
社会人1年目。右も左もわからず、「初めての業務ばかりで覚えることが多い」「そもそも社会人として、どう振る舞えばいいのか分からない」と悩むことが多いですよね。
少しでも学ぼうとビジネス書を読んでも、実務経験が浅いため内容がピンとこなかったり、活かしきれなかったりします。そんなとき、救いになったのが漫画『ワールドトリガー』でした。
今回はこの作品から、私が新人時代に社会人としての「姿勢」や「考え方」を学んだ4つの名言と、そこから得た気づきをご紹介します。
『ワールドトリガー』あらすじ(※公式HP参考)
人口28万人の都市・三門市に、ある日突然「異世界への門(ゲート)」が開かれる。そこから現れたのは「近界民(ネイバー)」と呼ばれる未知の怪物たち。地球上の兵器が効かない彼らの襲来に、街は恐怖に包まれた。しかし、謎の防衛組織「ボーダー」が現れ、ネイバーの侵攻を食い止める。
──それから4年半。中学3年生の三雲修 (みくもおさむ)と、転校生としてやってきた“ネイバー”の少年・空閑遊真 (くがゆうま)の出会いをきっかけに、物語は大きく動き出す。


目次
「自力で解決しようとするのはいい心がけだが、自分の手に余ると感じたなら早めに誰かの手を借りるべきだ。」二宮匡貴
この言葉は、もともとの所属部隊とは異なる部隊に一時的に配属され、思うように力を発揮できなかった隊員に対して、二宮隊長がかけたひと言です。その姿は、「困っているのに“問題ありません”と無理に強がってしまう」新人時代の自分と重なりました。
入社して間もない頃、私はクライアント向けの定例報告資料づくりを初めて任されました。けれど進め方がわからず、「何がわからないのか」すら整理できないまま、ただ手を動かす日々が続いていました。
「こんな基本的なことを聞いていいのだろうか」「上司も忙しそうだし……」と遠慮してしまい、なかなか相談に踏み切れませんでした。結果、締切直前に大幅な修正が必要となり、上司にも遅くまで対応してもらうことになってしまったのです。
いま思えば、もっと早く状況を共有していれば、余裕を持って、より良い成果を出せたはず。あのときの後悔は、今でも強く記憶に残っています。
早めの相談は、迷惑ではなく“前向きな行動”
この経験を通して実感したのは、「わからないことを伝えるのは迷惑ではなく、むしろ早めの相談こそが仕事をスムーズに進める鍵だ」ということです。
仕事をしていれば、ミスやトラブル、初めての業務や高い目標など、一人では抱えきれない局面に何度も直面します。もちろん「自分でなんとかしよう」という姿勢は大切ですが、行き詰まったときに素直に人を頼る判断も、それと同じくらい重要です。
「人に頼る=無責任」と捉える向きもありますが、それは誤解です。自分なりに考えたうえで「ここは助けが必要だ」と判断できることは、むしろ立派な力。責任を放棄するのではなく、「どうすればより良い成果につながるか」を考え抜いたうえでの、もう一つの選択肢なのです。
社会人として求められるのは、「自分でやり抜く力」と「必要なときに助けを求める勇気」。その両方を持ち合わせることこそが、信頼されるプロフェッショナルとしての土台になるのではないでしょうか。
「準備が整うまで待っていたら、ぼくにはきっと一生何もできません。」三雲修
この言葉は、戦う力がまだ十分ではない訓練生である三雲修が、友人を守るためにあえてリスクを背負って行動する場面で語られたものです。後悔しないよう、いま自分にできる最善を選ぶその姿が、強く心に残りました。
仕事でも、突然チャンスが巡ってくる瞬間があります。そんなときに「まだ実力が足りないから無理かも」と、つい尻込みしてしまうこと、ありませんか?
私自身にも、まさにそんな経験がありました。
私がSNS広告の運用を初めて任されたときも、準備万端とは言えませんでした。経験も浅く、自信よりも不安のほうが大きかったのが正直なところです。
それでも「やると決まった以上、やるしかない」と腹をくくり、動きながら知識をインプットし、試行錯誤を重ねました。手探りながらも進み続けたこの経験は、結果以上に大きな学びと成長につながりました。
完璧な準備より、“動ける状態”を整えておく
実際の仕事において「万全の準備が整った状態」など、そうそう訪れません。だからこそ必要なのは、動きながら学ぶ力と、チャンスに備えておく姿勢です。
もちろん、何の準備もせずに飛び込むのは無謀です。ただし、「完璧に準備が整ってから挑む」という姿勢では、いつまでも動き出せません。
だからこそ大切なのは、日常の中で“最低限の備え”を少しずつ積み上げておくことです。
- どんなチャンスを望んでいるか、言語化しておく
- 情報収集や人とのつながりを日々少しずつ広げておく
- 「やってみたいこと」を周囲に伝えておく
こうした地道な準備が、チャンスが来たときにすぐ行動できる土台になります。
「誰もが納得するような結果は出せない。ただその時やるべきことを、後悔しないようにやるだけです」三雲修
このセリフは、先ほどの名言に続いて主人公・三雲修が語ったものです。すべてをうまくやろうとしすぎず、自分なりに「やれることをやる」ことの大切さを示しています。
私自身も、新卒で働きはじめた頃は「早く成果を出さなきゃ」「お客様に頼られる存在になりたい」と、強い理想を持っていました。その分、うまくいかない自分に失望したり、空回りしたりすることも多かったように思います。
特に成果にこだわりすぎると、必要以上に完璧を求めてしまい、自分で自分を追い詰めてしまう。けれど仕事における「成果」は、自分の努力だけでコントロールできるものではありません。タイミングや相手の状況など、外的要因に左右される部分も大きいからです。
“今の自分にできること”を一つずつ丁寧に
そんなとき、上司から「まずは“今の自分にできること”を一つずつ丁寧にやれば十分だよ」と言ってもらったことがあります。その言葉に肩の力が抜け、「ああ、それでいいんだ」と自然に思えたのを覚えています。
それ以来、焦る気持ちに飲まれそうになったときは、「目の前のことに誠実に取り組む」ことを最優先にするようになりました。すると、お客様との関係も徐々に安定し、結果として成果にもつながっていくようになりました。
長距離マラソンのように、スタートした瞬間はゴールなんて見えません。でも一歩一歩を丁寧に踏み出していくことで、気づけば思った以上に遠くまで来ているものです。
仕事も同じで、「完璧な結果を出せたか?」ではなく、「この一回一回の対応に、自分なりの誠実さを込められたか?」が、やがて信頼や成果として返ってくるのだと実感しています。
目立たない一歩でも、今の自分にできるベストを積み重ねていくこと。それが、後悔のない道をつくり、未来の自分を形づくっていくのだと思います。
「『できるようになった』という無数の事実を忘れるな。」ヒュース
この言葉は、「自分には才能がない」「どうせ頑張っても無理だ」と思い込んでいた隊長に対して、仲間のヒュースがかけたひと言です。
私自身も、新卒で入社したばかりの頃は、知らない用語が飛び交う会議の中で、「自分だけが何も分かっていないのでは」と焦りを感じていました。「この仕事、向いてないかもしれない」と落ち込んだことも、一度や二度ではありません。
特に印象的だったのは、初めてお客様との定例会に同席したときのこと。緊張で資料を読み上げるだけで精一杯、質問されてもとっさに答えられず、気まずい沈黙が流れてしまう。重要なやり取りはすべて上司が引き取り、私はただ隣で小さくなるだけ……。そんな場面が何度もあり、「自分は全然役に立てていない」と落ち込んでばかりでした。
けれど、何度も会議を重ねるうちに変化が訪れました。お客様が何に関心を持っているのか、上司がどう返答しているのか、その“型”が少しずつ見えてきたのです。やがて自分の意見を持ち、配信方針についてお客様と対等に議論できるようになり、会議をリードする場面も増えてきました。
成長は、直線ではなく曲線で進む
思い返せば、子どもの頃には自転車に乗れるようになったり、学生時代に部活でできなかったことが練習でできるようになったり──私たちはすでに、たくさんの「できるようになった経験」を積み重ねてきています。
仕事も同じで、最初から完璧にできる人なんていません。才能やセンスではなく、「自分なりのペースで努力を重ねること」が少しずつ自信につながっていくんです。
理想では、時間に比例してまっすぐ成果が出ていくように思ってしまいがちですが、実際の成長は緩やかな立ち上がりから、徐々にスピードが加速していく“曲線”を描きます。だから、最初のうちは「思うように進まない」「できるようになっていない」とギャップを感じやすいのです。
だからこそ、「ここはまだ苦手だけど、ここは前よりもできるようになった」と、過去の自分と比べて自分の今を冷静に見つめ直してみてください。そして、「この努力は正しい方向に向いているか?」と迷ったときは、上司や先輩に相談してみるのも、前向きな一歩です。
どんなにゆるやかでも、あなたの成長は確かに進んでいます。
大切なのは、今できることを全力で取り組み、困ったら周りを頼ること
『ワールドトリガー』の中で描かれる「仲間を頼ること」「失敗を恐れず挑戦すること」「できるようになった経験を積み重ねること」は、社会人として働くうえでも、とても大切な姿勢です。
今回ご紹介した4つの名言も、すべてを一気に習得しようとする必要はありません。
キャラクターたちのように、「今の自分にできること」を一つずつ着実に積み重ねていくことが、成長につながります。
半年後、1年後にこの記事を読み返したとき、「できるようになったことが増えたな」と、自分の変化を実感してもらえたら嬉しいです。
社会に出たばかりの頃は、不安や戸惑いの連続かもしれません。
しかし、ビジネス書だけでなく、漫画や映画、音楽といったさまざまな作品からも、働くことへのヒントを得ることができます。
そんな小さな気づきの積み重ねが、やがて「自分なりの働き方」をつくっていくはずです。
