う
入念に準備しても、本番では緊張してしまうもの。正直、私は今でもプレゼン前は緊張します。
しかしながら、適度な緊張は集中力を高め、パフォーマンスを最大化させる効果があります。これは「ヤーキーズ・ドットソンの法則」と呼ばれる心理学の法則で知られています。
つまり、緊張はむしろ味方につけるべきもの。うまく付き合っていく心構えが大切なのです。
まとめ
プレゼンは「発表して終わり」ではなく、相手に提案内容を伝え、次のステップに進むためのコミュニケーションです。人と人とのやり取りであることを意識して、準備を進めていきましょう。
- 事前準備を入念に行い、リハーサルで改善点を洗い出す
- 聞き手の関心事を把握し、それに沿って内容を構成する
- 関係者を巻き込んで提案を練り上げ、認識のズレを防ぐ
- 想定問答集を作成し、専門家の助けを借りる
- 緊張は誰にでもあるもの。うまく付き合っていこう
失敗を恐れずチャレンジすることが、プレゼン上達への近道です。周到な準備と前向きな心構えを武器に、自信を持ってプレゼンに臨みましょう。