「広告費の半分が無駄だということはわかっている。問題なのはどの半分かがわからないことだ。」
これは「マーケティングにおける先駆者」と呼ばれるジョン・ワナメーカーが残した有名な言葉です。昔の広告はこの通りだったのかもしれませんが、リスティング広告に置いては無駄な広告費を明確に識別することが出来ます。
「リスティング広告って毎日見るのがめんどくさい…」、「定期的に見なきゃいけないのが大変…」、そんな風に考えている方々に向けて、基本的だけど見落としがちな診断方法です。毎日たったの5分でできるアカウント診断方法ですから是非ご自身のアカウントでもチェックしてみてください。
目次
デバイスごとの成果
もっとも見落としがちなのが、このデバイスごとの成果です。
エンハンストキャンペーンへの移行後、キャンペーン単位でデバイスを分ける設定がしにくくなりました。同一キャンペーンでPC、スマートフォン、タブレットなど複数のデバイスの配信をしていると、どうしても日々の運用の中では全体での数値を中心に判断してしまい、フタを開けるとデバイスごとのCPA(顧客獲得単価)に大きな乖離が発生していた、ということも少なくありません。
管理画面でのチェック方法は下記の手順です。
- デバイスごとの成果を確認したい期間を選択します。
- 「分割」プルダウンを開きます。
- デバイスを選択します。
※Yahoo!スポンサードサーチの場合は、「分割」ではなく「表示」から確認が可能です。
これで各キャンペーン別にデバイス毎の成果を確認することができます。
ここで、
スマートフォンの成果がPC・タブレットよりも悪いキャンペーンがあった場合
スマートフォンへの配信の成果が思わしくない場合は、スマートフォンの「入札単価調整比」をPC・タブレットに比べて引き下げる(-10%や-20%など)調整して、スマートフォンにおけるコンバージョン単価(CPA)を下げるように調整を行うことができます。
PC・タブレットの成果がスマートフォンよりも悪いキャンペーンがあった場合
PC・タブレットへの配信の成果が思わしくない場合は、スマートフォンの「入札単価調整費」をPC・タブレットに比べて引き上げる(+10%や+20%など)調整して、スマートフォンにおけるコンバージョンをさらに伸ばすことで、キャンペーン全体のコンバージョン単価を下げられる可能性があります。
また、スマートフォン配信におけるコンバージョン単価が目標値と比較して余裕が無い場合、例えば目標CPAが3,000円に対して、スマートフォンでのCPA実績が2,950円である場合などは、スマートフォンの入札単価を上げたために、コンバージョンは増えるもののCPAが目標値を割り込む可能性が出てきます(CPA=クリック単価÷コンバージョン率より)。その場合は、PC・タブレットの入札単価(広告グループやキーワード単位)を下げ、スマートフォンの入札単価調整費を、調整前と同じ程度に設定することで、スマートフォンの入札単価はそのままでPC・タブレットのみ入札単価を下げることが可能です。(例:PC・タブレットの入札価格を100円→50円にした場合、入札単価調整費を+100%にすることでスマートフォンの入札価格を維持したままにすることが可能です。)
尚、昨今ではスマートフォンの普及率が益々増加傾向にあり、リスティング広告アカウントの中での影響力も日に日に大きくなっています。「うちはスマートフォン経由のユーザーが少ないから」と仰る方こそ、いま一度確認してみることをおすすめ致します。思わぬ発見があるかもしれません。
2014年7月の調査でスマートフォンの国内普及率は36.9%となっています。
※参照 http://consult.nikkeibp.co.jp/consult/news/2014/0829sp/
インプレッションシェアの損失率
次にご紹介したいのが、インプレッションシェアの損失率です。なんとも難しそうな用語ですね。わかりやすく言い換えますと、キャンペーンの予算や入札価格次第でインプレッションを増やせる割合、ということになります。
インプレッションシェアの損失率には2種類あり、インプレッションシェア損失率(予算)とインプレッション損失率(広告ランク)です。ここでは、よく起こりがちな予算設定による機会損失の対策が行える、インプレッションシェア損失率(予算)をご紹介します。
管理画面でのチェック方法は下記の手順です。
- インプレッションシェアの損失率を確認したい期間を選択します。
- 「表示項目」プルダウンを開き、「表示項目の変更」を選択します。
- 「競合指標」を選択後、「検索広告のインプレッションシェア損失率(予算)」と「ディスプレイ広告のインプレッションシェア損失率(予算)」の右側の「追加」リンクをクリックします。
- 「適用」ボタンをクリックします。
※Yahoo!スポンサードサーチの場合も、ほぼ同様の手順で確認可能です
※YDNはインプレッションシェア損失率の確認はできません。(2014/12/1時点)
各キャンペーン別にインプレッションシェアの損失率を確認することができます。
もし、アカウント全体のCPAよりも安いCPAをたたき出している優れたキャンペーンでインプレッションシェア損失が発生している場合は、キャンペーンの1日の予算を増額するだけで、コンバージョン数を増やせる可能性があります。
キャンペーン単位のCPAが他と比べて高騰しているキャンペーンでも、そのキャンペーン内に格納されている広告グループによってはかなり安いCPAで獲得できていることが多々あります。そういった場合は、キャンペーンの1日の予算を増額した上で、配下の広告グループの入札・オンオフの調整をするだけで、コンバージョン数を増やせる可能性があります。
ただし、1日のキャンペーン予算を厳守しなければならない場合は、次のような方法を採ることで、効率よくコンバージョンを獲得できる可能性があります。
- 時間帯レポートを確認し、コンバージョン効率の悪い時間帯の配信を止め、コンバージョン効率の良い時間帯のみに配信をする
- 入札単価を下げ、1日に獲得できるクリック数を増やす(ただし、入札単価を下げるとコンバージョン数も減少する可能性があるため、バランス良くコンバージョンが獲得できる掲載順位や入札単価などを見極める必要も出てきます)
「インプレッションシェア損失率なんて見たことなかった…」という方は、是非チェックしてみてください。
検索語句(検索クエリ)
Q.リスティング広告は登録したキーワードでしか広告配信はされない。
①Yes ②No
Yesと答えた方はこの項目も読んでみてください。
リスティング広告にはマッチタイプという「キーワードの拡張の範囲」を決める設定があります。
ご自身のアカウントで「部分一致」「絞り込み部分一致」「フレーズ一致」のいずれかを登録している場合は、検索語句を確認することで、成果改善のヒントが見つかるかもしれません。
管理画面でのチェック方法は下記の手順です。
- 検索語句を確認したい期間を選択します。
- 「キーワード」タブを選択します。
- 「詳細」プルダウンを開きます。
- 「すべて」を選択します。
※Yahoo!スポンサードサーチの場合は、「検索クエリーを表示」から確認が可能です
検索語句の一覧画面に遷移します。ここで明らかに不要な検索語句を発見することがあれば、それらのキーワードを除外キーワードとして設定することで、今後キーワードの拡張を制限することが可能となります。
次に、除外キーワード登録の手順をご紹介します。
- 「費用」列をクリックして降順に並べ替えます。
- 除外したい検索語句のマッチタイプが「完全一致」ではないことを確認します。
- 除外したい検索語句の左端のチェックボックスにチェックを入れます。
- 「除外キーワードとして追加」ボタンをクリックします。
※Yahoo!スポンサードサーチの場合は、「除外キーワード」ではなく「対象外キーワード」という名称になります。
その後、除外キーワードの追加先、マッチタイプを指定して「保存」ボタンを押せば登録完了です。「おもわぬ検索語句でコストを使いすぎてしまっていた…」なんてことがあったのではないでしょうか?
まとめ
今回は、誰でも簡単にできるアカウント診断で肝になる3つの視点をご紹介しました。
アナグラムの合言葉の中に「初期の仮説は必ず外れる。成果を分けるのはその後の”行動”だ」というものがあります。
その後の”行動”、つまりアクションを少しでも早く取るために、アカウントの全てを毎回確認するのでは時間がかかり過ぎますからポイントを絞って見ていくことが重要となります。その為、仮説がどのように外れているかを知る手段を複数持っていると有利です。今回ご紹介した分析手法はとても基本的なものになりますので、知らなかったという方はできるだけ早く確認してみることをおすすめ致します。