アドエビス(AD EBiS)とは?できること、導入する際に気を付けたいポイントを解説

アドエビス(AD EBiS)とは?できること、導入する際に気を付けたいポイントを解説

Web広告を複数の媒体で運用しているみなさんにとって、各広告施策ごとの配信実績を正確に把握・分析し、いかに施策の改善に活用するかは大きなテーマだと思います。多岐にわたる流入チャネルを効果的に管理・分析するために専用ツールの導入を検討している方も多いのではないでしょうか。

広告の効果測定と統合管理を行うツールにはさまざまなものがあります。今回ご紹介するのは、利用している企業も多く導入のご相談をいただくことも多い、「アドエビス(AD EBiS)」です。

この記事では、アドエビスでできることと、活用する際の注意点について解説していきます。


アドエビスとは?

アドエビスは、株式会社イルグルムが提供する広告効果測定プラットフォームです。

参考:アドエビス(AD EBiS) 広告効果測定プラットフォーム

広告効果をCPAやラストクリックで判断することも多いですが、広告媒体ごとに仕様が違ったり、広告媒体間での重複カウントがあったりと、実際の売上への貢献度が分かりにくいケースがあります。たとえば、購入に至るまでのプロセスに複数の広告施策が関わっている場合、最終的なクリックだけをみてもそれ以外の広告の効果を見逃してしまいます。

アドエビスは、このような複雑な広告効果を正確に可視化し、どの広告がどの段階で売上に貢献しているのかを細かく分析できます。これにより、広告運用者は単なる数値だけでなく、広告が実際に成果を生み出しているかどうかを正しく把握し、より効果的な施策を行うための判断が可能です。

アドエビスでできること

実際にアドエビスを導入するとどのようなことができるのか、おもな機能を具体的に紹介していきます。

複数の広告施策をまとめて比較できるマルチチャネルレポート

複数の広告媒体を利用する場合、それぞれの成果をまとめる必要が出てきますよね。そのために各広告媒体の管理画面で施策のデータをダウンロードして集計してとなると、手間も時間もかかることは想像に難くないでしょう。

画像引用元:アドエビスの機能

アドエビスを活用すると各施策の成果をひとつの画面で把握できるため、情報収集の手間を大きく省け、広告施策全体の把握がしやすくなります。

コンバージョン重複も回避可能

画像引用元:コンバージョン数を正確に計測したい | アドエビス(AD EBiS )の機能

また、複数の広告媒体に接触したユーザーがCVすると、実際に1件のコンバージョンしか発生していないのに接触媒体の管理画面に1コンバージョンづつ付いてしまう現象があります。こうした「コンバージョン重複カウント」は各広告媒体ごとに別々に計測を行っているために起こります。

アドエビスでは、施策ごとに遷移先のページURLにパラメータを付与する事でコンバージョンに至ったユーザーの流入経路とどの施策に接触したのかを横断的に把握し分析できるようになります。このように複数の広告施策を一元的に管理できるため、広告媒体間のコンバージョンの重複を回避可能です。

コンバージョンに至るまでの行動経路を可視化

最終的にコンバージョンに繋がった媒体の計測に留まらず、コンバージョンに至るまでユーザーがどの広告媒体と接触してきたか可視化できることも、アドエビスの大きな特徴の一つです。

各広告媒体の管理画面の数値だけで見ると、他媒体との接触が加味されないのに対して、アドエビスでは媒体をまたいでユーザー(デバイス)単位での行動分析ができるので、各施策の全体像がより捉えやすいと言えます。

画像引用元:ユーザーのオンライン行動の傾向を分析をしたい | アドエビス(AD EBiS )の機能

こうして、どの施策がユーザーに商品やサービスを知ってもらうきっかけになったのか、媒体間の相乗効果はどこにありそうか、などまで可視化でき、より有効な施策を打つための分析ができます。

コンバージョンへの貢献度を詳細に評価できるように、「CV」「初回接触」「間接効果」などの複数の指標が設けられています。

  • CV|ユーザーが最後に接触した広告や流入経路をカウント
  • 初回接触|コンバージョンしたユーザーが最初に接触した広告/流入経路をカウント
  • 間接効果|「CV」の前にユーザーが接触した広告や流入経路をカウント

上記の指標で、例えば直接のコンバージョンは少なくても、初回接触後のコンバージョンが多い施策があれば、その施策を強化していくことで初回接点を増やし、他の施策へのレバレッジが効いてサイト全体の売上やコンバージョンが向上できることがあります。

またこれらの指標を個別に評価するのではなく、総合的に評価できる点もアドエビスのメリットです。

外部システムとの連携が可能

アドエビスのもう一つの強みは、各広告媒体はもちろんのこと、自社の基幹システムやCRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)など、様々な外部システムと連携可能(※)なことです。

複数のプラットフォームと紐づけることによって、LTVなどの指標まで加味したレポートの作成をはじめ、計測データを基にした広告配信などまで様々な形で活用できます。

(※)連携可能な外部サービス一覧:外部サービス連携 | アドエビス(AD EBiS) 広告効果測定プラットフォーム

また、外部システムと連携できる「媒体シンク」機能を使うと、各広告媒体のデータをアドエビス上で自動取得し、アドエビスの計測データと自動結合できます。

現時点では以下2点の作業の自動化が可能です。

  • 日次で表示回数、広告費をアドエビスに取り込む
    (代理店に依頼している場合)手数料率を加味した値の反映可能
  • 専用の入稿用パラメータを媒体に設定することで、アドエビスで計測するための広告登録

それぞれ対応している媒体は限られていますので、ご注意ください

Google広告Yahoo!広告-検索広告Yahoo!広告-ディスプレイ広告Meta広告LINE広告
広告自動登録△(一部対象外)*1×
表示回数・広告コスト取得△(一部対象外あり)*1△(一部対象外あり)*2

*1 P-MAX・商品フィードを活用したデマンドジェネレーションなど広告ID単位で表示回数、広告コストが取得できないメニューは連携対象外

*2 広告フォーマット「画像(アニメーション)」は連携対象外

参考:[仕様・設定]媒体シンクの仕様、設定方法について | AD EBiS サポートサイト

GA4とアドエビスの違いは?

チャネルをまたいだパフォーマンスの計測・分析から目標値の管理までこなすツールとしてGA4を導入している企業も多いかと思います。「GA4とアドエビス、どちら使えばいいのか?」という声を聞くこともありますが、実はそれぞれの得意分野や利用目的が異なります。

内容アドエビスGA4
主なツール利用目的広告などサイトに流入する以前のデータ分析や費用対効果の計測を行う
サイトに流入した後のユーザーの行動を計測や分析する
費用有料
(クリック数による従量課金)
無料
(一部有料機能もあり)
アトリビューション分析機能可能(個別ユーザー単位の行動を追いやすい)可能
(全体感の把握がしやすい)
広告費用の取り込み可能
(Google広告、Yahoo!広告、Meta広告、LINE広告のみ自動取得)
(それ以外のメニューは専用CSVを作成して手動アップロード)
可能
(Google広告は自動)
(それ以外のメニューは専用のCSVを作成して手動アップロード)
ITP対策1st Party CookieプログラムをWEBサーバーに設置  専門的な知識が必要なサーバーサイドGTMを活用
専任サポート有り無し
CRMとの連携や紐づけ可能
(顧客データの手動アップロード)
可能
(カスタムディメンションの設定&顧客データの手動アップロード)

参考: アドエビスとGoogleアナリティクス(GA)を比較!違いを詳しく解説

アドエビスとGA4の違いについて簡単に表にまとめました。用途によってそれぞれの特徴や強みがあることが分かりやすいかと思います。

こちらを踏まえて、アドエビスとGA4の大きな違い3点について詳しく解説します。

利用目的が異なる

まず大きな違いは、アドエビスは広告やマーケティング活動を分析する広告効果測定ツールなのに対して、GA4はサイト(またはアプリ)全体のアクセス解析ツールという点です。

簡単に説明すれば、アドエビスは「広告との接触」を起点にコンバージョンまでの経路を詳細に追跡することに重みを置いていると言えます。主にどのチャネルが成果を生んでいるか、どの広告が効果的かを複数の広告媒体からデータを集約し把握できるように設計されているツールです。

一方、GA4は「ウェブサイトやアプリのアクセス」を起点にユーザーの流入後の行動を、ページビュー、エンゲージメント、コンバージョンの分析など、幅広いデータを提供するツールになっています。

そのため、広告トラフィックに限らず、サイト内のユーザー体験全体を包括的に把握できることが特徴です。

アトリビューション分析機能の違いについて

流入経路ごとのアトリビューション分析の違いも大きいです。

上述の通り、GA4は「サイト全体のアクセス解析ツール」のため、備わっているアトリビューション分析レポートは、どのチャネルがコンバージョンの起点になったり、アシストしたり、終点になったりしているのか全体感の把握へのフォーカスが強いと言えます。その反面、個別のユーザー行動までは詳しく追えません。

一方、アドエビスは「広告やマーケティング活動の効果測定ツール」のため、連携している広告媒体のトラフィックには限定しますが、ユーザー単位での流入経路の分析が可能です。例えば、「いつ、どの施策を経由し購買したか」や「LTVが高いユーザーが接触した施策」といった具体的な情報まで把握できるのが特徴です。

公式サポートの有無

GA4とアドエビスのもう1つの大きな違いは、日本国内における専用サポートの有無です。GA4の無料版を使っている場合は基本的にはGoogleが提供しているオンラインリソースやコミュニティを通じたサポートが主ですが、直接的な日本国内向けのサポートは限られています。

一方、アドエビスは国内企業が提供しているので、日本語での専用サポートが充実しており、電話やメールでの相談が可能です。これによって、ツールの導入や運用において迅速なサポートを受けることができ、特に日本市場に特化したサポートを重視する企業にはメリットと感じやすいかもしれません。

アドエビスを検討する際に気を付けたいポイント

最後にアドエビスを検討中の方向けに、いくつかの注意点を紹介します。

費用が発生する

アドエビスのアカウントの発行や導入するための初期費用は発生しませんが、月額のサービス利用費用が発生します。

利用料金は簡単に説明すると、定額の月次の基本料金と、契約するプランに定められた上限を超えたデータ量に応じた従量課金およびオプション料金の3つから構成されています。

※参考:料金 | アドエビス(AD EBiS) 広告効果測定プラットフォーム

導入することによって発生するコストと期待できる売上の向上を吟味したうえで、検討すると良いでしょう。

外部連携に対応していない媒体がある

「アドエビスでできること」のパートで紹介した外部システム連携には、対応していない広告媒体やサービスも存在します。例えば、媒体シンク機能だと、Smartnews広告、X広告、Criteo広告など一部の媒体は非対応で、各広告の表示回数と費用をアドエビス管理画面上で確認ができません。

もし、対応していない広告媒体を数多く配信していると、アドエビスの機能をフル活用できないケースも考えられますので、事前に連携対応の有無を確認することをおすすめします。

サイト側のデータ取得にタグのカスタマイズが必要

流入経路ごとのROIやLTVを算出・分析できるのもアドエビスのメリットですが、コンバージョンタグを多少カスタマイズする必要があるので要注意です。このステップが漏れており正しく分析ができないケースをよく目にします。

例えばユーザーのコンバージョン後の行動をチャネル別で分析をしたい場合は、自社サイトで管理している購入IDなどユーザーの個人情報をアドエビスでも取得する必要があります。

カスタマイズ方法の詳細はこちらから確認できます。

参考:【新バージョン】サイトに直書きでタグを設置 ページID指定でCV計測 属性情報取得あり | AD EBiS サポートサイト

パラメータの粒度を細かく切りすぎない

アドエビスには施策ごとに分析をできる利点はありますが、逆にパラメータを細かくしすぎるとデータが分散してしまい、正確な分析が難しくなる恐れがあります。必要なデータ量が足りないと分析に時間がかかってしまうため、パラメータの粒度は注意して設計しましょう。

具体的には、キャンペーンや広告グループ(広告セット)くらいの粒度で設定しておくことがおすすめです。もし、それ以上に細かくしたい場合は、流入数に応じて検索語句群や訴求軸単位までに留めておくとよさそうです。

まとめ

複数の広告媒体を運用している場合、配信実績を効率良くまとめ、次の施策に活かせる的確なインサイトを得ることが重要な課題になります。

こうした課題を解決できるツールはいくつか存在しますが、今回ご紹介したアドエビスに興味を持っている方も比較的多いのではないでしょうか。

ツールの選定にあたっては、自分のニーズに合っているか、利用目的など多くの要因が影響します。そのため、マルチチャネルの分析とレポーティングに特化したツールを検討している方は、ぜひこのブログをご参考にしてください。

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