
「取り扱い商品は多いのに、通常の検索広告では一部しか売上につながらない」「効率よく自社ECサイトの売上を今より伸ばしたい」など、悩んだことはないでしょうか?
そんな課題を解決する手段の一つがYahoo!検索連動型ショッピング広告(以下 SSA)です。SSAは、ユーザーの検索語句に合わせて商品画像や価格などを表示し、購買意欲が高い人に対して自社の商品を訴求できます。
この記事では、見込みの高いユーザーに向けて直接的にアプローチできる、SSAの魅力や具体的な運用ポイントについて詳しく説明します。


目次
Yahoo!検索連動型ショッピング広告(SSA)とは?
Yahoo!検索連動型ショッピング広告(以下、SSA)は、商品に関連する検索をしたユーザーに対し、Yahoo!の検索結果ページ上部の「コマース検索モジュール」(※)に表示され、商品名、商品画像や価格などの情報を含む視認性の高い広告です。
ユーザーがSSAの広告をクリックすると、対象商品の詳細ページに遷移するのも大きな特徴で、ある商品の購入を検討中のユーザーにシンプルな導線を用意できます。
(※)コマース検索モジュールとは、Yahoo!検索結果画面上の通常の検索連動型広告、オーガニック検索結果の下に表示される掲載枠で、商品画像・金額・ショップ名などの掲載情報が確認できます。
Yahoo!検索連動型ショッピング広告の仕組み
SSAは検索連動型広告の一種ですが、通常のYahoo!検索連動型広告(YSA)のアカウントでは運用できず、SSA専用の広告アカウントの用意が必要になります。
また、SSAではキーワードの登録は不要です。「LINE Merchant System(LMS)」を通じてデータフィードとして登録された商品情報をもとに、ユーザーの検索語句との自動マッチングが行われ、該当する商品が広告として表示される仕組みになっています。
Yahoo!検索連動型ショッピング広告と商品情報掲載の違い
SSAを配信する際は、必ず別のプロダクトである「商品情報掲載」もあわせて配信する仕組みになります。
「商品情報掲載」は、コマース検索モジュールでSSAよりも下に位置する枠に無料(※)で商品を掲載ができるサービスです。「商品情報掲載」の特徴と、SSAとで何が違うのかについて解説していきます。
参考:検索連動型ショッピング広告の提供開始
※2025年5月14日以降、成果報酬型から無料へと変更されました
掲載枠の違いと見分け方
コマース検索モジュールの最上部に掲載される「SSA」よりも下の位置に表示されるのが「商品情報掲載」です。
両者の見分け方としては、SSAには商品画像の上に「スポンサー」が表示されているのに対し、商品情報掲載にはその表示がありません。また、「価格を比較する」ボタンや星(レビュー評価)が表示されているのは、現時点では商品情報掲載のみです。
※商品によっては「価格を比較する」や星(レビュー評価)が表示されないものもあります
運用要素の違い
SSAは広告としての配信であるため、入札単価の調整や掲載対象商品の選定からレポートの確認などまで、広告運用に関わる各種設定や最適化が求められます。
一方で、商品情報掲載は無料で表示される上で、入札単価の概念もなければ、細かい調整ができる要素もほとんどありません。強いて言えば、掲載内容(商品データフィード)の整備やメンテナンスが重要なポイントになります。
つまり、SSAはパフォーマンスを上げるための「運用」が必要な有料枠であり、商品情報掲載は無料の表示枠でリーチを広げる基盤として有効です。両者の役割やできることには明確な違いがあることを押さえておきましょう。
掲載可能な商材が違う
SSAと商品情報掲載で配信可能な商材にも違いがありますので、SSAの開始を検討する前には、まずは広告掲載が可能な商品かを確認しておくことをおすすめします。
また、商品情報掲載は配信できても、SSAだとできないの商材もあるので注意しましょう。
Yahoo!検索連動型ショッピング広告の魅力
SSAはECサイト運営者にとっては沢山のメリットがあるメニューで、表現力・掲載面での優位性・ユーザーとのマッチ度という3つの観点から代表的なものをご紹介していきます。
視覚的なアピールが可能
テキストベースのリスティング広告とは異なり、SSAではユーザーの検索語句に合わせて、商品画像・商品名・値段・送料を一度に広告として表示ができます。
特に画像付きであるとユーザーの目に留まりやすくビジュアルをしっかり訴求できるため、多くの情報をユーザーに視覚的に届けることが可能です。
また、商品の値段が表示されるので、クリックするユーザーは既に値段もスクリーニング済みで比較・検討の段階に入っている可能性が高いと言えるでしょう。
検索結果の画面占有率が高い
SSAは、商品画像・価格・評価などの視覚情報を含んだフォーマットで表示されるため、検索結果画面の中で占める面積が大きく、自然とユーザーの目に留まりやすくなります。
たとえ通常のリスティング広告で検索結果の最上部に掲載されていても、競合がSSAや商品情報掲載を出稿していればビジュアルのインパクトによってSSAの方が目立ちやすい場合もあります。
そのため、(テキストの)リスティング広告だけ上部掲載を目指すのではなく、より機会損失を防ぐためにSSAと商品情報掲載の出稿をしておくことをオススメします。
また、通常のリスティング広告では、競合の出稿が多くCPCが高く上位掲載が難しい場合は、無理にその土俵で戦わずにSSAで出稿するのも得策になるかもしれません。
購買意欲の高いユーザーにアプローチができる
SSAは基本的に、商品名や商品カテゴリーなどを含む検索語句に対して出稿されるため、すでに特定の商品を検討しているユーザーへのアプローチに向いている広告だと言えます。
また、コマース検索モジュールの結果からさらにフィルターをかけて絞り込むユーザーにも引き続きSSAが表示されるため、複数の商品を見ながら比較検討し、商品を吟味しているユーザーにアピールできることも大きなメリットです。
Yahoo!検索連動型ショッピング広告運用開始までの手順
ここでは、SSAの運用開始までの手順を紹介していきます。
まずは、商品情報掲載を開始するには、いくつかの条件がありますので確認しましょう。
- 正規代理店など、売掛取引(後払い方式)のアカウントを運用していること
- ブランド公式サイトなどのEC(ショッピング)サイト、またはEC(ショッピング)モール
- サイト上で決済完了まで可能なこと、WEBで展開されているサイトであること
- 1つのショップに対し複数代理店による商品情報掲載は不可
LINE Merchant System、広告アカウントの作成
掲載条件をクリアしていたら、LINE Merchant System(LMS)のアカウントを用意し、Yahoo!検索連動型ショッピング広告のアカウントを開設しましょう。
1.LINE Merchant System(LMS)の開設
まだ、LMSのアカウントを持っていない広告主は、まず、アカウントの開設が必要です。
LMSアカウントの開設方法は下記を参照してください。
参考:LMSアカウント開設(P45~P49)
参考:LINE Merchant System ユーザーガイド
2.Yahoo!検索広告(ショッピング)のアカウント発行
①SSAのアカウント作成は、+アカウントの追加>検索広告の作成の中でSSAの選択ができます。
②新規広告アカウント申し込み画面から、アカウントの種類、アカウント名、契約プラン、月額予算、掲載終了日、申し込みURLの情報を入力します。
アカウントの種類は検索広告(ショッピング)を選択してください。
商品情報の登録
商品フィードを準備して、LINE Merchant System(LMS)に登録を行います。その後、LMSアカウントと広告配信するMCCアカウントの連携も行い、商品フィードの準備は完了です。
3.商品フィードの作成、登録
商品フィードを作成し、LMSに登録する必要があります。(登録後、LINEヤフー社側による商品情報の確認が入ります)
商品情報がJSON形式で入力されています。Google Merchant Centerなどで設定しているCSV・TSV形式のフィードとは互換性がないため、注意が必要です。
商品フィードの仕様の詳細については下記のリンクをご参照ください。
参考:商品フィードについて
4.LMS上にあるショップとYahoo!MCCを連携
LMSにログインし、広告配信するYahoo!MCCアカウントへの連携申請を行います。こちらを行うことで、LMS上にあるショップと新しい商品フィードが広告管理画面に送り込まれるようになります。
申請画面では以下2つの情報を入力して、連携申請をしましょう。
- 該当のYahoo!MCCアカウントのID
- 任意のパスコードを入力
また、上記画像の「ショップ名」とは、LMS上で1ドメインにつき、ひとつだけ作成できる「ショップ」のことを指しています。このショップでは、商品データフィードをはじめ、ロゴやカバー画像などのビジュアル要素、会社情報やお問い合わせ先、決済・配送・返品に関する各種情報を一元管理できます。
LMSからアカウント連携申請をすると、該当のYahoo!MCCに申請が飛びますので、MCC>アプリ・ツール連携>ショップ連携に進み、連携を承諾して完了です。
配信前の準備
商品データの登録が完了したら、次は商品情報掲載に向けてタグの準備です。
5.LINEヤフー社へ、お申込みを送付する
検索広告(ショッピング)アカウント、LMSアカウントの発行完了後、LINEヤフー社の営業担当から商品情報掲載の無料化に対応した申込みフォームが案内がきます。そちらをメールにて返信します。
入力項目は合計13項目あり、申込み提出し受理までの約3営業日はみておきましょう。
お申込み時の入力項目一覧
6.コンバージョンタグの設置(推奨)
コンバージョンタグは任意の設定となりますが、注文数や注文金額などの情報を取得できるようにしておくと、広告のパフォーマンスの評価もしやすくなるため必要なパラメータの設定が推奨されています。
▼コンバージョンタグ
<script async>
ytag({
"type": "yss_ssa_conversion",
"config": {
"yahoo_conversion_id": "1000178837",
"yahoo_conversion_label": "e5y9CLnUlawBEJ2kiMsD",
"yahoo_conversion_value": "0",
"yahoo_ssa_merchant_id": "xxxxxxxxxxx",
"yahoo_ssa_order_id": "12345678",
"yahoo_ssa_items": [
{"item_id":"P12345","quantity":2,"price":3000},
{"item_id":"P98765","quantity":1,"price":980}
]
}
});
</script>
※こちらのコードはサンプルです
参考:コンバージョン測定タグを取得、設置する(検索広告(ショッピング))
コンバージョンタグを設定できたら、念のため問題なく計測ができているかも含めて、LINEヤフー社に確認してもらうようにしましょう。
タグの確認や掲載までの相談は、以下の送付先にメールします。
7.商品情報掲載の開始
SSAを配信する前に、まず商品情報掲載を開始する必要があります。
ショッピング広告のキャンペーン設定
ここから、Yahoo!検索連動型ショッピング広告アカウントでのSSAキャンペーンの作り方や設定を見ていきましょう。
8.キャンペーンの設定
①キャンペーン作成画面に進み、キャンペーン名・該当のショップ・配信設定・1日の予算・掲載期間・配信する曜日・時間帯・デバイス、除外キーワードなどを設定します。
②続いて広告グループでは、広告グループ名、配信設定、広告グループの入札単価、性別、年齢を設定します。
③広告グループ配下に、紐づいている商品データフィードの全商品を対象とした「全ての商品」という商品グループが作成されます。この商品グループの配下に、さらに詳細に商品を分類できますので、より細かな粒度で入札調整をしたい場合には、商品グループを分割することがオススメです。
「全ての商品」の配下に設定できるカテゴリは、商品フィードの項目から連携されています。
9.出稿情報審査
LINEヤフー社で審査が行われます。目安としては10営業日がかかるため、時間に余裕をもって準備を進めることを推奨します。
10.SSA 開始
SSAの審査が完了したら、キャンペーンを配信開始できます。
Yahoo!検索連動型ショッピング広告の効果を高めるためのポイント
SSAはデータフィードを利用した広告のため、データフィード上の商品情報の最適化が重要です。また、そうすることで広告アカウント上で設定・調整できることも増えます。
ここでは特に重要な3つのポイントを見ていきましょう。
商品フィードを最適化し、掲載機会を最大化する
SSAの掲載順位はオークションによって決まります。ユーザーの検索語句と商品フィードの情報(商品名や詳細説明など)が一致すると、広告がオークションに参加し、広告ランクの高い商品から順に上部に掲載がされます。
広告ランクの大きな決定要素は、入札価格と、商品情報の検索クエリーとの関連性(マッチ度)です。入札額の調整だけでなく、フィードの最適化も重要なポイントとなります。
検索結果での表示機会を増やすには、フィードの必須項目だけでなく、任意項目の設定も活用するとより効果的です。 例えば、商品の状態やカテゴリーをデータフィードに設定しておくと、ユーザーが検索フィルターを使った際にも対象として表示される可能性が高まります。
フィードの最適化では、商品名や詳細説明を充実させることの他に、以下のポイントも意識しましょう。
- 検索されやすいキーワードを適切な項目に含める(ひらがな・カタカナ表記の違い、類似カテゴリ名、など)
- 任意項目をできるだけ網羅し、検索フィルターとの連動を強化する(商品の状態、カテゴリーなど)
適切なフィード調整を行うことで、入札単価を上げずとも広告の掲載機会を増やし、より多くのユーザーにリーチを広げやすくなります。
商品グループで入札を柔軟に調整
商品フィードで設定したカテゴリ、ブランド、カスタムラベルの項目は、SSA広告管理画面上の商品グループ単位で入札とオーディエンスの設定ができます。
例えば「すぐに季節物の水着や浴衣といったアイテムカテゴリを強化したい」「女性の20〜39歳に向けて、レディース服を広告で強化できるようにしたい」などの場合に、商品グループの作り方次第で柔軟な調整が可能になります。
商品グループ作成画面
商品グループの設定方法をみていきましょう。
①商品グループ作成
②属性を選択
商品グループは最大10階層の分割が可能です。商品フィードで設定したカテゴリ項目の中から選択できます。
③入札価格設定
商品グループごとに入札価格を設定できます。
④ URLオプション
商品グループ単位で異なるパラメータを設定することができます。
「検索タグ」で商品と検索語句のマッチ率を高める
通常、SSAではデータフィード内の商品名や説明文などを最適化することで、検索語句とのマッチング精度を高めます。
しかし、それだけでは対応しきれない検索クエリを拾うために活用できるのが「検索タグ」です。「検索タグ」は商品データフィードに設定できる追加情報で、見出しや説明文のように広告上には表示されないものの、検索結果のマッチングに影響を与える特殊な項目です。 そのため、広告には表示させたくないが、検索ボリュームを増やしたい場合やターゲットを広げたい場合に活用できます。
例えば、下記の表のように類似商品のカテゴリやひらがな検索を想定してみたり、競合ブランド名を含めたりして使うことができ、より多くの検索クエリにヒットさせることが可能です。
検索タグは1つのSKUに対して最大10件まで入力することができ、フィード上の任意項目として存在するので、以下のようにフィードに列を追加すれば使うことができます。
まとめ
SSAは、ユーザーの検索語句に応じて商品画像や価格をダイレクトに訴求できるため、普段からYahoo!検索を使っているユーザーとの接点を効率よく作れるのが魅力でしょう。
また、そのまま商品詳細ページに遷移できることによって、購買までの導線も非常にスムーズです。そのため、特に取り扱い商品の多いECサイトの売上を広告で伸ばしたい場合には、効果的な選択肢になるかもしれません。
まずは無料の「商品情報掲載」から始めてみて、効果が見え始めたタイミングでSSAへ展開していくのも手ですので、ぜひ、この記事を参考に導入を検討してみてください。
