iOS14がGoogle 広告におよぼしうる影響と行うべき対策

iOS14がGoogle 広告におよぼしうる影響と行うべき対策
この記事は最終更新日から約3年が経過しています。

米アップル社が2020年9月16日(日本時間では9月17日)リリースしたiOS 14では、ITP(Intelligent Tracking Prevention)機能、端末の広告識別子であるIDFA(Identifier For Advertising)の利用にユーザーの許可を必要とする、プライバシー保護機能の強化(App Tracking Transparency(以下ATT))が図られています。

iOS14の広告に対する影響の詳細はこちらを参考にしてください。

そんなiOS14が、Google 広告にどのような影響があるのか、また広告主やデベロッパーはどのような対応をとればいいのか、2021年1月27日、Googleから公式に発表がありました。

Preparing our partners for Apple’s iOS 14 policy updates

今回は公式発表をもとに、具体的にどんな対応をとっていけばいいのか、解説していきます。



iOSのアプリに広告を表示したいアプリ開発者

まずは自社で作成したアプリにGoogle 広告を表示したい方の対策から解説していきます。

Google Mobile Ads SDKのアップグレード

Google Mobile Ads SDKを用いて自社のアプリに広告を表示している場合、iOS14のプライバシー機能により、アプリに広告を掲載している広告主がターゲティングを行いづらくなります。すると、ユーザーと広告のマッチング度合いが下がり、広告はクリックされにくくなりますよね。こうしてアプリへのGoogle広告からの収益に影響を与える可能性があります。

ターゲティング精度の低下を避けるためにGoogle Mobile Ads SDKのバージョンを7.64以降にアップグレードすることが必要とされています。

アップデートにより、IDFAを使った計測ができなくなる代わりにAppleから提供される、SKAdNetworkという計測の仕組みを利用できるほか、ユーザーに追跡する許可を求めるために表示する「説明メッセージ」の実装が可能なATT フレームワークを利用することができます。

アプリ広告でインストール促進やビジネスを拡大したい広告主

次に、アプリインストール広告を用いて自社のアプリのインストール促進やビジネス拡大をしたい方に必要な対応を解説します。

Google アナリティクス for Firebase の利用

IDFAを使った計測が行いにくくなる代わりにAppleから提供されるSKAdNetworkという計測の仕組みに対応するため、Google アナリティクス for Firebase の最新バージョンを利用することが推奨されます。

参考:Google Analytics for Firebase | Free and unlimited app analytics

SKAdNetworkの導入により、ATTフレームワークにて表示されたポップで同意を得られなかったとしても、ATTの影響を受けずにインストールコンバージョンやイベントをトラッキングすることが出来ます。

表示回数の変動への対応

ATTポリシーが有効になると、iOSのアプリキャンペーンでは表示回数に変動が見られる可能性があります。特に、しばらくアプリを使用していないユーザーに利用の再開を促すなど、インストール済みのユーザーの行動を促すことに使われるアプリエンゲージメントキャンペーンでは、リーチが大幅に減少します。

iOSアプリキャンペーンのパフォーマンスと配信状況を注意深く監視し、必要に応じて、目標を達成するために予算と入札単価を調整することが推奨されます。

アプリインストールキャンペーンにおける注意点

アプリインストールキャンペーンを行う際に注意点が3つあります。

キャンペーン数の制限

SKAdNetWorkは対応できるキャンペーン数に制限があります。iOSアプリ1つごとに8つ以上アプリインストールキャンペーンがある場合、それらを8つ以下に統合する必要があります。つまり、プロモーションしたいアプリが2つであれば8+8=16キャンペーンまでは作成可能ですが、各アプリごとのキャンペーン数は最大8なので、10+6=16という構成はできません。

入札方法は目標コンバージョン単価(tCPA)、または目標インストール単価(tCPI)のみ

iOSでのアプリインストールキャンペーンで目標費用対効果(tROAS)キャンペーンのベータテストに参加している場合、これらのキャンペーンを一時停止し、目標コンバージョン単価(tCPA)または目標インストール単価(tCPI)の入札方法に切り替えることが必要です。

個人的な見解ですが、おそらくIDFAの制限でコンバージョン値の取得が難しくなり、推定も困難なことが理由ではないかと考えています。

レポートにコンバージョンの推定値を含むように

もともとGoogle 広告の検索広告では「モデル化されたコンバージョン」という、統計データを使用して算出される、測定できなかったコンバージョンの推定値がレポートに含まれています。

この「モデル化されたコンバージョン」がアプリインストールキャンペーンのコンバージョン(インストール、アプリ内アクション、コンバージョン値)にも含まれるようになります。

またSKAdNetWorkのレポートデータもAppleのATTポリシーが有効になった後に管理画面上で確認出来るようになる予定です。

ビジネス拡大のためにも設定の見直しを

Google 広告が出している推奨設定にならうことにより、自分たちのビジネスにとってITPの影響をできる限り軽微になることが期待されますね。また、データの可視性が上がるのはもちろんですが、Googleに正確なデータが集まることによって機械学習の精度も上がり、結果私たちのビジネスの拡大につながることになります。

まずは推奨設定を理解し、できることやできないことはなんなのか見直しておくことが重要です。

関連記事

Yahoo!広告 ディスプレイ広告(YDA)、コンバージョンの詳細マッチングとは?導入メリットや設定手順を解説
Yahoo!広告 ディスプレイ広告(YDA)、コンバージョンの詳細マッチングとは?導入メリットや設定手順を解説
続きを見る
App Tracking Transparency (ATT)がCriteoアプリ広告へ与える影響とは?
App Tracking Transparency (ATT)がCriteoアプリ広告へ与える影響とは?
続きを見る
【イベントレポート】Cookie規制・プライバシー保護で「デジタル広告運用」は何がどう変化する? | デジタルマーケターズサミット 2022 Summer
【イベントレポート】Cookie規制・プライバシー保護で「デジタル広告運用」は何がどう変化する? | デジタルマーケターズサミット 2022 Summer
続きを見る