Google 広告のポートフォリオ入札戦略とは?導入メリットと設定方法

Google 広告のポートフォリオ入札戦略とは?導入メリットと設定方法

自動入札は、機械学習を利用して、デバイスや性別や年齢といったユーザー属性からサイトでの行動までも加味し、それぞれのオークションにおける入札価格を自動で調整してくれる便利な機能です。また、手動ではできなかった精度の高い入札調整ができ、時間の節約にもつながります。

しかし、一方で自動入札を導入してみたはいいけれど、キャンペーン数が多く管理に手間がかかってしまう、という声もよく耳にします。

そんなときに活用したいのが、複数キャンペーンの入札戦略を一括で管理するGoogle 広告の「ポートフォリオ入札戦略」機能です。

今回は「ポートフォリオ入札戦略」の使い方について分かりやすく解説します。



ポートフォリオ入札戦略とは?

「入札戦略」とは、Google 広告で達成したい目標に応じて入札調整を行う機能です。入札戦略は、キャンペーンごとにも設定を行えますが、「ポートフォリオ入札戦略」を使用すると、複数のキャンペーンや広告グループ、キーワードを束ねて、自動入札戦略を一括で設定、管理ができます。

また、ポートフォリオ入札戦略で管理している入札戦略を「ポートフォリオ」と呼び、ポートフォリオごとの配信実績のほか、自動入札のステータスも簡単に把握できます。

ポートフォリオ入札戦略の導入メリット

ポートフォリオ入札戦略を導入するメリットは、次の2つです。

① 入札戦略の管理がしやすくなる
② 入札戦略の変更によるパフォーマンスへの影響度を効率良く比較できる

① 入札戦略の管理がしやすくなる

特にキャンペーン数が多いアカウントでは、キャンペーンごとに入札戦略を設定していると手間も時間もかかり、管理が煩雑になりがちです。しかし、ポートフォリオ入札戦略で一括管理しておけば、ポートフォリオを変更するだけで、適用範囲のキャンペーンすべてに変更が反映されるため、管理がしやすくなります。

またポートフォリオ入札戦略は、キャンペーン全体で目標を達成しようと自動で調整されるため、結果として機械学習の最適化に必要なデータを素早く溜めるのにも役立ちます。

② 入札戦略の変更によるパフォーマンスへの影響度を効率良く比較できる

たとえば、「目標コンバージョン単価」の金額を変えた際の統計の比較や、「目標コンバージョン単価」から「目標費用対効果」に入札戦略を変更した際の数字の変化を比較する場合、変更前後のデータをキャンペーンごとに取得して集計、比較というのがよくあるケースだと思います。しかし、それだと手間も時間も掛かってしまいますよね。ポートフォリオ入札戦略を利用すれば、複数キャンペーンをまたいだデータを確認できるため、パフォーマンスへの影響度を効率良く比較できます。

ポートフォリオ入札戦略で利用可能な入札戦略の一覧

ポートフォリオ入札戦略で利用可能な入札戦略は以下のとおりです。

入札戦略の種類 内容
クリック数の最大化 選択した予算の範囲内で、最大限のクリック獲得
目標インプレッション シェア Google 検索結果ページの最上部、上部、または任意の場所に広告が表示されるように、自動的に入札単価を調整
目標コンバージョン単価(tCPA) 平均コンバージョン単価を目標値に抑えつつ、コンバージョン獲得の最大化を目指す
目標広告費用対効果(tROAS) 広告費用対効果(ROAS)の目標達成を目指しながら、コンバージョン値の最大化を目指す
コンバージョン数の最大化 選択した予算全体を使おうとしながら、最大限のコンバージョン数を獲得
コンバージョン値の最大化 選択した予算を過不足なく使用し、最大限のコンバージョン値を獲得

また、「コンバージョン数の最大化」と「コンバージョン値の最大化」は、2020年3月から使用可能となっています。これですべての自動入札戦略がポートフォリオ入札戦略で利用できるようになりました。

参考:Use Maximize conversions and Maximize conversion value with portfolio bid strategies - Google 広告 ヘルプ

なお、個別単価設定(手動で入札単価を設定する入札戦略)の「個別クリック単価制」「拡張クリック単価」では利用ができません。

ポートフォリオ入札戦略を適用できるキャンペーンタイプ

すべてのキャンペーンタイプにポートフォリオ入札戦略を適用できるわけではないので注意が必要です。適用できるのは、検索とディスプレイ、ショッピングです。また、複数のキャンペーンに同じポートフォリオ入札戦略を設定することは可能です。

キャンペーンタイプ 適用可否
検索
ディスプレイ
ショッピング
ファインド 不可
動画 不可
アプリ 不可
スマート 不可
P-MAX 不可
ホテル 不可

ポートフォリオ入札戦略の設定方法

ポートフォリオ入札戦略を設定する方法は、共有ライブラリから設定する方法とキャンペーンの設定画面から設定する方法の2つあります。それぞれご紹介します。

※例として、設定する入札戦略は「目標コンバージョン単価」にて手順を説明します。

共有ライブラリでポートフォリオを作成する

ここでは、共有ライブラリからポートフォリオを作成する方法を解説します。

①「ツールと設定」をクリック
②「入札戦略」を選択

③「+」ボタンをクリック

なお、各ポートフォリオのステータスの確認や管理も、この画面で行えます。

④ 展開されたプルダウン内から、任意の入札戦略をクリック

⑤ ポートフォリオ入札戦略の名前を設定

入札戦略の種類や目標値がわかるように名前を設定すると、管理がしやすいです。

⑥オーナーを選択

基本的には、作成中のポートフォリオ入札戦略を適用させたいキャンペーンがあるアカウントのみをオーナーに選択します。詳しくは次の章で解説します。

⑦ 設定するキャンペーンを選択
⑧ 目標値を設定

入札戦略によっては目標値を設定しないものもあります。

⑨「保存」をクリックで設定完了

キャンペーン設定でポートフォリオを作成する

キャンペーンの設定画面からポートフォリオを作成する方法をご紹介します。

① 編集するキャンペーンをクリック
② 画面左側から「設定」を選択し、「単価設定」をクリックしてプルダウンを開く

③「入札戦略を変更」を選択

④「または、入札戦略を直接選択します」を選択

⑤「ポートフォリオ戦略を使用する」を選択

⑥「新しいポートフォリオ戦略を作成する」を選択し、名前を設定
⑦目標値を設定
⑧「保存」をクリックで設定完了

キャンペーン設定から作成した場合、オーナー選択ができませんが、自動でキャンペーンが存在する広告アカウントがオーナーになります。

オーナー設定に注意

ポートフォリオ入札戦略を作成する際、オーナーを「(MCC)」か「(該当の広告アカウント)」かを選択でき、MCCにすると、MCC配下の広告アカウントで横断的に利用できます。そうした場合、誤って別のアカウントに紐づけてしまったり、意図しない入札戦略の変更がなされてしまうケースもありそうで要注意です。

特に広告代理店の場合、異なるクライアント間で同じポートフォリオ戦略が適用されてしまうといった事故も起こりかねないので、原則はオーナーを「(該当の広告アカウント)」にするのがおすすめです。

一方、同一クライアントの複数アカウントでひとつのポートフォリオ入札戦略を横断的に利用したい場合や、インハウス運用で複数アカウントをまとめて管理して工数を削減したいときなどは、MCCをオーナーに設定することで上手く使い分けができる場合もありそうです。

広告グループ単位で目標値を変更したい場合

ポートフォリオ入札戦略は、キャンペーンレベルでの適用になりますが、実は広告グループごとに目標値を個別に設定できます。特定の広告グループのみ配信を強化・抑制したいといった場合などに便利です。ただし、後ほどご紹介する上限入札単価・下限入札単価はキャンペーン単位での適用のみなので、注意が必要です。

広告グループ単位で目標値を設定する方法は以下です。

①該当の広告グループの設定画面から「単位設定」をクリック

②任意の値を設定
③保存をクリック

上限入札単価や下限入札単価の設定も可能(ただし選択した入札戦略による)

ポートフォリオ入札戦略を使用した場合、上限入札単価・下限入札単価を設定することが可能です。ただし、全ての入札戦略で設定できるわけではないのでご注意ください。入札戦略ごとの上限入札単価・下限入札単価の設定可否は下記表を参照ください。

入札戦略の種類 上限入札単価・下限入札単価の設定可否
クリック数の最大化 上限入札単価のみ可
目標インプレッション シェア 上限入札単価のみ可
目標コンバージョン単価(tCPA)
目標広告費用対効果(tROAS)
コンバージョン数の最大化 不可
コンバージョン値の最大化 不可

上限入札単価や下限入札単価は、以下の方法で設定できます。

①「詳細設定」をクリック

②「入札単価の上限」「入札単価の下限」から設定したい方に、任意の金額を入力します。

なお、ディスプレイネットワークのキャンペーンは対象外です。

基本的には、自動入札の強みは入札価格の自動調整ですので、むやみに設定することは、自動入札の強みを最大限に活用できない可能性があることを頭においておきましょう。とはいえ、上限入札単価は、うまく活用することでクリック単価を抑えられるメリットもあるので、クリック単価の上昇に課題がある時など、状況に応じて設定することを検討できるといいかと思います。

入札戦略レポートの確認方法

自動入札を導入したあと実際にうまく機能しているのか、またうまく機能していない場合どのように改善したらいいのか、手動の入札に比べてわかりにくいですよね。そのようなときは、「入札戦略レポート」を確認するのがオススメです。

入札戦略の種類ごとに関連性の高い指標や重要なデータを確認することができ、入札戦略のパフォーマンスを把握できます。

入札戦略レポートで把握できる指標など詳細につきましては、下記の記事をご覧ください。

参照:Google広告、入札戦略レポートを確認する方法と活用の仕方

ポートフォリオ入札戦略の画面では、入札戦略名をクリックすることで、それぞれのレポートを確認可能です。

まとめ

同じ入札戦略を複数のキャンペーンで利用している場合、ポートフォリオ入札戦略を利用すると効率よく管理ができるようになります。また、自動入札の目標値や種類の変更による変化の比較などが容易なのも大きなメリットです。

入札戦略の管理や運用に悩んでいる場合に、ぜひポートフォリオ入札戦略を検討してみてください。

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