バナーを作っていて、「なんか寂しい」「思ったよりインパクトがない」でも、「どこを直せばいいのか分からない」——そんな“モヤモヤ”を感じたことはありませんか?
運用型広告代理店でデザイナーとして働く私も、日々このような「モヤモヤ」と戦っています。
ですが、数百本のバナー制作を重ねる中で、この「モヤモヤ」にはパターンがあり、ちょっとした整理や工夫で驚くほど印象が変わるということに気づきました。
この記事では、バナー制作で感じる代表的な5つのモヤモヤを取り上げ、その原因を「デザインの4原則」の視点で整理しながら、すぐに実践できる解決策を紹介します。
作ったバナーが「もっと良くならないかな…」と手が止まってしまったときの打開となれば嬉しいです!
目次
バナーに感じるモヤモヤは「デザインの4原則」で整理できる
「なんか違う」「しっくりこない」という違和感の多くは、感覚の問題ではなく、デザインの構造が整理しきれていないことが原因です。
装飾や素材を変えてもいまいちな時は、そもそもの土台に問題がある可能性があります。
そこで役立つのが、「デザインの4原則」です。これは、情報を見やすく・伝わりやすく整理するための基本的な考え方です。

- 整列:要素をそろえて視線の流れを整える
- 近接:関連する情報をまとめる
- 反復:デザインに一貫性を持たせる
- 強弱:重要な情報を目立たせる
この4つのうち、どれかが欠けるとデザインがちぐはぐに見えてしまいます。
たとえばこんなケースです。
- 「なんか寂しい」→デザインに強弱が足りない
- 「目が滑る」→整列や近接のルールが崩れている
こうした“モヤモヤ”は、感覚ではなく原則のズレとして整理できます。
よくある5つの「モヤモヤ」の原因とその解決策
それではこの4原則の視点から、よくある5つのモヤモヤとその解決策を具体的に見ていきましょう。
「なんか寂しい」
バナーを制作していて、「悪くないけど、何か物足りない」と感じることはありませんか?配色も整っていて、情報も整理されているのに、寂しい印象を受ける。
そんなとき、原因は装飾や素材の不足ではなく、視覚的な強弱がついていないことが原因であることが多いです。
以下のようなバナーを例に考えてみましょう。

デザインの4原則から見たとき、以下のように整理できます。
| 整列 | 近接 | 反復 | 強弱 |
|---|---|---|---|
| 〇 | 〇 | 〇 | × |
| 左揃えで要素がまとまっている | メインコピーやサブコピーが要素ごとにまとまっている | チェックマークの同じ要素が繰り返されている | 色味がシンプルで、情報の優先度がついていない |
整列・近接・反復は機能していますが、「強弱」が欠けているため、全体的にメリハリがありません。
解決策
「寂しい」印象を解消するには、デザインに強弱と奥行きをつくることが重要です。
人の視線は明るい部分や要素が密集している部分に引き寄せられるため、視覚的な抑揚を加えることで単調さがなくなります。
手軽に試せる方法として、「色」と「背景」の2つを見直してみましょう。
配色で強弱をつける
まずは、色で強弱をつけて印象を変える方法を紹介します。


左のバナーは無彩色(白・黒)中心、全体のトーンが均一で視線がどこにも引っかかりません。
そこで右のバナーでは、以下の工夫で要素ごとの差を際立たせました。
- 有彩色(わずかでも色みを持つ色)で彩度の高いカラーを加える
- 枠や帯を作って要素の塊を明確に
さらに強弱を付けたい場合は、色数を増やして差を強調するのも有効です。

ただし、色を増やしすぎると視線が散りやすくなるため、
- 無彩色+2色程度に抑える
- 「一番目立たせたい部分」を決め、そこ以外は控えめにする
この2点を意識することで、まとまりを保ちながらメリハリのあるデザインに仕上がります。
背景で奥行きをつける
背景を変えるだけでも、画面の印象は大きく変わります。
たとえば、グラデーションを敷いたり、ストライプやドットなどの模様などを背景に入れるだけでも全体に奥行きが生まれ、シンプルなデザインに動きを加えられます。


ただし、背景が主張しすぎると情報が埋もれてしまうため、以下の2点を意識して下さい。
- 素材は控えめなトーンを選ぶ
- コントラストが強い場合は、透明度や明度を調整して馴染ませる
文字の読みやすさを保ちながら、全体に奥行きを加えることができます。
「インパクトが足りない」
バナーができたものの、「思っていたよりインパクトがなくて目立たないかも」と悩んだことはありませんか?
文字もしっかり大きくしたつもりだし、見やすいはずなのになんだか目に留まらない気がするってことってありますよね。
そんな時は、視覚的な“勢い”や“引き”が弱いことが多いです。
以下のようなバナーを例に考えてみましょう。

デザインの4原則から見たとき、以下のように整理できます。
| 整列 | 近接 | 反復 | 強弱 |
|---|---|---|---|
| 〇 | 〇 | 〇 | × |
| 各要素が中央揃えでまとまっている | 要素ごとにグルーピングされている | 枠で囲われた要素が繰り返されている | 目立つ部分がなく、面白みに欠けた印象 |
整列・近接・反復は機能していますが、「強弱」が弱いため、画面全体が均一で印象が薄くなっている状態です。
解決策
「インパクトが足りない」と感じるときは、視線の“引っかかり”をつくることがポイントです。
人の視線は、大きさ・色・動きの差がある部分に向くため、テキストサイズや色を目立つカラーに変えることで目を引きやすくなります。
手軽に試せる方法として、要素の「サイズ」「動き」「色」を工夫してみましょう。
重要な要素を大きくする
私がよく試すのは、重要な要素を思い切って大きくすることです。


左のバナーは全体が均一で読みやすい一方、勢いがありません。また、「オンライン」などを囲う白い枠が広く、メインコピーより目立ってしまっています。
そこで右のバナーでは、以下の点を調整しました。
- メインコピーを大胆に大きく配置して、文字を太くする
- サブコピーは控えめにし、枠の背景色は取り除く
これにより、メインコピーへ自然と視線を集めることができ、バナー全体に“勢い”が生まれます。
動きをつける
さらにインパクトを強めるには、動きをつけるのも有効です。
メインコピーを5°傾けるだけでも、勢いが出て、視覚的なインパクトを強めることができます。


文字を傾けすぎると読みづらくなるため、傾きは5〜10°程度にとどめておくことをおすすめします。
色をつけて視線を集める
手軽にできるのは、重要な要素に色をつける方法です。
アクセントとなる色を1色加えるだけで、主張したい部分を自然に目立たせることができます。

ただし、「サイズ」「動き」「色」いずれの手法も、やりすぎると全体のバランスを崩してしまい、結果的に印象が薄くなってしまいます。
「どこを主役にするか」を決めて、そこだけ強調することが大切です。
「目が滑る」
バナーを見ても、「情報は読めるのに印象が残らない」という時、原因はレイアウトよりも、情報の優先順位が整理されていないことにあります。
以下のようなバナーを例に考えてみましょう。

デザインの4原則から見たとき、以下のように整理できます。
| 整列 | 近接 | 反復 | 強弱 |
|---|---|---|---|
| 〇 | △ | 〇 | △ |
| 中央揃えで要素がまとまっている | 情報が詰まりすぎて要素間が近く、読みづらい印象 | テキストは中央揃えで繰り返されている | 情報に変化が無く、1番目立たせたい部分が目立っていない |
整列、反復できているものの、「近接」と「強弱」が十分に機能していないため、情報が詰まって見え、目立たせたい箇所に視線が集まらなくなっています。
解決策
「目が滑る」状態を防ぐには、情報を整理し視線を意図的に誘導することが重要です。
そのため、情報が多すぎたり整理されていないと、重要なポイントがわからず、結果的に内容が頭に残らなくなります。
そのため、「伝える情報を絞る」「視線を誘導する」の2つの観点から整えましょう。
伝える情報を絞る
まずは、情報を詰め込みすぎていないかを見直します。


左のバナーは文章量が多く、似た意味の情報が重なっているため、少し読みにくく感じられます。
右のバナーでは、以下のような調整によって、情報が整理され伝わりやすくなりました。
- 省略できるテキストは削る
- 装飾をシンプルに整える
- 構成を整理して視線の流れをスムーズに
視線の流れを設計する
ここから更に改善するには、視線の流れを設計することが大切です。
人の視線は、Z型・F型・N型などのパターンで動き、また同じ色・形のものをグループとして認識する傾向があります。
この特性を活かして、自然と「見てほしい順」に視線を導くことで、情報を理解してもらいやすくなります。


右のバナーでは、次のような工夫をしています。
- 重要な要素だけに色をつけ、それ以外は抑える
- 要素間に十分な余白を取り、情報のグループを明確にする
- サイズや濃淡で情報の階層を作る
こうした工夫で、視線が自然に目的の情報へと誘導され、全体の印象も整理されて見えます。
ただし、情報を整理するうちに、次のような問題が起こることがあります。
- 要素を減らしすぎて訴求内容が薄くなる
- 見た目を優先しすぎて、広告の意図とずれる
この2点を避けるために、常に「誰に・何を伝えるか」という軸を忘れず、見た目と訴求のバランスを取ることが大切です。
視線誘導の考え方については、以下の記事で詳しく解説しています。
「テキストが読みにくい」
装飾や背景にこだわった結果、完成してから「あれ?なんか文字が読みにくいな」と感じたことはありませんか?雰囲気はいいのに、肝心のコピーが目に入ってこない——そんな状況、よくありますよね。
原因は、見た目のデザインを優先しすぎて「情報を伝える」という本来の目的が後回しになっていることにあります。
作業していると、ついあれもしたいこれもしたいとこだわりが出てしまいますが、一度原点に戻ることも大切です。
以下のようなバナーを例に考えてみましょう。

デザインの4原則から見たとき、以下のように整理できます。
| 整列 | 近接 | 反復 | 強弱 |
|---|---|---|---|
| 〇 | 〇 | - | × |
| 中央揃えで要素がまとまっている | メインコピーとサブコピーでそれぞれまとまっている | 該当なし | メインコピーを大きく配置しているもののその中で強弱ついていない |
整列や近接はできているものの、フォントにこだわりすぎてしまい、「テキストの視認性」が確保できていない状態です。
解決策
テキストが読みにくい状態を解消するには、視認性を高める工夫と情報の整理が重要です。
こだわった時間を捨てるのは勇気がいりますが、「フォント」「テキストの背景」の2つを見直してみましょう。
「UD(ユニバーサルデザイン)フォント」に変える
まずは、フォントを読みやすいものに変えるのが基本です。どんなに工夫をしても、フォントそのものの可読性が低ければ視認性は上がりません。
特におすすめなのは、「UD(ユニバーサルデザイン)フォント」です。年齢や視力に関係なく誰でも読みやすいように設計されたフォントなので、迷ったときはこの中から選ぶのがおすすめです。


左のバナーは太さが均一で読みづらい部分があります。そこで、右のバナーでは、フォントを「UD(ユニバーサルデザイン)フォント」の「UD角ゴ_ラージ」に変更しました。
さらに、以下の調整も加えることで、より視認性が高まるように工夫しています。
- 数字やキーワードなど、強調したい部分を大きく
- 柄のある背景の透明度を下げ、テキスト部分を見やすくする
- 日程部分の背景を明るくして、文字を際立たせる
フォントの選び方についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
背景を入れて視認性を上げる
「視認性が低めなフォントをどうしても使いたい」「より手軽に文字の視認性を上げたい」という場合は、白無地の背景を透明度85%〜100%程度で入れるのがおすすめです。


背景を完全に真っ白にしてしまうと、のっぺりした印象になってしまうこともありますが、透明度を90%前後にすることで抜け感が生まれ、背景の柄を活かしながら文字を読みやすくできます。
特に背景に柄があったり、写真を配置して読みにくい場合に効果的です。
フォントを部分的に変えてメリハリをつける
装飾的なフォントは、小さい文字や漢字で潰れやすい傾向があります。その場合は、一部のテキストだけ別フォントに置き換えるのも有効です。


右のバナーでは「Christmas Fair 2025」「開催中」「最大」「日程」を「UD角ゴ」にしています。テキストの可読性が上がり、全体の印象も引き締まりました。
組み合わせる際は、装飾フォントの特徴(角の丸み、明朝系かゴシック系か)に近いフォントを選ぶと、違和感が出にくくなります。
「バナーの広告感が強い」
バナーを作っていると、「もっと目立たせたい」「お得感を出したい」と思って、ついセールス要素を強調しすぎてしまうことはありませんか?
すでに興味を持っているユーザーにとっては、割引やキャンペーンの情報は有益に感じられ、効果的に働くこともあります。しかし、興味のないユーザーにとっては、一方的な「押し付け」に感じられ、スルーされてしまうことがあります。
この押し付け感の原因は、ユーザー視点よりも“企業の言いたいこと”を優先してしまっていることです。
以下のようなバナーを例に考えてみましょう。

デザインの4原則から見たとき、以下のように整理できます。
| 整列 | 近接 | 反復 | 強弱 |
|---|---|---|---|
| × | × | × | × |
| 角度がバラバラで全体的に見ると揃っていない | 下部のセールスポイント以外は雑多に配置されている | 送料無料の丸や、無添加の枠、吹き出しなどの形が不統一 | 動きや、目立つ部分が多くどこにも視線が定まらない |
コピーやオファーなど、各要素ごとには整っていても、全体で見るとバラつきが強く、どこにも視線が定まらないデザインになっています。
解決策
この雑然とした印象を解消するには、まず情報を整理して伝えたい情報の優先順位を明確にすることが有効です。
そのうえで、「広告っぽい」印象をなくすには、メッセージやデザインの軸を“企業目線”から“ユーザー目線”に変えることが重要です。
「ユーザーが本当に知りたい情報は何か」「どんな見せ方なら興味を持ってもらえるか」を基準に、情報と表現を見直しましょう。
情報を“企業目線”から“ユーザー目線”に変える
まずは、ユーザーの立場で「何を知りたいのか」「どんな情報なら興味を持つのか」を見直してみましょう。


左のバナーのように、OFF率や送料無料などのセールスポイントを前面に押し出すと、ユーザーに「押しつけがましい」と思われやすくなります。
そこで、右のバナーでは「企業が言いたいこと」ではなく、「ユーザーにとって関心のあること」を中心に据え、以下のように調整しました。
- ユーザーの体験メッセージを最上部に配置し、共感を得やすくする
- 価格や特典などの販売情報は下部にまとめ、押しつけ感を軽減
- イラストを加えて親しみやすい印象に
これにより、“売り込み感”の強い印象が薄れ、ユーザーの視線が自然とメッセージに留まりやすくなります。
広告の配信面に合わせたデザインにする
ユーザーに自然に受け入れられる広告にするには、ユーザーが実際に広告を目にする媒体の配信面に合わせたデザインに調整するのも有効です。


今回は、Instagramに馴染むように、実際の投稿のようなデザインに調整しました。
以下の点を意識することで、広告として浮かず、自然にユーザーの目に入りやすくなります。
- 過度な装飾やカラーはせず、シンプルに分かりやすくまとめる
- 口語も交えながら親しみのあるテキストに
- 実際の使用シーンを想起させるような写真に変更
ただし、“広告らしさ”を消すこと自体が目的ではありません。以下の2点を意識して、企業側にとっても、ユーザーにとってもプラスになる表現を意識しましょう。
- 伝えるべき情報は残し、訴求内容が薄れないようにする
- 広告であることを明示し、ユーザーに誤認を与えない見せ方を心がける
大事なのは違和感と向き合うこと
バナーデザインでは、「デザインの4原則」のどれかが欠けると、どうしても“違和感”が生まれます。
「悪くはないけど、何か違う」と感じたときは、あと一歩の調整が足りていないサインです。
その違和感の正体を見つけるには、デザインの4原則を手がかりに原因を言語化することが有効です。
「整列がズレていないか」「強弱のバランスは取れているか」「近接の距離感は適切か」など、要素ごとに確認してみましょう。
違和感の原因に気づけば、ほんの少しの修正で印象が大きく変わることもあります。完成後にモヤモヤを感じたら、その感覚を流さず、“なぜそう感じたのか”を探るところから始めてみてください。
さらに理解を深めたい方は、実際にバナーへのフィードバックをしている、以下の記事も参考にしてみてください。



