競合他社のウェブ広告出稿状況調査に役立つ、無料ツールを利用したTips3選

競合他社のウェブ広告出稿状況調査に役立つ、無料ツールを利用したTips3選
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「ウチの競合ってどんな広告やってるんですかね?」

代理店勤務の方が相対するお客様、もしくは事業会社のウェブ広告担当の方なら上長に聴かれたことがあるであろう、このフレーズ。マーケティング活動は競合他社がやっていることを把握するのが自社の成功に直結するわけですから、自然な着眼点だと筆者も同意します。

「どんな広告」の部分をさらにブレイクダウンすると「ターゲティング(プラットフォームやキーワードなど)」と「広告クリエイティブ」の2要素に分けられます。

逆説的な言い方になりますが、競合他社が採用している広告プラットフォームは、自社の見込み顧客に対しても効率よくアプローチできる可能性が高いです。そして同じ配信面で見込み顧客から横並びで比較されるときに勝てるのか?という観点でも、競合のクリエイティブが掲出されているか把握するのは重要です。

本記事では、これら競合他社の出稿状況を調べるためのTipsやツールの活用方法を紹介します。


なぜ競合の出稿状況を調査するのか

自社(もしくは自身が支援している広告主)ビジネスの成功確率を高めるのに有用だからです。もちろんサービスの設計などはユーザー目線でなされるべきですし、広告の訴求も広告主側がイイタイコトを言うのでなく、ユーザーが欲していることを軸に考えて打ち出すことが成功には不可欠です。

とはいえ兵法書の「孫子」にもあるように「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」とは広告配信においても核心を突いていると筆者は考えます。敵、つまり競合の他社が「どこで」「何を」「どのように」言っているか把握していれば、今の自社の戦い方で勝ち目があるのかないのかがある程度見えますし、今後の打ち手の輪郭が浮き上がってきます。

どうやって競合調査をやるのか

やり方は多々ありますが「どのような軸で競合調査をするのか」という観点が重要です。競合調査の目的は先述の通り、自社のビジネスの成功確率を上げるための情報を得ることなので、どの軸で調査すれば勝率を上げられるかを考えましょう。本記事では3つの観点に沿った調査方法をご紹介します。

※紹介しているツールの情報は、2020年12月時点で提供されているものをベースにしています。

1. タグ設置状況を可視化し実施歴のある広告媒体を調査する

「ある広告媒体Aのタグがサイトに設置してある=媒体Aで配信を行っている(行っていた)」といえます(タグを設置せずとも配信自体はできますが、競合他社サイトのタグ設置状況を調べることは、競合他社の利用媒体を調査することに直結します)。

さてどんなやり方でサイトのタグ設置状況が見えるのか?ですが、例えばGoogle Chromeのデベロッパーツールでサイトのソースから各媒体のタグに含まれる文字列を検索して手動で調査、というやり方が一般的かと思います。ただしこのやり方は、都度文字列を検索窓に打ち込んで確認して記録して、など大変手間がかかります。

このタグ設置状況の調査を簡便にできるツールがGhosteryです。もともとはタグの実行を制御し、ユーザーのプライバシー保護やサイト読み込みの高速化を意図して作られたツールのようですが、ウェブマーケティングの世界ではタグの設置状況を一覧するのによく使われます。

Chrome拡張として提供されています。


インストールしておけばサイトの右下にどのようなタグ(トラッカー)が検出されたか確認できます。


またツールバーのアイコンをクリックすると、より見やすくカテゴリごとに分類された形で確認することができます。

Ghosteryの利用にあたっての注意点

Ghosteryをインストールしたまま特に何も設定を変えななければ、サイトによっては正常な動作を妨げてしまうことがあります。たとえば2020年11月現在、Yahoo!広告の管理画面はGhosteryに変更を加えないと、ロードが完了せずログインできなかったりします。

そのため、よく利用するサイトではキャプチャにある「信頼できるサイト」にチェックを入れておくのがよいでしょう。

2. 自社の主要検索キーワードの検索結果画面を目視確認

すでに自社でGoogleの検索広告を出稿していれば、オークション分析レポート経由で、自社が入札しているキーワードにどのような広告主(正確には広告遷移先のドメイン)が出稿しているのかがある程度可視化できます。

しかしオークション分析レポートだけだと「誰が出稿しているか」しかわからないため、競合調査としては不十分です。そしてそもそも、出稿していない軸のキーワードの他社状況を確認することすらできません。

そのためには実際に検索してみて、検索結果でどんな広告が掲出されているかを目視でチェックするのが肝要です。手間がかかりますが、検索結果画面から得られる情報はとても多いですから、結局はこれが近道です。

たとえば自社がフィットネスクラブを運営しているのであれば、「フィットネスクラブ」「トレーニングジム」などをGoogle とYahoo!でシークレットモードというプライベートブラウジング経由で検索するようにすればよいでしょう。

また、PCだけでなくスマートフォンの実機でも検索するのがオススメです。ユーザーエージェント切り替えなどで代用可能ではありますが、PCの画面でスマートフォンサイトをみるのと実際のスマートフォンの画面で見るのとでは見え方や印象も異なります。得られる情報に大きな違いがあるのですから、この一手間を惜しまないほうが良いと考えます。

他社の掲載状況が変わったり(タグの設置状況を見るだけでは、どんなキーワードに入札しているのか、どの程度の強さで入札しているのかなどの情報が得られません)、訴求が変わることももありますし、競合調査以外の文脈でも繰り返しタスク化してもいいかもしれませんね。

3. 媒体公式のツールでSNS広告の出稿状況調査

ディスプレイ広告の競合他社出稿状況を無料ツールで調査できる範囲はほとんどありません。代替として競合他社から自身がリターゲティングされるようにサイト訪問しサイト回遊しながら掲出されるクリエイティブを調査を行う場合が多いと思います。

いっぽうFacebook広告とTwitter広告は、媒体公式のツール経由で競合他社の出稿状況を知ることが可能です。

競合他社のFacebookページがわかっていれば、そのFacebookページに紐付けて確認時点で配信されているFacebook広告のクリエイティブを表示可能です。

掲載開始日や、ダイナミッククリエイティブの内訳から・動画広告を実際に再生してみること・カルーセル広告のカードの中身を見たり、さらにどのような配信プラットフォームを指定しているのか(Facebook/Instagram/Audience Network/Messenger)までかなり詳細な粒度で確認可能です。

※2021年1月26日:提供が終了いたしました。

使い方はFacebook広告ライブラリとほとんど同じです。

競合他社のTwitterアカウントを検索ウィンドウに打ち込むと、現在出稿している広告クリエイティブが日付が新しい順に並びます。

参考ツール:競合サイトのトラフィックの概要を掴む(SimilarWeb)

サイトの流入チャネルのポートフォリオや、経時推移を把握するのは、次の打ち手を考える上で重要です。もちろん、自身で所有するサイトならばGoogleアナリティクスなど計測ツールのタグを設置することで詳細に把握できますが、競合他社だとそうはいきません。とはいえ競合がどのようなチャネルからトラフィックを獲得しているのかを知りたい状況も有るかと思います。

そこで役立つのが、競合を含む自社以外のサイトのトラフィックの概要を調査できるツールのSimilarWebです。有料版もありますが、本記事で紹介する用途であれば無料版で十分です。

こちらもChrome拡張で提供されています。

SimilarWebの利用にあたっての注意点

SimilarWebはデータ取得や集計の方法が詳細には開示されておらず、精度や倫理的な観点からも様々な議論が生じているツールです。有意義なデータもあるのは間違いありませんが、仕様を理解した上で「精度に難があっても前提が崩れない情報のみ活用する」「あくまで参考程度にとどめておく」ことを推奨します。

参考:(修正あり)SimilarWebはPV数調査に使うツールではない - web > SEO

使い方です。Chromeに拡張をインストールし、調査したいサイトを開いたら、ツールバーにあるアイコンをクリックしましょう。するとこのようなサイドバーが出てきます。


サイドバーでおおよそのトラフィックソース毎に占有率が確認できます。また「MORE INSIGHTS」のボタンから遷移すると、さらに詳細を見ることが出来ます。

競合がどのような検索語句経由でサイトトラフィックを得ているかも見えます。しかし精度に難があるので、先述したとおり、参考程度にとどめておくのが良いでしょう。

まとめ

競合他社の出稿状況の調査は無料ツールの範囲内でも、僅かな手間と時間でかなりの部分まで調査可能です。競合が何をしているかがわかれば、自社が「どこで(利用する広告媒体や配信面)」「なにを(どの商材を)」「どのように(どのような広告クリエイティブで)」訴求すべきかのブラッシュアップに役立てられますので、ぜひ本記事で紹介した手法をベースに試してみて下さい。

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