
ビジネスパーソンがよく使うMSN、Outlook.comやMicrosoft Edgeなどに配信できるMicrosoft広告はBtoB企業との相性が良いですよね。
しかし、それでもBtoB広告では「ターゲットに適切にリーチしづらい」という課題が残ることもよくあります。そこで活用したいのが、法人向けターゲティングが豊富なMicrosoft広告の中でも、特定の職種などに効率よくアプローチできる「LinkedInプロフィールターゲティング」です。
今回は、この「LinkedInプロフィールターゲティング」のメリットや種類、設定や活用方法まで詳しく解説していきます。


目次
LinkedInプロフィールターゲティングとは
LinkedInプロフィールターゲティングとは、Microsoft広告の中で、LinkedInユーザーのプロフィール情報に基づいたターゲティングができる機能です。
Microsoft社の子会社であるLinkedInはビジネス特化型のSNSで、国内ユーザー数は400万人を超えています。他のSNSと比べるとまだ登録者数は多くはないものの、ユーザーはプロフィールに会社名、職歴、肩書きや業種などビジネスに関連する情報を入力していることが特徴です。
今回紹介するLinkedInのプロフィールターゲティングでは、LinkedInユーザーのプロフィールから会社名・業種・職種といった情報をもとにターゲティングの設定が可能です。
例えば、営業職向けのSaaSを提供している会社であれば、営業職をターゲティングに設定してオーディエンス広告の配信を行うことで、サービスを検討する可能性があるユーザーにリーチできます。
また、配信したくないセグメントがあれば、関連が少ない業種や職種を配信対象から除外することも可能です。
※現在、公式ヘルプでは「LinkedIn プロファイルのターゲット設定は、米国、CA、英国、AU、FR、DE の各市場を対象とするキャンペーンでのみ使用できます。」となっていますが、日本国内の管理画面でも問題なく利用できる状態です。(日本国内でも正式に利用可能だと、Microsoft社へ問い合わせし確認済み)
LinkedIn広告との違い
ここで紹介しているMicrosoft広告のLinkedInターゲティングと聞いて、別に存在するLinkedIn広告といったい何が違うのか、気になる方もいらっしゃるかもしれません。
まず、どちらでもLinkedInのユーザー情報を活用した広告配信ができますが、Microsoft広告とLinkedIn広告はまったく別の広告媒体であり、それぞれ専用の管理画面で運用する必要があります。
※LinkedIn広告の詳細を知りたい方は下記ブログをお読みください
運用面に関してLinkedIn広告とMicrosoft広告のLinkedInプロフィールターゲティングの最も大きな違いは、下記3つです。
- 掲載面が異なる
- 選択できるターゲティングの粒度が異なる
- 広告フォーマットが異なる
掲載面が異なる
LinkedIn広告は、LinkedIn上での行動をもとにターゲティングし、LinkedIn内で広告を表示します。一方、Microsoft広告は、LinkedInのユーザーデータを活用しながら、Microsoft社のさまざまなプロパティに広告を配信できるのが特徴です。
媒体 | 掲載面 |
---|---|
LinkedIn広告 | LinkedInのアプリやWebサイト |
Microsoft広告 | MSN、Outlook、Microsoft Edge、Bing など |
そのため、一度LinkedInに登録したユーザーが(アカウントを削除しない限りは)LinkedInを利用しなくなっても、Microsoft広告を通じて引き続きターゲティングできます。
選択できるターゲティングの粒度が異なる
Microsoft広告とLinkedIn広告で、ターゲティングに設定できるLinkedInプロフィールの情報が異なります。
Microsoft広告だと会社名・業界・職種というカテゴリーだけを設定できるのに対し、LinkedIn広告では、従業員数や役職から学歴などまでより詳細なターゲティングができます。そのため、ターゲティングの精度を高める必要がある場合はLinkedIn広告の活用を検討するとよいでしょう。
広告フォーマットが異なる
Microsoft広告、LinkedIn広告それぞれに独自の広告フォーマットがあります。
- Microsoft広告
マルチメディア広告、レスポンシブ検索広告、動的検索広告、ショッピング広告、バーティカル広告、アプリ インストール広告など
参考:https://help.ads.microsoft.com/#apex/ads/ja/50879/0
- LinkedIn広告
シングル画像広告、カルーセル画面広告、動画広告、テキスト広告、スポットライト広告、メッセージ広告、フォロワー広告、求人広告など
参考:https://www.linkedin.com/help/lms/topic/a3046?lang=ja
例えば、BtoB向けのECサイトであればMicrosoft広告のショッピング広告、人材系のビジネスであればLinkedIn広告の求人広告を活用するなどのように、各ビジネスと相性が良い広告フォーマットがそれぞれ異なることがあるとも言えます。
もし、Microsoft広告とLinkedIn広告のどちらで出稿すべきか悩む場合、上記の配信面やターゲティング、対応している広告タイプの違いなどを加味した上で、媒体を検討すると良いでしょう。
ターゲティングの種類と設定できるキャンペーン
ここではLinkedInプロフィールターゲティングで設定可能なターゲティングの種類と、対応しているキャンペーンタイプについて詳しく紹介します。
ターゲティングの種類
まずは、LinkedInプロフィールターゲティングの種類を詳しく見ていきましょう。
設定可能なターゲティングの事例
カテゴリー | 選択可能なターゲティング |
---|---|
会社名 | Microsoft、アリババ、KLM オランダ航空など(公式ヘルプに記載の社名) |
業種 | Aviation & Aerospace(航空&宇宙)、Railroad Manufacture(鉄道製造)、Automotive(自動車)など |
職種 | Education(教育)、Legal(法務)、Engineering(エンジニアリング)など |
上記の表のように、会社名、業種(147種)、職種(14種)の3つのカテゴリから設定したいターゲティングを選びます。(公式ヘルプによるとリストは常に拡大しているようです。)
「会社名」内から選択可能な社数は公開されていませんが、検索ボックスで会社名を入力し、検索結果が表示されれば選択可能になります。また、1つのキャンペーンでターゲティングできる企業数は最大1,000社までです。
業種・職種で現在選択可能なターゲティングについては、下記スプレッドシートをご参照ください。
Microsoft広告_LinkedInプロフィールターゲティング_管理画面で実際に設定できたターゲティング一覧表(2024年11月26日時点)
LinkedInプロフィールターゲティングが設定できるキャンペーン
LinkedInプロフィールターゲティングは、下記キャンペーンタイプなどで設定が可能です。
- オーディエンス広告
- 検索キャンペーン
- 動的検索広告キャンペーン
- ショッピングキャンペーン
それぞれのキャンペーンタイプによって機能面が異なりますので、詳しく紹介していきます。
オーディエンス広告での活用の場合
オーディエンス広告でLinkedInプロフィールターゲティングを設定すると、会社や業種、職種の指定のカテゴリに対して広告を配信したり、配信したくないセグメントを除外したりできます。
前述した例の通り、営業職向けSaaSを提供している会社であれば「営業職」をターゲティングに設定してオーディエンス広告の配信を行うことで、サービスを検討する可能性があるユーザーにリーチできます。
検索広告とショッピング広告での活用
検索広告とショッピング広告では、設定したオーディエンスの入札単価調整のみができる仕様となっており、ターゲティングを絞ることはできません。
そのため、キャンペーンに設定したセグメントごとのパフォーマンスをモニタリングしつつ、コンバージョンにつながったオーディエンスの入札を強めたり逆にノイズになるユーザーへの入札を弱めたりすることがおすすめです。
例えば、指名検索で営業の問い合わせが多くて困る場合は、LinkedInプロフィールターゲティングの営業職を選択して入札単価を弱めると、営業職にあたるユーザーに広告が出にくい状態にするなどが実施できそうです。
また、ショッピング広告では、一定の商品カテゴリの需要が業種などによって異なる場合に、LinkedInプロフィールターゲティングの種類別に入札の強弱をつけることでパフォーマンス向上を図りやすくなります。
LinkedInプロフィールターゲティングの設定方法
LinkedInプロフィールターゲティングは広告グループ単位で設定します。
まず、ターゲティングを適用したいキャンペーンを選び、そこから対象の広告グループを開き設定まで進みましょう。
広告グループの設定画面をスクロールし、「ターゲット設定(オプション)」をクリックします。
会社名、業界、職種からターゲティングしたいカテゴリーをクリックします。
ここでは、業界を選択した場合を基に説明を進めていきます。
業界の中から設定したいターゲットを選択します。(除外することも可能です。)
現在、管理画面上の表記は英語になっているので、英語が苦手な方は、業種・職種の日本語を記載している上述のスプレッドシート、または翻訳機能などを活用することがおすすめです。
ターゲットや除外を選択したのちに「完了」をクリックします。
ターゲティング設定の選択に注意
次はターゲティング設定ですが、キャンペーンによって選べる項目が異なるので注意が必要です。オーディエンス広告の場合、「入札単価のみ」「ターゲットと入札単価」の選択肢があるのに対し、それ以外のキャンペーンタイプでは、「入札単価のみ」が自動的に選択され「ターゲティングと入札単価のみ」は選ぶことはできません。
それぞれの違いは以下の通りです。
ターゲティング | 入札単価の調整 | |
---|---|---|
入札単価のみ | 選択したターゲットに絞られない | 可能 |
ターゲットと入札単価 | 選択したターゲットに絞ぼられる | 可能 |
上記2つの違いを知らずに設定してしまうと、意図しないセグメントにターゲットが広がる恐れがありますので、違いをしっかり把握した上で設定を進めることが重要です。
入札単価の調整方法
入札単価の調整方法についてご紹介していきます。
LinkedInプロフィールターゲティングのセグメントごとに入札単価調整をしたい場合、「ユーザー属性」から「会社名」「業界」「職種」のいずれかのタブをクリックし、任意のセグメントの「入札単価調整」で配信の強弱をつけることが可能です。
例えば、上記のキャプチャでは、「業界」から設定した「化学薬品」の入札単価を40%としているため、他の入札単価を設定していないターゲティングよりも入札単価を40%増加して配信できます。
ターゲットを絞りすぎないことに注意
LinkedInの国内ユーザーは他のSNSと比べても、決して多くはないため、オーディエンス広告でターゲットを絞りすぎると、配信ボリュームがほとんど出ない場合があります。
そのため複数のターゲティングを掛け合わせて配信し、配信の成果(配信ボリュームやCPAなど)を見てターゲットを絞ることを検討するのがよいでしょう。
また、広告のグループ設定で月間の推定パフォーマンスを確認できるので、予算感や予測クリック数を確認しながらターゲティングの設定を行うとよいでしょう。
最後に
BtoBサービスの広告運用では、「適切なターゲットにリーチできない」という課題が頻繁に挙げられます。BtoC広告のように幅広いオーディエンスを狙うのではなく、特定の業界や職種、役職といった狭い属性に焦点を当てる必要があるためです。
今回紹介したLinkedInのプロフィールターゲティングは、業界・職種・会社名といった具体的な条件でターゲットを設定できるため、BtoB広告の運用で比較的感じやすい「ターゲティングの壁」を効果的に乗り越える手助けになりそうです。
特にBtoBサービスでMicrosoft広告をすでに活用している方は、ぜひLinkedInプロフィールターゲティングを新しい施策として積極的に検討してみてください。
