Meta広告において、今や欠かせない存在となった「縦型動画広告」。しかし、「最初は好調だったのに、すぐに獲得できなくなった」という悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、先日開催されたセミナー「Meta広告の成果を伸ばす 縦型動画『冒頭3秒』台本づくりのコツ」の内容をもとに、縦型動画広告が“枯れる”理由と、成果を伸ばし続けるための台本設計のポイントを整理します。
【アナグラム株式会社】平野 森(ひらの しん)
運用型広告事業部 / チームリーダー

2023年5月よりアナグラム株式会社に入社。
自身で運用するTikTok・YouTubeの総フォロワー数は30万人超。現在は運用型広告のコンサルタントとしてECや人材などの業種でクリエイティブ企画・広告運用を行っている。
感情がどう動くのかを突き詰めた縦型動画のシナリオ構築を得意とする。
目次
なぜクリエイティブは「枯れる」のか?
本セミナーでは、成果の良い縦型動画広告を「枯れないクリエイティブ」と定義。その上で、なぜ多くのクリエイティブで「枯れ」が起こってしまうのかが解説されました。
実際、縦型動画広告では、配信開始直後はコンバージョンを順調に獲得していたにも関わらず、徐々に成果が悪化し、入稿し直しても同じサイクルを繰り返してしまうケースは少なくありません。そのため、「1つのクリエイティブで長期間獲得し続けるのは難しい」と捉えられがちです。
しかしセミナーでは、登壇者自身が制作した動画の中に、2年以上配信を続けながら現在も安定して獲得できている事例が紹介され、印象的なポイントとなっていました。

枯れるクリエイティブのパターン
Meta広告でクリエイティブが枯れる要因となる仕組みとして、主に次の2点が挙げられました。
- 1:成果の良いクリエイティブほど配信が拡大される
Meta広告では、広告は均等に配信されません。クリック率やコンバージョンなど、ユーザーの実際のアクションをもとに評価され、反応の良いクリエイティブほど配信が拡大します。 - 2:Meta広告は、広告を視聴するか否かも学習して配信に活用しているから
広告を「視聴するかどうか」も学習対象です。つまり、ユーザーが動画を「見る・見ない」を無意識に判断する冒頭部分の視聴傾向がデータとして蓄積され、その結果が配信最適化に活用されています。
クリエイティブが枯れる仕組みを踏まえ、セミナーでは「枯れやすいクリエイティブ」の代表例として、次の3パターンが紹介されました。
ケース1:冒頭で反応する人を狭めすぎる
動画広告において、冒頭は「その動画を見る人が誰になるか」を左右する重要な要素です。冒頭で興味を持たれなければ、すぐにスキップされ、広告として機能しません。
そのため、「〇〇な人を探しています」「〇〇担当者必見」といった形で、想定するターゲットに直接呼びかける構成は多く見られます。
この手法は、特定のユーザーに対する反応率を高めやすい一方で、反応する層を意図せず限定してしまうリスクがあります。
配信初期にコンバージョンが獲得できると、媒体の最適化によって配信はさらに拡大します。しかし、冒頭の訴求に合致しないユーザーにも表示されるようになると、視聴やクリックが伸びにくくなり、結果として獲得効率が徐々に低下していくケースがあります。
「刺さる人には強く刺さる」設計が、長期的には配信拡大と相性が悪くなることがあるという点がこのパターンの特徴です。

ケース2:冒頭で反応する人を広げすぎる
冒頭で反応するユーザーを広げすぎてしまうケースも枯れやすいパターンです。
流行りのフォーマットを取り入れたり、動物や赤ちゃんなど「人間が無条件に反応しやすい要素」を盛り込んだクリエイティブは、視聴維持を高めやすい傾向があります。冒頭の数秒で離脱を防ぐという観点では、有効に見える手法です。
しかし、こうした要素が商材と強く結びついていない場合、ターゲット外のユーザーにも広く反応されてしまう可能性があります。その結果、配信が広がり視聴数は伸びても、購入にはつながりにくくなります。
媒体の学習も「よく見られる動画」として評価するため、配信は広がりやすいですが、コンバージョン率は低下し、最終的に費用対効果が合わない状態に陥りやすくなります。
視聴維持だけを目的にした冒頭設計は、一時的な改善につながっても、長期的な獲得効率を損なうリスクがあるのです。

ケース3:媒体のターゲティングで配信先のユーザーを狭めすぎている
クリエイティブだけでなく、媒体側のターゲティング設定によって枯れが起きるケースもあります。
「商材を購入してくれそうな層」に過度に絞りこんだり、確度の高いと思われるユーザーだけに限定して配信すると、短期的には効率よくコンバージョンを獲得できることがあります。しかし、配信できるユーザーが狭く設定されているため、一定期間が経つと同じユーザーへの表示回数が増加し、フリークエンシーが上昇しやすいです。
コンバージョンにつながる可能性のある新規ユーザーへのリーチがあまり広がらないため、配信ボリュームは維持されていても成果は徐々に頭打ちになってしまいます。
「確度が高そうだから絞る」という発想が、長期的にはスケールを阻害し、結果として「枯れ」を早めてしまう可能性があるのです。

成果を伸ばす台本づくりの4つのコツ
では、成果が出る縦型動画広告の台本は具体的にどのように設計すればよいのでしょうか。
セミナーでは「誰がその動画を視聴するか」を決める冒頭部分にフォーカスし、冒頭の設計で成果を伸ばすポイントが解説されました。
まず押さえるべき大きな考え方は次の2点です。
- ターゲット外には過度に反応されにくい
- 顧客になり得るユーザーをできるだけ広く受け止める
一見すると矛盾しているようにも見えるこの2つを、いかに両立させるかが鍵になります。

コツ1:単一のペルソナではなく、複数のペルソナに共通する要素を切り口とする
年齢・性別・職業・職種といった属性を切り口にすると、一見わかりやすい反面、その属性に当てはまらないユーザーにも配信が拡大された際に、獲得につながりにくくなります。
そこで重要になるのが、属性では無くターゲットが共通して抱える「悩み」や「特定の行動」を切り口にすることです。また、商材を使うことで得られる「明るい未来」を冒頭で伝えるのも効果的です。
特定のペルソナに閉じない、より広い顧客層を受け止められる動画広告になります。配信が拡大しても成果が落ちにくく、安定してコンバージョンを獲得し続けられる土台ができます。
▼「共通の悩み」を切り口とした例

コツ2:事前リサーチを徹底する
「複数のペルソナに共通する要素」を見つけるには、事前リサーチが欠かせません。特に重要なのは、一次情報・顧客の生の声に触れることです。
代表的なリサーチ手法
- 実際に商材を購入、体験する
- 顧客にインタビューを実施する
- 顧客アンケートを確認する
- CS(カスタマーサクセス)担当者など、直接顧客と向き合う方にヒアリングする
- SNSでユーザーの声を拾う
- 展示会などのオフラインイベントに参加する
コツ3:商品を中心に据えた視聴維持を考える
縦型動画広告を考える中で「視聴維持」を重視する方は多いと思います。ただし流行のフォーマットや動物・赤ちゃんといった誰もが反応する要素で視聴維持を狙うと、一時的に表示回数やコンバージョンを獲得できても、やがて配信効率が下がるケースが少なくありません。
本当に届けたいユーザーに見てもらうには、商品そのものに紐づいた要素で視聴を維持することが重要です。
たとえば、ポストから商品を取り出すシーンや、箱を開封するシーンです。これらの場面には、「中から何が出てくるのか」という期待感があり、自然と視線をひきつけます。同時に、「商品が届く」「箱を開ける」といった購入体験の臨場感を伝えられるため、視聴者は自分ごととしてイメージしやすくなります。

コツ4:クリエイティブの情報伝達効率を極限まで高める
広告では、どうしても「情報を伝えること」に意識が向きがちです。しかし、ユーザーに興味を持ってもらい、次の行動を起こしてもらうためには、実は「感情を動かす要素」の重要度もかなり高いです。
縦型動画広告を構成要素に分解すると、次のように分けられます。
- 受け手の感情:視聴維持(=思わず見ちゃう)とセールス(=欲しくなる)
- 伝える情報:テキストと映像
「最小限の情報で、最大限の感情を引き出す」設計にこだわることが大事であるとセミナーでは解説されていました。

作成した動画を「受け手の感情」と「伝える情報」で整理し、図のようなマトリクスに当てはめて評価してみると、「必要な情報が過不足なく入っているか」「ユーザーの感情を動かす要素が十分に設計されているか」を客観的に見直しやすくなります。
情報と感情のバランスを構造的に捉えることで、単なる「説明動画」ではなく、「行動を促す動画」に変わります。
▼クリエイティブチェックの例

まとめ
縦型動画広告を制作しているものの、時間とともに成果が落ち、次第にコンバージョンを獲得できなくなってしまう。そんなお悩みを感じている方にとって、本セミナーの内容はヒントになるはずです。
今回ご紹介した次の4つのコツを踏まえて台本を設計すれば、動画の成果をより安定させることが期待できます。
- 単一のペルソナではなく、複数のペルソナに共通する要素を切り口とする
- 事前リサーチを徹底する
- 商品を中心に据えた視聴維持を考える
- クリエイティブの情報伝達効率を極限まで高める
まずは次に作成する動画の冒頭にこだわって「行動を促す」動画を制作してみましょう。



