スマート自動入札は、過去のコンバージョン率の傾向を学習して算出した推定コンバージョン率に基づいて入札がなされます。
ただし、急激なコンバージョン率の変化があった場合、コンバージョン率が上がった、下がったと学習し直されて調整されるまでにはタイムラグが生じ、コンバージョン単価(以下、CPA)の上昇や配信機会の損失など一時的にパフォーマンスが乱れてしまうケースも少なくありません。
このような、イベントなどによるコンバージョン率の大幅な変化に対応できる機能として、「季節性の調整」が2019年8月28日にリリースされました。
参考:Introducing seasonality adjustments for Smart Bidding - Google Ads Help
なお、「季節性の調整」は現在、検索連動型広告およびディスプレイ キャンペーンでのみ使用できます。ショッピング キャンペーンについては年内に対応予定とのことです。
季節性の調整の仕組み
次のように急激な需要の変化が見込まれるケースではコンバージョン率が急激に変化するため、「季節性の調整」は有効です。
- 短期間のセール
- テレビなどのメディア露出
- 新商品のリリース時
たとえば、3日間のセール中、いつもコンバージョン率が50%上昇することが分かっている場合、「該当期間にはコンバージョンが50%引き上がる」ことを季節の調整を設定します。これにより、セール期間中は「コンバージョンが50%引き上がる」前提で目標に応じた入札価格の調整が行われます。これにより学習し直しによるタイムラグの影響を最小限に留め、パフォーマンスを安定させることが可能となります。
7日以内の短期間の変動に対応
季節性の調整は、1日~7日の短いイベント(セールやプロモーションなど)による変化での利用が推奨されています。
長期間にわたる、ゆるやかな変化であれば、スマート自動入札で対応可能ですので、14日を超えるような場合は使用を控えるのがよさそうです。
季節性の調整の設定方法
では、実際の使い方を見ていきましょう。設定方法は非常にシンプルです。
①Google広告管理画面から「ツールと設定」を選択します。
②共有ライブラリの「入札戦略」を選択します。
③入札戦略内の「詳細設定」を選択します。
④「新しい季節性の調整」を選択します。
⑤調整に名前を付けて説明(任意)を入力し、開始日および終了日、対象範囲、デバイスを指定します。
※コンバージョン率の調整は、引き上げ 900%~引き下げ 90%まで設定可能。
⑥「保存」を選択します。
キャンペーンタイプ(検索ネットワーク・ディスプレイ・個別のキャンペーン)の他、デバイスごとにもコンバージョン率の調整が可能です。イベントの内容によって影響範囲が異なりますので、不要な調整がなされないよう、イベントがどこに影響を及ぼすのかの予測や把握が大切ですね。
⑦設定項目を確認し問題なければ、「季節性の調整を作成」を選択すれば完了です。
作成した「季節性の調整」は、設定した期間内のみ適用され、期間終了後スマート自動入札の動作は自動的に元通りになるため、特に設定変更などは不要です。
機械学習を人の手でサポート
自動入札に用いられている機械学習は、データから得られる特定のパターンや特徴による予測は得意ですが、予期せぬ突発的で大きな変化にはいまのところ完全には対応しきれません。
自動入札を駆使した運用は主流となっておりますが、事前に分かる変化のインプットは広告主側が行うほうが効率的で効果的です。機械学習ではカバーしきれない部分を人の手で補完していくことによって、より効果的に自動入札を活用していきたいですね。