
2022年5月に日本市場でローンチされ、翌年5月には対話型のAI機能が搭載された検索エンジン「Bing」の発表もあり、Microsoft広告に検索広告のイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。
そんな、Microsoft広告に「オーディエンス広告」という広告の配信手法があるのをご存知でしょうか?Microsoft オーディエンス広告は、いわゆるディスプレイ広告にあたる配信手法です。
検索広告と合わせてオーディエンス広告にも取り組むことで、配信の幅を拡げるきっかけに繋がります。
この記事ではMicrosoft オーディエンス広告でどんなターゲティングができるのか、利用シーンと合わせて解説します。


目次
Microsoft オーディエンス広告とは?
画像引用元:MSN Japan
Microsoft オーディエンス広告は、Microsoft Audience Network(マイクロソフト オーディエンス ネットワーク)と呼ばれるMSN、Outlook.com、Microsoft Edge などの主要サイト、およびその他のパートナーサイトに配信されます。
主要の配信面がMicrosoft社が提供しているサイトであることに加えて、パートナーサイトもMicrosoft広告が直接審査しているなど、広告主のブランドセーフティーが配慮されている点は安心ですね。
画像引用元:オーディエンス マーケティングと Microsoft Audience Networkについて - Microsoft Advertising
このブログを読まれている方は日頃、MSN、Outlook.com、Microsoft Edge などの主要サイトを利用していないユーザーも多いかもしれません。
しかし、アクセス解析サービスを提供する「StatCounter」によれば、2023年8月時点の日本のデスクトップブラウザのシェアのトップは「Chrome」ですが、Microsoft Edgeのシェアも約15%と全体の約1/4を占めています。
画像引用元: StatCounter Global Stats - Search Engine Market Share
Windowsシリーズでは、Windows10以降のデフォルトブラウザが「Edge」になっています。
そのため、購入したWindows PCのデフォルトブラウザで「Edge」を利用し続けているユーザーも少なくないと考えられます。
Microsoft オーディエンス広告のターゲティング
Microsoft オーディエンス広告では、「どのようなユーザーに広告を配信したいか?」を様々な方法で指定することができます。
ここでは利用できるターゲティングの種類と利用シーンを紹介します。
地域ターゲティング
国名や都道府県、市区町村名、郵便番号で指定する以外に、座標や「東京タワー」といったランドマークからの半径指定も可能です。
例えば、ジムの実店舗集客において、店舗から半径3kmに住むユーザーに新店舗告知の広告を配信する場合などに活用ができます。
年齢・性別ターゲティング
Microsoftアカウントの登録情報を基に、広告を配信、もしくは除外する対象ユーザーの年齢・性別を指定できます。
指定できる年齢・性別は、下記の通りです。
- 18~24歳
- 25~34歳
- 35~49歳
- 50~64歳
- 64歳以上
- 不明
- 女性
- 男性
- 不明
女性用のパーティドレスを販売するため、女性対象に年齢を絞り広告を配信したい場合などに活用できます。
オーディエンスターゲティング
ユーザーの興味や購買意向、リマーケティングリストなどのオーディエンスリストに対して広告を配信できます。
利用できるオーディエンスリストは下記の通りです。
オーディエンスリスト名 | 概要 |
---|---|
購買意向の強いユーザー | Bingでの検索行動やMicrosoft サービスのページ閲覧行動などを元に作成された、特定のカテゴリ内で購入意図を示しているユーザーのリスト |
リマーケティングリスト | 過去にWebサイトにアクセスしたことのあるユーザーのリスト |
動的リマーケティングリスト | Microsoft マーチャントセンターのカタログフィードに登録されている商品を、サイト内で閲覧・検討・購入したユーザーのリスト |
類似オーディエンス | 既存のリマーケティングリストのユーザーと、行動や属性が類似している新規顧客のユーザーリスト ※2023年8月時点、一部の広告アカウントのみで利用可能 |
カスタマーマッチリスト | 広告主が所有している顧客のメールアドレスに基づいたユーザーのリスト ※2023年8月時点、一部の広告アカウントのみで利用可能 |
組み合わせリスト | 複数のオーディエンスリストを「AND」「OR」「NOT」条件を組み合わせて配信に利用できます |
カスタムオーディエンス※2023年8月現在、日本では利用不可 | 広告主が所有している顧客データを連携し、オーディエンスリストとして利用できるリスト |
参照:オーディエンスの作成
例えば、サイトの会員登録者数を増やしたい場合、一度サイトへ訪問したユーザーのリマーケティングリストを活用し「新規会員登録キャンペーン実施中!」というオーディエンス広告を配信しサイトへの再訪を促す施策もできます。
また、オーディエンスリストは除外としても活用が可能です。
すでに会員登録をしているユーザーをカスタマーマッチリストで除外すれば、新規顧客のみに広告を配信することもできます。
LinkedIn プロフィールターゲティング
LinkedInに登録されているプロフィール情報に基づいて、ユーザーをターゲティングできます。
※2023年8月時点では日本での広告配信でLinkedIn プロフィールターゲティングの利用はできません。
※2024年6月には日本でも利用可能になった旨を、マイクロソフト社よりいただいており、広告管理画面でも設定可能です
下記のターゲティングが可能です。
- 企業ターゲティング
- 業界ターゲティング
- 職種ターゲティング
予測ターゲティング
ランディングページや広告コンテンツ、オーディエンスシグナルの情報を基に、コンバージョンに至る可能性が高いユーザーに配信が拡張されるターゲティングの自動機能です。
他のターゲティングと合わせて使用することができ、設定したターゲティングのみではリーチできない潜在顧客に対して、キャンペーン予算や入札単価の上限を守りつつ、簡単にリーチを拡げることが可能です。
予測ターゲティングは、下記のターゲティングと組み合わせて利用することが可能です。
- 年齢・性別ターゲティング
- 購買意向の強いユーザー
- リマーケティングリスト
- 動的リマーケティングリスト
- 類似オーディエンス
- カスタマーマッチリスト
- 組み合わせリスト
- カスタム オーディエンス ※2023年8月時点、日本では利用不可
- LinkedIn プロフィール ターゲティング ※2023年8月時点、日本では利用不可
広告グループの設定画面から、予測ターゲット設定と変更が可能です。
予測ターゲティングは、新規で作成したキャンペーンや広告グループではデフォルトで適用されている機能です。そのため、特定の属性に対して広告配信を行いたい場合は予測ターゲティングの設定をオフにすることを忘れないようにご注意ください。
また基本的に、Microsoft オーディエンス広告ではターゲティング設定なしで配信することはできません。しかし、他のターゲティングを設定せずに予測ターゲティングのみをオンにして配信することで、予測ターゲティング単体でもターゲティングとして使用が可能です。
ターゲティング対象の広い生活必需品などの商材は、配信開始は予測ターゲティングのみで広いターゲティングで配信を行い、徐々にオーディエンスを最適化させていく方法も検討できますね。
参考:予測ターゲティング
オーディエンスリストの作成方法
オーディエンスリストのうち、購買意向の強いユーザーは、用意されているユーザーリストを選択し関連づけることで利用可能になり、類似オーディエンスはMicrosoft広告によって自動生成されます。
それ以外の下記オーディエンスリストは、広告アカウントごとに作成する必要があります。
- リマーケティングリスト
- 動的リマーケティングリスト
- カスタマーマッチリスト
- 組み合わせリスト
- カスタムオーディエンス(※23年8月現在、日本では利用不可)
それでは、オーディエンスリストの作成手順を説明します。
1.管理画面の右上アイコンの[ツール]→[オーディエンス]→[作成]をクリックします
2.作成したいオーディエンスリスト名と種類を選択して[次へ]をクリックし、それぞれ作成画面の指示に従って設定を進めます
3.各オーディエンスリストの設定が完了したら、[共有]で作成したオーディエンスリストの共有先を選択し、[保存]をクリックして作成完了です
共有範囲は、アカウントやログインしているユーザーの権限により2〜3つの選択肢があります。(キャプチャは3つの選択肢の例)
複数のマネージャーアカウントや広告アカウントに対して管理者権限を持っている場合は、誤って他のアカウントへリスト共有をしないように注意しましょう。
その他、各オーディエンスリストの詳しいリスト作成方法はヘルプも参照ください。
オーディエンス広告の設定方法
ターゲティング手法が決まったら、次は配信準備をしていきましょう。
1.管理画面の左側メニューで [すべてのキャンペーン]を選択肢、[作成] をクリックします
2.キャンペーンの目標を選択したら、広告の種類で[オーディエンス広告]を選択します
3.任意のキャンペーン名と予算を設定したら、[保存して&次のステップに進む]をクリックします。なお、キャンペーン名と予算は、設定後も変更が可能です。
4.任意の広告グループ名を設定し、[ターゲティング設定]から利用したいターゲティングを選択します。
各ターゲティングの設定メニューから、必要項目を入力し、ターゲティング設定を行いましょう。また、ターゲティングは複数選択が可能です。複数のターゲティングを選択した場合、デフォルト設定はOR条件が適用されるので覚えておきましょう。
もしAND条件やNOT条件でターゲティング設定を行いたい場合は、「組み合わせリスト」を作成してから設定しましょう。
5.配信する画像やテキスト、リンク先のURLなどを画面に従って設定します。
各設定項目については、表をご覧ください。
項目 | 必須 | 入稿形式 | thead th |
---|---|---|---|
最終ページURL | ◯ | ランディングページのURL文字制限は1,024文字です。 | |
画像 | ◯ | 縦横比 1.91 : 1、最小703 x 368ピクセル(推奨1,200 x 628ピクセル)が最低1枚以上 | サイズが大きすぎる画像などは、自動でトリミングされるため、広告プレビューで意図しないトリミングがされていないか確認しましょう。変更したい場合は、[縦横比の編集]から修正可能。 |
短い見出し | ◯ | 半角30文字以内最低1個以上、最大15個まで | 広告配置に応じて、短い見出しか長い見出しのいずれかが表示されます。 |
長い見出し | ◯ | 半角90文字以内最低1個以上、最大5個まで | 広告配置に応じて、短い見出しか長い見出しのいずれかが表示されます。 |
広告テキスト | ◯ | 半角90文字以内最低1個以上、最大5個まで | 広告配置に応じて、長い見出しの下か、短い見出しの横に表示されます。 |
会社名 | ◯ | 半角25文字以内 | 広告配置に応じて、広告とともに表示されます。 |
モバイルURL | × | モバイルデバイスで広告をクリックした場合のランディングページのURLを設定できます。 | |
高度な URL オプション | × | 広告ごとに、トラッキングテンプレート、最終ページ URL サフィックス、カスタムパラメーターを設定することで、アクセス解析ツールでの計測ができるようになります。 | |
インプレッショントラッキングURL | × | サードパーティーの広告計測ツールのインプレッションタグのURLを設定することで、サードパーティ広告計測ツールで広告のパフォーマンスをモニタリングできるようになります。 |
参考:オーディエンス広告画像のベスト プラクティス - Microsoft Advertising
広告を連続で作成したい場合は[保存]をクリックし、 [別の広告を作成]から次の広告を作成できます。
6.1日の予算や、入札単価などを設定します。
7.[保存]をクリックしたら配信準備は完了です。
オーディエンス広告配信時の注意点
オーディエンス広告を配信する際の注意点を紹介します。以下で紹介する注意点を抑えて、配信準備をすすめていきましょう。
用意する画像サイズについて
Microsoft オーディエンス広告では、アップロードした画像が配置面に合わせてレスポンシブに表示されるため、入稿した画像が自動でトリミングされる仕様です。
配信に必須の推奨ピクセルは「1,200×628以上を満たす画像」です。しかし、任意の1,200×674、1,200×800、1,200×902、1,200×1,200を満たす画像も可能な限り用意することをおすすめします。そうすることで、意図しないトリミングを防ぐだけでなく、各縦横比の広告配置で配信できるようになります。
縦横比 | 必須or任意 | 推奨ピクセル | 最小ピクセル |
---|---|---|---|
1.91:1 | 必須 | 1,200×628以上 | 703×368 |
1.78:1 | 任意 | 1,200×674以上 | 624×350 |
1.5:1 | 任意 | 1,200×800以上 | 300×200 |
1.33:1 | 任意 | 1,200×902以上 | 100×75 |
1:1 | 任意 | 1,200×1,200以上 | 703×368 |
画像のトリミング手順
全ての画像サイズが用意できない場合は、広告管理画面の広告の編集画面から手動でトリミングすることも対応が可能です。
1.管理画面左の[オーディエンスキャンペーン]→[広告と表示オプション]から対象の広告にカーソルを合わせ、鉛筆マークをクリック
2.広告プレビューの[縦横比の編集]から手動でトリミングが可能です
テキストやロゴを含む画像は非推奨
Microsoft オーディエンス広告では、テキストやロゴを含む画像の使用は非推奨です。トリミングで画像内のテキストやロゴが見切れてしまう可能性があることに加え、配置面によっては、見出しや会社名がオーバーレイ表示がされることが理由と考えられます。
画像引用元:Creative specs
テキストやロゴを含んだ画像に、見出しや会社名がオーバーレイ表示されることで画像の視認性が下がるリスクがあります。そのため、広告が掲載面でどのように表示されるかは事前に把握しておきましょう。
検索広告だけではアプローチできないタイミングで広告接点を増やす
調べたいことが明確になっている状態で広告を表示できる検索広告に対し、ディスプレイ広告はユーザーの潜在的なニーズや商品やサービスのリマインド効果を期待できる配信手法です。
検索広告だけではなくMicrosoft オーディエンス広告を併用して実施することで、顧客に近いユーザーとの接点を増やし、広告のコンバージョンへの動線を整えることができます。
加えてMicrosoft広告は、ビジネスシーンにおけるユーザーへのアプローチに対して他の広告媒体にはない強みを持つ媒体です。BtoB向けのサービスや商品は、検索だけではなくMicrosoft オーディエンス広告を併用して実施することで、顧客に近いユーザーとの接点を増やすことが出来ます。そのため、特に実施しない理由がない場合は、オーディエンス広告も併用して取り組むことをおすすめします。
また最近では、BtoBに限らずBtoCでの活用事例も増えてきています。
マイクロソフトが2022年3月に実施した調査によると、日本では42%の消費者が、勤務時間の1日1時間以上を個人的な用途にPCを使うことが分かっています。
参考:Microsoft Advertising 日本での展開について
日本のデスクトップブラウザのシェアの約1/4を占める約20%のMicrosoft Edgeのシェア率を加味すると、BtoBに限らずBtoCでの活用も積極的に活用していきたいですね。
