
Facebook広告の成果改善のためPDCAを回すのももちろん大切ですが、より広告の効果を正しく把握したりターゲットとなるユーザーを正確に捉えることも大きな成果に繋がります。
もしFacebook広告の「詳細マッチング」という機能を導入していれば、ターゲティングの精度の向上やコンバージョン単価の改善が見込めるかもしれません。
今回は、Facebook広告の成果をさらに向上させるために欠かせない、詳細マッチングについて分かりやすく解説します。


目次
詳細マッチングとは?
詳細マッチングは、ユーザーがブラウザ上でFacebookにログインしていない場合ピクセルコードと呼ばれるタグからユーザーの識別情報(メールアドレス、電話番号、住所など)を取得しその情報を元にユーザーとそのFacebookアカウントをマッチングすることができる仕組みです。
※ハッシュ化とは文字を一定のルールに従って変換することです。
※詳細マッチングに使用した後メールアドレスなどのデータは削除されます。
詳細マッチング導入のメリットや効果
詳細マッチングを実装するサイトやアプリにおいて次の3つのようなメリットがあります。
広告がコンバージョン獲得に与えた影響をより正確に把握
ユーザーが広告をクリックしその後ウェブサイトで製品を購入したパターンと、お客さんが広告を見てその後製品を購入したパターンの2つのコンバージョンデータを詳細マッチングではFacebookユーザーと照合し、広告がコンバージョン獲得に与えた影響を把握できます。
カスタムオーディエンスの規模を拡大
サイトの訪問者とFacebookユーザーを照合することでアクセスするデバイスを問わず配信が可能となるため、カスタムオーディエンスやダイナミック広告の対象リーチ数を拡大できます。
コンバージョン単価の削減
ユーザー行動に関するデータが増え、コンバージョンしそうなユーザーをより高い精度で特定することが可能となり、キャンペーンの効率を高めることが出来ます。
詳細マッチングの仕組みと種類
詳細マッチングでは以下の情報を取得することが可能です。
- 氏名
- メールアドレス
- 電話番号
- 住所
- 性別
- 生年月日
取得するデータのプライバシーについて
Facebookピクセルによって取得されるすべてのユーザーデータは会員登録や商品購入完了等のユーザーデータを取得したタイミングでブラウザ上で暗号化することで利用者のプライバシー保護に努めています。Facebookピクセルのイベントとのマッチングにのみ暗号化されたデータを使用し、マッチングに使用した全てのデータをマッチング終了後に削除しています。また、https通信を使用しておりブラウザから転送されるいかなるデータもFacebookサーバーへ安全に送られます。
詳細マッチングの種類
詳細マッチングには「自動詳細マッチング」と「手動詳細マッチング」2つの方法があります。「自動詳細マッチング」は自動でユーザーの情報を取得する機能で「手動詳細マッチング」はピクセルコードの一部にコードを追加することでユーザーの情報を取得する機能です。
自動詳細マッチングと手動詳細マッチングの違いを以下の表でまとめています。
手動詳細マッチング | 自動詳細マッチング | |
---|---|---|
カスタムオーディエンスの規模を拡大する | ✔ | ✔ |
アトリビューションされるコンバージョンの件数を増やす | ✔ | ✔ |
コンバージョン単価を削減する | ✔ | ✔ |
コードの記述を不要にする | ✔ | |
ピクセルがiframe内にある場合も使用できる | ✔ | |
IMGピクセルとともに使用できる | ✔ | |
全ての業種で使用できる | ✔ |
実装において可能であれば、自動詳細マッチングと手動詳細マッチングの両方を設定することを推奨します。
自動詳細マッチングと手動詳細マッチングの違い
自動詳細マッチングのみの実装でもユーザーマッチングの精度が高いですが、手動詳細マッチングも併せて実装することで自動マッチングでは取得できない情報を取得することができ、より配信のパフォーマンス向上が見込めるため両方設定することが推奨となります。
たとえば自動詳細マッチングでは、サイト内で毎回ログインしたりフォームの入力を行わない限りサイト訪問ユーザーとFacebookユーザー情報のマッチングができないため、ユーザーがログイン情報を維持するサイトのタイプの場合等は手動マッチングを使用します。
手動詳細マッチングの場合ユーザーがサイト内ログインしたかに関わらず設定したピクセルコードが反応した場合にユーザーの情報を取得しマッチングすることができます。
詳細マッチングの実装方法
詳細マッチングを設定することで取得できる情報と実装方法を説明します。自動詳細マッチングと手動詳細マッチングではそれぞれ手順が異なるためそれぞれ見ていきましょう。
自動詳細マッチング
自動詳細マッチングの設定では、コードを記述する必要はありません。イベントマネージャより「オン」にすることで設定できます。
自動詳細マッチングでは、ピクセルを設定し詳細マッチングの設定をONにすることで氏名やメールアドレスなどの情報が含まれたウェブサイト上のフォームやログイン情報のソースを探すことができます。実行されたアクションやイベントと共に受信しこの情報を使用することで広告に対して利用者がどのようなアクションを行ったかをより正確に把握できるようになります。
自動詳細マッチングの要件
なお、自動詳細マッチングを利用する上で業種やサイトの構造上設定ができないケースもあるので以下の利用要件を参考にしてみてください。
- サイト内にユーザー情報の入力フォームが存在している
- ユーザーが関連する情報を入力する可能性が高いウェブページにFacebookピクセルが配置されている。(例:フォームページ)
- ピクセルがiframeタグ内に配置されていない
- IMGピクセルを使用していない
- ビジネスが規制業種に属していない
※iframeタグ・・・HTMLタグの1種で iframe を使用すると、別のサイトのウェブページや画像をページ内のフレームに表示することができます。
※規制業種・・・Facebookのポリシーに違反する禁止コンテンツや制限コンテンツを扱う業種が対象です。
参考:広告ポリシー
手動詳細マッチング
自動詳細マッチングの設定では、通常のピクセルコードのfbq(‘init’, ‘FB pixel ID’); 内に取得したい情報を記述します。
以下の例ではメールアドレスと電話番号を取得する設定を行っています。
設定可能なパラメータは以下となり取得したい情報についてまとめて「fbq(‘init’, ‘FB pixel ID’); 」内に記述することで取得が可能となります。
データ | パラメーター | 例 | 形式のガイドライン |
---|---|---|---|
都市 | ct | menlopark | 都市(小文字、スペースは削除) |
国 | country | US | ISO 3166-1 alpha-2形式の2文字の国コード |
生年月日 | db | 19911226 | 1997年12月26日であれば、19971226 |
メール | em | taroyamada@example.com | 利用者のメールアドレス(小文字) |
名 | fn | taro | 名前(小文字) |
性別 | ge | m | fまたはm。不明の場合は空欄 |
姓 | ln | yamada | 姓(小文字) |
携帯電話 | ph | 1234567890 | 携帯番号(数字のみの国コード、市外局番、電話番号) |
州 | st | ca | 2文字の州コード |
郵便番号 | zp | 9401234 | 5桁の郵便番号 |
詳細マッチングの効果を確認する方法
イベントマネージャから詳細マッチングを導入し取得した場合の各イベントの数値がどのくらい向上したかを管理画面上で確認する事ができます。以下2点の確認が可能です。
- 自動詳細マッチングでは計測できなかったが手動詳細マッチングによって取得したデータの割合
- 詳細マッチングによって取得したアトリビューションコンバージョン数の上昇率
まとめ
広告の配信設定を行うにあたって詳細マッチングを実装していない方はまずは対応に時間のかからない自動詳細マッチングから実装してみてはいかがでしょうか。オンに設定するだけで広告の配信パフォーマンスの改善が見込めるので利用しない手はないと思います。
また、詳細マッチングを実装している方でも自動詳細マッチングのみの設定を行っているパターンも多いと思いますので手動詳細マッチングと併せて配信し効果改善を進めていきましょう。もちろんログイン情報を維持できるサイト等、仕様上自動詳細マッチングを使用できないケースの場合は手動詳細マッチングを実装する等、状況に応じて実装を検討してみてくださいね。