Yahoo!広告が2025年度下半期(2025年10月~2026年3月)に向けて、大規模なアップデートを実施します。2025年11月に公開されたロードマップでは、AI活用による自動化推進、プライバシー規制への対応、運用効率化を軸とした多数の新機能が発表されました。
参考:プロダクト資料について - ヘルプ - Yahoo!広告
検索広告(YSA)の主要アップデート
- 年齢性別ターゲティングで精緻な配信が可能に
- 広告表示アセットのアカウント一括設定で工数を大幅削減
- 画像アセットをAIが自動生成し、クリエイティブ制作をサポート
検索連動型ショッピング広告(SSA)の主要アップデート
- 薬機法対応商品の出稿が解禁され、EC事業者に新たなチャンス
- オーディエンスリストターゲティングでターゲット精度が向上
- 自動入札機能の段階的提供で運用を効率化
ディスプレイ広告(運用型)の主要アップデート
- 動画配信サービス「Abema」での広告配信が可能に
- 来店計測機能を大幅強化し、O2O効果を可視化
- 生成AIでクリエイティブ制作を支援し、運用負荷を軽減
盛りだくさんですが、主要なアップデートをそれぞれみていきましょう。
※本記事ではディスプレイ広告(予約型)は取り扱いませんので公式資料をご確認ください
Yahoo!広告全体の強化方針
2025年度下半期のアップデートは、「広告効果の最大化」と「運用効率の向上」という2つの大きな方向性に集約されています。
広告効果の最大化
ターゲティング機能の改善
LINEヤフーグループの独自データを活用し、プライバシー規制に対応しながら効果的なターゲティングを実現します。サードパーティCookieの廃止が進む中、ファーストパーティデータとソフトバンク回線データを組み合わせた新しいアプローチが特徴です。年齢性別ターゲティングやオーディエンスリストターゲティングなど、より細かなセグメント設定が可能になります。
広告フォーマットの進化
検索ユーザーに有益な情報を提供できるUIへと進化します。画像アセットの活用推進や、動画広告の配信先拡大など、多様な表現手段を提供することで、商品・サービスの魅力をより効果的に伝えられるようになります。
運用効率の向上
AIによる自動化推進
生成AIによるクリエイティブ制作支援から、機械学習による自動入札まで、幅広い領域でAIを活用。専門スキル不要で高度な広告運用が可能になります。運用担当者は日々の調整作業から解放され、より戦略的な業務に集中できるようになります。
管理ツールの操作性向上
アカウント単位での一括設定など、手間のかかる作業を簡易化。運用工数を大幅に削減し、戦略立案により多くの時間を使えるようになります。一覧画面の追加や検索機能の強化により、必要な情報に素早くアクセスできる仕組みも整備されます。
検索広告(YSA)の主要アップデート
検索広告では、ターゲティング精度の向上と運用効率化を中心に、実用性の高い新機能が提供されます。
主要アップデート一覧
| 機能 | リリース時期 | 主なメリット |
|---|---|---|
| 年齢性別ターゲティング | 2026年1~3月 | ターゲット精度向上、無駄な配信削減 |
| 広告表示アセットのアカウント関連付け | 2026年1~3月 | 設定工数70%削減、設定漏れ防止 |
| 画像アセット自動生成 | 2026年1~3月 | クリエイティブ制作時間・コスト削減 |
| クリックシェアレポート | 2026年1~3月 | 競合分析、予算配分最適化 |
年齢性別ターゲティングの追加
提供時期:2026年1~3月予定
年齢層と性別を組み合わせた精緻なターゲティング設定が可能になります。特定の年齢・性別の組み合わせに対して配信を強化したり除外したりすることで、広告予算をより効果的に活用できます。
主な機能
- 年齢層と性別を組み合わせたターゲティング設定
- 特定属性への配信強化・配信除外
- 年齢性別別のパフォーマンス分析
活用シーン
ケース1:20代女性向けコスメ商品 メインターゲットの20代女性に配信を集中させることで、ターゲット外への無駄な広告費を削減し、CVRを向上させます。
ケース2:40代男性向け高額商品 該当層以外を配信除外し、限られた予算をターゲット層に集中投下。CPAを抑えながら質の高いコンバージョンを獲得できます。
ケース3:新たなターゲット層の発見 「女性向け」と想定していた商品が、データ分析により30代男性からの反応も良好と判明。ターゲットを拡大して売上を伸ばすといった戦略的判断が可能になります。
注意点と効果
一定の基準を満たすアカウントが対象とされています。また、ターゲットを絞り込みすぎるとリーチが減少するリスクもあるため、まずは幅広く配信してデータを蓄積し、段階的に最適化することが推奨とのことです。
不特定多数を対象とするようなキーワードでは、年齢や性別によって費用対効果に違いがでることも少なくありません。年齢性別による調整が可能となることで、パフォーマンスの向上に繋げられる可能性が高まります。
広告表示アセットのアカウント関連付け
提供時期:2026年1~3月予定
これまでキャンペーンごとに個別設定が必要だった広告表示アセットを、アカウント単位で一括管理できるようになります。
従来の課題と新機能
従来の構造
アカウント
├─ キャンペーンA:電話番号、住所を設定
├─ キャンペーンB:電話番号、住所を再設定(同じ内容)
└─ キャンペーンC:電話番号、住所を再設定(同じ内容)
キャンペーン数が増えるほど設定作業が煩雑化し、設定漏れのリスクも増加していました。
新機能による構造
アカウント:電話番号、住所を1回だけ設定
├─ キャンペーンA(自動適用)
├─ キャンペーンB(自動適用)
└─ キャンペーンC(自動適用)
アカウントレベルで設定すれば、全キャンペーンに自動適用されます。現時点では明言が無いですが、キャンペーンなど下層で設定が優先される仕様になるものと思われます。階層構造を理解し、適切なレベルで設定することで管理効率よく設定を行いたいですね。
画像アセットの自動生成
提供時期:2026年1~3月予定
ランディングページのURLを指定するだけで、AIが広告に最適な画像を自動生成します。ただし、自動生成された画像は必ず確認し、ブランドイメージに合わない場合は手動で調整することをお勧めします。
その他の機能強化
クリックシェアレポート(2026年1~3月予定)
検索結果ページでの自社広告のクリックシェアを可視化。競合との比較により、予算配分の最適化判断に活用できます。
ビジネスネーム(2026年1~3月予定)
広告に表示されるビジネス名称を最適化し、ブランド認知度向上に貢献します。
将来提供予定(2026年4月以降)
- アドカスタマイザーの利便性向上:動的テキスト挿入がより使いやすく
- 動的生成機能:広告文の自動生成機能を拡充
- 提案機能改善:AIによる最適化提案の精度向上
検索連動型ショッピング広告(SSA)の主要アップデート
SSAは2025年度下半期に大きく進化します。特に出稿可能商品の拡大と自動化機能の強化が大きなトピックです。
主要アップデート一覧
| 機能 | リリース時期 | 主なメリット |
|---|---|---|
| 薬機法対応商品の出稿解禁 | 済み(10月14日) | 医薬品・化粧品の広告掲載が可能に |
| 商品フィードで掲載調整 | 11月上旬 | 商品単位での細かい制御が可能 |
| オーディエンスリストターゲティング | 2026年1~3月 | CVR向上、無駄な配信削減 |
| 自動入札(CV数最大化・CPA目標値) | 2026年1~3月 | 入札調整の工数削減、成果向上 |
| 自動入札(CV価値最大化・ROAS目標値) | 2026年4月以降 | 売上総額の最大化 |
商品フィードでSSA掲載調整
提供開始済み:2025年11月上旬
商品フィードに[excluded_destination]項目を追加し、「Shopping_ads」を指定した商品をSSAに掲載されなに、商品単位でSSA掲載の可否を制御できます。次のようなケースでの活用が可能となる見込みです。
- カテゴリー全体は出稿したいが、一部商品は除外したい
- 利益率の低い商品は広告対象外にしたい
- 在庫が少ない商品は広告を控えたい
従来は広告管理ツール上で個別設定が必要でしたが、商品数が多いと管理が困難でした。パフォーマンスやサイトの事情にあわせたコントロール性が向上しますね。
オーディエンスリストターゲティング
提供時期:2026年1~3月予定
広告主のサイト訪問者や顧客データを活用したターゲティングが可能になります。
利用可能な2種類のリスト
①ウェブサイト訪問ユーザー(サイトリターゲティング)
たとえば、次のような活用ができそうです。
| 活用パターン | 設定内容 | 期待効果 |
|---|---|---|
| 既存顧客除外 | 購入完了ページ訪問者を除外 | 新規顧客獲得に予算集中 |
| カート離脱者強化 | カート追加後に離脱したユーザーに配信 | CVR向上、売上回復 |
| 高単価商品検討者 | 商品ページを3回以上閲覧したユーザーに配信 | 質の高いユーザーに効率配信 |
②顧客データ
たとえば、次のように顧客のステータスに応じた広告活用ができそうです。
| 活用パターン | 設定内容 | 期待効果 |
|---|---|---|
| 既存顧客への類似商品訴求 | 過去購入者リストに配信 | リピート購入促進 |
| 休眠顧客再活性化 | 90日以上購入のない顧客に配信 | 再購入促進、LTV向上 |
| VIP顧客除外 | 高頻度購入者を除外 | 広告費削減 |
自動入札機能の段階的提供
提供時期:2026年1~3月以降、段階的に
手動での入札調整以外に、機械学習による入札が可能になり調整の選択肢が増えます。
提供スケジュール
| 提供時期 | 入札戦略 | 最適化目標 | 推奨シーン |
|---|---|---|---|
| 提供済み | 個別クリック単価 | 手動設定したCPC | 細かい入札調整が必要 |
| 2026年1~3月 | CV数の最大化 | 予算内でCV数を最大化 | CV数を増やしたい |
| 2026年1~3月 | CPA目標値 | 目標CPA内でCV最大化 | 許容CPAが明確 |
| 2026年4月以降 | CV価値の最大化 | 売上総額を最大化 | 商品単価にばらつき |
| 2026年4月以降 | ROAS目標値 | 目標ROAS達成 | 目標ROASが明確 |
コンバージョン数の最大化(2026年1~3月)
指定した1日の予算内で、CV数が最大になるよう自動調整します。
推奨シーン
- SSA運用開始で適切なCPCが分からない
- 商品数が多く個別管理が困難
- とにかくCV数を増やしたい
その他の機能追加
対象外キーワードリスト(2026年1~3月予定)
広告を表示したくない検索キーワードをリスト化し、複数キャンペーンに一括適用できます。より緻密に費用対効果にあわせた広告出稿が期待できます。
リスト名:価格比較サイト
含まれるキーワード:最安値、価格比較、価格ドットコム
→ 無駄なクリックを一括で削減
コンバージョンインポート(2026年4月以降予定)
外部システムで計測したCVデータをインポート可能に。電話注文や店舗購入など、オフラインCVの計測が実現します。オフラインの購入導線がある場合でも費用対効果を測りやすくなりますね。
ディスプレイ広告(運用型)の主要アップデート
ディスプレイ広告は2025年度下半期に最も多くの機能強化が予定されています。
主要アップデート一覧
| 機能 | リリース時期 | 主なメリット |
|---|---|---|
| Abema正式対応 | 2026年1月 | 月3,000万UUにリーチ |
| 来店レポート提供 | 2026年1~3月 | O2O効果を可視化 |
| 来店計測の管理ツール化 | 2026年1~3月 | 設定工数削減、リアルタイムレポート |
| URL to Image | 2025年11月 | LP URLから画像を自動生成 |
| 生成AI機能の管理ツール統合 | 2026年4月以降 | クリエイティブ制作を一気通貫化 |
インストリーム広告:Abema正式対応

提供時期:2026年1月予定
9月に正式提供を開始したインストリーム広告において、月間3,000万ユーザーを誇る動画配信サービス「Abema」への正式対応により、動画広告のリーチが大幅に拡大します。
Abemaの特徴
- ユーザー規模:月間アクティブユーザー約3,000万人
- 視聴デバイス:スマートフォン、タブレット、CTV(テレビ)
- コンテンツ:ニュース、スポーツ、ドラマ、アニメ、バラエティなど多様
- 視聴態度:能動的な視聴が多く、広告への注目度が高い
期待される効果
- リーチ拡大:特に20~40代の若年層・中年層へのアプローチ
- 視聴完了率向上:能動的視聴により広告の視聴完了率が高い
- ブランド認知向上:CTVの大画面で視認性が高い
- 多様な目的に対応:新商品プロモーション、イベント告知、アプリインストール促進など
インストリーム広告:来店レポートの提供
提供時期:2026年1~3月予定
さらに、インストリーム広告視聴後の来店効果を可視化できるようになります。
計測の仕組み
1. ユーザーが動画広告を視聴
2. 広告を見たユーザーのデバイス情報を記録
3. ユーザーが実店舗に来店(一定期間内)
4. LINEヤフーの位置情報データで来店を検知
5. 広告視聴と来店の因果関係を統計的に分析
6. 広告管理ツールでレポート確認
プライバシーに配慮し、個人を特定しない統計的な処理が行われます。
確認できる情報
- 来店ユーザー数
- 来店率(広告視聴者のうち来店した割合)
- 来店単価(来店1件あたりの広告費用)
- 来店までの日数分布
来店計測関連機能の管理ツール提供
提供時期:2026年1~3月予定

これまで、個別に情報入力や掲載終了後にしか掲載結果が確認できなかった来店計測の設定・レポート確認が、広告管理ツールから直接行えるようになります。キャンペーン期間中の成果確認により方針の変更など柔軟に行えるようになりそうです。
従来の課題
- Excelファイル作成と営業担当への提出が必要
- 設定変更のたびに営業とのやり取りが発生
- レポートは掲載期間終了後のみ確認可能
新機能での改善
| 機能 | 変更内容 |
|---|---|
| 計測店舗登録 | 管理ツールから直接入力、CSV一括アップロード対応 |
| 来店計測設定 | コンバージョン設定画面から通常設定と同様に操作 |
| レポート取得 | 任意のタイミングでリアルタイム確認が可能 |
生成AIによるクリエイティブ作成機能
提供時期:URL to Image(2025年11月)、管理ツール統合(2026年4月以降)

LINE Creative Labの機能
| 機能名 | 概要 | リリース時期 |
|---|---|---|
| Text to Image | テキストから画像を生成 | リリース済み |
| Outpainting | 画像の比率変換とAI拡張 | リリース済み |
| URL to Image | LP情報から画像を生成 | 11月予定 |
URL to Image機能
LPのURLを指定するだけで、ページ内容を解析してディスプレイ広告に適した画像を自動生成します。
メリット
- デザインスキル不要で高品質な画像を作成
- 複数パターンを自動生成しA/Bテスト可能
- 制作時間とコストを大幅削減
管理ツールへの統合(2026年4月以降)
現在は別ツールで画像生成→ダウンロード→アップロードという流れですが、統合後は以下のように一気通貫で実行できるようになるとのこと。
1. 広告管理ツールで広告グループを作成
2. クリエイティブ作成画面で「AIで画像生成」を選択
3. ランディングページURLを入力
4. 生成された画像を確認・選択
5. そのまま広告として登録
まだまだクリエイティブ作成の選択肢となっているケースは少ないかと思いますが、導線がスムーズになり徐々に実用性が高まっていくのを感じますね。
全体スケジュール
2025年10~12月
SSA
- 商品フィードでSSA掲載調整(11月上旬)
ディスプレイ広告
- URL to Image(11月、LINE Creative Lab)
2026年1~3月
検索広告(YSA)
- 年齢性別ターゲティング
- 広告表示アセットのアカウント関連付け
- 画像アセット自動生成
- クリックシェアレポート
- ビジネスネーム
SSA
- オーディエンスリストターゲティング
- 自動入札(CV数の最大化、CPA目標値)
- 対象外キーワードリスト
ディスプレイ広告
- Abema正式リリース(1月)
- 来店レポート提供
- 来店計測関連機能の管理ツール提供
2026年4月以降
検索広告(YSA)
- アドカスタマイザーの利便性向上
- 動的生成機能
- 提案機能改善
SSA
- 自動入札(CV価値の最大化、ROAS目標値)
- コンバージョンインポート
ディスプレイ広告
- LINE Creative Lab機能の管理ツール統合


画像引用元:Yahoo!広告ロードマップ資料(2025年度下期)
まとめ
Yahoo!広告の2025年度下半期アップデートは、「AI活用」「プライバシー対応」「運用効率化」を軸に、広告主の成果最大化を目指した大規模な機能強化です。
特に注目すべきは、これまで手動で行っていた多くの作業が自動化され、専門スキルがなくても高度な広告運用が可能になることです。生成AIによるクリエイティブ制作支援、機械学習による自動入札、管理ツールの操作性向上により、運用担当者はより戦略的な業務に集中できるようになります。
また、SSAの薬機法対応商品解禁、Abemaでの動画広告配信、来店計測機能の強化など、新たなビジネスチャンスも広がります。
これらの新機能を適切に活用することで、広告効果の向上と運用効率化の両立が期待できるでしょう。いまのうちから自社や担当する広告主のビジネスに最適な機能から段階的に導入を検討してみてください。



