
Google アドワーズでのオーディエンス設定、間違っていませんか?コラムニストのRebekah Schelfhout は、オーディエンス設定で陥りやすい10のミスを挙げ、それらを回避する方法について説明します。
※筆者:Rebekah Schelfhout氏
※以下はSearch Engine land の記事を和訳したものです。
10 Common Mistakes When Setting Up Audiences In AdWordshttp://searchengineland.com/10-common-mistakes-setting-audiences-adwords-229858
キーワードよりも重要なのはオーディエンスであることは明らかだと思います。運用者によって意見は様々だと思いますが、Google アドワーズで成功する戦略にはオーディエンスが必要なのは間違いないでしょう。(例えあなたがキーワードを一番重要視していたとしても)
これらのことから、オーディエンスの設定を行うときによくあるミスを共有することが有益な運用をもたらすだろうと考えました。


目次
オーディエンス設定を使用できるケース
1. ディスプレイネットワークでのリマーケティング
リマーケティングの中でもより伝統的な配信手法の1つです、Googleディスプレイネットワークの配信上にいるユーザーに、静的な広告またはウェブサイト上で閲覧された製品を示す動的な広告のいずれかを表示するものです。
オーディエンスリストの基準:以下の条件を満たしているオーディエンスリストを使用することができます。
- 100以上のユーザーが集まっている
- リストに保存される日数は最長540日
2.RLSA(検索広告向けリマーケティング)
多くの方には馴染みのないリマーケティング手法です。再訪問のユーザーに対して、より高い入札金額を適用するために既存の検索キャンペーンの中に設定するか、またはオーディエンスリスト内にいるユーザーに対して異なるキーワードで異なった広告を表示するために別のキャンペーンとして設定します。
オーディエンスリストの基準:以下の条件を満たしているオーディエンスリストを使用することができます。
- 1,000以上のユーザーが集まっている
- リストに保存される日数は最長180日
よくあるミスその1:ターゲットユーザーが少なすぎるリストの作成
これはよくあるミスですが、あまりにもよく発生します。リストを作成する際に、特定の時間期間内にサイトの特定のページを参照しているユニークな訪問者数をGoogle アナリティクスで予め確認するのが良いでしょう。
上記のようにターゲットが最低基準よりも少ない場合は、より広いターゲットとなるよう、よく検討する必要があります。使用できないリストの作成に時間を使うべきではありません。
さらに、検索広告向けのリマーケティングとディスプレイネットワークのリマーケティングに比べ、使用できる最小のリストサイズが異なります。そのため、ディスプレイネットワークのリマーケティングで使用できる短期間のリストや限定的なリストがRLSAで使用できるか考慮する必要があるかもしれません。
よくあるミスその2:誤った掲載対象設定
これは最悪のミスです。コストやトラフィックの大きく増減します。広告グループレベルでRLSAのオーディエンスを設定する際に2つの設定があります。それぞれ以下に示します。いとも簡単に悲惨な間違った設定を行うことができてしまいます。
「掲載先の絞り込みと入札単価」の設定を、誤って「入札単価のみ」と設定した場合は、想定よりもはるかに多くのトラフィックが集まり、コストも高くなるでしょう。意図したよりも大幅に広くたくさんのキーワードでユーザーに向け広告が表示されることが原因である可能性が高いです。
例えば「ドレス」というキーワードにこの設定をしてしまった場合、 絞り込まれたオーディエンスに表示されていないときは無駄なコストに終わる可能性が高いことは想像が難しくないでしょう。
「入札単価のみ」のキャンペーンの設定を、誤って「掲載先の絞り込みと入札単価」と設定した場合、広告からのトラフィックは再訪問ユーザーへ絞り込まれるため劇的に減少します。これは、Google アドワーズで急激なインプレッション低下の際にアラートを出すよう設定を行うことで気づくことができます。
前述した「掲載先の絞り込みと入札単価」と「入札単価のみ」の設定は、広告グループレベルでできますので、それぞれの設定の広告グループを(ひとつのキャンペーン内に)複数含むことができます。「掲載先の絞り込みと入札単価」が分かるように設定に応じて広告グループにラベルを付けるようにしてください。
この設定を調整する必要がある場合は、Google アドワーズ内で対象の広告グループに入って「ユーザーリスト」タブにいき、赤い「+リマーケティング」ボタンをクリックして、上記の画像に示す2つの設定が表示される箇所で設定します。
AdWords Editorでは、広告グループレベルで「入札単価のみ」がデフォルトとして設定されています。希望する設定に変更することを忘れた場合、大変なことになります。AdWords Editorから新しい広告グループ作成する前に、以下に示すように「インタレストとリマーケティング」の設定が正しいかダブルチェックしてください。
よくあるミスその3:有効期間の考慮が不十分
前述の「よくあるミスその1:ターゲットユーザーが少なすぎるリストの作成」と同様に、マーケターはオーディエンスを設定するときの注意が不十分だと思います。
RLSAキャンペーンのために、そのリストでリーチできる人々が非現実的な場合、180日間の制限を検討する必要があります。ディスプレイネットワークのリマーケティングでは、(数年後の保険失効など)更新する必要が長いサイクルの商品の場合、最長の540日間の期間を利用することを検討してください。
また、リストは給料日のようなものをカバーするのに十分な長さであることを確認してください。30日のリストを作成する場合は、最も購買する可能性に高いユーザーが毎月の給料を受け取った後の31~35日の間に戻ってくるかもしれないことに注意が必要です。
※訳者注:アメリカでは、給料日が隔週金曜日(2週間に1回)のため、月によっては月初や月末ごろが給料日であることもある。
よくあるミスその4:有効な期間の重複
多くの場合、検索マーケティング担当者は、3日、7日、14日、35日というように参照期間別のリストを作成することに夢中になります。
それは素晴らしいことですが、別のリストからの除外を忘れている場合、オーディエンスリストの重複が生じます。特定のリストでリーチしたいユーザーにも関わらず、より高い入札が行われている別のリストでリーチしてしまうかもしれません。おそらく、それによって必要以上のクリック単価を支払うことになってしまうでしょう。
リストを設定するときにこの問題を回避するには、下記の例のように常に重複する期間をマイナスする必要があります。:
- 3日間
- 7日マイナス3日
- 14日マイナス7日
- 35日マイナス14日
よくあるミスその5:あるリストを他のリストから除外していない
ここでの大きなミスは、すでにコンバージョンしている人を除外していないことがよくあるということです。コンバージョンしたユーザーを除外することを常に忘れないでください。誰もストーカーを好きではありません!
これに加えて、関連する期間中にコンバージョンした人だけを除外するようにしてください。例えば、最後の45日にサイトを訪問した人のリストを作成し、すべての期間のコンバージョンユーザーのリストを除外しないでください。
これを行ってしまうと、リピート購入する可能性のある人を排除してしまいます。この場合、45日間の訪問者から45日間のコンバージョンユーザーを除外するのは良いでしょう。
※訳者コメント:コンバージョンユーザーの除外は、目標とするコンバージョン指標とビジネスモデルにより必要の有無を判断することが必要です。会員登録が目標の場合やリピート購入がおきないビジネスモデルなど、基本的に最大限の期間で除外を行う方が良いケースもあります。
よくあるミスその6:フリークエンシーキャップを設定しない
マーケティング担当者がコンバージョンユーザーを除外することを忘れるのと同様に、フリークエンシーキャップを設定し忘れるミスも頻出します。
キャンペーンの「設定」タブから、フリークエンシーキャップを調整することができますし、様々なオプションがあります。アカウント毎にどれくらいの頻度に設定するかをよく検討することをお勧めします。
※訳者コメント:オーディエンスリストを追跡期間ごとに設定している場合は、コンバージョンへのモチベーションを考慮して入札単価に差を付けていると思いますので、フリークエンシーキャップの設定はしなくても良いと思いますが、どうしてもフリークエンシーキャップを設定したい場合は過度な調整とならないようによく検討をした上で設定を行いましょう。
よくあるミスその7:コードの不備をチェックしていない
このミスは簡単に発生します。特にオーディエンスリストの有効期間を長めに設定している場合、最悪そのリストの期限が来るまで誰も追加されていないことに気づけないこともあります。コードの不備が発生している場合、オーディエンスにユーザーが追加されなくなっています。
Google アドワーズでこれをチェックするのは本当に簡単になりました。「共有ライブラリ」>「ユーザー リスト」で、コードの動作状況はその画面の右上に表示されます。これはコードがきちんと動作していることを確認する最も簡単な方法ですので、定期的に確認することを忘れないでください。
もしサイトへコードを追加するのが難しい場合、Google アナリティクスでリマーケティングリストを簡単に作成することができます。すでにサイトにGoogle アナリティクスのコードを設定してあれば、照明のスイッチをオンオフするのと同じくらい簡単です。
リマーケティングタグとしてGoogle アナリティクスを使用している場合は、Google アドワーズのリマーケティング確認した時と同じ箇所に次のようなメッセージが表示されます。
よくあるミスその8:Googleアナリティクスリマーケティングを利用するときの失敗
Googleリマーケティングでのオーディエンス構築ツールは、提供されてから長い期間が経っている誰もが知っているツールです。サイトに滞在し一定数のページを見た、またはそれ未満のページしか見ていないユーザーなどをターゲットにすることができます。
Googleアナリティクスの計測指標のうち、「Google ディスプレイネットワークのユーザー属性ディメンション(年齢、性別、インタレスト)」と「モバイルアプリのビューや統合プロパティのビューで作成したリマーケティングリスト」はRLSAで使用することはできません。それ以外はすべての計測指標を使用することができます。現在、Googleアナリティクスから200以上の計測指標がディスプレイネットワークのリマーケティングに使用することができます。
よくあるミスその9:シーズナリーのあるオーディエンスを追いかける際の失敗
または、それらを正しく追跡できていないケースです。特定の期間中に訪問したユーザーを追跡する機能は、バレンタインデー、母の日、父の日やクリスマスなどの季節商戦に役立ちます。これらの期間を中心に追いかける人々は、翌年同時期にショッピングをはじめる可能性があります。
以下は、540日間のクリスマスに近い日から追跡するリストが正しく設定されています。ここでよくあるミスは、例えば有効期間を30日としてリストを設定してしまうことです。その場合、翌年再びリストを使用する時間までには有効期間はとっくに過ぎ、リストを使用したい時には既にリストは空になってしまっています。
540日間の期間でこれらのリストを設定し、RLSAに使用する場合、180日間の期間でのみ利用可能ということも覚えておいてください。
よくあるミスその10:導入時に戦略をよく考えない
ディスプレイネットワークのリマーケティングを実施しようが、RLSAを実施しようが、成功の鍵となるのは戦略です。ただオーディエンスリストを適用しただけでは、最善の結果を期待することはできません。目標を定め、オーディエンスを使用したさまざまな方法をテストし続ける必要があります。
例えば、RLSAで、オーディエンスを「入札のみ」適用するのは簡単ですが、もっと一般的なキーワードをターゲットとしたり、異なった広告文で入札をしたりするほうがよいのではないでしょうか?また、通常の検索広告だけではなくショッピングキャンペーンや動的検索広告(DSA)にもこれらのリストを追加して活用することができることを忘れてはいけません。
まとめ
私はこの記事が、あなたがリストを設定する方法について考えるためのキッカケを与えることを願っています。
リストを設定する際、これら10の落とし穴が直面するすべての問題なわけではなく、実際にリストを利用することで発生する新たな問題もあるでしょう。
私がリストの利用について言えることはたくさんありますが、アドバイスしたいことはただ一つ、オーディエンスによる入札価格の調整を定期的に評価し、そのインパクトを分析することです。さらなる調整をせずに設定をしただけにはしないでくださいね。
訳者より
リマーケティングは特定のサイトに指定されたタグを貼り付け、ユーザーがそのサイトを訪問した際にそのユーザーのブラウザにcookieを付与することでユーザーを特定し、広告を柔軟に配信する仕組みです。簡単な仕組みですが、ディスプレイ広告のみならず検索連動型広告でも活用されており、費用対効果も高いため多くの広告主に利用されています。
ただし、リマーケティングで広告をただ配信するだけで成果を上げ続けることはできません。筆者も述べているように、目標を定めて、オーディエンスを使用したさまざまな方法をテストし、そのインパクトを分析・評価することが重要です。だからこそ、今回紹介した、「10のよくある間違い」のような、リマーケティングそのものの仕組みやルールの理解不足や不注意から発生するミスで時間をロスするのは非常にもったいないことだと思います。
現在、リマーケティングを利用している場合は、オーディエンスのリストや配信の設定に間違いがないか、まずは上記の「10のよくある間違い」から確認をしてみることをおススメします。