
Yahoo!ショッピングは国内有数のECショッピングモールで、幅広いユーザーに商品を届けることができます。しかしその分、多くのEC事業者が参入しており「商品を見つけてもらうこと」が大きな課題になります。
そこで活用したい方法の1つが、Yahoo!ショッピング内に掲載できる広告「Yahoo!コマースアド(通称:YCA)」です。Yahoo!コマースアドを活用することで、ユーザーに商品をより見つけてもらいやすくなります。
本記事では、Yahoo!コマースアドの概要やメリット、Yahoo!ディスプレイ広告(YDA)との違いや注意点について分かりやすく解説します。


目次
Yahoo!コマースアドとは?
Yahoo!ショッピング内には「Yahoo!コマースアド」と呼ばれる、LINEヤフー社が提供する広告配信のプラットフォームを通じて広告配信が可能です。
Yahoo!ショッピング内を狙ってディスプレイ広告を配信するためには、この「Yahoo!コマースアド」の利用が必要です。
Yahoo!コマースアドのメリット
Yahoo!コマースアドには、Yahoo! JAPANのビッグデータを活用した高精度なターゲティングや購買意欲の高いユーザーへの訴求など、さまざまなメリットがあります。ここでは、その代表的な特徴について紹介します。
Yahoo! JAPANのビッグデータを活用した高精度ターゲティングが可能
日本最大級のメディアである Yahoo! JAPAN に蓄積された、ユーザーの属性や興味関心を把握するためのデータに基づき、精度の高いセグメントが可能です。これにより効果的な広告配信が期待できます。
特にYahoo!コマースアドYADリスト(Yahoo! Audience Discovery)機能を活用すると、Yahoo!ショッピング内の「訪問・購買履歴」をもとに、通常のオーディエンスリストでは絞り込みが不可能だった競合商品の購買層や自社ロイヤルユーザー層などを狙ってターゲティング配信が可能です。
ある商品に興味を持っているユーザーや、希望の商品でどれを買うか迷っているユーザーなどに対してアプローチし、購入を後押しすることができます。
■ターゲティング活用事例:
- 競合ストアで「化粧水」を購入したユーザーに向けて → 自ストアのお試しセットを訴求
- 「お米」と検索したユーザー に向けて→ 自ストアのお米セールを訴求
ただし注意点として、Yahoo!コマースアドYADリストの活用には以下の条件があります。
①Yahoo!ショッピングに出店していること
②最低、月額15万以上の出稿
Yahoo!ショッピングに出店していなくてもYahoo!コマースアドの配信は可能ですが、下記表の通りターゲティングの種類が広がるため、最大限活用するには出店することをおすすめします。
区分 | ターゲティング名 | 対象 |
---|---|---|
Yahoo!ディスプレイ広告と同様に使えるターゲティング | 性別・年齢・地域 | 特定の性別、年齢、所在地に該当するユーザー |
曜日・時間帯 | 特定の曜日や時間帯に配信 | |
デバイス | 特定のデバイス(PC・スマホ・タブレット)を使っているユーザー | |
オーディエンスディスカバリー(行動ターゲティング) | 特定の興味関心、購買意向、属性(家族構成や年収など)に該当するユーザー | |
高度なセグメント | Yahoo! JAPANの検索結果から該当のURLのサイトに訪問したユーザー | |
サイトリターゲティング | 特定の Web サイトへ訪問したことのあるユーザー | |
Yahoo!コマースアド独自のターゲティング(Yahoo!コマースアドYADリスト)※利用条件あり | LYPプレミアム会員 | LYPプレミアム会員 |
特定カテゴリの訪問セグメント | Yahoo!ショッピングで特定の商品カテゴリを閲覧したユーザー | |
競合ストア購買セグメント | 競合ストアを利用したことのあるユーザー | |
ストアリターゲティング | 自社ストアに訪問したことがあるユーザー | |
購買予兆モデル | 購買したユーザと類似した行動をとっているユーザー | |
Yahoo!ショッピング商品詳細履歴 | 特定の商品詳細ページを閲覧したことのあるユーザー | |
Yahoo!ショッピング_購買履歴 | 特定の商品を購買したことのあるユーザー | |
自然検索履歴 | 特定のキーワードを検索したユーザー | |
サイト流出履歴 | Yahoo!ドメインから、特定のサイトへ訪問したユーザー | |
広告クリック履歴 | 広告をクリックしたことのあるユーザー | |
広告閲覧履歴 | 広告が表示されたことのあるユーザー |
購買目的で訪れている、確度の高いユーザーに配信ができる
通常の検索では、「買いたい」のほかに「知りたい」「調べたい」などさまざまな意図で使われていますが、Yahoo!ショッピングに訪れる方はすでに「買いたいものがある」「何かを買いに来た」ユーザーが多数を占めています。
またすでにYahoo!を利用しているユーザーであれば、ログインしている場合新たに決済情報を入力する必要がありません。そのため購入までの距離が自社のECサイトに比べてもきわめて近く、高い費用対効果が得られやすくなっています。
Yahoo!コマースアドの特徴
配信面やキャンペーン目的など、Yahoo!コマースアドの概要について解説していきます。
PCとスマホ/アプリで異なる配信面
PCには7つ、スマホ/アプリには5つ配信面があります。
配信面 | PC | スマホ/アプリ |
---|---|---|
TOPページ | ○ | ○ |
商品詳細ページ | ○ | ○ |
注文完了ページ | ○ | ○ |
注文履歴ページ | ○ | ○ |
検索ページ | ○ | × |
ランキングページ | ○ | × |
キャンペーンページ | ○ | ○ |
<配信イメージ 一例>
広告の配信面を指定することはできませんが、「特定の商品詳細ページを見た人」や「特定の商品を購入した人」など、配信対象を指定することが可能です。
3つのキャンペーン目的から選択可能
キャンペーン目的は「コンバージョン」「サイト誘導」「商品リスト訴求(利用条件あり)」で「eコマース」を選択できます。
なお初期設定で「eコマース」は表示されませんので、留意してください。Yahoo!コマースアドの審査が通った場合に表示されます。審査については、後述の「Yahoo!コマースアドを配信したい場合の流れ」をご確認ください。
また、課金方式は「クリック課金」となります。
キャンペーン目的 | |
---|---|
コンバージョン | コンバージョン数が最大化するように配信を最適化する |
サイト誘導 | サイト誘導数(広告クリック数) が最大化するように配信を最適化する |
商品リスト訴求 | コンバージョン数が最大化するように広告クリエイティブと配信を最適化する。動的ディスプレイ広告の商品リストが必須 |
広告クリエイティブの入稿規定
Yahoo!コマースアドの画像クリエイティブの入稿規定は下記です。
フォーマット | 画像サイズ | ||
---|---|---|---|
アスペクト比 | 推奨サイズ | 最小ピクセルサイズ | |
バナー(画像) | 6:5 | 600pixel x 500pixel | 300pixel x 250pixel |
728:90 | 1456pixel x 180pixel | 728pixel x 90pixel | |
39:5 | 936pixel x 120pixel | 468pixel x 60pixel | |
4:15 | 320pixel x 1200pixel | 160pixel x 600pixel | |
32:5 | 640pixel x 100pixel | 320pixel x 50pixel | |
16:5 | 640pixel x 200pixel | 320pixel x 100pixel | |
レスポンシブ(動画) | 16:9 | 640pixel ×360pixel | 640pixel ×360pixel |
レスポンシブ(画像) | 1.91:1 | 1200pixel x 628pixel | 1200pixel x 628pixel |
広告は、すべて高解像度での作成を推奨します。
1サイズからでも配信は可能ですが、表示面が広がるため複数パターン入れておくのがいいでしょう。1サイズを選ぶ場合は、まずはレスポンシブ対応の1.91:1(1200×628px)の作成をおすすめします。
また、作成の際は各ガイドラインページも参考にしてみてください。
参考:
バナー(画像)-運用型
レスポンシブ(動画)
レスポンシブ(画像)-運用型
レスポンシブ(画像)における画像入稿時のご注意
リンク先の種類が限定されている点に注意
Yahoo!コマースアドはYahoo!ショッピングに出店していない企業でも配信可能です。ただし、広告経由で表示される商品はYahoo!ショッピング内に出品されていることが前提で、自社商品が販売代理店や小売店経由でYahoo!ショッピングに掲載されている必要があります。
たとえば、自社ではECサイトを運営していなくても、卸先のストアがYahoo!ショッピングに商品を出品していれば広告の配信が可能です。
Yahoo!コマースアドの広告リンク遷移先は下記の3つに限定されています。
- 商品詳細ページ
- 検索結果ページ
- ブランドページ
設定できる遷移先のドメインもYahoo!関連サービスに限定されています。以下のようなLINEヤフー運営・提携サイトのみが指定可能です。
- Yahoo!ショッピング:.shopping.yahoo.co.jp / .shopping.geocities.jp
- ズバトク:.toku.yahoo.co.
- スタンプラリー:.stamp.yahoo.co.jp
- エールマーケット:.yellmarket.yahoo.co.jp
- ロハコ:.lohaco.yahoo.co.jp
- PayPay銀行:.bank.yahoo.co.jp
- SoftBank:.softbank.jp
- Y!mobile:.ymobile-store.yahoo.co.jp
- LYPマイレージ:.lypmileage.yahoo.co.jp
つまり、自社ECサイトや独自ドメインへの直接リンクは設定できません。Yahoo!ショッピング内での完結を前提とした広告である点に注意が必要です。
なお、自社の EC サイトを持っていないメーカーでも、自社商品が Yahoo!ショッピングで取り扱いされていれば、出店することなく広告を配信できる状況です。
Yahoo!ディスプレイ広告(YDA)との違い
そもそもYahoo!コマースアドは、Yahoo!ディスプレイ広告の一種という位置づけです。ただし、通常のYahoo!ディスプレイ広告とは掲載面やターゲティングの種類が異なります。
Yahoo!ディスプレイ広告では、LINE ヤフー社と提携したパートナーおよび広告配信サービスを用いて様々なメディアに配信がされます。一方、Yahoo!コマースアドはYahoo!ショッピング内の配信に限られますので「まさに今、商品を探している」購買意欲の高いユーザーに訴求を行うことが可能です。
幅広くメディアで配信するよりも、購買行動に近いユーザーにピンポイントで訴求が可能なため、特に獲得目的で実施するには向いています。
逆にブランド認知やまだ接点のない層にも広くリーチしたい場合には、Yahoo!ニュース・Yahoo!天気や、食べログ・毎日新聞などのサイトに幅広く配信が可能なYahoo!ディスプレイ広告のほうが適しています。
目的にあわせて、使い分けていきましょう。
Yahoo!コマースアドの配信は正規代理店を経由する必要がある
Yahoo!コマースアドの配信は正規代理店(セールスパートナー)経由に限定されています。
広告主の方は、配信希望の場合はYahoo!広告のディスプレイ広告の取り扱い契約を結んでいる正規代理店(セールスパートナー)を通して出稿できます。まずは、運用型広告をお願いしている代理店などに問い合わせてみてください。
もし現時点で正規代理店との取引がなく、どこに相談したらよいかわからないという場合は、公式にセールスパートナーの一覧が掲載されています。
参考:セールスパートナー 一覧
セールスパートナーとなっている広告代理店の方で、Yahoo!コマースアドの提案や実施を検討されている場合は、Yahoo!広告の営業担当の方へ問い合わせてみてください。
なお、代理店から Yahoo! に配信希望の連絡をしたのち審査が実施されます。そのため、配信開始できるまでには10営業日程度かかります。
提出物などはありませんが、検索広告やディスプレイ広告のように広告アカウント開設後すぐに配信できるわけではないため、スケジュールに余裕を持って進めることをおすすめします。
Yahoo!コマースアド運用のポイント
広告掲載ガイドラインに違反していないか
下記の広告掲載ガイドラインに違反していると審査に通らないため、広告の作成時には注意をしましょう。
参考)Yahoo!広告掲載基準
セグメント、ターゲティングを活用する
細かなセグメント・ターゲティングが可能な点がYahoo!コマースアドのメリットの1つですが、うまく活用しなければその価値を発揮させることはできません。
大前提として、限られた広告予算の中でどういった目的でYahoo!コマースアドを運用していくかを明確にしておくことが大切です。
例えば、自社のロイヤルユーザーに対してクロスセルを狙う広告と、他社の商品を購入しているユーザーにアプローチする広告では、打ち出し方や内容はまったく異なりますよね。
新規顧客の獲得が目的であれば、「購買予兆モデル」や「競合ストア購買セグメント」などのターゲティングを活用して、ターゲットを絞った配信が有効な選択肢になります。
このように、選べる手段が多いからこそ、誰に届けたいかという目的に合わせたセグメント設計と、それぞれに響くクリエイティブの設計がとても重要です。
余裕を持ったスケジューリング
前述した配信スタート時のほかにも、セグメントのためのオーディエンスリスト(YADリスト)の作成や広告審査にもYahoo!側の処理が入るため、それぞれ時間を要します。
また運用開始時には、Yahoo!担当者へYahoo!コマースアドのアカウントIDなどの連携を行ったうえで、コンバージョン計測設定も依頼する必要があります。
どれも複雑な作業や事前に必要な知識などはありませんが、アカウントを開設してすぐにすべての機能を活用できるわけではないため、余裕を持ったスケジュール設定を行いましょう。
セール時期の攻略
Yahoo!ショッピングでは、定期的に様々なキャンペーンが実施されています。キャンペーンが実施される「お得な日」はユーザーの購買も促進されるので、入札を強化するなどしてうまく活用しましょう。中でも、年に3回程度開催される『超PayPay祭』は注目度の高い大型キャンペーンです。
Yahoo!コマースアドでは、そういった「『超PayPay祭』期間のみ未購買者層に対してターゲティングする」といった柔軟なコントロールも可能です。またセール時期だけではなく、セール前から少しずつ広告の露出を高めておくことで、セール本番での売上を最大化させられるだけでなくセール終了後の売上減少を抑える効果も期待できます。
このように、キャンペーンのタイミングを意識しながら広告予算をうまく配分することで、全体の広告パフォーマンスをより高めることが可能です。
まとめ
Yahoo!コマースアドは、Yahoo!ショッピング内の確度の高いユーザーに対して、ピンポイントな広告配信ができる強力な手段です。Yahoo! JAPANのビッグデータを活用した高度なターゲティング機能や、セール時期との連動による費用対効果の最大化は、他の広告施策では得がたい特徴と言えるでしょう。
一方で、配信開始までに代理店を通じた手続きや審査の時間が必要な点や、リンク先がYahoo!内に限定されるなどの制約もあるため、事前のスケジュール設計と目的整理がカギになります。
Yahoo!ショッピングを販路の一つとして捉えるなら、広告との相乗効果を最大化するためにも、Yahoo!コマースアドの活用は今後ますます重要性を増すでしょう。出稿条件や仕様に注意しながら取り入れてみてください。
