クリエイティブディレクター兼デザイナーとして活躍する佐藤一葉さんは、もともと広告代理店で働くことを全く想定していなかったとのこと。逆算的に考えられたキャリアではなくても、点と点をつなげながら成長していけるのはなぜなのか?詳しくお話を伺いました。
昼は経営、夜はデザインを学んだ大学時代
ーーー 一葉さんは、大学を卒業したあとのファーストキャリアとしてアナグラムを選んでくれましたよね。大学時代は何を勉強していたんですか?
経営学部で、経営やマーケを複合的に学んでいました。会計ゼミに入っていたので、企業の数値分析のようなこともしていましたね。企業が成功している理由について仮説を立てて、実際の数値を分析したり、その仮説の根拠を探していく、みたいなフローが楽しかった記憶があります。
ただ、当時はその知識を得たうえで行きたいと思うような企業が見つからず…コロナの時期でもあったので、自分自身を見つめ直した結果、大学は続けつつ、夜間のデザイン学校に通うことにしました。
ーーー 昼に大学、夜にデザイン学校というのは、なかなかハードですね!もともとデザインに興味があったんですか?
はい。小さい頃から絵を描いたりするのが好きでした。学校に通う前から自分で絵を描いてネットに載せたり、CGを作ってみたりもしていましたね。
ただ、それは趣味の範疇だったので、学校で1年間しっかり学んで最低限の知識を身につけたうえで就職に活かそうと思い、がんばっていました。
買い付けから販売まで。古着販売で生計を立てる日々
ーーー デザインの学校を卒業してからアナグラムに入社するまで、少し期間が空いていますよね。その期間はどうしていたんですか?
4年生の1年間はデザインの学校に集中していたので就活をしていませんでした。3月に卒業してから就活を始めたので、会社が決まるまでの期間は大学1年生のときからやっていた古着販売で生計を立てていました。
ーーー 生計が立てられるほど、というのはすごいですね!古着がお好きだったんですか?
いえ、特に詳しかったわけではないんです。知り合いから「やってみない?」と言われて、面白そうだったので始めました。
最初は全然ダメでしたね。まずは古着の買い付けから始まるんですが、ブランドや洋服の生地、デザインの流行などを知っておかないと、良い商品を仕入れられないんです。半年くらいやって知識が身についてきてから、ようやく軌道に乗ったという感じでした。
ーーー 知識はどうやって身につけていったんですか?
ネットでも情報収集はできるんですけど、実店舗に行くのが一番でした。古着屋に行って、どういう商品が高く売れているかをリサーチしたり、今どういうブランドが流行っているかを散歩がてらお店に入って見てみたり。
知識が増えてくると、買い付け元の人の懐に入って、良い商品を回してもらえるようにもなりました。買い付け元の人は古着が好きな人が多いので、知識があると会話が弾むんですよね。
ーーー 買い付けた商品は、どうやって売っていたんですか?
BASEでサイトを作って売ってみたりもしたんですが、自分の買い付けているものには統一感がなかったので、ショップの世界観を見せなければならない「サイトでの販売」は向いていませんでした。
基本的にはフリマアプリで、テキストや写真を工夫して売っていましたね。打ち出したいポイントがしっかり伝わるように【最新モデル】とか【激レア】みたいなテキストを冒頭につけたり、画像もアイテムの特徴に合わせて文字をいれたり複数の画像を組み合わせたり。
テキストや画像で興味をもってもらうのは、広告運用にも似ていますね。
想定していなかった広告代理店というキャリア
ーーー 古着販売で生計を立てつつ、就活では、どういう企業を見ていたんでしょう?
デザインを勉強したのは1年間だけだったので、仕事を選べる立場ではないと思っていました。なので、デザイン系なら何でも!と思い、服飾系・ゲーム系など片っ端から受けていて。広告代理店のデザイナーを目指していたというわけではありませんでした。
運用型広告についても、正直言うと全然知らなくて…。面接で話を聞くなかで理解が深まって、面白そうだな、と思い入社しました。経営学部で学んだ知識も活かせそうだな、という感覚もありましたし、アナグラムの面接ではスキルよりも内面を見てもらえたと感じたのも入社の決め手でした。
ーーー 広告代理店というのは想定していなかったキャリアだったんですね。とはいえ、ここまでのお話を聞いていると、一見関係なさそうな経験がアナグラムでの仕事に活きていそうな気がします。
たしかに改めて考えると、大学のゼミでやっていたことも、仮説を立てて数値分析していくという面で広告の分析に似ている部分があったりしますし、古着販売もつながる部分が多いですね。
商品の魅力をとことん考えてテキストや画像に落とし込むことで顧客に反応をもらえるというのは、まさしく今の仕事につながる部分ですし、市場を知るためにはリアルな場所に足を運ぶのが大事だということ、知識が身についてくるとクライアントと自信をもって会話できるということなど…意識していたわけではないですが、これまでの経験がアナグラムの仕事にもつながってきているな、と感じます。
ーーー 実際に入社してみて、ギャップはありましたか?
想像以上にロジックを求められる環境だと感じました。それが楽しくもあるのですが、自分はついていけるのだろうか…?とも思いましたね。
ただ、むちゃくちゃな課題を丸投げされるということはなく、今の自分にとって少しチャレンジングな課題を一つずつ着実に学んでいけるようにマネジメントしてもらったので、徐々にできることが増えていきました。
まずは、与えられた課題にめいっぱい応える
ーーー この仕事がしっくりきた瞬間というのは、いつだったんでしょう?
自分がフロントに立って、クリエイティブのディレクションから制作、クライアントへの報告までをやったときですね。
管理画面を見て配信状況を確認したり、ターゲットについて考えたり、訴求軸をコンサルタントの人に提案したり…制作以外の部分もトータルで任せてもらったことで全体像が見えましたし、一般的な広告業界のデザイナーとは違って、自分でハンドルを握れるのがすごく楽しいな、と感じました。
自分が考えて作ったクリエイティブを見て、心を動かされた結果コンバージョンしてくれた人がいると思うとうれしいですね。古着販売のときもそうだったのかもしれないですが、自分で判断して実行したことが良い結果につながるのはやりがいがあります。失敗することもありますが、その失敗も踏まえて、試行錯誤を繰り返すのが好きみたいです。
ーーー 未経験から入社して、すでにフロントに立って切り盛りしているんですね。成長するために意識したことは何かありますか?
とにかく、与えられた課題にめいっぱい応えることです。目の前のことを必死こいてやった結果、小さな成功体験を積みながら、無意識のうちに成長していたな、と思います。
最初の頃は、グロースハックで1時間みっちり考えても、アウトプットを1行しか出せないこともありました。根がネガティブなので、うまくできないと落ち込むこともありますが、上司からは「入社したばかりなんだから出来なくて当たり前。いまの姿勢のままやり続けていればよい」とフィードバックをもらっていたので、目の前のことに必死に取り組みました。
※グロースハック:アナグラムで行われている勉強会。案件を1つ取り上げ、そのアカウントを分析し各自がアウトプットを行う。
ーーー めいっぱい応え続けていくなかで、印象に残っている仕事はありますか?
とある案件で急いでクリエイティブを作らなけらばならなかったときに、骨組みがしっかりしていない状態で進めてしまったことがありました。
その結果、コンサルタントのメンバーともうまく連携ができなかったり、訴求軸がブレてしまったり、検証のスピードが遅くなってしまったり、さまざまな問題が発生してしまったんです。
その経験を受けて、ディレクションを担当するのであれば、時間がなくても骨組みを整えるところを怠ってはいけないと強く感じました。骨組みが整っていないと、正しい試行錯誤もできないので…。
反省点が多い仕事だったので、すごく印象に残っていますね。
チャレンジの原動力は「尊敬できる人の存在」
ーーー 失敗したとしても、全力でやった結果であれば得られるものも多いですよね。そんな、何事にも全力で取り組む一葉さんがチャレンジを続けられる原動力というのは何なんでしょう?
「周りの尊敬する人たちに認められたい」という気持ちかもしれないです。
アナグラムに入ってビックリしたのが、「この人とは仕事したくないな」という人が1人もいないということです。それぞれ強みや尊敬できるところがあるので、誰と仕事をしても楽しいんです。
そういう恵まれた環境にいるので、「この人にこういうところで認められたらうれしい!」という気持ちが自然と生まれてきて、それが成長への原動力になっている気がします。
ーーー 今後、アナグラムにおいてどんな存在になっていきたいと考えていますか?
広告運用・デザインともに実力をつけることで、「運用の話が絡んでいてもクリエイティブはあの人に頼めばなんとかなる!」と思ってもらえるような存在になりたいです。
いまも、クリエイティブディレクター兼デザイナーという立場でありながら、ある案件で1つの媒体を運用させてもらっていますが、ゆくゆくは運用もデザインもできちゃうぜ!という人になれたら理想ですね。
ーーー では最後に、クリエイティブディレクター兼デザイナーとして、どんな方と一緒に働きたいか教えてください!
ビジネスを伸ばすということや、数値を見ながら試行錯誤することを素で面白いと思える人ですかね。そういう人がデザイナーとして案件に入ったら、すごく活躍できると思います。
アナグラムには売上ノルマという評価基準がないので、自分の利益や名誉ではなく、クライアントの事業を良くするにはどうしたらいいか?という部分に向き合いやすい環境があります。ノルマという分かりやすい指標がない分、クライアントのことをどこまででも考える上昇志向あるメンバーばかりなのが刺激になっています。
自分もそういう考え方をしていきたいし、そういう人と一緒に働けたら、さらに切磋琢磨していけそうです!