「意見が出るチーム」をつくるには?建設的な議論を行うための3つの考え方

「意見が出るチーム」をつくるには?建設的な議論を行うための3つの考え方

「このチーム、どうも意見が出にくいな」と感じたことはありませんか?

たとえば、会議でリーダーが意見を募っても誰も発言しない。誰かがようやく声をあげても、「それはちょっと難しいかも」と否定されてしまい、話が広がらない。

本来、同じ目的に向かって動いているはずのチームで、なぜこうしたことが起こってしまうのでしょうか。

今回は、意見を出して前向きに話し合える=建設的な議論ができるチームをつくるにはどうすれば良いかを、3つの視点から考えてみました。

「なかなか意見が出てこない」と悩んでいるリーダーや、会議の進行を担うファシリテーターの方は、ぜひ最後までお読みください。


「言いにくさ」はなぜ生まれる?

議論の場で意見を言えないのは、たとえば以下のような要因があります。

「自分が発言していいのかわからない」
「意見を出しても否定されそう」
「出した意見がその後どう活かされるのか見えづらい」

私も社会人歴が浅かった頃は「こんなこと言ってもいいのかな」「的外れと思われたら恥ずかしい」と思い、発言をためらってしまうことがよくありました。

また、初めて一緒に仕事をするチームでは、会議の雰囲気を見ながら「どこまで意見を言ってよさそうか」を無意識に探ってしまいます。場の空気を読んで出方をうかがうのは、多くの人に覚えがあるのではないでしょうか。

メンバーの発言が少ないと、リーダーはつい「積極性がない」「何も考えていない」と個人の性格や姿勢の問題だと考えてしまいがちです。しかし、実際には会議の雰囲気が“言いにくさ”を生んでいるケースも少なくありません。

では、どうすれば意見を出し合い、建設的に話し合えるチームになるのでしょうか?

“たたき台”としての提案を歓迎する

企画を通すためのプレゼンには、万全の準備で臨むのが当たり前。そのためか、「提案=完成されたアイディアであるべき」という感覚を持っている人も多いのかもしれません。

しかし、会議における議論は、プレゼンとは違います。たたき台としての提案こそ、議論を前に進めるきっかけになるのです。

たとえば、方向性が定まっていない状態で「何かいいアイディアありますか?」と聞かれても、何をどう考えていいか戸惑ってしまいますよね。そんなとき誰かが案を出してくれると、比較やブラッシュアップができるようになり、議論が具体化していきます。

未完成の意見でもOKという空気をつくるには、「議論の前提」と「参加者に求める姿勢」を明確に伝えることが大切です。

<議論をスムーズにする一言>

  • この時間は、~~についてざっくばらんに意見を出し合うのが目的です
  • 「正解」があるわけではないので、経験や立場に関係なく、思いついたことをなんでも教えてください

提案内容そのものではなく、背景にある課題に注目する

出された意見に対して、「それはちょっと違う」「現実的じゃないな」と思うことがあるかもしれません。しかし、そこですぐに否定してしまうと議論が止まり、意見を出した側も「言うべきじゃなかった」と感じてしまいます。

たとえば、こんなシーンを想像してみてください。

会議で「どうすればもっと多くの人に自社商品を知ってもらえるか」を話し合っているときに、1人の参加メンバーが「YouTubeをやってみてはどうか」と提案したとします。

ここで「いや~動画はリソース的に難しいんじゃない?」「ターゲットの年齢層的にYouTubeは合わないよ」と即座に否定してしまうと、議論はそれ以上広がりません。

でも、もしその意見を出した背景に「今のオフライン施策だけでは、いずれ頭打ちになる」「今アプローチできていない層にも届ける手段が必要だ」という課題意識があったとしたらどうでしょうか。

提案というのは、「この課題をなんとかしたい」「うまく言語化できないけどモヤモヤする」といった思考から生まれていることがほとんどです。

その背景に目を向けることで、「他の手段も視野に入れて、課題への対策を検討しよう」と前向きな話し合いにつながります。

手段の良し悪しを判断する前に、「なぜその提案が出てきたのか?」という背景に注目しましょう。

<議論をスムーズにする一言>

  • この案が生まれた背景や、解決したいと思った課題について教えてもらえますか?
  • 課題に対して他にどんな解決手段があるか、さらにアイディアを出し合いましょう

意見がその後どうなったか共有する

せっかく意見を出しても、「あれってどうなったんだろう?」とその後の動きが見えないと、次第にメンバーは「言っても意味がないかも」と思うようになります。

採用されたか/されなかったかに関わらず、議論に参加していたメンバーにその後の動きを共有しましょう。

意見を採用した場合は、周りからの評判やどんな成果が生まれたかなどを提案者に伝えると、「自分の提案が価値を生んだ」と自信につながります。

採用されなかったとしても、「なぜ今回は見送ったのか」「今後どこで活かせそうか」といったフィードバックがあることで、提案した側の納得感は大きく変わるでしょう。

「自分の声がチームに届いている」という実感が、次のアイディアや意見につながっていくのです。

<議論をスムーズにする一言>

  • この前出してもらった提案、関係部署と調整中なので、動きがあり次第また共有します
  • 意見を反映したら、お客さまからこんな嬉しい感想をもらいました!
  • 今回は~~の理由で見送ることになったけど、また時期が来たら検討したいのでドキュメントに残しておきましょう

「意見を出しやすいチーム」を目指す理由

「意見を出しやすいチームをつくる」と言っても、「誰の意見も否定しない仲良しチームを目指そう」という意味では決してありません。

同じ目標に向かっているチームとして、妥協せずにベストな方法を模索する――そのために、一人ひとりが自分の考えを話し合える土台をつくることが重要だと考えます。

もしもリーダーがすべてを判断し、メンバーは与えられたことをこなすだけという状態が続けば、そのチームはリーダーの実力以上に成長しないでしょう。

「早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け」という言葉があるように、多様な視点を活かした建設的な議論ができれば、今よりもっと遠くへ行けるのではないでしょうか。

今回の記事が、そんなチームづくりのヒントになればとても嬉しく思います。

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