広告施策を成功に導くために、TPOをわきまえる必要があると思います。言い換えれば、ユーザーがある商品やサービスに興味を持つようになるタイミングを見逃してしまうと、施策が空振りし、最悪の場合、そのチャンスを競合に取られてしまうことさえありますね。
Google社も、購買意欲を左右する要素をマイクロモ―メントと呼ばれる最小単位まで研究しているほど、購入の意志決定にかかわる条件・枠組みが重要視されるご時世になりました。
参考:生活者の意図を捉えるマイクロモーメント(Micro-Moments) - Think with Google 日本
ただ、マイクロモーメントは生活のさまざまなシーンで日常的に発生しますが、人生における大きなイベントは頻度こそまれですが、ある商品が欲しくなったり、あるサービスを利用したりしたくなる引き金として見逃せません。
こういった人生の節目のイベントを示すシグナルに基づく広告配信は、Gmail広告とYouTubeの動画キャンペーンにおいて、ライフイベントターゲティングという形で利用できるようになりました。
参考:ユーザーの興味 / 関心に基づいたターゲティングについて - AdWords ヘルプ
ライフイベント ターゲティングの設定方法
さて、まずは設定方法です。
Google アドワーズに最近登場していたいくつかの新機能同様に、ライフイベントに基づくターゲティングもリニューアル版の管理画面からでないと、アクセスできない仕様になっています。
参考:Google アドワーズ、プロモーション表示オプションが日本語に対応
参考:Google アドワーズの世帯収入ターゲティングが日本国内からも設定可能に
①Gmail広告または動画キャンペーンで、設定したい広告グループを選択し、「オーディエンス」を選択します。
②「+オーディエンス」をクリックします。
③「インテント イベントとライフイベント」の項目をクリックすると、各ライフイベントが選択できるメニューが開きます。
ターゲティングの選択肢は現時点で、下記の3種類です。また、イベント自体に加えて「~予定」と「最近~した」のチェックボックスでターゲッティングしたいユーザーの現状を指定できます。
大学卒
引っ越し
結婚
ライフイベント ターゲティング活用のアイデア
※2018年2月8日訂正:「ライフイベント ターゲティング活用のアイデア」において、同時に複数選択すると、オーディエンスをさらに絞り込むことができると誤った方法を紹介しておりました。大変申し訳ございません。
正しくはOR条件となり、選択したそれぞれのユーザーが広告の配信対象となります。なお、同様のターゲティング方法について代替案を追記致しましたので、よろしければご覧くださいませ。
同時に複数選択すると、オーディエンスをさらに絞り込むことができ、施策の方向性に応じてカスタマイズできます。
例えば、上記の例のように、「大学卒業予定」と「引っ越し予定」が両方当てはまるオーディエンスには、近いうちに卒業・就職し、一人暮らしを始めるユーザーが比較的多く含まれることが想定できます。不動産ポータルのアカウントなら、こういったオーディエンスに1Kや1DK物件に特化した広告を掲載する施策が効果的に思えます。
また、今回は条件を逆にし、ターゲットを「最近卒業した」「最近引越した」ユーザーに変更するとニーズも向いている商材も変わってくるかと思います。例えば、対象が一人暮らしを始めた新入社員だと想定すると、家電、キッチン用品やインテリアを扱うECサイトとの相性が良さそうですね。
2018年2月8日追記:
複数のライフイベントをかけ合わせたターゲティングはできませんが、Gmail広告の場合は、キーワード(ユーザーが過去に訪れたウェブサイトの中で、よく使われている語句)によってターゲットを絞り込むことが可能です。
「オーディエンス」タブより「広告グループのターゲット設定を編集」を選択します。
「ターゲットを絞り込む」ボタンより「キーワード」を選択してターゲットとしたいユーザーが訪れているであろうサイトに関連する語句を入力します。
例えば、「引越し」や「1LDK」「一人暮らし」などのキーワードで絞り込むことで、「卒業予定」で近いうちに一人暮らしをするために引っ越しサイトや賃貸物件を探しているであろうユーザーへアプローチができます。
また、例えば賃貸サイトが、卒業前にすでに引越しを済ませてしまったユーザーをターゲットから除きたい場合には、ライフイベントの「最近引越した」を除外設定することもできます。こちらはGmail広告、動画キャンペーン双方で設定が可能です。
その他にも、店舗数の多い飲食店やスポーツジムも、さらに地域ターゲティングをかけ合わせれば、新しく引っ越してきた(と思われる)人を狙って近辺にある店舗への集客に活用するケースも考えられます。
このように、一見3種類のライフイベントは少ないようにみえても、さまざまな活用方法があります。
最後に
ライフイベントで、ユーザーの特定のライフステージのニーズに応じて広告を配信が可能になり、広告運用者は、使い方次第で有力な新しいツールを手に入れたと言えます。欲を言うならば、GmailとYouTubeのみならず、その他のGDNのキャンペーンタイプにも導入できれば、さらに活躍できそうですが、現在の仕様でも特に卒業・引っ越し・結婚と結びつきやすいビジネスのアカウントでは、取り入れてみる価値は十分にあると考えています。