アプリの継続率(リテンションレート)とは?ユーザー動向を把握できるコホート分析と4つの改善方法

アプリの継続率(リテンションレート)とは?ユーザー動向を把握できるコホート分析と4つの改善方法

アプリのプロモーションにおいてKPI指標としてよく利用される「インストール数」。

 しかし、インストールしてもらったとしても、実際はインストール後ほとんど使用されず、すぐに使われずに放置されていたりアンインストールされている可能性はありませんか?

インストールしてもらって終わりではなく、アプリを継続的に使ってもらうために把握しておきたいのが「継続率(リテンションレート)」です。

本記事では、アプリの継続率(リテンションレート)の向上に向けた分析方法と具体的なアプローチについて解説します。

継続率(リテンションレート)とは?か

アプリの継続率(リテンションレート)とは、特定の期間内にアプリを利用し続けるユーザーの割合を示す指標です。

通常、インストールしてから一定期間(例えば1日、7日、30日など)経過した時点で、そのアプリを利用し続けているユーザーの割合が継続率として計測されます。

例えば、5月1日に1,000人がアプリをインストールしたとして、そのうち7日後に300人がアプリに再来訪していたら、7日後の継続利用率は30%となります。また、30日後に100人が再来訪していたら、30日後の継続利用率は10%となります。

なぜ継続率(リテンションレート)は重要?

アプリに限りませんが、ビジネスにおいて継続率が重要な理由はいくつかあります。

まず大きいのが「収益の安定化に繋がる」という点です。

特にアプリでは、収益化ポイントがアプリ内の広告や課金、アプリを経由した購買などが多いですよね。インストールを増やすために広告やプロモーションを行っても、継続率が低ければ安定的に収益は積み上がっていきません。

なお、離脱率は原則的にゼロにできるものではありません。そのため継続率を把握することで、目標達成のために必要な新規顧客の数を算出できます。

また、「改善のためのフィードバックになる」点も重要です。

維持率が低い場合、ユーザーの期待にアプリが応えられていない可能性が高いでしょう。

ユーザーからの不満や希望などは、アプリストアのレビューなどでも得られますが、大半のユーザーはフィードバックをせずにアプリを使わなくなったりアンインストールしてしまいます。

ユーザーはアプリを使い続けているのか、もし継続率が低いのであればその要因にはどんなものが考えられるのか。アプリやサービスを成長させていくためにも継続率は欠かせない指標です。

維持率の変化や傾向を掴む「コホート分析」

アプリのリテンションレートの算出には、アプリ分析ツールやデータ解析ソフトウェアを使用することが一般的です。

本記事では、アプリの計測ツールとしてよく利用されるAppsFlyerAdjustでの維持率の算出方法を解説します。

いずれのツールでも、継続率を分析する際は「コホート分析」の機能を活用するのがおすすめです。

「コホート分析」とは、「グルーピングしたユーザーごとの動きを分析する手法」です。

アプリ全体の継続率をただ算出するだけではどこに課題があるのかが明確にならないため、条件でグルーピングされたユーザーごとに維持率の変化を観察していくことによって、改善すべきポイントがみえてきます。

コホート分析の活用方法

では、実際にAppsFlyerやAdjustでどのようにコホート分析結果が得られるのか、またそこからどのような仮説が考えられるかをみていきましょう。

流入元ごとに分析する

以下はAppsFlyerのヘルプページに掲載されている、ディメンションを流入元メディア(Media Source)に設定したコホート分析レポートです。

この分析により、どのメディアから流入したユーザーがどの段階で維持率が下がっているかを確認することができます。

例えば「performancerevenues..」経由のインストールの場合、Organicに次いでインストール数が多いもののインストール後1日後の維持率が4.26%と非常に低く、インストールから3日後には1.99%のユーザーしか維持されていないことが分かります。

一方で、「AF」経由の場合はインストール数は少ないものの、インストール1日後の維持率が42.43%と非常に高く、その後1週間程度はOrganicより高い維持率が確認できます。

この場合、「『performancerevenues..』経由はインストール単価は安価に獲得できているけど、1日後の維持率はオーガニックに比べて大幅に低い。広告の訴求内容がアプリの提供価値と合っていないかもしれない。」などの仮説を立てることができます。

このように流入元別の維持率の変化を分析することによって、インストールを促す訴求の改善ポイントや長期的にみてどの流入元の広告を強化すべきかなどが見えてきます。

インストールの期間ごとに分析する

以下は、Adjustのヘルプページで紹介されているコホート分析の例です。

画像引用元:コホート分析 | Adjust Help Center

ディメンションが日付になっています。これは、「特定の日にアプリインストールしたユーザー」ごとにグルーピングをしたコホート分析です。

インストールした日によってディメンションを分けたコホート分析は、アプリ全体で実施していたキャンペーン施策などによって維持率にどのような変化があったかを確認するときに便利です。

例えばある期間に『インストール後3日間限定のアプリ内クーポンプレゼントキャンペーン』を行ったとすると、「維持率が4日目以降も高いという事実から、インストール直後に報酬を提供することでユーザーがアプリに慣れ、その後も利用を続ける可能性が高まる」という仮説が考えられるでしょう。 インストールしたユーザーにアプリの価値を理解してもらうために、コホート分析の結果をキャンペーン施策やUIの改善に活用しましょう。

アプリの種類によっては週別や月別など、期間を変えて分析するのもおすすめです。

地域ごとに分析する

以下は、Adjustのヘルプページで紹介されている、ディメンションを「地域(国)」に設定したコホート分析です。

インストールされた地域によってディメンションを分けたコホート分析は、地域ごとに最適化した訴求を見つけたいときに便利です。

画像引用元:コホート分析 | Adjust Help Center

例えば特定の地域だけで維持率が急に下がった日が見られた場合、その地域で競合アプリが登場したことによってユーザーが競合に流れてしまった可能性などが考えられます。地域ごとに訴求すべきポイントを変えるなど対策を検討しましょう。

このように、維持率を分析する際には、具体的な仮説を導くためにコホート分析を上手く活用することがポイントとなります。

AppsFlyer、Adjustでのコホート分析機能の使い方

では実際に、AppsFlyerとAdjustでのコホート分析機能の使い方を説明します。

デフォルトでコホート分析用レポートがあるので、ディメンションや指標など簡単な条件指定をするだけで分析することが可能となっています。

AppsFlyerの場合

公式ヘルプはこちら

1.AppsFlyer管理画面 左メニュー Analyze > Cohort&Retention をクリック。

2.コホート分析のダッシュボードが開きます。

3.画面右上のプルダウンで、コホートの粒度と期間を選択します。(粒度では時間、日、週、月が選択可能)

    

4.「表示内容を編集」をクリックし、コホートタイプ、トレンドタイプ、グループ化を選択します。

コホートタイプ:新規でインストールしたユーザーorインストール済みユーザーのどちらのデータを表示するかを設定します。

ユーザー獲得新規インストールのパフォーマンスデータ(特別に有効にしない限り、再インストールは除外されます)
リターゲティングリアトリビューションまたはリエンゲージメントからのパフォーマンスデータ
統合すべてのユーザーデータ

トレンドタイプ:表示させる時系列のタイプを設定します。

LTVベースイベント発生を起点とした時系列でデータを表示させます。
例:「インストール発生から1日後、2日後、3日後...」「コンバージョン発生から1か月後、2か月後、3か月後...」
計測日ベース3で指定したコホート期間でデータを表示させます。 
例:3で3/1~3/7で期間選択した場合:「3/1、3/2、3/3、3/3…」

グループ化:表のディメンション(縦軸)に表示される、集団をどの指標でグルーピングするかを選択します。

例:チャネル、日付、コンバージョンタイプ
選択できるディメンションはこちら

5.指標を選択します。選択できる指標はこちら

Adjustの場合

公式ヘルプはこちら

1.Adjustの管理画面 左メニュー 「Datascape」 > 「ダッシュボード」 > 「コホート」をクリック。

2.コホートのダッシュボードが開きます。

3.上部のプルダウンから集計期間を選択。特定のチャネルのみのデータを確認したいときは、「チャネル」で特定チャネルを選択。(複数選択可能、デフォルトでは全てのチャネル)

4.ディメンションを選択。

5.指標を選択。

維持率が低い場合のアクション

コホート分析の結果から、維持率が低いことが分かった場合に検討すべきアクションについて説明します。

1日後の維持率が低い

チュートリアルを導入する

アプリインストール後1日後から維持率が低い場合は、ユーザーがアプリを上手に使用できなかった可能性や、アプリの良さを理解できなかった可能性があります。こうした状況を予防するためには、使い方や機能を説明するチュートリアルを導入すると有効です。

ただし、チュートリアルは長すぎたり文字が多かったりなど直観的に「めんどうくさい」と思われてしまっては本末転倒。アニメーションなどを利用し視覚的要素で直観的に理解できるような工夫を取り入れたり、機能の説明だけではなく「このアプリを使いこなすことでユーザーが目指す姿」をイメージできるような内容を簡潔に伝えることで、インストール直後の維持率を改善していきましょう。

特定の日数経過後に維持率が低下する

特定の日数経過後に維持率が低下する場合は、アプリに飽きた可能性やユーザーが最初に描いていた目的を達成したなどが考えられます。

長期的にアプリを使ってもらうために、ユーザーにとって魅力的なオファーやおすすめ商品などの情報を届けてみましょう。

プッシュ通知でメッセージを届ける

インストールしたユーザーのデバイスに直接メッセージを通知させるプッシュ通知は、セールや新商品情報などを届けることにより狙ったタイミングにアプリの利用を促ます。

コホート分析で見えた離脱率が高まりやすいタイミングに配信するなど、インストールからの経過時間でオーディエンスを指定すると維持率改善に繋げていきましょう。すべてのユーザーに対して同じメッセージを配信するのではなく、どんなオーディエンスに・いつ・どんな訴求が有効なのかを検証していくことで、プッシュ通知経由で多くの反応を得られるようにすることが重要です。

アプリリターゲティング広告を配信する

アプリリターゲティング広告とは、インストール済みのユーザーに対して配信する広告のことを指します。直近でアプリを利用していないユーザーに対してアプリの利用を促したり、まだアプリ内でのコンバージョンに至っていないユーザーに対しておすすめの商品情報を見せることでコンバージョンを狙うときに利用されます。

インストール済みのユーザーはプッシュ通知でもアプローチ可能ですが、アプリリターゲティング広告の場合はユーザーがウェブや他のアプリを利用しているときに表示されるので、プッシュ通知がオフにされたとしても情報を届けられます。

また、プッシュ通知は事業者側が送るタイミングにスマホに通知がされるため、例えば寝ているときに通知で起こしてしまうかもしれません。広告の場合は少なくともウェブやアプリを閲覧している状態のユーザーに情報を届けられるというのがメリットです。

アプリ内の行動データから、各ユーザーに最適な情報を届けることで、有益な情報を提供し、再度アプリを使うきっかけを作り出せます。

特定の流入元からのユーザーの維持率が低い

インストールする前にユーザーが持った期待値をアプリの提供価値が超えられなかったことが予測されます。

訴求内容、またはサービスの提供価値を見直す

広告訴求している内容がアプリで得られていない可能性があるため、広告の訴求がアプリが提供できる内容になっているかチェックしましょう。

また、本来想定しているユーザーによるインストールでない可能性もあります。広告の訴求を見直すとともに意図しないユーザーへの広告配信となっていないか、ターゲティングについても見直すことをおすすめします。

場合によっては、これらのユーザーニーズに対応できるよう、機能開発ができたり仕様を変更したりすることで、より多くのユーザーを獲得できる可能性もあるでしょう。

最後に

アプリの成長において、インストール数だけではなく継続率を把握することが不可欠です。

ユーザーグループごとの行動パターンを可視化し、効果的な改善策を導き出すために、是非維持率の分析を活用してみてください。

アプリの成功には、短期的な成果だけでなく長期的なユーザーエンゲージメントの確保が欠かせません。維持率の分析を通じて、より良いユーザー体験を提供し、アプリの持続的な成長を目指しましょう。

関連記事

Yahoo!広告、2022年の主要アップデートまとめ
Yahoo!広告、2022年の主要アップデートまとめ
続きを見る
【わかりやすい】Google ショッピング広告とは?概要と掲載方法を解説
【わかりやすい】Google ショッピング広告とは?概要と掲載方法を解説
続きを見る
Google 広告でクロスドメインのコンバージョンを測定する3つの方法
Google 広告でクロスドメインのコンバージョンを測定する3つの方法
続きを見る