求人広告作成時に気を付けたい、法律にまつわるNG表現

求人広告作成時に気を付けたい、法律にまつわるNG表現
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「求人広告を出したいけれど、法律の知識があまりなくて不安……」
「代理店で人材系のクライアントを受け持つことになったけれど、広告のコピーに使って良い表現が分からない…」

求人広告を出す際には多くの法律が関わってくるため、慣れていないと不安を感じてしまいますよね。

私は前職で求人広告の作成に携わっていましたが、最初に法律を見たときは「こんなに難しいこと全部覚えられるわけないよ!」と感じました。

ですが、各法律がある「根本の理由」さえ押さえておけば、法律の全てを覚えなくても、表現のOK/NGが自然と理解できるようになります。

今回は、求人広告を作成する経営者・人事の方や、求人に関する広告運用・バナー作成をする方に向けて、最低限知っておかなければならない法律と、間違えやすいNG表現の例をまとめました。

求人広告作成に関わる知っておきたい法律5つ

求人広告を作成する際は、「労働基準法」、「男女雇用機会均等法」、「最低賃金法」、「労働施策総合推進法(雇用対策法)」、「職業安定法」について確認しましょう。

法律のすべての内容に触れることはできないので、各法律でどんなことが定められているのか概要のみ記載します。リンク先に全文が載っていますので、求人作成前に一通り目を通しておくと安心です。

労働基準法

労働条件に関する最低限の基準を定めた法律です。日本国内で労働者(パートやアルバイトなど雇用形態は問わない)として働いている全ての人が対象です。雇用契約や労働時間・休日・休憩、賃金についてなどが規定されています。

労働基準法

男女雇用機会均等法

性別による差別を禁止している法律です。募集・採用、配置・昇進等の雇用管理の各ステージにおける性別を理由とする差別の禁止や婚姻、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等が定められています。セクハラについてなどもこちらに記載があります。

男女雇用機会均等法

厚生労働省_男女雇用機会均等法

最低賃金法

雇用主が労働者に対して最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない旨が定められている法律です。労働者の生活の安定と労働力の向上を目的としています。都道府県別の最低賃金は更新があるので、最低賃金を割っていないか最新の情報を必ず確認しましょう。

最低賃金法

地域別最低賃金の全国一覧

労働施策総合推進法(=雇用対策法)

雇用に関する国の制度や理念などが示されています。「雇用対策法」が名称変更され、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」と法律名が変わりました。パワハラ防止法とも呼ばれており、昨今問題視されている内容なのでぜひ確認していただきたい法律です。

労働施策総合推進法

職業安定法

労働者の募集や職業紹介、労働者供給に関することが定められています。近年、雇用契約によるトラブルも多発しており、雇用主・求職者双方にとってより適切で円滑なマッチングを進めていくことが求められています。改正について詳しくは下記項目で説明します。

職業安定法

職業安定法の改正内容と背景

2022年10月1日より改正職業安定法が全面施行されました。

求職者が安心して求職活動を行うことができる環境の整備と、マッチング機能の質の向上を目的として下記項目の改正が行われました。

  • 求人等に関する情報の的確な表示の義務化
  • 個人情報の取扱いに関するルールの整備
  • 求人メディア等に関する届出制の創設

その中の「求人等に関する情報の的確な表示の義務化」では、「職業紹介事業者・求人を行う企業・募集情報等提供事業者などは、的確な表示が義務付けられる事項について虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしてはなりません」(職業安定法5条の4第1項)と明記があります。

参考:職業安定法 改正のポイント
(発行元:厚生労働省 令和4年職業安定法の改正について )

ここでポイントなのが、「誤解を生じさせる表示をしてはなりません」というところです。応募を集めたいがために、つい誇張した表現や曖昧な表現をしたくなるかもしれませんが、これはNGです。

今回の改正は、インターネットを活用した就職活動の普及に伴い、求職者が安心してサービスを利用できるよう、Web上の求人サービス等を対象にしたルールを明確にすることが改正の目的となっています。職業安定法改正により、求人メディア等のマッチング(求人者、求職者とのマッチング)機能の質の向上を目指しているということを頭に入れておきましょう。

上述しました各法律がある「根本の理由」について改めて考えると、「広告主および求職者どちらにも誤解や差別、不利益になるような表現や内容がないか?」ということを考えながら作ることでNG表現の多くは防げると考えます。

少しでもNG表現へのアンテナを立てることができれば法律を全て覚える必要はなく、その都度調べていけば良いのです。

間違えやすいNG表現の例を3つご紹介

よくある初心者が間違えやすい、求人広告のNG表現を理由とともに3つご紹介します。

1.NG表現:明るい方
理由:性格に基づく差別。明るくない人が仕事ができないわけではない。
改善例:明るくお客さまに挨拶できる方
2.NG表現:体力のある男性歓迎
理由:体力があるという抽象的表現。男性に限定しているような表現。男女雇用機会均等法にも抵触している。
改善例:20kgくらいの荷物を運ぶ業務があります。男性が活躍している職場です。
3.NG表現:●●県にお住まいの方歓迎
理由:出身地や居住地の特定はしてはいけない
改善例:勤務地は●●駅から徒歩5分程度です。

この他にも性別に関するもの、年齢に関するもの、時代の変化によるもの(×コロナのワクチン接種必須、〇コロナのワクチン接種推奨)などもあるので、社会問題に気を配ることも大切です。

なぜその法律があるのか「根本の理由」を理解する

求人広告を作成し始めたばかりだと、何から手を付けていいか分からず、法律を見てその量と難しさに絶望した……といったことが起こりがちですよね。

今回のように法改正が行われる可能性もあるため、すべてを完璧に覚えようとする必要はありません。各法律がある「根本の理由」さえ押さえておけば、表現のOK/NGが自然と理解できるようになるはずです。

ただし、法律的にNGと定められていなければ、どんな表現でも使っていいのかというとそうではありません。「誰かを差別していないか」「抽象的で受け手に誤解を与えないか」この2点を意識することが、雇用主とこれから応募してくれる求職者の関係づくりの第一歩になると考えます。

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