動画広告の説得力は「誰が語るか」で決まる!視聴者の心を動かすキャスティングのコツ

動画広告の説得力は「誰が語るか」で決まる!視聴者の心を動かすキャスティングのコツ

動画広告の効果を決めるのは、「何を言うか」だけではありません。「誰が語るか」によって、伝わり方は驚くほど変わります。

最近では、以下のようにサービスや商品の魅力を人が伝えるスタイルの動画が主流になりつつありますよね。

※動画はイメージです

私はこれまで多くの動画広告の制作を行ってきましたが、まったく同じ台本を使っても、役者さんが違うだけで成果が大きく変わるのを何度も経験しました。

とある商材で台本は変えず、①役者Aさん ②役者Bさん ③アニメーション…と「誰が伝えるか」のみを変えて、動画広告を配信した結果がこちらです。

動画の種類配信割合コンバージョン数
①キャスティング型(Aさん)全体の約70%全体の約85%
②キャスティング型(Bさん)全体の約5%全体の0%
③アニメーション全体の25%全体の約15%

伝える内容は同じでも、話す人の声・表情・雰囲気ひとつで、視聴者の印象は大きく異なります。

しかし、「有名だから」「安いから」といった理由でキャスティングすると、成果に繋がらないことも。大切なのは、 「なぜこの人が語る必要があるのか」を、選ぶ側が本気で考えることです。

この記事では、多数の動画広告制作で培った経験をもとに、視聴者の心を動かすキャスティングのコツをお伝えします。


「誰が語るべきか」を見極める、3つの視点

私がキャスティングをするときに重視しているのは、「ターゲットとの親和性」「ブランドの世界観との整合性」「感情表現のリアリティ」の3つです。それぞれ詳しく解説します。

①視聴者が自分の未来を重ねられるか(ターゲットとの親和性)

まず大事なのは、視聴者が自分ごと化できる存在かどうか。 

ターゲットと年齢・属性・雰囲気が近いか、もしくは「こうなりたい」と思える憧れの存在か。私は常に「この人を見たとき、視聴者は自分の未来を重ねられるだろうか?」という問いを持って選んでいます。

たとえば、主婦向けの健康食品を紹介する動画なら、「同じ子育て世代に見える人」が語ることで、視聴者は自然と自分ごととして捉えやすくなります。 一方、リアルさにこだわるだけではなく、「あの人みたいになりたい」と思えるような人が語れば、憧れや期待を引き出すことができます。

こうした視聴者との距離感が合っていないと、どんなに話が上手でも、商品が自分に関係のないものに感じられてしまいます。

だからこそ、キャスティングで候補者を見るときは、「この人が自分に語りかけてきたら、どう感じるか?」という視点で見ることが大切です。

②ブランドの雰囲気と合っているか(世界観との整合性)

役者さんは台詞を読むだけの存在ではありません。 その人の立ち居振る舞い、声のトーン、表情、佇まい、そのすべてがブランドの「世界観」をつくります。

たとえば、落ち着いたトーンで信頼感を大切にしている金融サービスの動画に、テンション高めで軽妙な語り口の役者さんを起用すると、視聴者にちぐはぐな印象を与えてしまいます。 また、自然素材をうたうコスメブランドの動画で、つくり込まれたスタジオや演出過多な役者さんを使ってしまうと、「ナチュラルさ」が台無しになってしまうこともあります。

私は、「この人の立ち姿や醸し出す雰囲気が、そのブランドの世界観に自然と馴染むか?」という直感を大事にしています。

候補者を見ながら「この人がブランドの象徴として前に出て、違和感がないか」を考えることが重要です。

③気持ちを込めて語れる人か(感情表現のリアリティ)

広告のセリフは、単なる情報ではなく「想い」を届けるもの。語り手が本気で共感していなければ、その言葉は視聴者に届きません。

そのためにも、商品やサービスについて事前にしっかり説明し、できれば実際に体験してもらうことが大切です。

たとえば、化粧品であれば何日か使用感を確かめてもらう、健康食品なら試飲して効果を感じてもらう。そうしてターゲットと同じ気持ちになってもらうことで、言葉に重みが出てくるのです。

私は演技力以上に、「伝えたいという気持ちの強さがあるか」を重視しています。候補者の話し方に「熱」があるか?本気で伝えようとしているか? そこに注目して選んでみてください。

また、台本を一字一句読んでもらうだけでは、役者さんのセリフに熱が込められないこともあります。だからこそ、その人の話し方や語尾のクセを活かして、言葉を少し変えてもらうことも大切です。

私自信、撮影現場で役者さんの言いやすいフレーズに微調整することで、セリフの説得力が増したと感じることが何度もありました。

伝え方がその人らしさと噛み合ったとき、言葉が自然と感情を帯びて、視聴者の心にすっと届くようになるのです。

役者さんの募集方法

インフルエンサーや有名人など、出演を依頼したい人がすでに決まっているときは、SNSや所属事務所のサイトなどからダイレクトに問い合わせることもあります。

一方、依頼したい人が明確になっていないときは、タレント、インフルエンサー、モデル、ナレーターなどを探して直接起用できるキャスティングプラットフォームを利用しています。

募集文には、ターゲット像、演出トーン、ブランドの世界観をできるだけ具体的に書き、伝えたい空気感が共有できるよう工夫しています。

たとえば、以下のような掲載内容です。

▼オファータイトル
【YouTube動画広告出演モデル・役者募集】
“オンライン語学学習サービス”の魅力を伝える動画に出演いただける方を募集!

▼オファー概要
グローバルオンライン英語学習サービス「アナグラムスピーク」のYouTube動画広告にご出演いただける方を募集します。 動画は「商品紹介風」の構成で、視聴者に語りかけるスタイルを想定しています。

▼出演内容
撮影日:20XX年○月○日(○)12:00〜15:00
撮影場所:東京都内(代々木・千駄ヶ谷周辺スタジオ予定)
動画構成:オンライン英会話に不安がある視聴者へ向けて、アナグラムスピークのサポート体制や学習の進め方を、実体験風にご紹介いただく内容です。
台本:こちらでご用意しますが、語尾など細かな言い回しは当日撮影しながら自然なトーンに調整していただけます。
下記のような雰囲気の動画をイメージしています
参考イメージ動画のURLを添付:https://

▼広告のターゲット像
語学を通じて自分の可能性を広げたいと感じている、20代後半〜30代の社会人。
例えば、仕事と家庭を両立しながらキャリアアップを目指し、忙しい中でも学習時間を確保している方のイメージです。

▼世界観・演出トーン
トーン:誠実さと前向きさを兼ね備えた雰囲気
世界観:忙しい社会人が未来に向けて語学を学ぶリアルな空気感を伝える
服装:スーツ・ジャケット着用(衣装提供あり)

▼参加条件・注意事項
SNS等での撮影情報の発信は禁止となります。
ブランドイメージとの整合性のため、明るすぎる髪色や極端な装飾、タトゥー等のある方はご遠慮ください。
プロフィールと大きく異なる場合は出演をお断りする可能性があります。

▼報酬・契約条件
キャスト報酬:〇〇円(交通費・衣装代込)
撮影時間:2〜3時間程度
利用用途:Web広告(YouTube・SNS広告)
利用期間:無期限(競合制限なし)

本件に少しでもご興味いただけましたら、ぜひご応募いただけますと幸いです。
皆さまからのご連絡を心よりお待ちしております!

募集には毎回20〜100件ほどの応募がありますが、過去の出演動画やSNSの発信から、「話している姿」「動いている空気感」を見るようにしています。

キャスティングとは、「どんな雰囲気や空気感を、誰の声や表情を通して視聴者に届けたいのか」を考えること。だからこそ、募集の段階から「その人を通じて視聴者に何を感じ取ってほしいのか」をできる限り言語化するようにしています。

一度きりで終わらせない。続けることでパフォーマンスが進化する

Web広告の強みは、トライ&エラーができることです。一度出演してもらってすぐに成果が出なかったとしても、何度か撮影を重ねることで見えてくるものはたくさんあります。

私の現場でも、これまでに10回以上ご一緒している役者さんがいます。

最初の撮影では、お互い緊張していて本気のパフォーマンスが出せたとは言えませんでした。しかし、撮影を重ねる中で、「どうすれば成果につながる動画広告になるか」をお互いに提案し合える関係になっていきました。

たとえば、役者さんの方から「このYouTubeチャンネルの雰囲気に近づけたい」といった参考動画が送られてきて、そのイメージで役作りしてきてくださったことがあります。

私も、その役者さんが話している姿を想像しながら台本を書くことで、より自然で伝わる表現に落とし込めるようになりました。

何度かご一緒した役者さんから、弊社のデザイナー宛にいただいたDM。

こうした一つひとつのやり取りの積み重ねが、お互いの理解や信頼を深め、最終的に高い成果につながっていくのだと実感しています。

キャスティングは誰に伝えてもらうかを本気で考える仕事

キャスティングとは、ただ役者を選ぶことではありません。

「誰の声で届けるか」「誰の表情で伝えるか」で、同じセリフでも全く別のものとなり、視聴者の感じ方も大きく異なります。

どれだけ台本が練られていても、語り手の選択を誤れば、その想いは届きません。

重要なのは、視聴者との親和性、ブランドとの調和、そして感情を込めて語れる力を持った人を見極める目。ひとつひとつの現場で悩み、判断し、振り返ることが、最短でこの目を養っていく方法だと感じます。

 

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