運用型広告における広告代理店の価値とは?サービスレベルを高めるために意識したい5つのこと

運用型広告における広告代理店の価値とは?サービスレベルを高めるために意識したい5つのこと
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運用型広告は、月1,000円程度からいつでも誰でも出稿が可能です。一部の特別な広告枠を除いて、ほとんどの広告枠は買い付けに広告代理店を通す必要もありません。

では、なぜ広告主は代理店に広告運用を依頼するのでしょうか?答えはもちろん、その広告主にとって広告代理店に依頼する価値があるからです。自社のビジネスが顧客にどんな価値を提供しているか理解することは、どんなビジネスでも成功の第一歩ですよね。

運用型広告における広告代理店の価値は何なのか。代理店の広告運用者としてより価値を高めるためにどんなことを意識するべきなのかを考えました。


運用型広告における広告代理店のおもな価値

まず運用型広告における広告代理店の価値を押さえましょう。今から挙げていくもの以外の価値もあるかもしれませんが、ここではおもな価値に絞って紹介します。

リソースの提供

広告主は限られたリソースの中で広告・マーケティングの施策を考えたり実行します。運用型広告においても、広告主が自社のリソースで広告を運用できれば外注費もかかりませんが、実際は、採用・教育の問題があったり、社員のキャリアを考えて広告運用を任せないことも会社によってはあったりします。そういった広告主が自社で抱えられない仕事を担うことで広告主の業務効率化を図るのは広告代理店が提供できる価値です。

広告運用の専門知識・ノウハウの提供

広告主は自分たちが持っていない専門知識やノウハウに期待して広告代理店に仕事を依頼します。運用型広告であれば、プロダクトの機能や活用方法、プラットフォームのアップデート情報などが専門知識やノウハウにあたりますね。

運用型広告のように、変化が激しい領域や、習得に時間や費用を要する領域の知識やノウハウは、特化しない限り専門性を高めにくいです。もちろん広告主が自分たちで運用型広告の専門性を高めることも不可能ではありませんが、前述で上げた通り、相当の採用・教育コストが発生するため広告代理店が培った専門知識やノウハウが役に立つケースがあります。

また、多くの事業会社と異なり、広告代理店は特定のビジネスに限らず多くの広告・マーケティングのプロジェクトに携われます。そこで得た知見は、施策の再現性を高めたり、守秘義務の範囲で他社や他業界に横展開したりできますよね。こういった特定のビジネスに限らず、幅広いビジネスの知見を活かして広告を運用行えることは広告主にとっての価値にもなり得ます。

第三者視点の提供

皆がそうだというつもりは微塵もありませんが、広告主に限らず、そのビジネスに精通すると人は近視眼的になりがちです。広告主が本来届けたいであろう層にしっかりとメッセージが伝わるように、翻訳し、情報をデリバリーするのは第三者視点を持ち合わせた者の方が得意なケースは往々にしてあります。

一方で、知ってか知らずか広告代理店側の目線を押し付けるようになっては本末転倒です。第三者視点は意識的に用いることが必要です。

金融機能

広告代理店では、広告運用においてGoogleやYahoo!に支払う広告費(媒体費)を立て替え、翌月や翌々月までに広告主からお支払いいただくモデルを採用していることが少なくありません。その場合、広告主は1円も支払わなくても、何百万、何千万円分の広告を出稿し顧客を獲得できるため、先行投資型のSaaSビジネスなど、保有している現金以上に広告費を先に投資したい広告主にとっては一定のメリットがある場合も。これは広告主のキャッシュフロー(収入から支出を差し引いて手元に残る資金の流れ)を安定させる金融機能と言えますよね。

広告代理店限定メニューの提供

運用型広告では、広告代理店が保有するアカウントでしか利用できないベータ版や代理店限定の広告プロダクトも存在します。そのため、さらに利益を上げるのに、広告代理店アカウントでしか利用できない広告プロダクトを使った方が効果的な広告主にとっては価値のある機能になります。メディアバイイング機能の一部に含まれる機能と言えますね。

ここまでご紹介したものが、運用型広告における広告代理店の価値の全てではありませんし、これ以外にも広告主のビジネスや社内状況などによって価値と感じていただけるものがあるかもしれません。大切なのは、自分たちのビジネスの価値は顧客によって変わること、それをきちんと理解することだと、改めて強調しておきたいです。

運用型広告代理店の広告運用者としてより価値を高めるために意識したい5つのこと

運用型広告における広告代理店の価値を押さえたところで、どうすれば代理店の広告運用者として価値を高めることができるのでしょうか?ここでは5つの意識したいことをご紹介します。

1. 敏捷性を高める

リアルタイムに変更・改善が可能な運用型広告の特徴を最大限活かすには、スピード感のある施策の考案・実行・検証が必要です。広告代理店が介在することで広告運用のスピードが落ちてしまっては、広告主は最大限の成果を得られないでしょう。外部の支援会社である広告代理店が入れば、どうしてもインハウス運用よりスピード感は下がりますが、それでもまるで広告主の社内チームメンバーかのようなスピードで支援できると、代理店の広告運用者としては価値が高いですね。

2. 現状に満足せずチャレンジし続ける

運用型広告の領域は非常に変化が激しいです。媒体のアップデート情報をキャッチアップし続けたり、変わり続ける領域で勝ちパターンのようなノウハウを発揮し続けるのは簡単なことではありません。しかし、広告代理店の価値の一つが専門知識やノウハウの提供である以上、それをアップデートし続けなければ提供できる価値は下がってしまいますよね。

専門知識は媒体社が発信するアップデート情報を追えば更新されますが、ノウハウは仮説を持って施策を打ち続けないとアップデートされません。また、より大きな成果を出すには、現状の施策を磨き込むだけでなくチャレンジも欠かせませんよね。だからこそ、現状の成果に満足せずチャレンジし続ける広告運用者はそれだけで価値が高いと言えます。

3. 得た知見をシェアし続ける

広告代理店に所属していれば自分が担当している広告主以外の事例やノウハウも得られます。積極的に自分が担当している広告主以外の情報を収集し、自分が担当している広告主に活用できれば代理店の広告運用者としての価値は高まります。

逆に、「この業種ではこういった広告プロダクトで成果が伸びている」「BtoBのお問い合わせフォームで会社の電話番号よりSNSの情報を入れてもらった方がアポが獲りやすくなった」など、自分が担当している広告主の事例やノウハウは積極的に社内や広告主にシェアしましょう。誰かが共有してくれた情報をあなたが活かし、あなたが共有した情報を誰かが活かすことで、広告代理店・広告主の双方に知見が溜まっていくのです。

4. 意思決定のサポートにこだわる

より大きな成果を出すには、新しい施策にもチャレンジすることが必要ですよね。しかし、広告主は限られた予算の中から広告費や広告代理店への運用手数料を支払うため、判断材料がなければ簡単に新しい施策には踏み切れません。だからこそ、代理店の広告運用者は第三者の立場で、広告主が見えていない視点を提供したり客観的な情報を用いることで、広告主の意思決定をサポートするべきです。

たとえば、広告主の意思決定者が担当者の上司である場合、担当者が上司を説得できるようなレポートであったり、意思決定につながる情報の提供ができると、担当者と協力して新しい施策に挑戦できる可能性が高まりますよね。当然ですが、代理店の広告運用者として通したい提案を通すためでなく、広告主にとって最適と思われるチャレンジの後押しするための意思決定のサポートであるべきということは肝に銘じておいてください。

5.広告主と深くコミュニケーションを取る

運用型広告は広告主のビジネスを伸ばすための手段の一つに過ぎません。だからこそ、広告主のビジネスやマーケティング全体を理解したうえで広告運用を行うべきです。そのためには、広告主と密にコミュニケーションを取り、情報収集やヒアリングを通して広告主のビジネス理解に努めるのはもちろん、運用型広告以外のプロモーション状況(テレビCMなど)や広告主の事業の方向性などを知っておくのが望ましいです。

広告運用は決してそれ単体で完結するものではありません。いかに広告主と積極的にコミュニケーションを取り、広告運用の方向性を誤らないための情報を共有してもらえるかが勝負です。

広告主のビジネス理解を深めるために、広告運用者が押さえておきたいフレームワークと情報収集法

信頼がなければ価値は発揮されない

広告代理店の価値は「広告主との信頼関係」があってはじめて最大化されます。たとえば今回紹介した「5. 広告主と深くコミュニケーションを取る」で挙げた運用型広告以外のプロモーション状況を共有してもらえるかは、自分自身が意識しても広告主から信頼されていなければ十分な情報を共有してもらえないかもしれませんよね。

人は論理だけでは動きません。感情で動くものです。どれほど価値を出そうが信頼を失う言動を取っていれば広告主は代理店に広告運用を依頼してくれはしないでしょう。

この記事が、代理店の広告運用者として自身が広告主にどんな価値を提供しているのか考えると共に、広告主の信頼をちゃんと得られているか考え直すきっかけになればうれしいです。

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