株式会社クラシコム(北欧、暮らしの道具店)
株式会社クラシコム
代表取締役 青木 耕平さま(写真右)
社長室 高尾 清貴さま(写真左)

北欧を中心とした国内外のインテリア雑貨や、オリジナル商品ブランドのアイテムなどを取り揃える「北欧、暮らしの道具店」を運営する株式会社クラシコムさま。

「フィットする暮らし、つくろう。」をミッションにドラマや映画、音楽など様々なメディア展開を行われている中、インハウス運用からアナグラムへ広告運用をご依頼頂いた経緯とこれからのクラシコムさんにおける広告の役割についてお話を伺いました。

このインタビューは、2020年7月に行われました。

聞き手:アナグラム株式会社
杉山 美和(執筆者)

ご利用サービス: リスティング広告運用代行

今やっていることが正しいのかの判断がつかなかった

あまり積極的に広告を配信されているイメージがなかったのですが、これまで広告代理店は通さず完全にインハウスで広告を運用されていたのでしょうか

青木
クラシコム創業期には、アナグラムの阿部さんにアドバイザリーで入って頂いて、インハウスでリスティング広告を数ヶ月運用していましたが、その後はほぼリスティング広告の出稿はしていませんでした。

専属の方がすべての媒体の広告運用を担っていたのですか?

青木
コミュニケーショングループというカスタマーサービスの担当者が広告も兼業で運用していました。弊社のコミュミニケーショングループは、カスタマーサービスだけでなく、SNSやメルマガ運用など色んな業務を担当しています。

複数のタスクを兼業するのは創業当時からのクラシコムの文化のようなもので、カスタマーサービスとして入社したつもりだったのに、広告運用の業務もあるなんてめんどくさいなあというよりは、慣れたタスクと、新しいタスクの両方ある方がやる気が出るよね、というような雰囲気の現場ですね。

広告を停止されていた期間も長いとのことですが、今回アナグラムにお声がけいただいたきっかけはなんでしょうか?

青木
ぼくらは、自分たちで発信するメディアやメルマガ・SNSなどでの集客に注力してきたので、広告に触れてこなかった時期が長いのも事実です。その上で改めて”今”、広告という手段を用いて成長することが可能なのかを検証してみたいと思いました。

でも、いざ、高尾を中心にインハウスで広告運用をしてみると、長く広告に触れていなかったので、あまりにわからないことが多くて。

高尾
広告運用を任されてから、まずはGoogleのショッピング広告が良いらしいという話を聞いていたので、半年ほど自己流で運用していました。実施している施策が正しいのか否かもよくわからず、地図も持たずに進まざるを得ない感覚でしたね。

どうやらROAS効率は悪くない”らしい”ということは分かってきたのですが、このままぼくが運用していくことで今以上の改善幅がどのくらいあるのかや、よりROAS効率の良い他の広告フォーマットがあるのではないかという判断がつかなかった。だから、広告の先生を付けてほしいと青木に相談してアナグラムさんにお話をお伺いしたのがきっかけですね。

この人に頼んで上手くいかなかったら、それはぼくらが「月に行きたい」と言っているようなもの


青木
ぼくたちは、新しいことをやる時に自分たちが成果を出せる分野なのか否かをできるだけ早く判断したいというスタンスです。そのため、判断を誰に導いてもらうかが重要と考えていています。評価が定まらない方に判断を導いてもらうとどのような結果でも「先生を変えたら結果が変わるのかもしれない」と何度も先生を変える必要が出てきます。

だからぼくらから見た、市場で活躍されている方の中で最も信頼をおける発信をされているアナグラムさんにお声がけさせて頂き、アナグラムさんに頼んで上手くいかなければそれはぼくらが「月に行きたい」と言っているようなものだからやめようと判断できると思いました。

広告周りの先生が欲しかった、とのことですがインハウス運用という選択肢もあった中で、今回のお取り組みであえて運用代行でご依頼いただいた理由はございますか?

青木
アナグラムさんにお声がけさせて頂く前に、高尾を中心に試行錯誤しながら自分たちで運用していたからこそ運用代行していただく価値をより実感できたとは思います。

ただ、社内のメンバーを広告運用担当としてアサインし内製化するということは、ある程度結果が出るまでやり切らないといけないし、止める判断もしにくくなることがあると思うんです。新しいものは確実性がすごく薄いので、上手くいくかもわからないし、仮に上手くいったとしても止めるかもしれない。加えて、社内に広告担当をおいてもその人しかわからない仕事が重要な仕事になってしまうのは組織としてもリスクですよね。

加えて、フィー分のお金を節約してインハウス化すると、マネジメントのリソースの方が逼迫します。だから、ある程度の予算があるのであれば妥当なフィーをお支払いして運用して頂き、費用的に多少の割高さがあったとしても継続性や拡張性を考えると最初から運用代行でお任せした方が今回は良いという判断でした。

それでも、新しいことを社内の人間が全く触ったことない状態で外部に丸投げしては、そもそもお願いすること自体難しいと思っているので、最初は社内で泥んこ遊びのような感じで試行錯誤した後に、徐々に外の人を巻き込んでいくようなやり方で進めることがクラシコムでは多いかもしれないですね。

高尾
最初にお話をお伺いした時、アナグラムさんが「とりあえず全部やりましょう」と実施項目リストを提案いただいたんです。そのリストが、大項目8つの中に小項目が2つずつというかなりの数の施策リストで。そのリストをいただいた時に、ぼくらでこのリストは作れない、運用代行をお願いして良かったと思いました。

その後も施策リストを基に、結果が出るまでの検証期間や予算配分をご提案いただいてから、実施に進めるというやり方もすごく良かったと思いました。最適解をわかる人でなければできない提案だと思ったからです。ぼくたちだけでは、辿り着けなかった境地ですし、お仕事のやり方もとても勉強になりました。

そして、ショッピング広告のフィードの改修アドバイスを頂いたり、リスティング広告を複数の媒体で同時に配信、運用して頂く様子を間近で拝見し、同じ様に運用調整を行うのは、インハウスでは絶対無理だったなぁと思いました。

とことん最後まで仮説検証に付き合ってくれるパートナー

今回のお取り組みを経て、クラシコムさんの中での広告のあり方や今後の動き方の変化はありますか?

青木
売上をコントロールできるレバーを増やすことができたことが、過去インハウスで広告運用をしていた時との違いですね。要するに、このくらいの費用や工数をかければどのくらい売上に繋がるのかという知見が今回の取り組みを経てアップデートされました。

今後、売上を更に増やしていくフェーズで広告という選択肢を手元に持つことができている状態を作っていただけたのが1番大きな変化だと考えています。

高尾
今回のお取り組みでアナグラムさんはある意味で泥をかぶって一緒に仮説検証に付き合ってくれたと思っています。広告運用のやり方自体も、ここをチューニングすると成果がどのように変わるのかというようなことも、自分で広告運用をやっていた時以上に理解できました。1つ1つの仮説に対して実績を添えて答えを提示してくれたことで、納得感をもって次のフェーズに進むことができるなと思っています。

Voice Of AdOps担当者の声
運用型広告は仮説検証のスピードが早く、数字の可視化ができることがメリットである一方で、数字が見えるからこそのデメリットもあると思っています。

クラシコムさんの場合、一目惚れのように出会った瞬間に好きになり商品を購入するよりは、気づいた時に傍にいるサービスであるが故の心地良さをどのように広告運用で数値をどこまで追っていくべきかをひたすらに考えました。インタビュー時に青木さんが、「北欧、暮らしの道具店」のサービスを知ってもらうのにはコミュニケーションコストと時間がかかると表現されていました。その上で、広告運用という手法を用いて「北欧、暮らしの道具店」の世界観に共感するファンといかに接点を増やしていくのかに最も頭を使ったプロジェクトでした。

一般的なEコマースのように商品購入をした後から始まるお客さんとのコミュニケーションの取り方とは異なり、クラシコムさんのように商品購入に至るまでのまずお客さんとのコミュニケーションを取り始めるきっかけ作りを重視する視点が、私自身広告そのもののあり方を考え直すきっかけになりました。

高尾さんをはじめ、クラシコムさまのSNSご担当者さまなど多くの方との関わりの中でクラシコムさんの1つのプロジェクトの一端を担うことができ、とても貴重な経験をさせていただき感謝しております!


クラシコムジャーナル
北欧、暮らしの道具店