もう迷わない、適正なリスティング広告の予算とCPAの決め方

もう迷わない、適正なリスティング広告の予算とCPAの決め方
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  • リスティング広告の予算ってはじめどのくらい用意しておけば良いですか?
  • CPA(顧客獲得単価)は低ければ低いほど良いんですけど…どれくらいでいけますか?

リスティング広告のスタート前によくあるやり取りだと思います。しかし、このような質問に「的確に」「納得感のある」回答ができる方は意外と少ないのではないでしょうか。

ぼくも数年前までは、このような質問がくる度に冷や汗をかき、あやふやな回答をしてきました。お恥ずかしい限りです。今回はタイトルにある通り、「もう迷わない」適正なリスティング広告の予算とCPAの決め方を解説してみたいと思います。特にリスティング広告の営業担当の方や、リスティング広告のご相談を受けることが多い制作会社のディレクターの方などにとってお役に立てる内容になればと思います。

■予算から決めるのはそもそも間違い

おそらく色々な事情があり、このことについて多くは語られていませんが、リスティング広告の配信を始める際に、使う予算が先に決まっていること、それ自体が間違いなのです。成果が明確に結果で現れる、リスティング広告の場合は特に、です。

では何を決めれば良いのか、それは目標CPAと目標コンバージョン数です。これらの指標はビジネスの構造であったり状況であったりで変化してくる部分ですので、いくつかのケースに分けて解説をしていきます。まずは目標CPAからです。

■高単価非リピート型通販サイトの場合

例えば、高級ブランド時計や、電化製品など、1度買えば当分買うことがないような高額な商品が当てはまります。購入後3ヶ月間でのリピート率が10%を下回るような商材もこのケースに当てはめて考えた方が良いでしょう。

このケースの目標CPA設定は非常に単純で、下記の式になります。

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要は粗利を目標CPAにすれば良いのです。

話をシンプルにするために、このような式にしていますが、実際には原価以外に発生する経費(固定費や人件費など)も考慮した方が良いですし、利益を考えると目標CPAではなく、上限CPAとして考えた方が良いでしょう。

■単品リピート型通販サイトの場合

ほとんどの通販サイトのモデルはこちらに当てはまるかと思います。特に健康食品やサプリメント、化粧品などは、この考え方を取り入れた目標CPAを設定せずにビジネスを拡大させることはできないと言っても過言ではありません。

このケースの目標CPA設定は一般的に下記の式になります。

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ただし、「お試し無料」や安価な「モニター価格」でのサンプル販売から、本商品の購入につなげるビジネスモデルの場合は、ここに、サンプルから本商品購入にどの程度繋がるかを加味する必要がありますので、この式は次のようになります。

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「お試し無料」や「モニター価格」など、サンプルを無料で配布できたり、安く販売できる理由はこれです。はじめは無料でも、その後何回も買ってくれるのであれば元はとれてしまうのです。

リスティング広告という同じ土俵で戦う場合、平均購入回数が多い商品(商品の満足度が高い、継続してくれるためのサポートが充実している等)は目標CPAの許容ラインが上がるため、他社よりも強気で勝負することができます。

■WEB上で売上が確定しないサービスの場合

例えば、BtoCサービスで言えば、転職情報サイトや不動産情報サイトなどがわかりやすいですね。転職情報サイトの場合、WEB上でのコンバージョンは多くの場合、会員登録や企業への応募となります。不動産情報サイトの場合は、内見の予約や資料請求などになります。

このケースの目標CPAは下記の式になります。

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転職情報サイトの場合、採用が確定してはじめて売上が発生する「成果報酬型」のサービスが増えてきました。この場合を例にして分かりやすく説明します。

例えば採用確定で100万円の売上が発生するとしましょう。そして、会員登録の数から売上発生までの成約率(採用確定率)が1%だったとすると、WEB上のコンバージョン(会員登録や求人応募など)1件を獲得するためにかけて良い広告費は1万円が上限ということになります。それ以上かけると赤字、それ以下で獲得できれば利益が出ます。

リピート通販と同じ考え方で、人気企業の掲載があったり、優秀な人材の会員登録が多い転職サイトの場合、売上発生までの成約率(採用確定率)が高くなりますので、他社よりも目標CPAの許容が高くなり、強気でリスティング広告を配信することができます。

■目標コンバージョン数について

「コンバージョン数がどの程度獲得できそうか」のシミュレーションは、前提条件をつけてある程度算出することが可能ですが、基本的には既にリスティング広告を実施している場合は過去のコンバージョン数をベースにどのくらい伸ばしたいか、新しくリスティング広告をはじめる場合はどのくらい獲得していきたいか、をベースに目標を設定するのがよいでしょう。

ただし、コストとコンバージョン数の関係は、基本的に下記のようになります。(あくまでもイメージです)

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原則的にコストをかければかけるほど、コンバージョンの数を増やすことはできますが、いずれはかけたコストに対するコンバージョン数の伸び率は鈍化する傾向があるため、CPAの効率は徐々に悪くなっていくケースがあることも事実です。特に検索連動型広告の場合においてはコンバージョンが取れるキーワードは有限として考えることもできますので(許容度と戦略などによってこういったキーワードを増加することも可能です)、この意識を持ちながら取り組むことが出来れば、無茶なコンバージョン数とCPAを目標にしてしまうことはある程度防げるはずです。大きな目標は現場の士気を掻き立てますが、無茶すぎる非現実的な目標は現場に混乱を招くケースもあるので注意が必要ですね。

■まとめ

最後に、予算を決める公式を書いておきます。

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大事なことなのでもう一度言います。予算は目標CPAと目標コンバージョン数なくして決めることはできません。そして、この予算はあくまでも目安であり、正確に目標のCPAを守れていればコンバージョンの数はいくらでもとってきて良いのです。このあたりのコントロールが柔軟にできるのもリスティング広告の魅力の1つですね。こういった状況から、リスティング広告予算は固定費ではなく変動費で考えるべきとも言えます。

適正な目標CPAとコンバージョン数を決め、自信を持ってリスティング広告に取り組みましょう!

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