「守破離がモットー」最速でチームリーダーになった山元さんの仕事観
営業会社→広告代理店を経て2017年にアナグラムに入社。「型を大事に」PDCAを回し最速でチームリーダーになった山元さんに、仕事をするうえで大事にしていることを聞きました。

―入社前はどんなお仕事をされていたのですか?

新卒で入った一社目は、エアコンやら保険やら何でも売るような営業会社でした。それこそ朝から晩までテレアポするような会社で、売上ノルマの達成は当たり前。最初はその雰囲気に圧倒されていましたが、先輩から学んでいくうちに自分でも徐々に売れるようになりましたね。

でも同時に葛藤も生まれてました。明らかにお客さんにとってうちの商品がベストじゃないのに、営業マンとして自社の商品を売らなきゃいけない場面が少なくなくて……。そんな迷いのある仕事ぶりが影響したのか成績も下がってしまいましたね。そのタイミングで、仲が良かったマーケティングチームの偉い人に相談したら「じゃあこっち来るか」と言ってもらい、マーケティングチームに異動になりました。

広告運用の仕事にはすぐにハマりましたね(笑)数値分析が好きだったので、もう楽しくて楽しくて。 ただ社内には自分しかマーケティングに関わる人間がいなかったので、自分がやっていることが正解なのかどうかは常に不安でした。それで広告代理店に転職しようと思ってたどり着いたのが前職です。

―運用型広告には一社目から触れてはいたんですね。前職の代理店ではどのようなお仕事をされていたのですか?

今と同じで営業から広告運用まで一気通貫で担当していました。ただ前職では100アカウント以上、今の20倍は案件を担当してましたね。たくさんのアカウントやビジネスを見ることができたのは良かったですが、さすがに100社担当していると1社1社のお客様に十分な時間を割けないんですよね。それに心が痛むようになり、再度転職を考えるようになったんです。

―100アカウント……!?良い経験だとも思いますが、全てのアカウントを丁寧に見るのは難しいかもしれませんね。

そうなんです。それに前職は売上ノルマがあったので、100アカウント全てで予算を使い切らなきゃいけないルールもあって。お客さんに対してもっと誠実に向き合いたいと思うようになりました。運用型広告のことを勉強するのにアナグラムブログを読んでいたので、転職するならアナグラムしかない、もし落ちたら広告運用者を辞めようという覚悟で応募したんです。

―1社1社に向き合える時間を増やしたくて転職されたんですね。アナグラムに入社してからちょうど1年でチームリーダーは最短記録と思いますが、どんなことを意識して仕事されてたのですか?

場数を踏むに尽きますね。仮説とか想像とかで量を補えることは理解しつつ、僕は他人より量をこなさないと自分のモノにできないタイプだったので場数を踏むのはすごく意識しました。

早い段階で会社に貢献するにはどうしたらいいかも考えましたね。自分ができて他の人ができないことは何かを考えたんですが、そのうちの一つがお問い合わせ対応でした。誰も手を挙げない案件のお問い合わせも積極的に対応して。おかげで新規顧客との打ち合わせに慣れて、受注も経験して、「こいつはチームリーダーにしても仕事を獲れるんじゃないか」というのが伝わったのかなと思ってます。当時のクルーの中でこれができるのは自分だけだと思ってました。

―問い合わせの対応は山元さんというイメージはありますね。新規対応で意識していることはありますか?

これは一社目の代表から教わったのですが、営業は落語なんです。落語って話の展開やサゲ(話のオチ)は演目によって同じなんですが、そこに至るまでに話し方などは、噺家(はなしか)さんによってアレンジされています。営業も一緒で、同じ会社で同じ商品を売っていれば、相手に伝えたいこと、つまり商品を買ってほしいというオチは相手が誰であれ同じになりますよね。でも「買ってほしい」と伝えるまでの道筋は相手によって全然違うはずです。

落語だと「今日のお客さん、ちょっと盛り上がりが薄いなー」と思ったらオーバーにリアクション入れたりするのと同じで、営業なら「資料に書いてないけどここ補足しないと理解してもらえないかも」と思ったらアドリブで解説入れますよね。

結局、最終的に自分がしたいのはビジネスの話ですが、過程はアレンジして自分らしさも出しながら進めるのが営業だよねと思ってます。ただ型があってこそのアドリブだとは思うので、同じくらい型も大事にしてますね。

―営業は落語…!なんだか関西出身の山元さんらしいですね(笑)型を大事にされてるとのことですが、山元さんの資料を見ているとアップデートも多いように思えます。

はい、先輩の資料を見たりして必ずテンプレは作りますが、入社してから自分の提案資料のフォーマットは何回変えたか覚えてないくらいアップデートしてます。ぼくは量をこなして覚えていくタイプなので、たくさんお客さんの対応をしていくうちに、自分が話しやすいテンプレに変えていくんですよ。こう言われたらこう返そうをあらかじめ全部準備しておくように。

会話のキャッチボールをすべて想定したうえで自分が話す道筋を作ったほうが説得力を持って話せるので。だから自分の型を常にアップデートし続けています。

―「守破離」を徹底している感じですね!チームリーダーとしても順調に見えていますが、マネジメントのコツを掴んだのはいつ頃でしょうか?

最初は失敗ばかりでしたよ。最初はマイクロマネジメントしたり自分が前に出てメンバーの手柄を横取りしちゃったりしてましたね……。

去年くらいにようやく自分がマネジメントをしている人がクライアントに貢献することで、自分の影響力が広がることに臨場感が生まれてきて。他のチームリーダーから、山元さんのチームはみんな仲が良いですよね、上手くやってますよねと言われるようにもなってきました。自分じゃあまり実感はないんですが確実に行動が変わったんだと思います。

―何かきっかけがあったのですか?

きっかけというより、意識と行動が変わったのは徐々にですね。マネジメントを経験すると多分ほとんどの人が「自分が複数人いれば上手くいくのに……!」って思っちゃう時期があるじゃないですか。まさにそう思った時が一瞬あったんですよ。

メンバーの考え方が自分と近ければ上手くいくだろうと勘違いしてました。自分の考え方を細かく伝えるためにマイクロマネジメントに走ってしまってましたね。でも失敗したおかげで、みんなに個性があるのに、自分の価値観を押し付けたらそりゃ上手くいかないよなと。一つずつ着実に改善していこうと思って、メンバーへの指摘を減らしてみたり、雑談のようなコミュニケーションの頻度を上げてみたりしましたね。2週間に1回はPDCAを回すくらいの意識でやってました。

―スパン短いですね。

2週間で変わらなければ、それは本気でやっていないと思っています。昔教えていたメンバーがなかなか仕事を覚えられなくて、「2週間後に新しい学びを獲得したか確認するね」と伝えたら、2週間後何も変わっていなくて。それがきっかけで、自分もふくめて人は変わる気がなければ、変われない生き物だと思ってます。

―たしかに変わる人は2週間といわず一瞬で変わりますよね。納得です。話を少し変えますが、山元さんのモチベーションは何なのでしょうか?

正直あまりなくて(苦笑)でも、お客さんのために働くのは楽しいです。自分のために働けって話をよくされますけど、お客さんのために働くのが自分のためなんですよ。

―すごくわかりますね。お客さんのためと言うと綺麗ごとのように聞こえる人もいるかもしれませんが、本気でお客さんのためが自分のためになる気持ち。

そうそう。あとこれはモチベーションかどうかわかりませんが、常に何かが足りないと思って頑張っています。今の自分には全然満足してませんし、ずっと足りない何かを追い続ける人生も楽しいんじゃないかと思ってますね。

―足りない何かを埋めようとする力ってモチベーションそのものだと思いますよ!人によっては満足して立ち止まるじゃないですか。安定しちゃったみたいな。それで言うと今の目標は何ですか?

今はチームメンバー全員をメンター、チームリーダーにするのが目標です。チームのメンバーが評価されることで自分も評価される。これが何より嬉しいことに気付いたんです。これも結局は「メンバーのため」が「自分のため」になってるんですよね。

―お客さんのため、チームメンバーのためが自分のためなんですね。山元さんが仕事をするうえで大切にしていることを教えてください。

お客さんのお金にコミットすることです。自分のことをマーケターと呼ぶことにずっと違和感があったのですが、阿部さんから言われた「マーケターにならなくていい、商売人になれ」という話が個人的に気に入ってるんです。商売人のほうがお客さんの売上や利益にコミットしている感じがするんですよね。

それこそ、アナグラムの競合はファンド」とも表現していましたが、お客さんの大事なお金を預かって、利益としてお返しする。これが広告運用者の本質と思って仕事しています。

―最後にどんな人と働きたいか教えてください。

顧客のために頑張ることが自分のためになる、自分のために頑張ることが顧客のためになることが理解できる。そんな想像力がある人と働きたいですね。顧客に貢献すれば自分の成長にも繋がるので、1社1社に十分な時間を割けるこの環境をフル活用してほしいです

編集後記

チームリーダーとしてメンバーのマネジメントをしながら、プレイヤーとしてもお客さんから絶大な信頼を得ている山元さん。順調に見える裏には数多くの失敗と工夫がありました。「営業は落語」「人は変わる気がなければ変われない」など、山元さんの仕事観には今日から生かせる考え方もあったのではないでしょうか。