
街中の看板やポスター、バナー広告など人物写真が入ったものをよく見かけませんか?
実際に、人物写真を用いた広告バナーは、それらを含まない場合に比べて177%高いコンバージョン率をもたらしたという調査結果もあります。
参考:人間の顔が入っている広告は177%コンバージョン率が高い【保険の広告に関する調査】:MarkeZine(マーケジン)
しかし、いざ人物写真を入れたバナーを作ろうとしても、レイアウトに迷ったり、そもそもどんなときに人物写真を使えば良いのかわからない……と悩む方も少なくないでしょう。
今回は、バナーの注目度を高めるための人物写真の使い方やNG例、写真の選び方について解説します。


人物写真の持つ効果
数多くのコンテンツがある中で、自社のバナー広告に目を留めてもらうにはひと目で注目を引き、自分ごとだと気づいてもらうことが重要です。その際、人物写真を使用することは効果的な手段の一つです。
まずは人物写真の持つ効果を見ていきましょう。
人の顔認識能力を活かして、瞬時に注目を集める
人間には「顔」を瞬時に検出・認識しようとする性質があります。進化心理学的には、素早く相手を敵か味方か判断したり、表情から得られる情報をすぐに察知するために身についたと考えられています。この人間の高度な「顔認識能力」を活かして、バナーに視線を集めることが可能です。


たとえば風景のみのバナーと人が写っているバナーを並べた場合、人が写っている方のバナーにより注目しやすくなります。
「リアルな人物」を見せることで安心や信頼感を与える
人物写真の有無によって生じるもう一つの違いは、文字だけでは伝わらない、詳細な雰囲気の伝達です。


例えばこちらの求人広告を見比べると、右の広告の方が職場の雰囲気が伝わってきませんか?応募者の目線で考えると「どんな人と一緒に働くのか」「職場はどんな雰囲気なのか」が伝わってくる方が安心感を感じられるでしょう。
スーパーに売っている野菜に生産者の写真が掲載されていることがありますが、これも「誰が作ったのか」がわかることで安心や信頼を与えられたり、生産者の笑顔を見て商品に親近感を感じやすくなる効果があります。
ターゲットに近い人物を使うことで特定の層に自分ごと化してもらう
ターゲットに近いモデルの人物写真を使うことで、ターゲットが一目で自分ごととして受け入れやすくなる効果もあります。


例のバナーを比較していただくと、商品のメインターゲットが変わった印象があります。
もし20代の女性に50代女性の写ったバナーが表示されたら、「自分は商品を買う対象ではないかも」と思うのではないでしょうか。このように使用している画像によって与えたい印象やターゲットが変わってきます。
人物写真の選び方
人物写真を使ったバナーの制作ポイントをお伝えする前に、準備段階で押さえておきたいポイントを紹介します。
人物周りに余白がある写真を選ぶ
人物写真を選ぶ時は、なるべく人物周りの余白部分が多めの写真を選びましょう。


左の写真は余白が多く、レイアウトの自由度が高いですが、右の写真は余白が少ないため、デザインの選択肢が限られます。
このように人物の周囲に余白があると、さまざまなレイアウトに適応できます。
人物が魅力的だけど余白が少ない!という写真素材を使いたい場合は、Photoshopの生成AI機能を使って余白を継ぎ足すことも可能です。詳細を知りたい方は、以下のサイトを参考にしてみてください。
参考:【24年4月最新】Photoshopの生成AI機能使ってみた【生成拡張&生成塗りつぶし】
目的に応じて「ユーザーが自己投影しやすい写真」を選ぶ
共感してもらうことで興味を引きたい場合において、ターゲットからかけ離れた属性の人物写真や、キラキラしすぎて自己投影しにくいモデル写真を使用するのは避けた方が良いでしょう。広告が自分向けでないと思われスルーされたり、最悪の場合敬遠されてしまう可能性があります。
また、人物写真は特定のイメージを植え付けるため、幅広い層に向けた商材の広告には向かないこともあります。その場合は、写真ではなく抽象化したイラストを使用したり、商品のみにフォーカスするのも一つの手です。
ライセンスを事前に確認する
フリー素材は利用規約で使い方が制限されている場合があるため、商用利用が可能か事前に必ず確認しましょう。
また、クライアントから共有された人物素材についても、事前に使用範囲や権利に問題がないかを確認しておくと安心です。
人物写真を活用した具体的なバナーデザイン例
それではバナーにおける人物写真の効果的な使い方を解説します。
人物の視線や手を活用して、ユーザーの視線誘導を自然に促す
人には、第三者の視線の先や手で指し示す先に注目してしまう習性があります。そのため、人物写真の目線やジェスチャーの先に強調したいメッセージを配置することで、よりメッセージを読んでもらいやすくなるでしょう。


人物の視線が外側に向かっているバナーでは、見る人の意識も外側に向いてしまい文言やキャッチコピーが注目されにくくなります。
手の先も注目が集まりやすいので、指差ししている写真や、強調したいメッセージに手を添えるような写真を活用するのもおすすめです。
カメラ目線の写真を使い、より強く視線を集める
人物がカメラ目線の写真は注目度が非常に高くなります。
特に真正面から写っている写真は、メッセージ性を強めたい時やインパクトを出したい時に有効です。


どちらもカメラ目線ですが、右側のバナーは人物を中央に配置することで、よりインパクトを強めています。
人物よりコピーを強調したい場合は、斜めの角度から目線だけこちらを向いている左側のバナーのような写真を使うことで、人物のインパクトを緩和することができます。
あえて目より下のみを映した写真で、メッセージや商品に注目を集める


こちらは先ほどとは逆で、あえて人物の目が入らないようにするテクニックです。
人物によるアイキャッチ効果は弱まりますが、その分商品やコピーが目立つというメリットがあります。また、写真に複数の人物が写っていると、注目するポイントが散らばりやすくなってしまいます。そのような場合も、人物の目を入れないように配置することで、商品やコピーに注目が行きやすくなります。
複数人配置して、楽しい雰囲気を出す
人物を入れてみたけど、なんだか寂しい印象だな……という時は複数人を配置すると賑わっている印象が出ます。
複数人を配置するもう1つのメリットは、いろいろな人物像を見せることでバナーのターゲットの幅を広げることができる点です。例ではオンライン英会話の広告で活用してみました。
人物写真を切り抜いてデザインに統一感を出す
人物を入れることで、デザインの統一感がなくなってしまった時はどうすれば良いでしょうか?そのような時は、背景をなくし、切り抜いた人物写真を配置することで解決できるかもしれません。


左のバナーのように人物の背景を完全に切り抜いて使用したり、右のように人物写真を円の中から飛び出させるデザインにします。その上で人物の背景にブランドカラーを使用すると、バナー全体に統一感を出すことができます。
たとえばセミナー集客用のバナーで複数の登壇者の写真を載せる時など、背景が異なるいくつかの人物写真を使いたいときにも有効です。
人物写真を使うときに避けたいNGデザイン例
ネット上の素材サイトから誰でも気軽に人物写真をダウンロードして使うことができる一方で、人物写真の使用が不適切な場合や、誤った使い方をしているものを時々見かけます。
ここでは、やってしまいがちな人物写真のNG使用例について解説します。
首の部分にラインが刺さるような配置


首元で背景デザインを切り替える構図や、首で見切れるデザインは、見る人に不安感を与えてしまうので避けましょう。
目に角や先端が入る配置
目に背景デザインやあしらいの角が向いている配置も不安感を与えるので避けましょう。
複数の人物を使う時に、大きさが揃っていない


複数の人物をバナーに使用するときは、プロフィール写真の頭の大きさを揃えるようにしましょう。
フリー素材の人物に口コミや思想を組み合わせる
人物写真を扱う際には、誤解を招く内容にならないよう注意が必要です。たとえば、口コミや思想などの、意見・感想と人物素材を組み合わせて、あたかもその人物が特定の商品やサービスを支持しているかのように見せることは避けましょう。また、人物の品位やイメージを損なう使い方も禁止されています。
規約の確認はもちろんのこと、モラルや常識を欠いた制作物にならなってしまわないよう心がけることが大切です。
まとめ
これまでさまざまな人物写真の使い方についてお伝えしましたが、必ずしも人物を入れた方が良いというわけではないと思っています。
例えば求人バナーの場合、人物を含めたリアルな職場の雰囲気を見せる方が良い場合もあれば、オフィスが魅力的な会社であれば人物を入れずに素敵なオフィスの写真を大きく見せた方が目を引くことができるかもしれません。
今回紹介した内容は、自分でバナーを制作するときだけでなく、別の人が作った制作物の改善点に気づいたり、違和感を感じた時に原因を特定して改善する力になると考えます。バナーに人物写真を使う機会があったら、ぜひ今回の内容を参考にしてくださいね。
人物写真も含めて、商用利用できるおすすめの写真素材サイトはこちらの記事にまとめています。
