デジタル音声広告の今後の重要性を示す5つのトレンド

デジタル音声広告の今後の重要性を示す5つのトレンド

コロナ禍で購買行動からコンテンツの視聴までユーザーの習慣が変わり、広告戦略も著しく変容したと言えます。その中でも特に注目されてきた広告フォーマットの一つはデジタルオーディオ広告なのではないでしょうか。

このデジタル音声広告の周りでは、最近どのような傾向が見られるか、そして今後もどこまで重要になってくるかを示唆する複数のデータを基に以下に考察していきます。



1. デジタル音声広告の予算増加が見込まれる

米国のデジタル広告に特化した市場調査会社eMarketerの予測によると、デジタルオーディオの広告フォーマットは、今後も引き続き重要な位置づけを占めると考えられます。

コロナパンデミック2年目の2021年には、この分野における米国のメディア予算は増加しており(2020年:48.2億ドル→2021年:59.2億ドル)eMarketerによると、この傾向が今後も続くと認識されています

引用元:US Audio Advertising Forecast 2021 – Insider Intelligence

また、広告予算の配分に関しては2020年以降は、ラジオ広告などの従来なオーディオフォーマットからポッドキャストや音声のストリーミングサービスへのシフトも確認されています。コロナ禍で比較的大きな成長を遂げたポッドキャストなどのデジタル音声コンテンツは、広告主にとって益々大事なユーザーとの接点になっていると見られます。

2.「ライトユーザー」の増加

ポッドキャストに関するユーザー動向をもう少し掘り下げてみると、いわゆる「ライトユーザー」(ポッドキャストを月に3回程視聴するユーザー層)が特に牽引役になっていることが、市場調査会社ニールセン・カンパニーのレポートで明らかになっています。

引用元:Lighter podcast listeners are fueling audience growth| Nielsen

このグループのシェアは、2021年5月には49%に達しましたが、増加の背景にはやはり。パンデミックの影響で人がプライベートでも仕事でも家で過ごす時間が増えていることが垣間見えてきます。このライトユーザーこそが音声コンテンツの視聴を後押ししていると考えると、やはり今後の音声広告の戦略においてもより意識する価値があるグループと言えるでしょう。

3. 日本でも家で過ごす時間が大きく変わらないと推測

家で過ごす時間が増えれば、何かをしながら音声コンテンツを視聴する可能性が高まる、という仮説で考えていくと、日本におけるポッドキャスト(あるいは同様のオーディオコンテンツ)の需要は安定していると期待できそうです。

その動向を示す一つの参考値として、リモートワークの志向を見ていくのも良さそうです。

引用元:国内テレワーク市場予測を発表|IDC

市場調査会社のIDC(International Data Corporation)の調査では、今後の日本でリモートワークが2020年のように飛躍的に増えることは見込めないものの、現在と概ね変わらない傾向にあると予測しており、国内のユーザーは引き続き、多くの時間を自宅で過ごす可能性が高いくデジタル音声コンテンツの視聴も大きく変わらないと考えられます。

4. ソーシャルオーディオは、独立プラットフォームから既存SNSの統合へ

ポッドキャストやストリーミング配信に加えて、ソーシャルオーディオも一定の重要性を持つことになるでしょう。2021年初頭に一世を風靡したクラブハウスは今や話題性が減ったのですが、Facebookの「Live Audio Room」機能や、Twitterの「Spaces」タブの展開など、同様のコンセプトが継続されることは興味深いです。

参考:Social media platforms are pressing on with social audio as they compete for creators – Insider Intelligence Trends, Forecasts

大枠の傾向としては、クラブハウスのような独自のプラットフォームから、すでに多くのユーザーベース(およびデータ)を持つ既存のソーシャルメディアプラットフォームへの統合へと向かっている、と捉えらます。

もちろん、これがWEB広告と統合されるかどうかは未知数なことがまだ多いのですが、こういったサービスもユーザーの大事な接点になり得るため今後の動きにも目を向ける価値がありそうです。

5. ユーザーが不快と感じない広告へ

広告のフォーマットにかかわらず、ユーザー体験を邪魔するような広告を不快と感じることが珍しくないです。上述のeMarketerの別調査で、広告を「新しい商品を発見するきっかけ」として有益なものに感じたユーザーが半数を占めていたのですが、一方44%の回答者が「しつこい広告が気になる」とも答えています。デジタル音声広告のような成長分野においても重要な課題になると言えます。

引用元:Consumer Attitudes Toward Digital Advertising 2021 – Insider Intelligence

このテーマを意識してのことか、音声広告にすでにいくつかの取り組みが確認できます。一つはAmazon広告からです。先日の同社のオンラインカンファレンス「unBoxed」で、インタラクティブなオーディオ広告フォーマットが発表されました。これは現在ベータ版の機能ですが、例えば、人がオーディオコンテンツを聴いているときにシームレスに配信され、Alexaの音声入力によってさまざまなインタラクション(商品の細な情報、カートに追加、または購入)を取ることができる、ユーザー体験に自然に溶け込む広告です。

参考:ブランドとオーディエンスのエンゲージメントを高めるのに役立つ2つのインタラクティブ広告ソリューション | Amazon Ads

また、別アプローチをとったのは、最近1400万米ドルの資金調達で話題になったAudioMobというサービスです。

参考:モバイルゲームでオーディオ広告を配信するAudioMobがシリーズAで約16億円調達、グーグルなどが支援  |  TechCrunch Japan

AudioMobでは、モバイルゲームのアプリに音声広告を配信することを可能にし、通常の画像広告のように体験自体を中断することなく、ユーザーへの干渉を最小限に抑えた斬新なアプローチをとっています。

今後も期待できるテーマの一つ

SpotifyをはじめAmazon、Apple、Radikoなどに至るまで、デジタル音声コンテンツの世界は、これまでになく拡大している最中だと言えます。そして同時に、広告主にとって顧客にリーチするための新たな機会を提供することも意味しています。

現在は、デジタル音声広告はチャンスが可能性を多く秘めている一方で、計測やカスタマージャーニーにおける評価などの課題もあるのは事実ですが、急速に技術革新が遂げている分野でもあるため、これまで広告ポートフォリオに取り入れていなかった広告主にとっても、今後注目する価値があるテーマだと思います。

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Jan Hugendick

Jan Hugendick

ドイツの出版社でマーケティングやSEOに携わることをきっかけにリスティング広告に興味を持ち、 ドイツの某メディア大企業直属のWeb広告代理店に転職。そこで5年間、多国・多業界 のアカウントを担当することを経て、2016年にアナグラムに参画。広告運用の他、ブログ執筆と編集を行っています。

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