2020年5月28日、Googleはディスプレイ広告向けにカスタマーマッチの利用が可能となることをアナウンスしました。これまでは一部の広告主に向けてベータ版として提供がされていました。
参考:Google Extends Customer Match to the Display Network
目次
カスタマーマッチがディスプレイ広告で利用可能に
カスタマーマッチは、広告主が保持しているメールアドレスを暗号化してGoogleと共有することで、顧客データに基づいたユーザーリストを作成できる機能です。
これまでは、検索連動型広告、動画広告、Gmail広告、ショッピング広告で利用可能でしたが、今回のアップデートによりついにディスプレイ広告でも利用できるようになりました。
自社の顧客などのメールアドレスや電話番号を使用したターゲティングにより、特定のユーザーに対してディスプレイ広告の掲載が可能です。たとえば、過去の商品購入ユーザー向けに新商品を広告でお知らせすることもできます。
類似オーディエンスリストも対応
通常のリマーティングリストと同様に「顧客リスト」を元にした類似ユーザーリストは自動作成されます。
活用方法として、対象となる顧客リストと近しい興味・関心を持っている、または行動や属性を持つユーザーに向けて広告配信が可能になります。
たとえば、購入リピート率の高い顧客の類似ユーザーリストを使用することでコンバージョンへの寄与度が高いと考えられる新規ユーザーへ広告を配信できます。
カスタマーマッチの利用方法
カスタマーマッチの作成方法には、「メールアドレス、電話番号、住所」のいずれかを使用した方法の他、リマーケティング タグに追加した識別子「user_id」を元に特定の顧客を内部で関連付ける「ユーザー ID」、顧客データを取得しているアプリデータを使用した「モバイル デバイス ID」がありますが、今回は「メールアドレス、電話番号、住所」をアップロードする方法でご紹介します。
1.Google 広告管理画面 [共有ライブラリ] より [オーディエンス マネージャー] をクリック
2.プラスボタンをクリックし、顧客リストをクリック
3.オーディエンス名を入力
4.アップロードする顧客データの種類は「メールアドレス、電話番号、住所をアップロード」を選択
5.持っているデータに合わせて「ハッシュ化されていない書式なしテキストデータをアップロードする」または「ハッシュ化データをアップロードする」を選択し、CSVデータをアップロード
6.Google のカスタマー マッチに関するポリシーを確認して同意
個人情報を取り扱う為、広告主には利用規約も事前に共有した上で同意を行う事や、不明な点があれば、広告主側の法務部門などと連携して導入を進めましょう。
7.有効期限は「期限切れなし」か「期限を任意で設定」して選択(※1日~540日の間で設定可能)
8.「リストをアップロードして作成」をクリック
ディスプレイキャンペーンへの設定方法
1. 設定対象の広告グループを選択して「オーディエンス」をクリック
2.「閲覧タブ」より「顧客リスト」を選択して、先ほど作成した顧客リストを選択して保存。
カスタマーマッチの利用要件
カスタマーマッチの利用にあたっては、いくつかの要件があります
- これまでポリシーを遵守してきた実績があること
- これまでお支払いに関して問題が発生していないこと
- 90 日以上の Google 広告のご利用実績があること
- ご利用金額が全期間で 5 万米ドルを超えていること(米ドル以外の通貨でアカウントを管理している広告主様のご利用金額は、その通貨の月別平均換算率により米ドルに換算されます)
上記の条件を満たす場合でもGoogleのアカウント担当にリクエストする必要があります。
また現在、カスタマー マッチのご利用実績がなく、Googleのアカウント担当が決まっていない場合は、上記の条件を満たしていても、現在カスタマー マッチを利用出来ないとのことです。
しかし今後、カスタマーマッチ申請プロセスが用意され次第、使用可能になるとのアナウンスもありますので続報を待ちましょう。
参考:カスタマー マッチ - Google 広告ポリシー ヘルプ
個人情報の取り扱いには細心の注意を
電話番号・メールアドレスなどは、ハッシュ化(暗号化)されたのちGoogleのサーバーへ送信されるためプライバシーへの配慮がされています。
ただし、顧客情報を広告に活用する機能上、データの取り扱い方法は事前にクライアントなどと十分に協議しておくのがよさそうです。
カスタマーマッチのデータ利用にあたっては、Googleのヘルプで説明がされています。詳しくは、以下をご確認ください。
参考:Google によるカスタマーマッチ データの使用について- Google 広告ポリシー ヘルプ
参考:ハッシュ化したデータをアップロードするためのフォーマット ガイドライン - Google 広告ポリシー ヘルプ
まとめ
今回のアップデートによりディスプレイ広告においても、顧客と密なコミュニケーションが可能となりました。企業にとってはメリットになりますが、だからこそ、ユーザーに対して一方的に訴求を押し付けることが無いよう節度をもって活用していきたいですね。