運用型広告では、さまざまな課題に出くわしますが、まずは広告管理画面の中の数値から問題解決を図っていきます。
……と感じた経験はありませんか?このような、悩み続ける人とあっという間に問題を解決してしまう人との違いは何なのでしょうか。
私は2人の違いは「仮説思考」の有無ではないかと考えます。この記事では、運用型広告を題材に問題解決を図るために大切な「仮説思考」について考察していきます。
目次
仮説思考とは
まず、仮説思考とはなんでしょうか。
世界有数のコンサルティング会社のボストンコンサルティングでシニア・アドバイザーまで務めた内田和成氏の著書「仮説思考」では以下のように定義しています
仮説思考とは、情報が少ない段階から、常に問題の全体像や結論を考える思考スタイル。あるいは習慣ともいうべきものである
運用型広告でも情報が少ないことが常です。おもに広告管理画面の数字という限られた情報から、クライアントの課題や問題の解決を考えることが少なくありません。筆者のような広告代理店という立場であればなおさらのこと、完全に情報をそろえた上で広告運用の方針を決められることは稀ではないでしょうか。
なぜ、運用型広告で仮説思考が大事なのか
多くの場合、管理画面の中だけには答えはありません。この不足している情報を埋めるときに役立つのが仮説思考です。
問題解決を図れる広告運用者ほど、仮説によって足りない情報を埋めることで問題を速やかに解決に導けています。管理画面の限られた情報の中では点でしかなかった情報を、仮説でつなぎ全体像を見ることができているからこそ、問題の根本的な原因に気がつくことができているのです。
では、仮説思考はどのように身につければよいのでしょうか。地頭の良さとあきらめなければならないのでしょうか……。心配しないでください。仮説思考は日頃の訓練から鍛えることができます。
仮説思考のために実践している3つの方法
仮説思考を鍛える方法を3つ紹介、解説をしていきます
①常に「なぜ?」を問い続ける
日頃から考える癖をつけましょう。なんでもない日常の中にも「なぜ」は数多く潜んでいます。たとえば以下のような問いもあります。
そして、”なぜ”を考えたら自分なりの「仮の答え」を探してみましょう。
→インスタ映えのメニューがあるの”かも”しれない
当たり前に通り過ぎてしまう日常を「なぜ?」という問いを通して解像度を上げてみることは、課題を発見して仮説を立てる良い訓練になります。
②ストーリーで考える
「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざがあります。
改めておさらいすると次のような流れです。
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目が炎症を起こしたりして悪化すれば目の不自由な人が増える
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目の不自由な人は三味線で生計を立てようとする
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三味線の胴に使う猫の皮を取るために猫が減る
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猫という天敵がいなくなるのでネズミが増える
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ネズミはあちこちで桶をかじって桶を傷めるので桶屋が(販売や修理が増えて)儲かる
一見すると、風と桶屋の関係性はないように思えるが1つ1つ紐解くと出来事が回りまわって意外なところに影響が出るというものの例えです。英語では、バタフライ・エフェクト(ブラジルの1匹の蝶の羽ばたきはテキサスで竜巻を引き起こすか?)とも言われます。
たとえば、ダイエットの商材からもやしのレシピを探しているユーザーへのターゲティングは、ストーリーで考えているからこそいきつくアイデアではないでしょうか。ユーザーの置かれている状況を仮説をもって想像しながらキーワードや広告文を作成するのも、ストーリーで考えられると大きく幅が広がります。
③仮説→検証のサイクルを回し続ける
仮説はただ立てるだけでは意味がなく、検証し答えを出すところまでが1セットです。ひとつだけ覚えていてほしいのは検証の結果、仮説が間違っていたらどうしようと悩む必要はない、ということです。
もし結果が仮説を確認したなら、君は何かを計測したことになる。
もし結果が仮説に反していたら、君は何かを発見したことになる。
これは、ノーベル物理学賞を受賞したイタリアの物理学者エンリコ・フェルミの言葉です。
仮説が当たっていれば、次のより良い仮説を考えることができるし間違っていても、なぜ仮説と異なる結果になったのかを考えることで仮説の精度を高めることができます。
最初は立てた仮説と現実とのギャップの大きさに落ち込むこともあるかもしれません。けれど仮説を立て続け検証を繰り返す過程でそのギャップを徐々に埋めていくことができれば、精度の高いものにしていけるはずです。
幸いにも、運用型広告では仮説→検証のサイクルを頻繁かつ高速で回せる環境があります。
仮説の習慣化が仮説思考をつくる
仮説思考は身につけられるものですが、当然備わるものではありません。問いを立てたりストーリーで考えたりと仮説を立てるのを継続し、習慣化していくことが仮説思考を身につける第一歩です。その一歩一歩が、今までは時間をかけて悩み続けていた人とあっという間に問題を解決してしまう人との差を埋めてくれるのだと考えています。