現在、運用型広告ではターゲティングや入札が自動化されており、クリエイティブの重要性がより高まっていると考えられます。そんな中で「いいアイデアが出ない…」と悩まれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここで注目したいのが「ブレインストーミング」です。ブレインストーミング(以下は「ブレスト」)とは、複数の人が自由にアイデアを出し合い、相互の発想を触発しながら新しいアイデアを生み出す手法です。
また、アイデア出しをよりスムーズに進めるために、ブレストツールの活用は非常に有効です。これらのツールは、複数人での共同作業はもちろん、1人で利用する際にも思考の整理などに役立ちます。
今回は広告運用の現場でも活用したいブレストツールを5つご紹介します。
目次
改善のアイデアが出てこない時こそブレストが有効
運用型広告は、データを基に素早く判断し、配信しながら広告を調整していくことが特徴的です。しかし、CTR(クリック率)やCVR(コンバージョン率)など管理画面で確認できることのみでは、パフォーマンス低下の本当の原因や、さらなる改善のためのアイデアを見つけることが難しいと感じる瞬間もありますよね。
そんなとき、社内のメンバーやクライアントの知識を結集させるブレストによって、自分一人では見えてこなかったアイデアが生まれ、成果改善に繋がることがあります。例えば、以下のようなことでアイデアが出ないと感じた時に実施してみると良いでしょう。
- 新たな切り口のクリエイティブを作成して成果を改善したい
 - 成果に繋がる新たなターゲット層を見つけて配信拡大したい
 - パフォーマンスが低下している要因を洗い出して打ち手を見つけたい
 
ブレストを行う際に設定したい4ルール
ブレストを実施する際は、以下の4つのルールを設定し、参加者全員に周知しておくのがオススメです。
- 参加者の意見やアイデアを否定しない
 - 質よりも量を重視する
 - 自由な発言を歓迎する
 - アイデアを収束させる時間も設定する
 
参加者の意見やアイデアを否定しない
「それは現実的ではない」といった否定的な反応をすると、参加者が意見を言い出しにくい空気になり、新しいアイデアの芽を摘んでしまう可能性があります。
まずはすべての意見を受け入れた上で、「そこからどんな展開が考えられるか?」などといった前向きな反応を取るように意識すると良いでしょう。思いもよらないアイデアこそ、広告成果を劇的に改善するポテンシャルを秘めているかもしれません。
質よりも量を重視する
完璧なアイデアを求めすぎると、参加者の思考が硬直したり、発言しにくい環境が生まれてしまう可能性があります。そのため、例えば「30分で50個のアイデアを出す」といった目標を設定して、とにかく量を出すことに集中してもらえる場づくりができると良いでしょう。
質の評価は後のステップで行えば良く、突飛なアイデアでも他のアイデアと組み合わせたりすることで、問題解決に繋がるアイデアに変化する可能性があります。
自由な発言を歓迎する
普段の打ち合わせなどで「こんなことを言ったら非現実的だと思われるかも」と感じて、発言を控えてしまったことは皆さんも一度は経験があるのではないでしょうか。しかし、ブレストにおいては、非現実的で型破りなアイデアこそ歓迎する空気感を作ることが重要です。
なぜなら、参加者が自由な発想で発言しやすくなり、アイデアの量も集まりやすいからです。例えば、「もし予算が10倍あったら?」などのあえて現実離れした状況を想定することで、様々な角度のアイデアをより多く集めることができるでしょう。
アイデアを収束させる時間も設定する
アイデアを出したままではブレストを実施した意味がなくなってしまうため、集まったアイデアを組み合わせたりもしつつ、実行可能な施策は何かを整理していく時間も設けましょう。「最も広告成果の改善が期待できるのはどれか」「どのアイデアを組み合わせると現実的に実行できそうか」などといった観点でアイデアをまとめていけると良いでしょう。
ブレストにおすすめのツール5選
特にリモートワークが普及している中で、オンラインでのコミュニケーションが増え、従来のように対面でのブレストが難しい場合もありますよね。そんな時に活用したいのが、オンライン上で利用できるブレストツールです。
ただ、慣れないと操作が難しいようなツールでは、貴重な議論の時間が無駄になってしまいます。そこで今回は、初めての方でも直感的に使いこなせて便利なブレストツールを5つ紹介いたします。
Miro
Miroは世界で7,000万以上のユーザが利用しているオンラインホワイトボードです。付箋、図形、マーカーなどを使って実際のホワイトボードに近い感覚で自由度高く表現でき、ブレストのテンプレートも30種類以上あり、目的に応じてすぐに議論を始めることが可能です。また、Google Workspace、Microsoft Teamsなど130 以上の外部アプリと連携することができたり、AIを使ってアイデア生成や自動グルーピングができたりします。
ただ、Miroはブレストのみに特化しているわけではなく、あらゆる用途に対応できるツールにもなっており、できることも多い分、Miroの全てを使いこなそうとするには機能が多すぎる場合があります。
特徴
- 付箋などを使ってリアルなホワイトボードに近い感覚で簡単に操作可能
 - ブレストに特化したテンプレートが30種類以上
 - Google Workspace、Microsoft Teamsなど130 以上の外部アプリと連携が可能
 - AIによるアイデア生成や自動グルーピングなどのアシスト機能がある
 
価格
- 無料プラン
 - 有料プラン(プランに応じて価格は変動)
 
こんな方におすすめ
- 外部ツールと連携もさせつつ直感的に操作できるツールを探している人
 - ブレスト以外にもMiroを活用する可能性がある人
 
Figjam
Figjamはデザインツールで有名なFigmaから提供されているオンラインホワイトボードです。Miroと同様に付箋、図形、マーカーなどを使って自由度高く多様な表現ができ、多くの外部ツールとの連携も可能で、AIを使って要約などもできます。
一方、幅広いシーンや役割ごとに適したテンプレートは300種類以上あるものの、現在は英語表記のテンプレートが多く、議論を始める前に日本語に整えるなどの準備が必要になるケースがあります。
特徴
- 付箋などを使ってリアルなホワイトボードに近い感覚で簡単に操作可能
 - AIによるアイデア生成や自動グルーピングなどのアシスト機能がある
 - Google Workspace、Microsoft Teamsなど数多くの外部アプリとの連携が可能
 
価格
- 無料プラン
 - 有料プラン(プランに応じて変動)
 
おすすめな人
- 普段からFigmaを利用しており、FigmaのUIに慣れている人
 - 外部ツールと連携もさせつつ直感的に操作できるツールを探している人
 - ブレスト以外にもFigmaを活用する可能性がある人
 
hidane
hidaneはチャット感覚でアイデアを入力でき、誰でも親しみやすいデザインが特徴的なブレストツールです。アイデア出しからまとめまでが、制限時間付きの5つのステップに分かれていて順番にやることが明確になっており、hidaneがブレストをリードしてくれます。
ただ、ブレストが終了すると編集ができなくなってしまう点には注意しておきましょう。
特徴
- チャット感覚で利用でき、親しみやすいデザイン
 - ブレストの流れが設計されている
 
価格
- 無料
 
こんな方におすすめ
- カジュアルな雰囲気でブレストを行いたい人
 - ファシリテーションに苦手意識がある人
 
GitMind
GitMindはAIを活用した機能に力を入れているマインドマップツールです。ChatGPTが導入されており、アイデアの生成、文書(PDF、Word、PowerPoint)の要約、チャットでの相談などをAIで行うことができます。また、マインドマップ、フローチャート、組織図など多様なテンプレートが用意されており、すぐに議論を進めることが可能になっています。
基本的な機能は無料で利用できるものの、AI機能はクレジット制となっており課金する必要がありますので、検討する際に利用目的と費用対効果が見合っているかどうかを吟味すると良いでしょう。
特徴
- ChatGPTが導入されており、アイデアの生成、文書(PDF、Word、PowerPoint)の要約、チャットで相談などが可能
 - マインドマップ、フローチャート、組織図などの汎用的なテンプレートが網羅されている
 
価格
- 無料プラン
 - 有料プラン(プランによって変動、AI機能はクレジット課金制)
 
こんな人におすすめ
- ChatGPTを活用したAI機能を利用したい人
 
MindMeister
MindMeisterは世界で3,700万人が利用しており、比較的シンプルなUIが特徴的なマインドマップ作成ツールです。事業計画の作成、プロジェクトの管理、ブレストなど様々な用途に適したテンプレートが用意されています。また、Google WorkspaceやMicrosoft Teamsと連携して、組織内でマインドマップを素早く簡単に共有することなどもできます。
特徴
- シンプルなUIデザイン
 - 幅広いシーンに活用できるテンプレートが用意されている
 - Google WorkspaceやMicrosoft Teamsとの連携が可能
 
価格
- 無料プラン
 - 有料プラン(プランによって変動)
 
こんな人におすすめ
- できる限りシンプルなUIのツールを利用したい方
 - Google WorkspaceやMicrosoft Teamsとの連携も考えている方
 
| Miro | FigJam | hidane | GitMind | MindMeister | |
|---|---|---|---|---|---|
| 主な用途 | オンラインホワイトボード | オンラインホワイトボード | ブレストのみ | マインドマップ | マインドマップ | 
| 共同編集 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 
| テンプレート | かなり豊富 | かなり豊富(ただし英語表記が中心) | なし | 豊富 | 豊富 | 
| 外部ツール連携 | 〇 | 〇 | × | × | 〇(一部ツールのみ) | 
| AIによるサポート | 〇 | 〇 | 〇 | 〇(ChatGPT) | × | 
| ファシリテーション機能 | × | × | 〇 | × | × | 
| 無料プラン | あり | あり | あり(完全無料) | あり | あり | 
| 有料プラン | $8/月から | 750円/月 | なし | 875円/月から | 800円/月から | 
| モバイルアプリ | あり | あり | なし | あり | あり | 
| こんな方におすすめ | ・外部ツールとも連携したい ・ブレスト以外にも活用したい  | ・Figmaを利用中 ・外部ツールと連携したい ・ブレスト以外にも活用したい  | ・カジュアルな雰囲気にしたい ・ファシリテーションが苦手  | ・ChatGPTを活用したAI機能を利用したい ・シンプルなマインドマップを作成したい  | ・シンプルなマインドマップを作成したい | 
本記事で紹介したツールの特徴を表にまとめました。ツールによって共通の機能も多いですが、用途の幅や、利用環境、外部ツールと連携などを考慮すると、自分のニーズに合ったツールを選びやすくなるでしょう。
まとめ
運用型広告で成果を出すためには、データを分析する力と有効な施策を発想する力の両方が必要です。しかし、「これ以上どう改善すれば...」と悩んでしまうこともあるでしょう。そんな時こそ、ブレストの出番です。本記事で紹介した5つのツールを活用し、社内のメンバーやクライアントの知恵を借りて新たなアイデアを生み出してみましょう。
紹介した全てのツールは、基本的な機能であれば無料で利用できるため、自分の好きなUIか、関わる人たちもスムーズに使えそうかなどを確かめるためにも、まずは気軽にそれぞれを触ってみるのがオススメです。



