
「せっかく縦型動画広告を出したのに、思ったような成果が出ない…」そんな経験はありませんか?
縦型動画はスマートフォンユーザーへの訴求力が高く、今や多くの企業が取り入れている広告手法です。しかし、ただ「縦型」に制作して配信するだけでは、視聴者を動かすことはできません。
成果が出ない背景には、視聴者の興味を引く要素やターゲット設定、訴求内容のバランスなど、いくつかの見落としがちなポイントが隠れています。
本記事では、縦型動画広告で成果を最大化するために確認すべき5つの重要ポイントを解説します。改善施策を実行すれば、クリック率やコンバージョン率の向上が期待できるでしょう。逆に成果が良い場合にも、「何が良かったのか」を明確にでき、次の展開への再現性も高められます。
「何が原因でパフォーマンスが伸び悩んでいるのか?」を把握し、動画広告運用の質を一段上げるヒントを見つけてください。


目次
1.「誰に届けたいのか」が明確か?
縦型動画広告を制作する際、最も重要なのは「誰に届けたいのか」というターゲット設定です。ターゲットが不明確だと、メッセージが伝わりにくくなり、広告効果が大きく低下してしまいます。
なぜなら、縦型動画広告は静止画のバナー広告に比べて盛り込める要素が多いため、ターゲットが定まっていないと訴求内容にブレが生じやすく、視聴者に「結局何を伝えたいの?」と思わせるぼやけた訴求になってしまうからです。
例えば、商材が「ミールキットの定期便」の場合、ターゲット設定によって訴求内容が大きく変わります。
【×】ターゲット:「子供を持つ主婦」、冒頭の台詞:「お子さんのいる方におすすめな、ミールキットを始めませんか?」
→子供がいることとミールキットが必要なことが直接繋がらず、短時間に自分事化しづらい
【〇】ターゲット:「毎日の夕飯作りを効率化したいと考えている人」、冒頭の台詞「ミールキットで毎日の夕飯作りの時間を節約しませんか?」
→訴求が具体的かつ課題解決に直結しているので、自分事化しやすい
もちろん、商材によっては「女性なら誰もが必要な物」など属性でターゲットを設定することが有効な場合もあります。
しかしほとんどの場合、曖昧なターゲット設定は、広告メッセージを空回りさせる最大の要因です。視聴者が「これは自分のための動画だ!」と感じられるかを意識して、映像やキャッチコピーを見直しましょう。
2.「動画を見続ける理由」と「商品を買いたい理由」が両立しているか?
縦型動画広告の内容においてターゲットを決めることと同じくらい大切なのが、視聴者にとって「動画を見続ける理由」と「商品を買いたい理由」の両方をバランスよく含めることです。どちらか一方が欠けていると、視聴者の関心は続かず、購入にもつながりません。
視聴者にとって「動画を見続ける理由」がなければ途中での離脱に繋がり、「商品を買いたい理由」がなければ購入意欲が湧かないからです。
例えば、視聴者の興味を引くインパクトのある映像や面白いストーリーで視聴維持率を高めても、商品の魅力が伝わらなければ購入には結びつきません。逆に、商品メリットが明確でも、動画が退屈なら視聴されずスキップされてしまいます。
ミールキットの定期便をPRする縦型動画広告で考えてみると、次のような要素を取り入れることで「動画を見続ける理由」と「商品を買いたい理由」を両立できます。
動画を見続ける理由(視聴者の興味を引く要素)
- 届いた箱を開けるシーンで「ワクワク感」を演出
- 実際にミールキットで調理した料理の「シズル感」のある映像
- 「今ならなんと大幅割引!?」と、冒頭では割引率を伏せる
商品を買いたい理由(商品の魅力を伝える要素)
- 「この定期便を始めて夕飯づくりが楽になった!」という台詞
- 「野菜がしっかり摂れるから安心」というメッセージ
動画の台本作りに慣れていないうちは、「動画を見続ける理由」または「商品を買いたい理由」のどちらかに偏ってしまいがちです。台本を作る際に台詞や映像の内容を書き込む列とは別に、これらの要素のどちらを満たす項目なのかを書き込む列を作るなどして、バランスよく配置できているか意識しましょう。
3.視聴者を引きつける映像と商品の魅力が一致しているか?
視聴者の興味を引く要素を含めたとしても、その内容が商品の魅力に関係があるものでないと、購入にはつながりにくくなります。
視聴態度を維持するためにインパクトのある映像や台詞を盛り込むことは重要ですが、それが商品の特長と結びついていないと、視聴者の意識が本来伝えたいメッセージから逸れてしまいます。結果として、動画の印象に残るのは興味を引く要素だけで、商品自体の魅力は薄れてしまうのです。
例えば、ミールキットの定期便をPRする場合、「商品を買いたい理由」として「時短しながら美味しく栄養のある夕飯づくりができること」を伝えたいとします。ところが、「動画を見続ける理由」として「猫が可愛らしく遊んでいる映像」を使った場合どうなるでしょうか。
確かに、動物の映像は多くの人の目を引き、視聴維持率を高める効果があります。しかし、それが商品の特長と直接結びついていなければ、視聴後の印象は「猫が可愛かったな」で終わってしまい、商品への関心や購買意欲にはつながりません。
このように、視聴者を引きつける要素を取り入れる際には、その内容が商品の魅力を適切に伝えるものであるかを意識することが大切です。
4.視聴者の想像を膨らませる表現ができているか?
ユーザー側の視聴態度として、「ストレートな情報」に対して「受け手の解釈」が広がらないと、単調でつまらない印象になってしまい、最終的な「商品を買う」という能動的な行動に誘導することが難しくなります。
TikTokやYouTubeなどは、基本的にユーザーは余暇に娯楽としてコンテンツを流し見しています。その受動的な状態に突如現れた広告に興味を持ってもらい、能動的な行動へ引き込んでいくためには、ストレートな表現だけではなく、解釈や想像や感情が動かされるような要素も盛り込む必要があります。
「ストレートな情報」に対して「受け手の解釈が広がる」状態を、授業を受ける生徒に例えてみましょう。授業を受ける時にただ先生の話を聞いて板書を写すだけの生徒より、先生の話を聞きながら、他にどんな応用問題ができそうか、自分の生活や趣味にはどう活かせそうかなどを考えながら受ける生徒では、学習効率は大きく変わりますよね。
これもミールキットの例で考えてみます。
ストレートな情報
- 商品を真正面から捉えた映像
- 「美味しい」「料理が楽」など単調なメリットの台詞
受け手の解釈が広がる表現
- 体験を想像させる演出
- 商品を箱から1つずつ取り出すシーンでワクワク感を演出
- 「夕飯づくりが30分短縮されたら、あなたは何がしたいですか?」と問いかける
商品のメリットを並べるだけで台本を作ってしまうと、「ストレートな情報」のみの単調な内容になってしまう恐れがあります。台詞の言い回しや見せ方の演出を工夫して、「視聴者の想像を膨らませる仕掛け」を持たせた内容になっているか確認しましょう。
5.訴求を詰め込みすぎていないか?
動画広告は表現できる情報量が多いことが強みの一つですが、情報量を増やしすぎた動画はかえって購入に繋がりにくくなります。
視聴者にとっては、受け止めきれないほどの情報量は興味を引き出すばかりかどれが重要な情報かわからなくなってしまい、商品の購入をするという決断をしづらくなるのです。
盛り込むボリュームについてはケースバイケースのため一概に「〇〇個がよい」とは言えませんが、もし成果が出ていない縦型動画広告があれば次のように訴求の分量を2本に分けて検証してみるのもよいでしょう。
成果が出ていない元の動画に含まれた訴求:初回限定半額、管理栄養士監修のメニュー、1日あたり〇〇円、料理の時間が半減
訴求を分けた動画1本目:初回限定半額、1日あたり〇〇円(金額に関連した訴求のみにする)
訴求を分けた動画2本目:管理栄養士監修のメニュー、料理の時間が半減(献立に関連した訴求のみにする)
ついついあれもこれもと訴求や要素を詰め込みたくなってしまいますが、訴求や要素が多すぎる動画は、視聴者にとってわかりづらさとなるだけでなく、広告主側にとっても配信結果の分析がしづらく不便です。ある程度訴求要素は分散させてパターン別にした方が、「何の訴求が購入に繋がりやすいのか」を検証しやすくおすすめです。
まとめ
縦型動画広告の成果が出ないと感じたら、闇雲に動画を作り直す前に、「何がボトルネックになっているのか」見極めることが重要です。
本記事で紹介した5つのポイントは、視聴者の行動を左右する重要な要素ばかりです。
以下に、課題別に改善ポイントをまとめましたので、ぜひ参考に現在の課題にあわせて記事を振り返ってみてください。
現象 | 主な問題点 | 該当チェック項目 | 改善の方向性 |
---|---|---|---|
冒頭でスキップされる | 自分ごと化できていない/飽きられている | ①「誰に届けたいのか」が明確か? ②「動画を見続ける理由」と「商品を買いたい理由」が両立しているか? | ターゲットを具体化/冒頭にインパクトや共感要素を |
再生数は多いがCVが少ない | 購買動機につながっていない | ②「動画を見続ける理由」と「商品を買いたい理由」が両立しているか? ③視聴者を引きつける映像と商品の魅力が一致しているか? ④視聴者の想像を膨らませる表現ができているか? | ベネフィット訴求の強化/商品理解を深める映像設計 |
訴求軸の違いで成果にバラつきがある | 訴求が詰め込みすぎ/検証が困難 | ⑤訴求を詰め込みすぎていないか? | 訴求をテーマごとに分割しABテストで検証 |
視聴完了率もCVも低い | 複数の要素が満たされていない | すべて(根本的構成の問題) | 台本構成の抜本的見直し/商品や顧客理解の再設計 |
最後に
動画広告は「クリエイティブの改善余地が最も大きい施策領域」のひとつです。裏を返せば、「ちょっとした工夫」でパフォーマンスが大きく変わる余地があるということですよね。
「ターゲットに響くか?」「印象に残るか?」「行動に繋がるか?」を一つずつ見直すことで、成果は必ず変わります。まずは、1つの動画から取り組んでみてください。
