
Facebook広告のターゲットユーザーは「オーディエンス」と呼ばれ、実名制ゆえの高精度なターゲティングを行えるのが強みの一つです。
一方で、精度の高さゆえにユーザーのプライバシーに関する問題が浮上することも増えており、ここ最近は頻発する個人情報をめぐるさまざま課題に対処する必要に迫られている印象です。対処の過程で、広告出稿側として知りたい情報も一部制限がかかるなどの対応がなされており、不便さを感じるケースもありました。
今回のアップデートでは、広告主とユーザーの双方に配慮した機能改善が行われています。


オーディエンスサイズおよびオーディエンスの重複の表示を再開
オーディエンスサイズの表示は、ユーザーのプライバシー問題などの理由で2018年上旬より表示がされなくなっていましたが、今回これらの問題を技術的にクリアして再提供に至ったとのことです。また、オーディエンスの重複表示は任意のオーディエンス同士に重複して含まれるユーザーの規模を可視化できる機能です。別々のオーディエンスで括られていても、ひとりのユーザーが複数のオーディエンスに属しているケースがあり、同一ユーザーに対して必要以上にアプローチしてしまうのを回避する目安となります。
アセットライブラリで、重複を確認したいオーディエンスにチェックをいれて、「アクション」のメニューをクリックします。
メニューから「オーディエンスの重複を表示」を選択します。
こちらの画面が出てくるので、「別のターゲット層を追加」をクリック。
比較オーディエンスの枠が表示されるので、比較相手のオーディエンスを選択します。
ただし、オーディエンスのサイズが1,000人未満の場合は表示されません。また、重複の表示に関しても、重複している人数が1,000人以上でないと表示されません。
カスタマーファイル利用時の規約への同意方法の見直し
広告主が保有する顧客情報(メールアドレスや電話番号など)のデータ(カスタマーファイル)を暗号化してFacebookに送信することで、顧客に対してより精度の高いアプローチが可能になります。
カスタマーファイルを利用してカスタムオーディエンスを作成する際には、ユーザーおよび広告アカウントごとに規約への同意が必要となっていましたが、同じビジネスマネージャに紐づく広告アカウントが複数ある場合でも、一度の同意のみで済むことになりました。
また、これに付随して、カスタマーファイルからカスタムオーディエンスを作成するには、ビジネスマネージャの所有が必須となりました。これまで広告アカウント単独で運用していたものは、新規にビジネスマネージャを作成して、広告アカウントをそのビジネスマネージャに紐づけることが必要です。
停止済みアカウントから共有されたオーディエンスは利用不可へ
Facebook広告では、広告アカウントをまたいでオーディエンスを共有することが可能です。
今回のアップデートにより、何らかのポリシー違反や利用規約に違反し、広告アカウントが停止になった際に、停止された広告アカウントから共有されていたオーディエンスはそれ以降は使用できなくなりました。
共有されたオーディエンスを使用した広告セットがあった場合、その広告セットの配信は停止されます。(広告セットから共有されていたオーディエンスを外せば広告セットの配信は再開できます)
オーディエンスを共有されていた広告アカウントでは、アセットライブラリに引き続き共有されたオーディエンスは表示されますが、ステータスが「停止」となります。
もし、ポリシー違反を解消し、広告を再開したい場合には、再度ピクセルのデータから条件を指定して、オーディエンスを作り直すことができます。ビジネスマネージャ内で保有しているピクセルは、再度利用が可能なので、そちらのピクセルを新しい広告アカウントに紐づけて、またオーディエンスを作り直しましょう。
ただし、ポリシー違反を解消していなければ、再度広告アカウントの停止になる可能性が高いので、しっかりと広告ポリシーを確認しておくのが大事ですね。
参考:複数のFacebook広告アカウントでオーディエンス・ピクセル情報を共有する方法と注意点
まとめ
今回のオーディエンスに関わるアップデートですが、過去に個人情報の取り扱いや広告の責任の所在などを考慮して設定されたものを見直すというものでした。個人情報の取り扱いなどは非常に重要なことですが、チェックを厳しくしすぎると利便性が失われるという側面もあり、媒体とユーザー、広告主の3方良しのバランスをとっていく必要がある非常に対応が難しい問題です。
広告代理店としては、利便性が良くなるということだけに目を向けず、その広告がユーザーに与えるであろう体験に先回りして考えてみる、というのが大切だと思います。