
「Masthead(マストの先端/船の檣頭)」という名前の通り、マストヘッド広告はYouTube面でユーザーから最も注目を集めやすい広告フォーマットの一つです。
リーチを拡大する上で有効なマストヘッド広告ですが、従来の日割単価制(CPD)やインプレッション単価制(CPM)では「紅白放送直前の2時間だけYouTubeの最上部を独占したい!」などといったタイミング重視のキャンペーンを展開するニーズに応えることができませんでした。また、こうしたプロモーションは多額の費用が掛かったり、必要ないタイミングでの露出もしてしまうなど、コントロールが難しいことも挙げられます。
2023年2月8日から、YouTube 広告で時間単価(CPH)のマストヘッド広告も使用できるようになりました。1時間単位での配信が可能となる時間単価(CPH)が実装されることで、意図した時間帯や大事な瞬間にさらに広告シェアを広げられるようになりました。
この記事では、時間単価(CPH)のマストヘッド広告について解説します。
参考:YouTube マストヘッドの新しい広告枠と測定機能のご紹介


目次
マストヘッド広告とは

マストヘッド広告とは、YouTubeのホームフィード最上部に掲載される広告フォーマットです。YouTube内で最も目立つ位置に最大30秒間音声なしで広告を自動再生でき、販売イベントや期間限定キャンペーンなど短期間で大規模なオーディエンスにリーチしたい場合に有効です。
また、広告掲載枠を事前に購入し予約する広告フォーマット(純広告)であることも特徴の一つです。アウトストリーム広告やインフィード動画広告などの運用型の広告フォーマットと異なり、オークションに頼らずユーザーに対して確実に広告を表示することができます。
このように、マストヘッド広告は短期間でリーチ拡大・認知度向上を実現する上で最も有効な広告フォーマットの一つと言えますね。
参考:YouTube マストヘッド - Google 広告 ヘルプ
参考:動画広告フォーマットの概要 - Google 広告 ヘルプ
時間単価(CPH)のマストヘッド広告導入の背景
時間単価(CPH)のマストヘッド広告導入の背景には、消費者の視聴行動の変化があります。GoogleでVice President, U.S. Agency & Brand Solutionsを務めるKristen O’Hara氏は取材で次のように述べました。
マストヘッド広告の予約型メニューは、スーパーボウルのコマーシャルをより多くのオーディエンスに見せるために作りました。消費者の視聴行動はこの数年で変化しています。ユーザーは見たいものを、見たい時に見るのです
引用元:Own big moments with your ad on YouTube’s homepage - Ads & Commerce Blog
米国のビッグイベントの一つであるスーパーボウルでは、数々の広告主が莫大な広告費を用いて自社商品の認知向上を目指します。しかし、従来のCM枠では競合がひしめき合い、またユーザー側でも総ストリーミング時間の増加に対し、リニア視聴率(従来のTV配信の視聴率)が減少しているのが実情です。
参考:YouTube Introduces Cost-Per-Hour Masthead Ahead Of Super Bowl LVII
これらの課題に対し、時間単位(CPH)のマストヘッド広告ではTV配信やビッグイベント等のタイミングに縛られず、YouTubeにて通年で数多くのユーザーにリーチを広げることができます。実際、ベータ版テストに参加したマクドナルドはワールドカップ放送開始の1時間前に、シャオミーは新商品リリースの際にそれぞれ時間単位(CPH)のマストヘッド広告を活用を通し、短期間で数十万~数百万単位の視聴を実現しました。
参考:Own big moments with your ad on YouTube’s homepage - Ads & Commerce Blog
このように時間単位(CPH)のマストヘッド広告の登場により、広告主は時期や既存メディアに囚われない形でユーザーに広告体験を提供し、認知向上を行えるようになりました。
時間単価(CPH)のマストヘッド広告とは
ここからは時間単価(CPH)のマストヘッド広告の詳細についてお話していきます。
インプレッション単価(CPM)マストヘッド広告との違い
従来のインプレッション単価(CPM)では、キャンペーン実施時に配信されるインプレッション数はあらかじめ固定されています。また、広告表示の機会がオークションに左右されるため、狙ったタイミングで確実に広告を出すことはできません。
しかし、時間単価(CPH)ではマストヘッドの広告在庫を予約購入することで、指定した時間帯に100%の広告シェアを実現することができます。
これらを踏まえ、インプレッション単価・時間単価のマストヘッド広告は下記のケースで有効といえるでしょう。
時間単価(CPH)マストヘッド広告
- タイミング重視でプロモーションを行いたい
- 指定した時間帯の配信を独占したい
- 1時間単位で支払いをしたい
インプレッション単価(CPM)マストヘッド広告
- インプレッション重視でプロモーションを行いたい
- インプレッション数をコントロールしたい
- インプレッションに応じて支払いをしたい
- ターゲティング機能を利用したい
特徴の異なるインプレッション単価(CPM)とインプレッション課金(CPH)のマストヘッド広告ですが、用途を分けてお互いを補完し合うような形で配信していけると効果を最大化できそうですね。
時間単価(CPH)マストヘッド広告の申し込み方法
インプレッション単価(CPM)・時間単価(CPH)にかかわらず、現在マストヘッド広告はGoogleの営業担当者を通じてのみ実装できるメニューとなります。レートの見積もり及びキャンペーンのインプレッション目標を知るためには、まずGoogle 広告の営業担当に相談しましょう。
なお、純広告キャンペーンには最低利用額の要件があるため注意が必要です。詳細は広告アカウントを担当しているGoogle の営業担当者に確認しましょう。
参考:YouTube の予約制メディア プレースメントについて - Google 広告 ヘルプ
まとめ
元々は日割単価制(CPD)ベースで国ごとに1つの広告主が予約する方式をとっていたマストヘッド広告ですが、広告主の増加やユーザー視聴体験の多様化を受けてインプレッション単価(CPM)へ移行し、今回からは時間単価(CPH)での配信も可能となりました。
特に、時間単位(CPH)マストヘッド広告では従来型のテレビCMに近い形でもプロモーションを行えるようになりましたね。
動画広告市場は日に日に伸びており、広告主の配信ポートフォリオ上の重要性も増しています。出稿にあたってはGoogle営業担当者に依頼をする必要があるなど、純広告ゆえに運用型の広告フォーマットと比べてステップも増えますが、期待できるインパクトも相応なものになります。ぜひ、プロモーションの一手段として検討してみてはいかがでしょうか。
