
月間約2,300万人が使うフリマアプリのメルカリ。2025年2月にリテールメディアとして広告配信サービス「メルカリAds」を正式ローンチしました。
アナグラムは、クローズドβ版から初期代理店として二人三脚でご一緒してきました。当時からメルカリさまと議論を重ねてきたメンバーでもある、代表の小山と一緒に、メルカリの事業開発に携わる赤星さまに広告事業立ち上げ時の試行錯誤や、機能設計におけるこだわりを直接お伺いしてきました。
メルカリAdsの機能や使い方については、下記の記事もご覧ください。
話し手:
株式会社メルカリ Head of Ads Business
赤星 大偉 さま
聞き手:
アナグラム株式会社
小山・米田
※このインタビューは2025年4月に行われました。
目次
ECに限らず、エンタメも求人も。誰でも出稿できる広告にしてより大きな価値循環を生み出したい。
―――まず、メルカリAdsは広告から自社サイトに遷移させるのが特徴的ですよね。他のリテールメディアはプラットフォーム内の商品をプロモーションする広告メニューが主流だと思います。
赤星:はい。メルカリAdsでは、オンサイト広告(メルカリShopsの商品をプロモーションする広告メニュー)・オフサイト広告(メルカリ以外のサイトに遷移させる広告メニュー)のどちらも取り扱っています。
おっしゃる通り他メディアではメルカリAdsでいうオンサイト広告が主流ですが、メルカリAdsの場合、開発時の本丸はむしろオフサイト広告のほうでした。
たしかにメルカリShopsのプロモーションのみを取り扱うほうが、メルカリの外にお客さまが流出する懸念は少ないですが、EC事業者以外も出稿できる広告媒体にしたい想いが強かったです。
小山:ただ、外部サイト広告を導入すると、本来ならメルカリで商品を買ってくれていたかもしれないユーザーが、外部のサイトに流れてしまいますよね。この懸念についてはどう整理したんでしょうか?
赤星:まさしく。広告収入が増えても、お客さまがメルカリから外部サイトに流れて、マーケットプレイスとしての利益が落ちては元も子もありません。
ここは他部署や役員ともかなり議論を重ねまして、メルカリとしてのGMV(流通取引総額)を棄損していないかを広告事業の評価軸の1つに持つことにしました。
つまり、お客さまに合った商品・サービスとの出会いを広告を使って提供できていれば、一部のお客さまがメルカリ以外で買い物をすることになっても問題はありません。
―――なるほど。広告事業を立ち上げるにあたって、御社の既存事業にとってもユーザーにとってもメリットとデメリットがいろいろあったはずですが、GMVを基準にすることで議論がシンプルになりそうですね。
赤星:とくにクローズドβ版として運営していたときは、GMVを棄損しすぎたり、検索結果との関連性があまりにも低い広告が目立ってしまうと広告事業の立ち上げそのものに影響が出る心配もしていました。そういった経緯もあり、立ち上げ時には広告を表示しないお客さま群を一定持っていて、広告を出した場合と出さない場合とでGMVに有意差が出るかどうかを常に見ながら機能テストを繰り返し、いまの形になっています。
小山:短期的に見てGMVに大きな影響がなくとも、中長期で見たときにメルカリというサービス自体への定着度が下がってはいけないですしね。
赤星:はい。そういった懸念の払拭を、クローズドβ版の期間に数値を見ながら検証し調整しています。
―――全体最適になっているかを常に俯瞰しながら事業をスタートしているのですね。具体的にはどのようなテストをされていたのか教えていただけますか?
小山:山ほどテストするなと思って拝見していました。とくに最初のほうは、広告枠のサイズや表示位置の議論が多かった気がします。
赤星:アナグラムさんにも相談しながら広告枠のチューニングは試行錯誤しましたね……。
通常出品で見ると、とくに検索結果画面のファーストビューに入る3~4行目までのCVRが如実に高くなる傾向があるので、オフサイト広告をファーストビューに出すべきかどうかは悩みました。
表示開始位置や表示頻度の組み合わせをいろいろ試した結果、現在はオンサイト広告は4行目、オフサイト広告は10行目から10行間隔で表示するのが、ベストになっています。
小山:UXとしても、外部サイトの広告がまっさきに目に入るというのも使いづらく感じてしまいそうですしね。
赤星:はい、その観点もありますね。
正式リリースに載せなかった他のテストだと、広告枠を通常の出品とは区別した見た目にして「おすすめ情報」みたいな枠をつけてみたりもしましたね。CVRは劇的に上がるんですけど、それ以上にCTRが低すぎて。通常の出品とある程度馴染むいまのフォーマットに落ち着いています。
―――オフサイト広告では、業種を問わずほとんどの事業主が出稿できますよね。リテールメディアというとECが主力になるイメージですが、ECに絞らなかった理由は?
赤星:メルカリは、グループミッションとして「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」と掲げています。メルカリは、モノの売り買いの場=マーケットプレイスとして現在の規模まで成長してきましたが、「価値の循環」という命題に対して無形サービスはカバーできていませんでした。私個人としても、メルカリを単なるモノの取引の場に止めたくないという想いがあって。
この価値循環の半径を広げるべく、たとえばNFTの販売取り扱いなどもスタートしていますが、広告事業としても無形サービスも含めあらゆる商品・サービスとお客さまとの出会いを提供できるようにしたかった背景があります。
さらに言うと、もともと出稿企業の開拓先として注力したいと思っていたのは、むしろ多品目ECではない業種だったんです。
―――なんと!具体的にベンチマークしていた業種もあったんでしょうか?
赤星:ありましたね。ざっくり2つあって、1つは、メルカリ内での検索数が多くても「中古だと嫌なもの」。肌につける化粧品とか口に入るものって、知らない人の使いかけは嫌じゃないですか。そういった衛生面が重要なカテゴリは、一次流通の販売のほうが本来は相性が良いと考えています。
もう1つは、エンタメ業界です。メルカリは、暇な時間に掘り出し物を見つけにアプリを開く使われ方もしていて、アプリ内滞在時間がソーシャルメディアに匹敵する長さだったりします。そういった特性を踏まえると、余暇時間を消費するようなエンタメサービスは相性が良いはずだと考えていました。
―――そうだったんですね。ローンチしてみて実際には特にどういった業種で活用されているのでしょうか?
赤星:結果としては代理店さま各社のセールスのおかげもあってECの出稿量は多くなっていますね。次いでデジタルコンテンツなどのエンタメ系・化粧品系・人材サービスなども多くご出稿いただいています。
メルカリなら「ユーザーが本当に欲しいもの」が分かる。購買データを最大限活用できる広告メニューに。
―――オフサイト広告のなかでも、Infeed Adsではユーザーの検索キーワードを使ったターゲティングができるのも特徴的ですよね。
赤星:はい、オフサイト広告にはProduct AdsとInfeed Adsの2種類のフォーマットがありますが、Infeed Adsではキーワードターゲティングを使うことで、指定キーワードを含む語句でユーザーが検索した時にだけ広告を表示することができます。
Product Ads:商品データフィードを連携して利用する広告フォーマット。主にEC事業者向け。
Infeed Ads:画像とテキストをセット表示する広告フォーマット。業種を問わず利用可能。
赤星:検索広告の強みの1つは、検索キーワードとちゃんとマッチしていて、かつそれが広告主・事業主・代理店が細かく運用できる点だと思います。検索広告とディスプレイ広告では、1,000回表示あたりの費用(eCPMやCPM)は大きく異なりますよね。これは当然といえば当然で、検索広告は「いま何かを探している人」に対して表示されるため、売上につながりやすい分eCPMが高くなっているのです。それだけ「検索意図」というのは、ユーザー行動の中でも特に強力なシグナルのひとつなんですね。
だからこそ、Infeed Adsの設計においても、検索広告のようにユーザーの意図に寄り添い、ニーズにマッチした形で表示できる広告メニューを提供したいと考えました。
Product Adsのほうは個々の商品情報と検索語句をマッチングさせるため、検索語句と広告の関連性が担保しやすいのでCTRが高くなる傾向にありますが、Infeed Adsでもキーワードターゲティングの機能を使うことでユーザーの興味が近しい場合にだけ広告配信することができます。
―――広告メニューを設計するうえで検索シグナルを十分活用できるメニューにしたいという思いが良く伝わります。
赤星:前職でコンテンツメディアにも携わっていた経験から思うのですが、メディアの記事や動画を見ているユーザーは、あくまで「与えられた情報」の中から興味を持ったものを選んでアクションします。そのため、ユーザーの行動は必ずしも「もともと欲していたもの」とは一致しないケースが出てくるため、意図とのズレが起きやすいと感じていました。
一方で、検索行動ではユーザーが自分から能動的に情報を探しにくるため、欲しているものの意図はある程度見えやすいです。
小山:メルカリの場合とくに、検索条件でカテゴリやブランドを組み合わせて検索しやすいUIなので、ユーザーが欲しいものをピンポイントに捉えるのが得意に感じます。
赤星:たしかに検索エンジンとメルカリでは検索のされ方は違っています。
一般的な検索エンジンだと、「欲しいものを探す」だけじゃなくて、調べものや比較、あるいは何となくの検索も多くて、ユーザーの検索意図(インテント)にはばらつきがあります。
一方メルカリでは、ユーザーが入力した検索キーワードと、実際に購入した商品がしっかりと結びついているため、「どんな商品を探していて、実際にどれを選んだのか」がデータで見えるようになっています。
つまり、“欲しいものが明確で、そのまま行動に移っている”というユーザーが多い。このようなデータは、広告設計にも非常に活かしやすい特徴だと思っています。
―――購入意欲の高いユーザーが使うような具体的なキーワードに絞って広告を出せば、成果にもつながりやすくなりますね。見込みの低い配信を減らせるため、少額の予算からでも効率よく始めやすいのも大きなメリットだと思います。
「中古品を探している人に広告は邪魔では?」広告が顧客体験を損なわないための仕組みづくり
―――中古品を探す人が多いフリマアプリの特性上、広告で新品の商品や無形商材の広告が表示されるとなると、ユーザー体験を損なうリスクもあったのでは?
赤星:まさしく、そこはかなり議論しました。具体的な機能を作るうえでも、顧客体験を損ねないかは常に気にしています。
ただ、“顧客体験”ってファジーな言葉なので、もみほぐして問題の定義を具体的にしていく必要があったんですよね。
たとえば、キーワードターゲティングを使う際のマッチングの範囲です。キーワードの拡張性を広げれば、そのぶん多くの人に広告が届きますが、本来伝えたい相手以外にも広告が表示されるケースが増えてしまいます。
そうなると広告は邪魔なものとなり、顧客体験が損なわれ兼ねません。広告主にとっても低いパフォーマンスとなり、費用対効果が合いにくくなりますよね。
だからこそ、広げすぎず狭めすぎず、「ちょうどよさ」を見極める調整が必要です。実際に配信結果を見ながら、当初よりもキーワードの拡張範囲を絞り、より関心度の高い人たちに絞って届ける設計としています。
―――ユーザーが探しているものと近い広告を出せるようにすることで、広告がユーザーにとって邪魔にならないよう工夫しているのですね。
赤星:はい。一方で絞りすぎると表示できる広告がなくなってしまったり、新たな商品との出会いが限られてしまいます。また、広告主にとっても配信ボリュームが極端に少ないと利用勝手が悪くなってしまいます。
そのため、クリック率やコンバージョン率などのパフォーマンスとのバランスを見ながらキーワードのマッチングの仕組みを調整しています。
―――ユーザーが不快に感じる広告があった場合にはどう対応しているのでしょうか?
赤星:現状はAIだけで不適切な広告を事前にすべて弾くのは難しく、人の目も通して厳重に審査するフローにしています。
それでも、広告主さまや我々が意図しなかった側面で、お客さまが広告を不快と感じるケースも正直あります。
ただ、そういったケースも想定はしてあって、メルカリAdsでは広告表示時にお客さまが直接フィードバックできるメニューを当初から設置しています。お客さまからフィードバックされた内容はすべて目を通して、必要に応じて該当広告を掲載停止にするなどの対応を取っています。
二次流通のプラットフォームだからこそ、正しい購入導線を作るために広告を活用してほしい
―――弊社から広告主にメルカリAdsをご提案する際に、転売に対する懸念をいただくこともありました。広告主から見ると、自社商品がフリマアプリで転売されているケースもあり、同じプラットフォームに出稿することに不安を感じる事業主もいるようです。
赤星:そういったお声をいただいたことも何度かあります。
一部の広告主さまで、メルカリAdsの出稿量と、メルカリ内での自社商品の出品数の推移をウォッチしたことがありました。すべての広告主さまに当てはまるとは言えませんが、その時にはメルカリAdsの出稿によって出品数が増えた、という結果にはなっていません。
小山:初回半額などのオファーを提供している商品の場合、偽の名前や住所を使って何度も初回半額で商品を買って、それをメルカリで売って利ざやを取っているケースなどは特に、転売が増えると困ると思います。ですがむしろ、転売を抑止したい場合こそ自社でメルカリに広告を出すべき、とも感じています。
赤星:その通りだと思います。メルカリで出品されている商品をユーザーが買おうとしているときに「公式から半額で買えますよ」という広告が出てきた方が、転売経由の購入を抑止できて商品を正しく流通させられますよね。
実際に、そういった目的で出稿のお問い合わせをいただく事業者さまも増えていますね。転売が多い商品こそ、「公式」の安心感を訴求する意義が大きくなるはずです。
―――まさに弊社のクライアントでも、メルカリAdsでは他媒体以上に公式感を強く押し出すクリエイティブをご提案し配信している事例もあります。
赤星:まずは広告を使って公式の販路を提供していただき、成果が良ければメルカリShopsへの出店も検討していただけると、より売上へのインパクトを大きくできると思います。
小山:たしかに、すでに他のECモールで出店経験があるなら、商品登録や運営オペレーションに慣れている分、メルカリShopsでも成果を出しやすそうですね。
―――出店そのもののハードルって、やっぱり高いんでしょうか?
赤星:管理ツールを使ってバルク入稿できるので、すでに他のモールに出しているようなブランドさんであれば手軽に始めていただけます。開発チームにはモールでの開発経験者も多く在籍しているため、システム面での互換性や移行のしやすさはしっかりと考慮されています。
加えて、メルカリShopsを出店していただいた場合はオンサイト広告をご利用いただくこともできます。オンサイト広告の場合、オフサイト広告よりも上位に広告表示できるため、広告成果もアップしやすいと思います。
若年層にも強いプラットフォームだからこそ、クリエイティブの設計次第で新たな顧客開発ができる
―――メルカリAdsのクリエイティブは、幅広いアスペクト比に対応していますよね。自由度が高いので、他媒体で使っている画像をそのまま流用もできると思いますが、メルカリAds専用のクリエイティブを用意したほうがいいのでしょうか?
赤星:作り手としては、つい「メルカリらしい独自のフォーマットを作りたい」という気持ちになりがちなんですが(笑)。ただそういった欲よりも出稿のしやすさを最優先に考えて、IAB(インタラクティブ広告協会)の標準フォーマットに沿った仕様にしています。できるだけ既存のアセットをそのまま使えるように設計する、というのが基本方針です。
ですので、まずは今あるクリエイティブで気軽に始めていただいて構いません。ただし、メルカリAdsの掲載環境は他媒体とは異なる部分もあるので、実際の配信結果を見ながら、効果検証はしっかりしていただきたいですね。
―――クリエイティブを作るうえで、メルカリならではのポイントってあるのでしょうか?
赤星:メルカリの利用者層を見ると、10~30代の若年層が過半数を占めており、若年層が多いことを念頭に置いたクリエイティブ設計も重要だと思います。

お客さまの買い物への考え方を調査すると、本当に必要かどうかをしっかり吟味する傾向や、せっかく買ったものは長く愛用したいという意向が強くあります。
可処分所得が限られるなかで賢く買い物をしたいというお客さまが多いので、特に高額な商品を訴求する場合には見せ方の工夫が必要だと思います。
逆に、これだけ年齢層が若い媒体って珍しいのではと思っていて、若年層におけるサービス認知度向上に課題を抱えていらっしゃる事業者さまには、若年層に効率的にリーチし、中長期の目線で未来の顧客を育てていく視点でご活用いただけると相性が良いと感じますね。
―――たしかに、消費に対するユーザーのリテラシーが高い分「なぜこの商品を買うと良いのか」が伝わるクリエイティブが重要ですね。
―――Product Adsだと商品画像がそのままクリエイティブとして表示されますが、成果を上げるためにできることはありますか?
赤星:Product Adsの場合、商品画像・価格のほかに、フィードで設定している商品タイトルが最大3行表示されます。
実は、通常の出品でももともとサムネイル画像だけ表示していたのを、直近のリリースでタイトルテキストも表示するように仕様を変えているんです。商品の状態や購入時期といった情報がサムネイル画像だけでは判断できないので、お客さまが商品をタップしては戻って…といったザッピングを繰り返すことが多くて。画像の品質も運営側ではコントロールできないので、テキストも表示するようにしました。
―――広告でも、クリックする前に具体的な情報がわかる方がCVRが上がりそうです。
赤星:その可能性もありますね。
Product AdsではGoogle ショッピングフィードをそのまま使うこともできますが、中古品と並んで広告が出ることを考慮して、タイトル設計を変えていただくのも有効かなと思います。
小山:たしかに、素材や縫製の品質を伝えたり、公式ならではのアフターフォローを訴求したり、中古品との差別化という観点で伝えられる点がありそうです。
赤星:そういえば余談ですが、Product Adsは広告クリック後、LPに飛ぶ前にアプリ内ブラウザで広告詳細ページを間に挟んでみたことがありましたね。CVR・CPAは非常に改善したのですが、クリック数・CV数の減少幅が見合わなくてこれも本番導入を見送りました。ですので、直接LPに送客してもCVRを担保できるフィード設計にするのが最適解かなと思います。
お客さまの行動・購買データを活用し、広告の成果向上につながる機能を実装していきたい。
―――今後、まだまだ新しい機能が出てくると思うのですが、開発中の内容をこっそり教えてもらえたり……?
赤星:動画やカルーセルといったフォーマットのバリエーションは増やしていきたくて、一部はすでにテストを実施しています。
検索結果画面内だとどうしてもバナーサイズを大きくできず、クリエイティブの工夫にも限界が出てきますが、ほかの画面にも広告枠を作れるようになれば、動画やカルーセルといったリッチなクリエイティブも出せるようにしていきたいと思っています。
とくにホーム画面(アプリトップ画面)は、ユーザーが欲しいものを探し始める前のタイミングで見る画面です。検索結果よりもユーザーのインテントがふわっとしている時に広告でアプローチできたほうが相性が良いケースもあるのではないかと思っています。
―――たしかに、欲しいものが決まってしまってから広告を出しても手遅れになる場合もありますよね。「何かいい掘り出し物はないかな」とメルカリをなんとなく開くときもあるので、ホーム画面に広告が出せると面白そうです。
赤星:あとは、メルカリが持つ購買データをより多彩に活用できるよう、お客さまが過去に買った商品や「いいね!」した商品をもとに興味関心のオーディエンスを作れないかと画策中です。
―――実際に買った商品までターゲティングに活用できると施策の幅が広がりますね。
赤星:決済完了までひとつなぎにデータを持っているメルカリだからこそ提供できる機能がまだまだ多くあると思っています。ほかでは実現できないメニューを拡充し、広告のパフォーマンスが高い媒体としてより評価いただけるようにしていきたいです。
インタビュー後記
当時の事業責任者から構想を聞いてすぐ「これはうまく行く!」と直感し、広告事業立ち上げのタイミングでメルカリにジョインしたという赤星さん。今回のインタビューで、その言葉の背景にある当時の判断や挑戦の理由、そして現在の取り組みや今後の構想までじっくり伺ったことで、私たちも単なる外野としてではなく、現場の熱量やビジョンにリアルな手応えを感じました。
ユーザーが探しているものを捉えることができ、決済情報まで持っていて、メルカリShopsとの連動施策もできて……他媒体では実現できない施策が次々に浮かんで、インタビューの間に何度も脱線して盛り上がってしまいました。
また、私自身メルカリAdsを運用をしていて感じるのは、とにかくアップデートの頻度が高いことです。新機能の追加や改善が月にいくつも実装されていて、「え、もう次?」というペースで進化しています。赤星さん曰く「考えるくらいならやってみよう」という姿勢でABテストを繰り返しているとのことで、進化のスピードにも納得です。
「新しい媒体だからもう少し周りの様子を見てから始めればいいかな……」と様子見していた方がもしいたら、まずはチャレンジしてみていただきたいです。
