Pangle広告とは?特徴から種類、活用のポイントまで解説

Pangle広告とは?特徴から種類、活用のポイントまで解説

「TikTokだけでなく、他のアプリにも効果的に配信したい」「効果の良いクリエイティブをもっと多くのユーザーに広告を届けたい」といったリーチ拡大に関する課題をお持ちの方に適した広告のひとつが「Pangle広告」です。

Pangle(パングル)はTikTok for Businessのアドネットワークとして、スマートデバイス向けのゲームや漫画を中心とした様々なアプリに広告配信が可能なモバイル広告プラットフォームです。TikTok for Businessから広告を配信できるため、TikTok広告で成果が出ており、さらにリーチを拡大したい広告主にはとくに魅力的な選択肢となります。

この記事では、Pangle広告の特徴、配信可能な広告フォーマット、活用のポイントについて詳しく解説します。


Pangle広告とは?

Pangle広告は、アプリ上でのシームレスな視聴体験や多様な広告フォーマットにより、高い没入感を提供できる点が特徴です。特に、動画リワード広告と呼ばれるフルスクリーン形式の広告では、ユーザーが広告を視聴することでアプリ内報酬を獲得できるため、最後まで視聴される可能性が高く、広告メッセージを確実に届けられる点が大きな魅力です。

それ以外にもPangle広告には多様なフォーマットが用意されており、本記事では各広告フォーマットの種類、具体的な配信方法、運用のポイントについて詳しく解説します。

Pangle広告の特徴・メリット

豊富な広告在庫と独自のフォーマットを有するPangle広告。その特徴やメリットについて、詳しくご紹介します。

リーチを広げられる

画像引用元:Pangle Japan公式X(@Pangle_JP)

Pangleネットワーク内のアプリの国内DAU(1日あたりのアクティブユーザー数)は約7,000万以上であり、多くのユーザーにリーチできる媒体です。

画像引用元:Pangle Media Guide

また、世界TOP100の無料ゲームアプリにおけるカバー率は80%に達しており、幅広いアプリユーザーへのリーチが可能です。

フルスクリーンの広告枠が5割以上

Pangleは多様な広告フォーマットと多様なクリエイティブ形式を提供しています。

広告フォーマット

  • 動画リワード広告
  • インタースティシャル広告
  • ネイティブ広告
  • バナー広告
  • アプリ起動時広告

クリエイティブ形式

  • 縦型動画
  • 横型動画
  • スクエア動画
  • 縦型画像
  • 横型画像
  • スクエア画像

なかでも、ByteDance社が公開しているPangleのクリエイティブフォーマットごとのトラフィック割合によると、フルスクリーンが全体の50%以上を占めています。フルスクリーンの広告は、ユーザーの没入感を高め、クリック率やエンゲージメント率の向上が期待できる点が特徴です。

広告フォーマットクリエイティブ形式トラフィック割合
動画リワード(フルスクリーン)縦型動画24.27%
フルスクリーン縦型動画19.59%
バナー横長画像14.65%
ネイティブスクエア動画7.32%
バナースクエア動画6.37%
フルスクリーンスクエア動画5.69%
動画リワード(フルスクリーン)スクエア動画5.10%
バナー縦型動画5.10%
バナー横型動画4.52%
ネイテイブスクエア画像1.74%

参考:Pangleウェブコンバージョン広告運用ベストプラクティス(ByteDance社提供)

TikTok広告と一緒に管理できる

TikTok for Businessから配信面を指定するだけで、簡単に配信することができるのも大きなメリットです。すでにTikTok広告を実施している場合は、使用中のクリエイティブをそのまま活用できるため追加の制作が不要です。また、アカウント開設やタグ設置の工数がかからずリーチを拡大できます。

静止画のみでも配信可能

動画だけでなく静止画の配信にも対応している点が特徴です。動画素材の準備が難しい場合でも、クイックにリーチを拡大する選択肢として活用できます。

Pangle広告フォーマットの種類

Pangle広告は多様な広告フォーマットに対応している点が大きな魅力のひとつです。どのようなフォーマットが利用できるか詳しく確認していきましょう。

  • 動画リワード広告
  • インタースティシャル広告
  • ネイティブ広告
  • バナー広告
  • アプリ起動時広告

動画リワード広告

動画リワード広告は、漫画アプリの無料閲覧やゲームアプリの報酬と引き換えに、ユーザーが任意で視聴を選択できるフルスクリーンの動画広告です。ユーザーは広告を最後まで視聴することでアプリ内報酬を獲得できるため、視聴率が高い点が特徴です。

 

画像引用元:モバイルユーザー獲得サービス | アプリ向けユーザー獲得の自動化 | Pangle

インタースティシャル広告

インタースティシャル広告は、アプリ終了時や一時停止、切り替え時などに表示されるフルスクリーンの広告で、動画と静止画の両方に対応しています。ユーザーは5秒経過時点で広告を視聴するか、スキップするか選択できます。冒頭5秒でユーザーの興味を引くことで、視聴体験の向上と高いクリック率が期待できます。

画像引用元:モバイルユーザー獲得サービス | アプリ向けユーザー獲得の自動化 | Pangle 

ネイティブ広告

ネイティブ広告は、アプリ内に違和感なく溶け込む広告で、動画と静止画の両方に対応しています。アプリ内のコンテンツに紛れるので広告感が少なく高いクリック率を期待できます。

画像引用元:モバイルユーザー獲得サービス | アプリ向けユーザー獲得の自動化 | Pangle 

バナー広告

バナー広告は、起動中アプリの画面上部もしくは下部に表示される広告で、動画と静止画の両方に対応しています。アプリ起動中は常に広告が表示されるのが特徴です。バナー広告専用の広告枠として600×500・640×200・640×100の静止画バナーを掲載できる点も特徴です。

画像引用元:モバイルユーザー獲得サービス | アプリ向けユーザー獲得の自動化 | Pangle 

アプリ起動時広告

アプリ起動時広告は、アプリ起動時にフルスクリーンで表示される広告で、動画と静止画の両方に対応しています。ユーザーがアプリを開いたタイミングで広告が表示されるので、視認性が高くブランド認知を目的とした配信との相性が良い点が特徴です。

画像引用元:モバイルユーザー獲得サービス | アプリ向けユーザー獲得の自動化 | Pangle 

Pangleのクリエイティブ仕様

続いて、Pangleで配信可能なクリエイティブの仕様を確認していきます。

種類解像度対応フォーマット形式最大ファイルサイズ
動画(5~60秒)1280*720px・720*1280px・720*720pxインタースティシャル/動画リワード/アプリ起動時広告/ネイティブ/バナー.mp4/.mov/.mpeg/.avi500MB
画像1200*628px・720*1280px・640*640pxインタースティシャル/アプリ起動時広告/ネイティブ/バナー.jpg/.jpeg/.png100MB
600*500px・640*200px・640*100pxバナー
プレイアブル1280*720px・720*1280pxインタースティシャル/動画リワード.zip5MB

参考:Pangle_Japan_101_Pitch_Deck_2023_Q4

動画はすべてのフォーマットに対応していますが、画像は動画リワード広告に対応していないため、ご注意ください。またプレイアブルとは、ユーザーが広告のなかでアプリを疑似体験できるクリエイティブ形式です。動画や画像が受動的な広告体験であるのに対し、プレイアブル広告はユーザーが直接操作できる能動的な広告体験を提供します。そのため、高いクリック率やコンバージョン率が期待できるのが特徴です。特に、ゲームアプリのインストール促進を目的とした配信で活用されるケースが多く、実際のゲームプレイを体験させることで、ユーザーの興味関心を引きやすくなります。

画像引用元:PangleクリエイティブPlaybook

上記はByteDance社が公開している用意すべきクリエイティブ形式の優先度です。クリエイティブ形式はすべて用意するのが望ましいですが、難しい場合は表示機会の多い「縦型動画」や「スクエア動画」を優先的に用意することをおすすめします。

Pangle広告のターゲティング

Pangle広告で使用できるターゲティングはTikTok広告に比べて少ないですが、基本的なターゲティング機能は利用可能です。

項目詳細TikTokPangle
デモグラフィック地域/性別/年齢/言語
オーディエンスリスト類似オーディエンス/カスタムオーディエンス
デバイスOS/システムバージョン/デバイスモデル/通信環境/キャリア/プロバイダー/デバイス価格
興味・行動ターゲティング興味関心/購入意欲/ハッシュタグ
スマートターゲティングスマート興味&行動およびスマートオーディエンス/ターゲティングレコメンデーション

TikTokで使用できる興味・行動ターゲティングスマートターゲティングが利用できない点にご注意ください。

参考までに、弊社の支援実績では、Pangleで成果が良いケースの多くがデモグラフィックターゲティングのみで広く配信しているパターンです。詳細な興味関心や行動ターゲティングを設定するよりも、年齢や性別などの基本属性でシンプルに配信する方が、より多くのユーザーにリーチしやすく、獲得につながる傾向が見られます。

そのため、Pangle広告にチャレンジする際は、デモグラフィックターゲティングのみで十分な獲得が見込めるか?という視点を持つことでよりスムーズな運用判断ができるでしょう。

Pangle広告の出稿手順

基本的な出稿手順はTikTok広告と同様です。詳しい手順は以下ブログを参照ください。

Pangleに配信する場合は、広告セットのプレースメント設定で「自動プレースメント」または「手動プレースメント」でPangleを指定するだけです。

  • 自動プレースメント
    • TikTok、Pangle、グローバルアプリバンドル(ByteDance社が保有する動画編集アプリCapCutと読書アプリFizzo)に、システムが自動的に配信。
  • 手動プレースメント
    • チェックを入れたプレースメントのみに配信。

Pangleのみに配信したいケースや、配信先ごとに予算をコントロールしたい、クリエイティブを出し分けたいといったケースでは、手動プレースメントを選択するのが適しています。また一度指定したプレースメントは後から変更できないため、設定時にはご注意ください。

プレースメントごとの実績の見方

自動プレースメントを選択した場合でも、プレースメントごとの実績は確認することが可能です。確認方法は以下です。

①実績をみたい広告グループをクリック
②「データを見る」をクリック

③「プレースメント」をクリック

Pangle広告の運用Tips

TikTok広告を実施していれば簡単にできるとはいえ、媒体特性は大きく異なります。そのため、Pangleならではの仕様を理解し運用を行うことが大切です。ここからはPangleならではの運用Tipsを紹介します。

動画クリエイティブは冒頭5秒が勝負

TikTokでは、ユーザーがいつでもスワイプして広告をスキップできるため、冒頭1~2秒のインパクトが重要とよく言われます。一方、Pangleでは広告をスキップできるまで一定の時間が必要となるため、TikTokとは異なる視点でクリエイティブを設計する必要があります。

広告フォーマットによってスキップ可能になるまでの秒数は異なりますが、最も短いインタースティシャル広告では5秒となっています。そのため、この5秒間を1つの目安に、ユーザーの関心を引きつける構成を意識すると、より効果的な広告運用ができるでしょう。

たとえば、以下の記事で紹介しているような、思わずみてしまうような編集を行うのも効果的です。

音声OFFでの視聴を考慮して字幕をつける

配信先には様々なアプリが存在します。TikTokとは異なり、中には漫画アプリのように音声OFFで視聴されるケースも少なくありません。動画クリエイティブを配信する際には、音声OFFでも伝わるようになっているか?という観点で字幕をつけたり、テキストで補足したりとクリエイティブで工夫するのがおすすめです。

配信先アプリの指定は不可。定期的なチェックと除外で最適化を

Pangleでは配信先のアプリを指定できません。そのため、「自社のサービスと相性の良くないアプリに広告が表示されてしまうのでは?」と懸念される方もいるかもしれません。特に、ブランドイメージにそぐわないアプリへの配信は慎重に管理したいところです。

ただし、配信先のアプリを事前に指定することはできなくても、配信後にレポートで確認し、ブロックリストで除外することは可能です。定期的に配信面をチェックし、成果の悪い配信先やブランドイメージに合わないアプリを除外することで、より精度の高い広告運用ができます。

具体的な確認方法や除外の手順については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

記事LPを活用する

2022年3月12日〜9月12日の日本国内で実施されたPangleにおけるEC業界のパフォーマンス広告を調査・分析したデータでは、コンバージョン率の良いランディングページ(LP)のうち8割以上が記事LPであることが分かっています。

Pangleはアプリ内に広告が配信されるため、広告接触時のユーザーは漫画を読んだり、ゲームをしたりといった目的でアプリを利用しており、購買意欲がほとんどないケースが多いと考えられます。そのため、記事LPを活用し、

  • ユーザーの悩みに共感する導入
  • 悩みの原因と解決策の提示
  • 商材のベネフィットの説明
  • 権威性や口コミの紹介

といった流れを組み込むことで、ユーザーの購買意欲を徐々に高め、コンバージョン率を向上させる工夫が効果的です。

参考:Pangleパフォーマンス広告Tips〜ランディングページ編(ByteDance社提供)

GA4など外部の計測ツールとの数字の乖離を加味する

Pangleを配信すると、TikTok for Businessの管理画面で計測されるコンバージョン数が、GA4などの計測ツールよりも多くなるケースがよく見られます。この差異の主な要因の一つに、「リファラ情報の欠如」が挙げられます。

リファラとは、Webページから別のページへ遷移する際に「どこから来たのか」を示す情報ですが、iOSやAndroidのネイティブアプリは基本的にリファラ情報を送信しません。そのため、GA4ではPangle経由の流入であっても参照元が「(direct) / (none)」とリファラ情報がないアクセスとして記録されてしまい、結果的にPangleの貢献度が正しく可視化されないことがあります。

さらに、広告プラットフォームごとにコンバージョンの計測方法やカウント基準が異なることも、数値のズレを生む要因です。例えば、Pangleはポストバックを利用してコンバージョンを直接計測しますが、GA4はリファラやUTMパラメータに依存するため、計測漏れが発生しやすくなります。

この影響を考慮し、Pangleを配信した後に(direct) / (none) の流入が増えていないかを確認することが、広告効果の分析において重要になります。

まとめ

Pangle広告は、豊富な広告在庫と多様なフォーマットを活用できる広告媒体です。特にフルスクリーンの動画リワード広告やインタースティシャル広告を通じて、高い視認性とクリック率を期待できます。さらに、TikTok広告と統合管理が可能なため、既にTikTok広告を運用している場合は少ない工数で配信を開始できるのも大きなメリットです。

一方で、TikTok広告と異なり一部のターゲティングが使用できない、配信先アプリを指定できないなどの制約がある点には注意が必要です。そのため、配信後は成果を細かく分析し、ブロックリストの活用、クリエイティブ形式の網羅、記事LPの活用などを行いながら、継続的に運用を最適化していくことが重要です。

Pangle広告は、適切に運用すれば一気にリーチを拡大できるポテンシャルを秘めた媒体です。ぜひチャレンジしてみてください。

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