縦型動画広告の成果につながる冒頭設計とは?BtoC・BtoBの添削事例から学ぶ改善のヒント

縦型動画広告の成果につながる冒頭設計とは?BtoC・BtoBの添削事例から学ぶ改善のヒント

「なんとなくイケてない気がするけど、どこをどう直せばいいか分からない」

縦型動画広告の制作で、一度はこう感じたことはないでしょうか。成果の差が最も出やすいのが、動画の冒頭数秒の設計です。

本セミナーでは、この冒頭部分を「テキスト×映像」と「視聴維持×セールス」の4象限で分解して評価する「情報伝達効率チェッカー」という考え方が紹介されました。感覚に頼らず、改善点を言語化するためのフレームワークです。

今回のレポートでは、セミナーの核となる冒頭設計の原則と、BtoC・BtoBそれぞれの添削事例から得られた改善のヒントを紹介していきます。

イベント登壇者

【アナグラム株式会社】平野 森(ひらの しん)
運用型広告事業部 / チームリーダー

2023年5月よりアナグラム株式会社に入社。

自身で運用するTikTok・YouTubeの総フォロワー数は30万人超。現在は運用型広告のコンサルタントとしてECや人材などの業種でクリエイティブ企画・広告運用を行っている。

感情がどう動くのかを突き詰めた縦型動画のシナリオ構築を得意とする。


成果の良い縦型動画広告の特徴

セミナーでは、成果の良い縦型動画広告を「枯れない縦型動画広告」と定義し、その特徴について解説されました。長期間CVを獲得し続ける「枯れない」クリエイティブを実現できるかどうかは、ユーザーが動画広告を視聴するかを決める「冒頭部分の設計」にかかっています。

登壇者の平野が、冒頭設計において徹底してこだわるべきと語った2つのポイントを紹介していきます。

冒頭が「ターゲット以外には反応されにくい」かつ「顧客になり得るユーザーをなるべく広く受け止める」構成になっている

Meta広告には、CVを獲得できるクリエイティブほど配信対象のユーザーが拡大されやすいという特徴があります。配信されるユーザーが初期より広がったときに、好調に獲得を維持し続けるためには、次の2点を両立することが重要です。

  • ターゲット以外には反応されにくい
    ターゲット以外のユーザーの反応は、広告媒体の学習が乱れる原因です。動物や赤ちゃんなど「誰もがつい見てしまう」素材は使わないようにしましょう。
  • 顧客になりうるユーザーをなるべく広く受け止める
    特定の狭いユーザー層向けにせず、見込み顧客全体に共通する課題や共感ポイントを訴求し、配信拡大に耐えうる受け皿の広さを確保します。

この考え方については、過去のセミナーで詳しく解説されていますので、以下をご参考ください。

情報伝達効率を極限まで高めている

配信拡大に耐えうる冒頭設計を前提としたうえで、実際にCVを獲得していくために欠かせないのが、冒頭数秒で「購入したい・使ってみたい」という意欲を一気に高めることです。

この「できるだけ少ない情報で、できるだけ強い感情を引き出す」情報の密度の高さを、本セミナーでは「情報伝達効率」と呼んでいます。

情報伝達効率チェッカー

縦型動画の情報は「テキスト」と「映像」の2種類。そしてそれぞれが受け手に引き起こす感情は「視聴維持(つい見てしまう)」と「セールス(ほしくなる)」の2種類に分けられます。

この4象限で冒頭数秒を分解して動画を評価する方法として「情報伝達チェッカー」が紹介されました。4象限のうち、どのセルが空白なのか、どのセルが弱いのかが可視化でき、改善ポイントがつかみやすくなります。

注意したいのは、受け手の立場に立って要素を分類・評価することです。

受け手が「何を知っていて、何を知らないのか」を理解していないと、そもそも動画の内容が伝わっているのか、感情がうごくのかを評価できません。そのため、制作前のリサーチは、構成を考えることと同じか、それ以上に重要とセミナーでは強調されていました。

BtoBサービスでは、営業やカスタマーサクセス担当者へのインタビューが情報収集として有効です。日頃から顧客と接している方から、悩みや日常的に考えていることをインプットしたうえで制作に取り掛かりましょう。

添削パート:情報伝達効率チェッカーを使ってみよう

セミナーでは、実際にアナグラムのイベントスタッフが制作した動画を「情報伝達チェッカー」を使って添削する実演が行われました。(※動画内で紹介している商材は、アナグラムが現在ご支援しているものではありません。あくまで実演用の題材として使用しています。)

今回の実演では、BtoC商材とBtoB商材の2つを扱っています。それぞれ順に見ていきましょう。

BtoC:店舗ビジネスの集客

1つ目は、店舗でのクラフト体験集客を題材にした動画です。ぜひ動画を視聴しながら、テキストと映像を「情報伝達チェッカー」に照らし合わせ、視聴維持とセールスの要素に分解して評価してみてください。

「情報伝達効率チェッカー」を使ってこの動画を分析した結果がこちらです。

改善案:冒頭で商品の魅力を見せ、視聴維持とセールスを両立

分析の結果を受けて、修正した動画の冒頭がこちらです。

修正後の動画も分析してみます。

最大の特徴である「ガラスが融ける綺麗な映像」が冒頭に配置されています。目を引く映像で「視聴維持」を図りつつ、それを作って手に入れられるという「セールス(サービスの本質)」が同時に伝わる冒頭になっています。

【映像の改善】
肝心のとんぼ玉を冒頭で印象的に見せる映像に変更

ガラスが融ける様子や模様を付ける工程、完成品までをテンポよく切り替えて見せることで、視聴維持とセールスの両方に働きかけています。

また、冒頭でとんぼ玉そのものを見せることが、最も有効なユーザーのスクリーニングになります。商材に興味のあるユーザーを引きつけるためにも、商材主体の見せ方が重要です。

【テキストの改善】
当たり前の情報をカットしてユーザーの負荷を最小限にする

冒頭の「箱根旅行の思い出作りならここ」を「箱根に行くなら」に変更。

ユーザーはすでに旅行中、あるいは検討中のため、「思い出作り」という前提は説明不要です。不要な言葉を削ぎ落とし、短くすることで視聴維持につなげています。

また、店舗ビジネスとして「箱根」というワードはターゲットの興味を引くために必須です。必要な情報とそうでない情報を明確にしてできるだけテキストを短くするのがポイントです。

指示語×動詞で期待と意欲を同時に作る

「これ」という指示語で映像への期待感を生み、視聴を維持しつつ、「作って」という言葉によって制作体験サービスであることを直感的に伝え、「やってみたい」という気持ちを引き出す構成にしています。

BtoB:SaaSのリード獲得

2つ目は、データフィード管理ツール「dfplus.io」のリード獲得を目的とした動画です。

dfplus.io」は、ECの商品情報や求人、不動産情報など、件数の多いデータを広告媒体に配信するためのデータフィード管理ツールです。マスターデータを直接編集することなく、広告側で発生したエラー対応やデータの最適化ができます。

こちらも動画を視聴して、テキストと映像を「情報伝達効率チェッカー」に照らし合わせ、視聴維持とセールスの要素に分解して評価してみてください。

動画を分析した結果がこちらです。

チェッカーに当てはめてみると、BtoBの無形商材で、映像による「視聴維持」を作り出すことの難しさがわかります。

この課題に対し、2つの改善案が提示されました。

改善案1:画の切り替えで視聴維持しながら、悩みを訴求してユーザーの共感を生む

修正後の動画の要素を情報伝達効率チェッカーに当てはめてみると次の通りです。

PC画面をスマホで撮影することで「ユーザーの日常の景色」に近づけて関心を引き、さらに素早い画の切り替えで視聴維持の要素も生み出しています。また、ユーザーの悩みをテキストで端的に表現し、セールス要素もクリアできていることが分かります。

【映像の改善】
 日常に近い映像で引き込み、悩みの提示で解決への期待を高める

PC画面をスマホで撮影した映像や、PCの前で悩む様子、PCを開く動作など、あえてサービス画面ではなく、ユーザーが日常的に目にする景色を使うことで自分ごと化を促し、視聴維持につなげています。

また、悩みのある状態や「何かを開く」(この動画ではPCを開く)映像は、その後の解決への期待感も醸成。視聴維持とセールスの両方に効く構成です。

【テキストの改善】
課題のある状態を「そのまま思い浮かぶ形」で表現し、自分ごと化を促す

悩みを訴求するときに重要なのは一目で状況が伝わることです。情景が自然と思い浮かぶ言葉で簡潔に表現して視聴を維持し、自分ごと化を促しましょう。

また、悩みや課題を提示することで、「このあとに解決策が示されるのではないか」という期待感が生まれ、視聴維持だけでなくセールスの要素としても機能します。


改善案2:冒頭でBefore→Afterを示し、明るい未来への期待感を一瞬でつくる

実際の動画はありませんが、「このような表現も作れそう」という一例として紹介された改善案です。

無形商材は実体がないため、商品そのものではなく、「商品が解決した後の明るい未来」まで延長して映像化することがポイントです。

機能説明を長々とテキストで読ませるのではなく、「簡単にフィードがきれいになる」という未来を体感できる映像にすると、直感的に魅力を伝えることができます。

まとめ

縦型動画広告は、重要性が高まる一方で、「うまくいかない理由が分からない」「どこを直せばいいのか判断しづらい」と感じる場面も多い領域です。

本セミナーでは、そうした状態に対して、感覚に頼るのではなく、クリエイティブの要素を分けて整理し改善していく考え方が紹介されました。実際の添削事例を通して、どのように見直していくのかを具体的にイメージできる内容だったのも印象的です。

ぜひ情報伝達チェッカーを活用して、自社の動画広告の冒頭を分解し、どこに改善の余地があるのかを見直す際の参考にしてみてください。

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