「それ調整しすぎかも」運用型広告の過剰な調整が逆効果を生む5つの理由とは?

「それ調整しすぎかも」運用型広告の過剰な調整が逆効果を生む5つの理由とは?

予算や入札価格、広告クリエイティブからターゲティングまで、いつでも柔軟に調整できるのが運用型広告のメリットのひとつです。

しかしながら、みなさんは次のような経験はありませんか?

  • 毎日のように広告設定を変更しているのに、なかなか成果が上がらない
  • A/Bテストを頻繁に行っているが、明確な改善が見られない
  • 新しい施策を次々と試すも、全体的なパフォーマンスが停滞している

もしこれらに心当たりがあれば、あなたの広告運用が「過剰な調整」の罠に陥っている可能性があります。

この記事では、そんな運用型広告の過剰な調整が逆効果を生んでいる理由について考えていきます。また、過剰な調整とならないようにどのような対策を取れるかについてもご紹介します。


過剰な調整が逆効果を生む5つの理由とその対策

なぜ過剰な調整が広告の成果を悪化させるような逆効果を生んでしまうのか、その理由を5つに分けて、それぞれの対策を解説していきます。

①リソースの分散につながるから

大きな成果を上げるためには、手間や時間がかかる重要な施策に集中的にリソースを投入することが不可欠です。

しかしながら、さまざまな調整を加えようとするがあまり、リソースが分散されることで、重要な施策に手が回らないというケースはよく見られます。

たとえば、既存施策の改善のほうが大きな成果が期待できるにも関わらず、取り組みやすいキーワードの追加やインパクトの小さい除外キーワード、入札の微調整ばかりを行ってしまうようなケースです。

インパクトの小さい施策ばかりにリソースを取られて、インパクトの大きな施策へのリソースが不足する状態は対応の遅れなど、時間が経つにつれて大きな影響となる可能性もあります。

これを防ぐために、リソース配分に優先順位をつけることが重要です。以下のようにインパクトの高低と工数の多少を軸とした4象限マトリックスを活用し、効果的なリソース配分を行いましょう。

  1. 高インパクト・少工数:最優先で取り組む
  2. 高インパクト・多工数:次に優先度を置く
  3. 低インパクト・少工数:余裕があれば実施
  4. 低インパクト・多工数:実施を再検討

工数が少ないけれどインパクトの大きい「1」は取り組みやすいですが、「2」のインパクトが大きいけれど工数も多いものになかなか取りかかれていないケースも多いですよね。また、「4」のように工数が多い割にインパクトが見込めないものは場合によっては取り組まないという選択をするのも重要です。

このアプローチを採用することで、限られたリソースを最も効果的に活用し、広告運用の成果を最大化することができます。

②過剰なA/Bテストによりリスクが増大するから

A/Bテストは有効なマーケティングツールですが、闇雲に実施すれば良いというものではありません。むしろ、過剰なテストは全体的な成果を悪化させる可能性があります。

たとえば、マイナーチェンジを加えた5パターンの広告クリエイティブを同時にテストする場合を考えてみましょう。もっとも成果のよい広告クリエイティブ以外ではパフォーマンスの劣る広告クリエイティブをユーザーが目にすることになりますよね。十分な検証結果が得られないからといって、検証期間を伸ばす行為も同様に、トータルで考えるとパフォーマンスを損ねてしまっているケースも少なくありません。

A/Bテストを行う際は、はじめに各テストのリスクとリターンのバランスを考慮した上で、リスクが少なくリターンが大きそうなA/Bテストから優先的に実施しましょう。

また、常に多数のテストをしているような状態にならないよう、テスト範囲を限定したり、期限を区切る意識も重要です。

効果的なA/Bテストを行うための心構えについては、以下にまとめていますので、チェックしてみてくださいね。

③ターゲティングの過度な細分化

運用型広告は誰に広告を配信するか、柔軟にオーディエンスを選択したり調整したりが可能です。

一方で、広告のターゲットオーディエンスを必要以上に細分化してしまうケースもよく目にします。

これにより各セグメントのボリュームが小さくなり、データが分散しすぎて効果的な判断が難しくなることがよくあります。データの分散化や不足は機械学習の精度にも影響を及ぼします。

また、自動入札を用いない場合にオーディエンスごとに入札単価を細かく調整することが可能となりますが、細かな設定ができる一方で、管理は煩雑になりがちです。

キャンペーンの入札設定を変えたけれど、オーディエンスごとの入札単価調整比が残ったままで反映されていなかったといった経験がある方もいらっしゃいますよね。

ターゲティングに限らずですが、把握できないほどに細分化されたキャンペーン構造は管理がしきれず過剰な調整もしがちです。必要以上に細分化をせず、管理のできる単位を考えて運用するのをおすすめします。

④短期的な視点に囚われると誤った判断に繋がるから

短期的な視点のみで成果を判断し、過度に反応することは、長期的な成果を悪化させる可能性があります。

たとえば、パフォーマンスの良かった広告が昨日は成果が落ちてしまったからすぐに停止をしてしまうということはないでしょうか。運用型広告においてはさまざまな要因によってパフォーマンスに波が出ることがほとんどです。そして、急な数字の変動の多くのは、偶発的なものであったり、何らかの外部要因によるものが少なくありません。そうでなければ配信側のトラブルである可能性が高いと考えられます。ビジネスによっては広告へ接してからコンバージョンまでに期間を要するものもあります。

短期的な数値の変動に過敏に反応すると、中長期的には有効な施策を誤って中止してしまう可能性も高まります。

短期的な視点だけではなく、その変動が中長期的なマイナスにつながるトレンドなのか、短期と長期の両方の視点からデータ見て傾向をつかめるといいでしょう。一時的な変動に惑わされず、全体的なトレンドや中長期的な成果を考慮に入れてアクションを決定しましょう。

⑤機械学習を阻害するから

広告媒体の設定を頻繁に変更すると、機械学習のプロセスが妨げられ、結果として広告の成果が悪化するリスクがあります。

広告プラットフォームの機械学習アルゴリズムは、一定期間のデータを基に最適化を行います。設定を頻繁に変更すると、アルゴリズムは新しい条件下で再び学習を開始する必要があり、これが最適化プロセスを遅らせる原因となります。

典型的な例として、1週間のうちに何度も日予算や入札価格を変更するケースが挙げられます。このような頻繁な変更は、アルゴリズムに安定したデータを提供できず、効果的な学習を妨げてしまいます。

効果的な広告運用のためには、以下の点に注意しましょう。

  1. 設定変更の頻度を抑える:重要な変更は計画的に行い、頻繁な小さな調整は避けます。
  2. 学習期間を尊重する:設定変更後は、アルゴリズムが新しい条件に適応するための十分な時間を設けます。
  3. データに基づく判断:短期的な変動ではなく、十分なデータが集まってから判断を下します。
  4. 大きな変更は段階的に:予算や入札価格を大幅に変更する場合は、段階的に行うことで急激な変化を避けます。

このアプローチにより、機械学習アルゴリズムが効果的に機能し、長期的に安定した広告パフォーマンスを実現できる可能性が高まります。

まとめ

運用型広告は柔軟に調整できる一方で、その自由さゆえに「過剰な調整」の罠に陥りやすいという側面があります。この記事では、過剰な調整が逆効果を生む5つの理由を解説しました。リソースの分散、過剰なA/Bテスト、ターゲティングの過度な細分化、短期的な視点への偏り、そして機械学習の妨げといった要因が、広告運用の成果を低下させるリスクを高めることを理解していただけたかと思います。

これらのリスクを回避するためには、リソースの優先順位を明確にし、テストや調整は計画的かつ目的に基づいて行うことが重要です。また、短期的な数値の変動に過敏にならず、中長期的な視点でデータを分析し、機械学習のプロセスを尊重する姿勢も欠かせません。

広告運用は、必ずしも手をかければ掛けるほど良いというわけではありません。過剰な調整を避け、冷静かつ計画的に運用を進めることで、長期的な成果を最大化することが可能です。今回紹介したポイントを意識しながら、今後の広告運用におけるパフォーマンス向上を目指してください。

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