Meta広告でアプリの成果を上げるには?打ち手を広げる9つのヒント

Meta広告でアプリの成果を上げるには?打ち手を広げる9つのヒント

アプリ広告を配信しているものの、「施策を出し尽くして手が止まってしまった」「成果改善のヒントが見つからない」と悩んでいませんか?

Meta広告では、アプリプロモーション専用の機能がいくつか提供されていますが、Webサイトへの誘導を目的とした広告に比べて情報が少なく、手探りの運用になりがちです。

私もアプリ広告を初めて担当したときは、何から手をつければよいか分からず、Webサイト向けの広告運用で得た知見を頼りに試行錯誤しながら改善に取り組んできました。

そこで今回は、Meta広告のアプリプロモーションで、私自身が実際に試して「成果改善につながった」「試す価値がある」と感じた施策を9個ご紹介します。アプリ広告を始めたばかりで何を試せばいいか分からない、という方もぜひ参考にしてみてくださいね。


配信前に必ず確認したい、Metaアプリ広告の事前準備

アプリ広告は、「Webサイトへの誘導を目的とした広告」とは異なり、配信前に特有の準備が必要になります。これからアプリ広告を始める方は、以下の2点を必ず確認しておきましょう。

<事前準備>
①アプリをMetaに登録
②Facebook SDK(もしくは外部のモバイルアプリ計測ツールのSDK)をアプリに実装する

この2つを実装することで、アプリからMeta広告のシステムにデータを正しく渡せるようになり、アプリ内での具体的なユーザーアクション(購入、登録、起動など)を測定できるようになります。

なお、アプリの登録やSDKの実装を行わない場合でも広告の配信は可能ですが、その場合は「インストール」ではなく「リンククリック」に最適化されます。広告がもたらしたインストールのトラッキングもされないため、事前に設定を済ませておくことを強くおすすめします。

設定方法が不安な方は、以下の記事を参考にしてみてください。

参考:Facebookモバイルアプリ広告の設定から配信までのキホン

ターゲティング編

まずは、どのユーザーに配信するか大きな役割を果たしているターゲティングについて見ていきましょう。

①自動最適化で成果を最大化する「Advantage+ アプリキャンペーン」

MetaのAdvantage+ アプリキャンペーンは、機械学習を活用して配信効率を自動で最適化してくれるキャンペーンタイプです。

通常のキャンペーンでは、広告主側でターゲティングや配信面をどのように設定するか考える必要がありました。一方で、Advantage+では、少ない初期設定でも機械学習が最適なユーザーにリーチし、配信効率を自動で最大化してくれます。

当初は「配信を広げるとCPAが悪化するのでは?」と心配していましたが、実際に私が担当した案件でも、従来の手動ターゲティングと比較してコンバージョン率が上がり、クリック単価やインストール単価が下がるといった成果が得られた事例もありました。

まだ試していない場合は、まずはこの機能の導入から検討してみるのがおすすめです。

<設定のポイント>

キャンペーンの目的で「アプリの宣伝」を選択すると、キャプチャ赤枠のAdvantage+ アプリキャンペーンが「オン」になり、簡単に設定ができます。

なお、予算・オーディエンス・配置を絞り込みすぎると、Advantage+機能よる最適化が「オフ」になるため注意が必要です。

参考:Advantage+ キャンペーンでAdvantage+をオンにしておくためのベストプラクティス - Metaビジネスヘルプセンター

②アプリに再訪してもらうための「リターゲティング広告」

アプリはインストールだけなら無料でできるものが多いため、いかにアプリ内での行動につなげ、収益ポイントまで導けるかが重要になります。

そこで有効なのが、「過去にアプリをインストールしたが、直近利用していないユーザー」へのリターゲティング広告です。

<リターゲティングリストの例>

  • アプリをインストールしたが、30日以上起動していないユーザー
  • 以前課金したが、直近3ヶ月間アクティブでないユーザー


「再訪を促すだけならプッシュ通知で十分では?」と思われる方もいるかもしれません。たしかに、既存のアプリインストールユーザーへの再訪喚起にはプッシュ通知も効果的です。ただし、通知をオフにしていたり、そもそもアンインストール済みのユーザーには届きません。

一方でリターゲティング広告は、そうしたプッシュ通知が届かないユーザーにもアプローチできる点が強みです。

リターゲティング対象はすでにアプリを知っている分、新規顧客向けの広告とは違って「もう一度使ってみよう」と思えるようなコミュニケーションの工夫が求められます。

<再訪を促すコミュニケーションの例>

  • 新機能・アップデートの紹介
    →例:「お気に入り機能が追加されました!」「今なら配達状況のリアルタイム追跡が可能に」
  • 再ログイン特典、期間限定クーポン
    → 例:「今週ログインで◯◯ポイントプレゼント」「再ログインキャンペーン実施中!」
  • 過去の利用データに紐づけたパーソナライズ訴求
    → 例:「以前注文したあの料理、また頼んでみませんか?」

<アプリアクティビティを活用したオーディエンス設定方法>

休眠中のユーザーへの配信のオーディエンスを作成する方法を解説します。

Facebook広告マネージャを開き、左のメニューバーから「すべてのツール」上部メニューの「ツール」から「オーディエンス」をクリックします。

遷移後の画面で「オーディエンスを作成」をクリックし、「アプリアクティビティ」をクリックします。

クリック後は「ソース」、「イベント」、「オーディエンスリテンション」をそれぞれ選択後、「オーディエンスを作成」をクリックすれば完了します。

また、上図のように「イベント」で「アプリを開いた人」に設定し、「オーディエンスリテンション」の配信対象を「180日」に設定し、除外を「30日」に設定することで、「アプリ起動後、30日~180日の間アプリを開いていない人」に配信をすることがオーディエンスを作成することができます。

③質の高いユーザーをもとに広げる「類似オーディエンス」

類似オーディエンスは、既存ユーザーと行動や関心が似ている新しいユーザーにリーチするための機能です。

Meta広告の類似オーディエンスは、Facebookユーザーが自分自身で登録した情報(年齢や住所、仕事など)が前提となっているため、他の媒体以上にターゲティング精度が高いと感じます。

たとえば、アプリ内で課金や継続利用をしているユーザーをもとに類似オーディエンスを作成すれば、同じような傾向を持つ見込みの高い新規ユーザーに広告を届けることが期待できます。

<類似元として効果的なデータ例>

  • 課金ユーザー
  • 7日以内にアプリを3回以上起動したユーザー
  • チュートリアル完了者 or アカウント登録完了者

単にインストールをしただけではなく、なにかしらアプリ内で行動をしたユーザーを類似元に設定した方が、CPI(インストール単価)はやや上がっても、LTV(ライフタイムバリュー)ベースでは成果が改善する傾向もあるので比較検証するのも良いでしょう。

類似度が高いと判断されるオーディエンスは1%から10%まで範囲指定し、リストを作成できます。

類似度を1%から始めて、配信ボリュームとインストール単価のバランスを見ながら、2~3%、5%…と段階的に拡張していくのがおすすめです。

参考:Facebook広告「類似オーディエンス」とは?仕組みから作成方法、効果的な使い方

④パフォーマンスの目標を「インストール」から「アプリ内イベント」に切り替え

「アプリのインストール数の最大化」をパフォーマンスの目標として設定しているケースが多いですが、インストール後に何も⾏動しないユーザーを増やしてもビジネス成果にはつながりません。

そこでおすすめなのが、アプリ内の重要イベント(購入完了・チュートリアル完了・会員登録など)をパフォーマンスの目標に設定する運用です。

パフォーマンスの目標特徴主なKPIへの影響
インストール数広くユーザーを集めやすいCPIは低く獲得できるが、LTVが低くなりやすい
アプリイベント数(例:初回購入)行動の質を重視した配信CPIは上がるが、アプリ内のCVRやROASが改善しやすい

アプリ内行動データを詳細に分析し、コンバージョンに繋がりやすいユーザーの行動パターンを把握することで、より精度の高いターゲティングが実現できます。

パフォーマンスの目標に設定するイベントは、週に50回以上獲得していることが推奨されているため、配信金額と想定獲得見込みを計算して、どのイベントを設定するか検討してみるとよいでしょう。

設定は、パフォーマンスの目標のキャプチャ赤枠「アプリイベント数の最大化」を選択すると設定ができます。

いきなり最適化対象を変えると、「質がどうという前に、インストール数が激減した!」という状況にもなりかねないので、既存のインストール最適化キャンペーンを残しつつ、新規でイベント最適化キャンペーンを並走させる A/B テストをするとリスクを抑えられるかと思います。

⑤データ通信量を気にせずインストールできる「Wi-Fi接続中のユーザー」に絞って配信

スマホアプリのインストールには一定のデータ通信が発生するため、通信環境が悪いとインストールを途中でやめてしまうケースも少なくありません。

そこで、広告の配信先をWi-Fi接続中のユーザーに絞ったことで、CPIが5〜10%改善したケースがありました

広告セットの設定で「配置」内のキャプチャ赤枠「Wi-Fi接続時のみ」を選択すると、Wi-Fi接続ユーザーに絞って配信することができます。

ただし、配信対象を絞ることでインストールのボリュームが減少する点には注意が必要です。

たとえば、1日の予算が限られていてインストール単価を抑えたい場合はWi-Fi限定にするなど、配信フェーズや施策目的に応じて使い分けるのが有効です。

クリエイティブ編

ここまでは、広告の届け先についての施策を紹介しましたが、この章では「どう伝えるか」というクリエイティブ面の工夫をご紹介します。

⑥複数の魅力を一度に届ける「カルーセル広告」

カルーセル広告は、1つの広告枠で複数の画像や動画を横並びに表示できる広告フォーマットです。ユーザーがスワイプすることで、1つずつのビジュアルを順に確認でき、限られたスペースの中でより多くの情報を伝えることができます。

画像引用元:キャンペーンのパフォーマンスをさらに高めるカルーセル広告 | Meta for Business

アプリは、複数の機能や利用シーンを持つものが多く、1枚のバナーで特徴をすべて伝えるのは難しいこともあります。そこでカルーセル広告を使えば、「アプリで何ができるのか?」を視覚的にわかりやすく伝えることが可能です。

<カルーセル広告の活用アイディア>

  • ゲームアプリ:キャラクター紹介、バトル画面、報酬アイテムなどを1枚ずつ見せる
  • ECアプリ:カテゴリ別の売れ筋商品をスライドで紹介
  • フィットネスアプリ:「筋トレ」「ヨガ」「食事管理」など、利用シーン別に訴求
  • 教育アプリ:「講座一覧 → 学習画面 → 成績確認機能」など、ユーザー体験の流れを視覚化

1枚目は注意を引くことに徹し、2枚目以降で機能紹介や価値訴求へ展開したり、全体で1つのストーリーになるように構成すると、スワイプ率が上がりやすくなります。

⑦アプリを疑似体験してもらう「縦型動画広告」

縦型動画広告はスマートフォンに最適化された全画面フォーマットなので、アプリの利用シーンなどをそのまま切り取れば疑似体験してもらうこともできます。

静止画バナーに比べ、インストール単価も低く獲得できるケースが多いため、動画制作が可能であれば、優先的に進めていくと良いでしょう。

<縦型動画広告の活用アイディア>

  • フードデリバリーアプリ
    → 注文〜配達までの流れを紹介。料理が届くワクワク感やアプリ操作の手軽さを実演
  • 学習アプリ
    → 実際に問題を解いている画面やスコアが上がっていく様子を動画で表示
    → 「3分で英単語10個覚えられる」など、具体的な成果やタイム感を伝える

広告を見た人のスマホ画面の中で実際に操作しているように撮影・編集すると、より利用イメージが湧きやすくなります。

⑧広告内でアプリを試せる「プレイアブル広告」

プレイアブル広告とは、広告の中でユーザーがアプリの一部機能を実際に操作・体験できるフォーマットです。

インストール前に「どんなアプリなのか」を直感的に理解してもらえるため、インストール後のミスマッチを減らし、LTVの高いユーザー獲得につながる効果が期待できます。

また、ユーザーの理解と納得感を得やすいため、CPIの改善や継続率の向上にも寄与するケースが見られます。

<プレイアブル広告が有効なアプリ例>

  • 操作性に強みがあるゲームアプリ
    → 簡易なミッション・バトル・パズル操作を広告内で試せるように
  • 差別化ポイントがUIや機能性にあるアプリ
    → マッチングアプリで相手が表示され、いいねをする機能を疑似体験

HTML5での開発が必要になるため、静止画や動画に比べると導入難易度は高めです。操作性に強みのあるアプリの場合は検討しても良いでしょう。

参考:プレイアブル広告ガイド - Meta公式
参考:プレイアブル広告アセットの仕様 - Meta公式

⑨ストア画面を広告クリエイティブに合わせて最適化

広告で訴求する内容と、遷移先ストアページのスクリーンショットが噛み合っていないと、インストール直前で離脱が発生しがちです。

「カスタム商品ページ(iOS)」と「ストアのカスタム掲載情報(Android)」 を使えば、広告クリエイティブごとに遷移先のスクリーンショットや説明文を出し分けでき、CVRの向上が期待できます。

画像引用元:カスタムプロダクトページ - App Store - Apple Developer

たとえば、旅行アプリで「国内旅行」「海外旅行」「新機能リリース」のように広告訴求を分けている場合、遷移先ストアページのファーストビューもそれぞれの訴求に応じたものに出し分けることが可能です。

広告の訴求とストアのファーストビューを合わせることで、「広告で見た内容と違う…」というミスマッチを解消できるのは嬉しいですよね。

<Androidは広告単位のリンク先の「ストアのカスタム掲載情報」を入力>

<iOSは広告単位のリンク先の「カスタム商品ページ」を入力>

広告のリンク先で「アプリ」を選択し、赤枠に入力します。このとき、URL全体ではなくIDのみを入力する点にご注意ください。

例)

  • Androidの場合
    • カスタムストアリスティングのURLがhttps://play.google.com/store/apps/details?id=[packageName]&listing=[parameter]の場合、[parameter]をカスタムストアリスティングとして入力します。
  • iOSの場合
    • カスタム商品ページのURLがhttps://apps.apple.com/[country-code]/app/[app-name]/id[app-id]?ppid=[custom-product-page-id]の場合、[custom-product-page-id]をカスタム商品ページIDとして入力します。

詳しい設定方法は、以下の公式ヘルプをご参照ください。

参考:カスタムプロダクトページ(iOS)またはストアのカスタム掲載情報(Android)を使用してアプリの宣伝キャンペーンをパーソナライズする

まとめ

アプリ広告は、Webサイト向け広告とは異なる設定や知見が求められることもありますが、「ユーザーの期待に応え、体験を届ける」という基本の考え方は共通です

重要なのは、ターゲティングとクリエイティブの両面から継続的に施策を検討すること。最初からすべてを完璧に整える必要はなく、運用しながら少しずつ改善の余地を見つけていく姿勢が成果につながっていきます。

今回紹介したのは、大がかりなリニューアルではなく、設定や見せ方を少し変えるだけでCPIやLTV改善につながった施策ばかりです。

知らないことを試すだけで成果が改善することがあるため、もしまだ試していない施策があれば、一度やってみることをおすすめします。

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