Google アナリティクス 4 (以下、GA4)では、ページビューやスクロール率、外部リンククリック数などさまざまなデータをイベントとして確認できます。さまざまなイベントの中でも、購入数、資料請求数、アプリのダウンロード数などウェブサイトやアプリの目的にとって重要なイベントはより細かく分析したいですよね。
GA4では、ウェブサイトやアプリの目的に繋がる重要なイベントを「キーイベント」として設定できます。
今回は、GA4のキーイベントについて、仕組みや設定方法、知っておきたい注意点まで詳しく解説していきます。詳しく見ていきましょう。
GA4のイベントについてまだよく分からない...という方は、先にGoogleアナリティクス4(GA4)のイベントとは?種類から設定まで基本を解説の記事をチェックしてみてください。イベントの基本を押さえておくと、今回の内容がグッと理解しやすくなります。
監修:
森野 誠之(運営堂)
運営堂代表。
名古屋を中心に地方のWeb運用を支援する業務に取り組む。豊富な社会・業務経験と、独立系コンサルタントのポジションを活かしてWeb制作や広告にこだわらず、柔軟で客観的な改善提案を行っている。
理系思考&辛口の姿勢とは裏腹に皿洗いを趣味にする二児のパパ。尊敬する人はゴルゴ13。
目次
キーイベントとは
GA4の「キーイベント」は、GA4で計測しているイベントの中でとくに重要なイベントに対してマークを付けられる機能です。たとえば、ECサイトにおける商品購入の回数。BtoBビジネスサイトにおける資料請求フォームの送信回数。メディアサイトにおける記事が最後まで読まれた回数などです。
ちなみに、キーイベントは以前は「コンバージョン」という名称でした。(ちなみに、ユニバーサルアナリティクスの時代は「目標」という名称)しかしながら、Google広告にもコンバージョンがあります。GA4とGoogle広告では計測方法が異なるため、同じコンバージョンでもプラットフォームによって数値が一致しない状況が混乱を招いていました。そのため、GA4では名称を「キーイベント」とし、コンバージョンは広告キャンペーンのパフォーマンスを示すものとして定義が明確に分けられています。
キーイベントの仕組み
GA4では、さまざまなユーザーの行動をイベントとして計測します。たとえば、ユーザーがウェブページを閲覧したときに記録される「page_view(ページの閲覧)」や、ファイルをダウンロードした際に記録される「file_download(ファイルのダウンロード)」などです。その中で特に重要なイベントを「キーイベント」として指定することができます。またキーイベントはすでに計測しているイベントをキーイベントに変更することもできます。
また、下記イベントは最初からキーイベントとして登録されており、オフにすることはできません。
イベント名 | トリガーされるタイミング |
---|---|
purchase(ウェブとアプリ) | ユーザーが購入手続きを完了したときに計測。 |
first_open(アプリのみ) | アプリを初回起動したときに計測。 |
in_app_purchase(アプリのみ) | アプリ内で購入が発生したときに計測。 |
app_store_subscription_convert(アプリのみ) | アプリ内でサブスクリプションの無料トライアルから有料プランへ移行したときに計測。 |
app_store_subscription_renew(アプリのみ) | アプリ内で有料のサブスクリプションが更新されたときに計測。 |
それでは実際にキーイベントを設定する方法について見ていきましょう。
注意:設定には「マーケティング担当者」以上の権限が必要
GA4 でイベントにキーイベントとしてマークを付けるには、マーケティング担当者以上の権限が必要です。キーイベント設定のボタンが表示されない場合も権限がないと考えられます。キーイベントの設定の前に、GA4の管理者権限を持っている方に確認をおすすめします。
キーイベントの設定方法
キーイベントの設定方法の流れはキーイベントにしたいイベントがすでに設定されているか、されていないかで変わります。
1.既存のイベントをキーイベントにする場合の設定方法
①GA4の管理画面から「管理」をクリック。
②データの表示から「イベント」をクリック。
③赤枠の「キーイベントとしてマークを付ける」をクリックすると設定は完了です。
2.新規でイベント設定し、キーイベントにする場合の設定方法
新規でイベントを作成する場合は「GA4の管理画面での設定」と「Googleタグマネージャー(以下、GTM)を使っての設定」の2通りがあり、それぞれ特徴は下記です。
設定の種類 | どんなケースが向いているか? |
---|---|
GA4の管理画面で設定 | ・GTMが利用できない場合 ・計測する対象が「ページビュー」のみなど簡単な場合 |
GTMで設定 | ・GTMをすでに利用している場合 ・複数のイベントや複雑なイベントを計測したい場合。 ・サイトの変更などがあっても、タグの管理 ・運用を分かりやすくしたい場合 |
GA4の管理画面での設定はGA4だけで完結しているのでシンプルですが、イベント設定をすればするほど煩雑になり、サイトのソースコードを見てもパッと、どこに何が入っているか分かりづらい、適切に計測がされているかなどが見えづらいです。
GTMであればWebサイトやアプリに含まれるタグの設置・管理・削除が簡単に行えるため、複数のイベントを計測したい場合は、GTMでの設定をおすすめします。
GA4とGTMで同じイベントを作成してしまうこともありますので、新規のイベントはGTMで作成するなどのルールを決めておくと設定が重複したりせず安心です。
イベントの設定方法は下記記事でも紹介しています。注意点など詳しくまとめていますので合わせてご確認ください
今回はカスタムイベントでの「ページビュー計測」を例にご紹介します。
計測内容:お問い合わせ完了ページに到達したらイベント計測
GA4での設定方法
①GA4の管理画面から「管理」をクリック。
②データの表示から「イベント」をクリック。
③赤枠の「イベントを作成」ストリームをクリック。
④「作成」をクリック。
⑤カスタム イベント名「contact_complete」を入力。
この時、入力した名前がGA4のレポートにイベント名として表示されます。
GA4の推奨イベントを設定する場合は、下記ヘルプを参考に入力、カスタムイベントを設定の場合ご自身でわかりやすい名前をつけて設定します。
なお、API連携時に不具合が確認されており、設定時には半角英字とアンダースコアの使用が安心そうです。
⑥一致する条件を入力。
パラメーター名:event_name
演算子:次と等しい
値:page_view
パラメーター名:page_location
演算子:次を含む
値:https://●●●●/contact/complete/
⑦「ソースイベントからパラメータをコピー」は、event_name に設定したイベントが持っているパラメータをコピーする機能です。デフォルトでチェックが入っており、特別な理由がない限りそのままで問題ありません。
⑧作成をクリックすると設定完了です。
GTMでの設定方法
①「タグ」をクリック。
②「新規」をクリックし作成画面へ。
③タグの中身がわかるように名前「GA4カスタムイベントcontact_complete」を設定。
④タグタイプを選択をクリック。
⑤タグタイプは「Googleアナリティクス:GA4イベント」をクリック。
⑥GA4の測定IDを入力。
※測定IDはGA4管理画面>「管理」 の 「データの収集と修正」 で、「データ ストリーム」>「ウェブ ストリームの詳細」に記載してあります。
⑦イベント名にはわかりやすい名前「contact_complete」を設定。
⑧保存をクリック。
⑨「トリガー」をクリック。
⑩「新規」をクリックし作成画面へ。
⑪トリガーの中身がわかるように名前「問い合わせ完了」を設定。
⑫トリガーのタイプは「ページビュー」を選択。
⑬イベント発生条件を設定し保存。
このトリガーの発生場所:一部のページビュー
イベント発生時にこれらすべての条件が true の場合にこのトリガーを配信します
パラメータ:Page URL
演算子:含む
値:条件に該当するURLを設定
⑭保存をクリック。
⑮先ほど作成したタグにトリガー「問い合わせ完了」を選択して「追加」をクリック。
⑯保存をクリック。
⑰タグの設定が出来たら公開をクリックして完了です。
また、事前にイベントが正常に動いているかプレビューモードで確認ができます、後述していますのでご確認ください。
イベントの確認方法
イベントが設定されると以下の場所タグが正常に動作しているか確認できます。
GA4イベントページで確認
GA4管理画面またはGTMで設定したイベントが正常に計測されるとすると「GA4管理画面」>「管理」>「イベント」に表示され確認ができます。確認が出来たら「キーイベントとしてマークを付ける」をチェックしましょう。
なお、データの種類によって変動はありますが、イベント計測して反映されるまでには24時間〜最大48時間かかるとされています。設置してすぐの場合は、一度時間を空けて確認をおすすめします。 イベントが発生しないと計測されませんので、テストもかねて問い合わせ完了ページにアクセスするなどして、イベントを発生させておくと安心です。
設定後すぐにキーイベントとして計測がしたい場合、キーイベント画面から事前に設定ができます。
①GA4の管理画面から「管理」をクリック。
②データの表示から「イベント」をクリック。
③赤枠の「新しいキーイベント」をクリック。
④新しいイベント名には、キーイベントに設定したいイベント名を入力。
⑤保存をクリックすることで事前にキーイベントの設定が完了します。
設定時に知っておきたいポイント
1.キーイベントの計測方法は変更できる
GA4では、キーイベントが発生した分だけカウントするのがデフォルト設定です。
たとえば、資料請求をキーイベントで設定していた場合、2回資料請求したらキーイベントのカウントは2回です。これを「セッションごとに1回カウント」に変更することができます。たとえば、資料請求を2回した際、同じセッション内であればキーイベントは1回カウントされます。
公式ヘルプでは複数のコンバージョンが発生したセッションと 1 回のコンバージョンのみが発生したセッションを区別できるため、「イベントごとに 1 回」の設定が推奨されています。
しかし、カウント方法はビジネスの目的に合わせて変更をおすすめします。たとえば、ECサイトのように一人のユーザーが複数回購入する可能性がある場合、「イベントごとに1回」計測が良いですが、資料請求など一人が複数回アクションをするものではない場合は「セッションごとに1回」が妥当でしょう。またカウント数の変更したとき、過去の数値のカウントは変更されません。注意して変更しましょう。
設定方法
①GA4の管理画面から「管理」をクリック。
②データの表示から「キーイベント」をクリック。
③3点リーダーをクリック。
④「カウント方法を変更」をクリック。
カウント方法を選択して保存で変更ができます。
2.キーイベントはプロパティ1つにつき30個まで設定できる
キーイベントにはプロパティ1つにつき30個の上限が設定されています。なんでもキーイベントに設定するのではなく、目的を踏まえた上で設定することをおすすめします。
3.キーイベントはデータをさかのぼって計測することはできない
キーイベントはさかのぼって計測はできません。たとえば、これまで計測していたイベントをキーイベントに変更しても過去分はキーイベントとして計測されず、変更日以降から計測されます。
参考:[GA4] イベントにキーイベントとしてマークを付ける
ここまでキーイベントの設定方法について紹介しました。もしキーイベントが確認できない場合、計測や設定面に原因があるかもしれません。下記記事にまとめていますのでご覧ください。
では次にキーイベントをどのように分析するか見ていきましょう。
キーイベントをレポートで確認する方法
今回は標準レポート機能で「チャネル別キーイベント数」を確認します。あくまでレポート表示の一例ですので、目的に合わせてカスタマイズをおすすめします。
標準レポートでの確認方法(チャネル別キーイベント数)
①レポートをクリック。
②集客「トラフィック獲得」をクリック。
③赤枠の列にキーイベントの発生数が表示されます。プルダウンを押すと特定のキーイベントのみの数値も確認できます。
このようにレポートで確認することで、ウェブサイトやアプリでの重要な出来事がどのチャネルからもたらされているか、一目で把握できます。これにより、集客施策の効果を検証したり、改善すべきポイントを発見しやすくなります。
まとめ
キーイベントを上手に活用することで、ウェブサイトやアプリの成果を簡単にチェックできるようになります。その結果、マーケティング戦略の見直しやサイト改善に役立つデータが手に入り、ビジネスの成長を促進する事につながります。
GA4のイベントやキーイベントの基本を理解したら、次のステップとして探索レポートの作成や、セグメントを使った詳細な分析に挑戦してみましょう。計測したデータをさらに深く掘り下げ、ビジネスのパフォーマンスを最大化する手助けとなるはずです。